2017/12/10

この記事はPowerShell Advent Calendar 2017の10日目です。

PowerShellはオブジェクトを扱うシェルですが、別にテキストデータを扱えない訳ではありません。むしろ、PowerShellで取得したデータをテキストファイルとして保存したり、スクリプトで用いるデータをテキストファイルで保存しておくことは日常的に行われることだと思います。

ただし、PowerShellで扱うデータはオブジェクトであり、テキストファイルは文字通り文字列であることから、コマンドレットを用いる等、何らかの手段で変換が必要になります。また、テキストデータ形式にも様々な種類があり、それぞれメリット、デメリットが存在します。今回の記事では、PowerShellで用いるデータを保持しておく際のテキストデータ形式について比較をしてみます。

プレーンテキスト

プレーンテキスト、すなわち書式なしのテキストファイルです。もっともシンプルな使い方をする場合、文字列配列の各要素に含まれる文字列が、テキストファイルの1行と対応します。

書き出し
$lines | Set-Content -LiteralPath file.txt -Encoding UTF8

$linesは文字列変数です。

特に理由がなければ文字コードはUTF-8で良いと思います。

追記
$lines | Add-Content -LiteralPath file.txt -Encoding UTF8

Add-Contentは実行のたびにファイルを開いて、書き込んでから閉じるという動作をするので、1行ずつforeachで実行するのはNGです。

読み込み
$lines = @(Get-Content -LiteralPath file.txt -Encoding UTF8)
メリット
  • 文字列配列をテキストファイルに書き出すのは多分これが一番楽だと思います。
  • 書き出したデータは人間にも読みやすい。 編集もしやすい。
デメリット
  • 文字列だけを保存しておきたいというケースがそもそも少ない。
CSV

コンマ等の特別な文字で区切り、1行あたりに複数のデータを保存できる形式です。

PowerShellのコマンドレットで扱う場合、オブジェクトが持つプロパティがヘッダ列名に対応します。各行にオブジェクト配列1要素のプロパティ値が、カンマ区切りで保持されます。

書き出し
$objects | Export-Csv -LiteralPath file.csv -NoTypeInformation -Encoding Default

$objectsは任意のオブジェクト配列です。必要であればSelect-Objectコマンドレットを併用して、プロパティを絞り込みます。

文字コードはExcelでそのまま読み込み/書き出しができるDefault(日本語環境ではShift_JIS)がお勧めです。(最近のExcel2016ならUTF8も一応読めますが)

追記
$objects | Export-Csv -LiteralPath file.csv -Append -NoTypeInformation -Encoding Default
読み込み
$objects = Import-Csv -LiteralPath file.csv -Encoding Default
メリット
  • オブジェクトのプロパティ値が、すべて数値あるいは文字列で表現できる値を持つ場合に最も適合する。
  • 人間にも読みやすく、ある程度は編集もできる。
  • Excelで開ける。
デメリット
  • オブジェクトのプロパティが、数値と文字列以外のオブジェクトである場合、すなわち、階層構造を持つデータの保存には適さない。
  • 数値も文字列として読み込まれてしまうので、数値として扱いたい場合は変換が必要になる。
  • Export-CsvとImport-Csvで扱うCSVファイルはヘッダが必須。つまり、ヘッダなしのCSVファイルが既にあって、それを読み書きするという用途には適さない。(できなくはないが)
  • 書き出し時の列順を制御することができない。つまり、PowerShellで書き出したCSVを、列順が固定であるとの想定である他のプログラムで読み込むことは基本NG。
  • 書き出し時、1つ目の要素に存在しないプロパティは、2つ目以降では存在しないものとして扱われる。同種のオブジェクトで構成される配列なら通常は問題ないのだが、要素によって動的に追加されるプロパティがあったりなかったりすると厄介。(ADでありがち)
JSON

JavaScriptのような表記でデータを保持するデータ形式です。データの受け渡しに様々な言語で利用できます。Web APIでもよく利用されます。

PowerShellではv3からJSONを扱うコマンドレットが提供されています。

書き出し
$objects | ConvertTo-Json | Set-Content -LiteralPath file.json -Encoding UTF8
読み込み
$objects = Get-Content -LiteralPath file.json -Encoding UTF8 -Raw | ConvertFrom-Json
メリット
  • CSVと異なり、階層構造を持ったデータでも扱える。
  • CSVと異なり、数値は数値型のまま読み書き可能。 (整数値はint、小数値はdecimal)
  • 人間にもまぁまぁ読めるし、頑張れば編集できなくもない。
デメリット
  • -Depthパラメータによりプロパティを展開する階層の深さを指定はできるが、プロパティに応じて深さ指定を変化させるというようなことはできない。基本的には、自分で構築したPSCustomObjectを使うか、JSON化する前に自分で元オブジェクトを整形しておく必要がある。
  • 直接ファイルに書き出し、追記、ファイルから読み込みするコマンドレットはない。
  • 実は細かい話をしだすと色々と罠があります…。
CLIXML

PowerShellではPSリモーティング等、プロセス間でオブジェクトのやり取りを行う際に、CLIXML形式を介してシリアライズ/デシリアライズが実行されます。シリアライズ対象によっては、完全に元のクラスのオブジェクトに復元されます。(復元されないオブジェクトにはクラス名にDeserialized.との接頭辞が付与され、プロパティ値のみ復元される)

ユーザーもコマンドレットを用いて、任意のデータをCLIXML形式でシリアライズし、XMLファイルとして保存することができます。

書き出し
$objects | Export-Clixml -LiteralPath file.xml
読み込み
$objects = Import-Clixml -LiteralPath file.xml
メリット
  • 元のオブジェクトの構造、プロパティ値と型情報を含めてほぼ完全にテキストファイルに保存できる。
  • 復元したオブジェクトはプロパティ値を参照できるのはもちろん、オブジェクト全体が完全にデシリアライズされ、元の型に戻った場合には、メソッドを実行することも可能。
  • 例え元の型に戻らず、Deserialized.との接頭辞が付いた状態でも、コンソールに表示する場合は元の型のフォーマットが使われるので見やすい。
デメリット
  • すべてのオブジェクトが元の型に戻せるわけではない。戻せるかどうかは確認が必要。
  • 人間が読み書きするようなものではない。

ちなみに、ConvertTo-Xmlという似たようなコマンドレットがありますが、出力形式はCLIXMLではない上、復元の手段もなく、かといって別に読みやすいXMLというわけでもなく、正直何のために使うのかよく分かりません(適切なxsltでも用意すればいいのかな?)。まだConvertTo-Htmlの方が使えそうです。

psd1

psd1は「PowerShellデータファイル」で、モジュールマニフェストやローカライズデータに使われるファイル形式です。スクリプトファイルの1種ですが、数値や文字列リテラル、配列、連想配列、コメントなど基本的な言語要素のみ使用可能です。PowerShell 5.0以降ではImport-PowerShellDataFileコマンドレットを用いて、任意のpsd1ファイルのデータを読み込み、変数に格納することが可能です。

書き出し

書き出し用のコマンドレットはありません。

読み込み

例えば以下のような内容をbackup_setting.psd1として保存しておきます。ルート要素は必ず連想配列にします。

@{
	Directories = @(
		@{
			From = "C:\test1"       # コピー元
			To = "D:\backup\test1"  # コピー先
			Exclude = @("*.exe", "*.dll")
			Recurse = $true
		},
		@{
			From = "C:\test2"
			To = "D:\backup\test2"
			Exclude = @("*.exe")
			LimitSize = 50MB
		},
		@{
			From = "C:\test3"
			To = "D:\backup\test4"
		}
	)
	Start = "0:00"
}

なお、dataセクションで全体を括ってもいいですが、psd1で許容される言語要素はdataセクションより更に制限がきついので、敢えてしなくてもいいんじゃないかと思います。

このファイルは以下のように読み込めます。

$setting = Import-PowerShellDataFile -LiteralPath backup_setting.psd1

$settingには連想配列が格納され、以下のように値が参照できます。

$setting.Directories | foreach {Copy-Item -Path $_.From -Destination $_.To}
メリット
  • PowerShellの構文でデータを記述できる。
  • 通常のps1ファイルを呼び出すのとは異なり、式の評価やコマンド実行などはされない分、セキュアである。
  • 配列と連想配列の組み合わせにより、JSONライクな階層構造を持てる。型情報も保持される。
  • JSONとは違い、コメントが入れられる。
デメリット
まとめ

PowerShellで扱うデータをテキストファイルとして保存する際には、各テキストデータ形式の特性を理解し、メリット、デメリットを踏まえて選定する必要があります。

また、当然ながらテキストファイルに保持することが不適切なデータもありますので、そこは注意してください。(画像データを敢えてBase64とかでエンコードしてテキストファイル化する意味があるのか、とかですね)

個人的には…

ちょっとした作業ログ等を記録しておきたい→プレーンテキスト

.NETオブジェクトの一部のプロパティだけ抜き出してファイル化したい→CSV

自分で構築したPSCustomObjectをファイル化したい→JSON

.NETオブジェクト全体をファイル化したい→CLIXML

スクリプトで使う設定データを用意したい→psd1

みたいな感じでなんとなく使い分けていると思います。psd1はまだ採用例はないですが…。

今回はビルトインのコマンドレットで扱えるもののみ取り上げましたが、他にもyaml等のテキストデータ形式が存在し、有志によるモジュールを用いて扱うことが可能です。

2016/12/15

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の15日目です。

前回はPowerShellのASTの概要を解説しました。今回は前回の補足というか応用的な内容になります。

前回、スクリプトブロックからどのようなASTが生成されるのか、図で書きました。そもそもあの図を作るにあたって、ASTの構造を視覚的に把握したかったので、そのためのスクリプトを書きました。

PowerShellで木構造を展開表示する方法は色々ある(※)かと思いますが、今回はJSONとして出力して、表示については他のアプリに任せることにしました。

※Format-Customのデフォルトビューは意外と使える

ただし、ASTオブジェクトをそのままConvertTo-Jsonコマンドレットに渡すわけにはいきません。というのも、AST構造を再帰的に展開するには、探索の深さ(-Depth)を大きくしなければいけませんが、そうするとASTではないオブジェクトも逐一展開してしまい、現実的な時間内で終わらなくなってしまいます。

そこで、ASTオブジェクトそのものをJSONにするのではなく、必要なプロパティのみ再帰的に取得したカスタムオブジェクトを生成し、それをJSONにする方針を取りました。その成果が以下のコードです。(using namespace節を使っているので、v5以上必須です。)

using namespace System.Management.Automation.Language

function GetAstInner
{
    param([Ast]$ast)
    end
    {
        $base = [ordered]@{
            ExtentText = $ast.Extent.Text
            AstName = $ast.GetType().Name
        }

        $children = [ordered]@{}
        $leaves = [ordered]@{}

        $ast.psobject.Properties |
        ? Name -notin Extent, Parent |
        %{
            $type = [type]($_.TypeNameOfValue)
            $propValue = $ast.($_.Name)
                
            if($type.IsSubclassOf([ast]))
            {             
                if($null -ne $propValue)
                {
                    $children[$_.name] = GetAstInner $propValue
                }
            }
            elseif($type.IsGenericType -and $null -ne ($type.GetGenericArguments() | where{$_.Name -eq "Tuple``2"}))
            {
                $asts = @()

                foreach($next in $propValue)
                {
                    if($null -ne $next)
                    {
                        $asts += [pscustomobject]@{
                            Item1 = $(
                                if($null -ne $next.Item1 -and $next.Item1 -is [ast])
                                {
                                    GetAstInner $next.Item1
                                }
                            )
                            Item2 = $(
                                if($null -ne $next.Item2 -and $next.Item2 -is [ast])
                                {
                                    GetAstInner $next.Item2
                                }
                            )
                        }
                    }
                }

                if($asts.length -ne 0)
                {
                    $children[$_.Name] = $asts
                }

            }
            elseif($type.IsGenericType -and $null -ne ($type.GetGenericArguments() | where{$_.IsSubclassOf([ast])}) )
            {
                $asts = @()

                foreach($next in $propValue)
                {
                    if($null -ne $next)
                    {
                        $asts += GetAstInner $next
                    }
                }

                if($asts.length -ne 0)
                {
                    $children[$_.Name] = $asts
                }
            }
            else
            {
                if($null -ne $propValue)
                {
                    $leaves[$_.Name] += $propValue.Tostring()
                }
            }
        }
        [pscustomobject]($base + $leaves + $children)
    }
}

function Get-Ast
{
    param([scriptblock]$ScriptBlock)
    end
    {
        GetAstInner $ScriptBlock.Ast
    }
}

本来なら、50種以上あるAstクラスに応じてきちんと場合分けすべきなのですが、コードが長くなるだけなので、動的言語の強みを生かしてダックタイピング的な方法で下位ノードを再帰的に展開しています。

途中、IfStatementAstのClausesプロパティなどで用いられている、ReadOnlyCollection<Tuple<Ast, Ast>>型であることを確認するのに苦労してますが、多分もっといい方法があると思います…。他はAstオブジェクトそのものか、ReadOnlyCollection<Ast>を返すだけなのでそんなに苦労はないです。Ast抽象クラスに含まれているExtent、Parentプロパティ以外で、Astを要素に含まないプロパティに関しては、ASTの葉として解釈しています。

次にこのスクリプトを使って、スクリプトブロックをJSONとして出力します。

$scriptBlock = {
    param([int]$x,[int]$y)
    end
    {
        $out = $x + $y
        $out | Write-Host -ForegroundColor Red
    }
}

Get-Ast $scriptBlock | 
    ConvertTo-Json -Depth 100 |
    Set-Content ast.json

サンプルとして用いるスクリプトブロックは、前回のものと同じです。これを先ほど書いたGet-Ast関数に渡して、結果をConvertTo-JsonでJSON化しています。この際、探索の深さを100としていますが、ネストが深いスクリプトブロックなどでは、もっと大きくする必要も出てくるかもしれません。

出力されたast.jsonを、JSON Viewerを使って表示してみたのが、以下のスクリーンショットになります。

スクリーンショット 2016-12-15 09.44.06

色んなスクリプトのASTを表示して、楽しんでみてください。

ASTシリーズはもう少し続きます。次回はAST Visitorと静的解析のお話です。

2016/12/12

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の11日目です。遅刻してごめんなさい!

ASTとは

ASTとはAbstract Syntax Treeの略で、日本語では「抽象構文木」といいます。コードをパーサーが構文解析した結果から、言語の意味に関係のない要素(空白等)を除外し、木構造として構築したものです。

PowerShellでは3.0からASTの仕組みが取り入れられました。スクリプト実行時にはまずパーサーがスクリプトブロックからASTを生成し、コンパイラによってASTが解釈され、実行されるようになっています。

ASTを直接的に扱うのはコンパイラですが、実はPowerShellではパーサーが構築したASTを、PowerShellスクリプトから扱うことができます。

ASTの具体的な使い道としては、構文の静的解析が挙げられますが、その話は後でするとして、今回はまず、ASTの構成要素と構造を見ていきます。

ASTの構成要素

具体的には、{スクリプトブロック}.Astとして、ScriptblockオブジェクトのAstプロパティから、ScriptBlockAstオブジェクトにアクセスできます。このオブジェクトがASTのルートとなるノード(分岐点)を表します。このScriptBlockAstから、スクリプトブロック内部の構文要素が木構造として展開されていきます。

式(Expression)、文(Statement)といった構文要素は、各々対応したAstクラスが対応し、木構造における分岐点を形成します。また、分岐点の末端の葉では、当該の構文要素を構成するデータを示すオブジェクトが格納されます。

すべてのAstクラスは、Ast抽象クラス(System.Management.Automation.Language.Ast)を継承したクラスです。PowerShellでは50個程のAstクラスが存在します。各Astクラスは、抽象クラスで定義されている以下の2つのプロパティを持っています。

  • Parent
    親ノードを示すAstオブジェクトを返す
  • Extent
    当該のASTノードに含まれるコード文字列や、スクリプト全体から見たコード文字列の位置等の情報を持つ、IScriptExtentインターフェースを実装したクラスのオブジェクトを返す

また各Astクラスは、対象の構文要素に応じて、それぞれ異なったプロパティを持ちます。たとえばScriptBlockAstは以下のプロパティを持ちます。

子の分岐点を返すもの

  • UsingStatements
    Using節を表す、UsingStatementAstのコレクションを返す
  • Attributes
    スクリプトブロックに付与された属性を表す、AttributeAstのコレクションを返す
  • ParamBlock
    paramブロックを表す、ParamBlockAstを返す
  • BeginBlock、ProcessBlock、EndBlock、DynamicParamBlock
    各々、beginブロック、processブロック、endブロック、DynamicParamブロックを示すNamedBlockAstを返す

葉を返すもの

  • ScriptRequirements
    #Requires節の内容を表す、ScriptRequirementsを返す
ASTの構造

たとえば、

$scriptBlock = {
    param([int]$x,[int]$y)
    end
    {
        $out = $x + $y
        $out | Write-Host -ForegroundColor Red
    }
}

という、二つの整数値の和を赤字で表示するというスクリプトブロックならば、以下のようなASTが構築されます。(一部分岐点、葉は省略しています。また、分岐点のASTクラス名は、末尾の"Ast"を省略表記しています。)

PowerShell_AST

このスクリプトブロックのASTから、例えば「Red」というパラメータ値を表す、StringConstantExpressionAstまで辿るには、

$scriptBlock.Ast.EndBlock.Statements[1].PipelineElements[1].CommandElements[2]
StringConstantType : BareWord
Value              : Red
StaticType         : System.String
Extent             : Red
Parent             : Write-Host -ForegroundColor Red

のようにします。

基本的なASTの構造が頭に入っていれば、タブ補完を併用することで比較的簡単に目的のノードまで辿れますが、ASTノードの子に対し、ノード検索をかける方法もあります。

例えば、すべてのVariableExpressionAstを列挙するには、

$scriptBlock.Ast.FindAll({
    param($ast)
    $ast -is [System.Management.Automation.Language.VariableExpressionAst]
}, $true)

のように、FindAllメソッドを用います。

AST編はあと何回か続く予定です。

2015/12/21

この記事はPowerShell Advent Calendar 2015の21日目の記事です。

PowerShellの属性

PowerShellには2.0から言語機能として「属性」機能が追加されました。PowerShellの属性はC#の属性とほぼ同じものですが、2.0〜4.0の時点では、高度な関数(Advanced Function)を作成するために関数に付与するCmdletBinding属性(記述上ではparamブロックに付与する形になる)、関数のパラメータに付与するParameter属性やAlias属性等、関数のパラメータや変数に付与する各種検証属性(Validate〜、Allow〜系)くらいしか使うことはなかったかと思います。

このうちパラメータ検証属性については、あえとす氏が以前詳しく解説しておられます。:パラメーターの検証属性について/前編 - 鷲ノ巣

PowerShellで属性クラスを作る

さて話は変わって、つい先日、WMF 5.0 / PowerShell 5.0がRTMしました。Windows 7/8.1、Windows Server 2008R2/2012/2012R2用のインストーラーが公開されたので、もう使っておられる方もいると思います。ぎたぱそ氏が一晩で解説記事を書いてくれてますね。

PowerShell 5.0では言語機能としてclass構文がついに追加されました。これでついにPowerShell言語も真の意味でオブジェクト指向言語の要素を完備したと言えるかと思います。

このclass構文、.NET Frameworkの既存のクラスを基底クラスとして継承するなんてことも、普通にできてしまいます。そこで私が考えたのは、もしかしてこれで属性も作れるんじゃない?ということでした。

v5のclass構文の基本的な部分の解説は、また別の機会にということにしまして、今回はいきなり、属性を作る話をしていきます。

ちなみにC#の属性については、属性 - C# によるプログラミング入門 | ++C++; // 未確認飛行 C が参考になります。PowerShellで属性を作る時も基本はだいたい同じかと思います。

属性クラスの例

属性パラメータ(コンストラクタ引数)にDescription、名前付きパラメータとしてNoを指定でき、classに適用可能なTest属性はこんな感じです。

[AttributeUsage([AttributeTargets]::Class)]
class TestAttribute : Attribute
{
    [string]$Description

    [int]$No

    TestAttribute($Description)
    {
        $this.Description = $Description
    }
}

これを利用する際は、まずこのclassを含むスクリプトをドットソースで実行することで、グローバルに読みこむ必要があるようです(同一スクリプト内に属性定義と属性利用をまとめて書くとうまく動作しない)。

呼び出し側では以下のように指定します。

[TestAttribute("クラスの説明", No = 1)]
class Foo
{
    $X = 1
}

通常なら[Test()]のように"Attribute"の部分は省略できるはずなんですが、これも何故かフルネームで指定しないとダメなようでした。

クラスに属性が正しく指定されているかどうかはリフレクションで調べます。

[Attribute]::GetCustomAttributes([Foo])

結果は

Description  No TypeId
-----------  -- ------
クラスの説明  1 TestAttribute

こんな感じです。

パラメータ検証属性を作る

これだけでは面白くないので、少し実用になるかもしれない属性を書いてみましょう。

ところで前述のあえとす氏の記事の後編では、C#でPowerShellのパラメータ検証属性を作る方法について解説されています。ただ、C#でPowerShellの実行空間にアクセスして、操作を行ったり情報を取得したりするのは、少し知識が必要な部分かと思います。

そこで、PowerShellで使う属性なんだからPowerShellで書いたら楽になるんじゃない?という発想で、パラメータ検証属性をクラス構文で書いてみました。

このサンプルは、パラメータ(または変数)値の型が、指定の型セットに含まれているかどうかを検証するものです。複数型を取るようにするためにパラメータの型を[psobject]にすることが良くありますが、この属性を利用して、指定可能な型を絞り込めるようになります。

using namespace System.Management.Automation

[AttributeUsage(([AttributeTargets]::Property) -bor ([AttributeTargets]::Field))]
class ValidateTypeSetAttribute : ValidateEnumeratedArgumentsAttribute
{
    [Type[]]$Types

    ValidateTypeSetAttribute($Types)
    {
        $this.Types = $Types
    }

    [void]ValidateElement([object]$element)
    {
        if(!($element.GetType() -in $this.Types))
        {
            throw New-Object ValidationMetadataException `
                "$($element.GetType().FullName) は許容されない型です。値は $($this.Types) のいずれかの型である必要があります。"
        }
    }
}

使い方は以下の通り。パラメータ検証属性の場合は、定義と同一スクリプト内で呼び出しても、"Attribute"を省略しても問題ないようです。

function test
{
    param(
        [ValidateTypeSet(,([int],[string],[double]))]
        [psobject]
        $obj
    )
}

test "a" #OK
test (Get-Process)[0] #NG

class構文のコンストラクタで可変長引数を定義する方法が分からなかったので、呼び出しがちょっと不格好ですが、そこはご容赦を。

2015/08/10

C#6.0のnameof演算子(じんぐるさんによる解説岩永さんによる解説)が羨ましかったので、PowerShellでも似たようなことができるようにしてみました。

function nameof
{
    param([scriptblock]$s)
    $element=@($s.Ast.EndBlock.Statements.PipelineElements)[0]
    if($element -is [System.Management.Automation.Language.CommandExpressionAst])
    {
        switch($element.Expression)
        {
            {$_ -is [System.Management.Automation.Language.TypeExpressionAst]}
                {$_.TypeName.Name}
            {$_ -is [System.Management.Automation.Language.MemberExpressionAst]}
                {$_.Member.Value}
            {$_ -is [System.Management.Automation.Language.VariableExpressionAst]}
                {$_.VariablePath.UserPath}
        }
    }
    elseif($element -is [System.Management.Automation.Language.CommandAst])
    {
        $element.CommandElements[0].Value
    }
}

nameof{$PSHOME}                      # 変数名 : PSHOME
nameof{$PSHOME.Length}               # プロパティ名 : Length 
nameof{[System.Diagnostics.Process]} # クラス名 : System.Diagnostics.Process
nameof{[string]::Empty}              # フィールド名 : Empty
nameof{[DayOfWeek]::Friday}          # 列挙体メンバー名 : Friday
nameof{Get-Command}                  # コマンド名 : Get-Command

原理的には、変数やプロパティ等をスクリプトブロックに格納し、生成されるAST(抽象構文木、abstract syntax tree)を解析して、含まれる変数名やプロパティ名を抽出しています。(なので、PowerShell 3.0以上でないと動作しないと思います)

そもそも、どういうシチュエーションで使うの?という話ですが、実はあえとすさんのPowerShell コマンドを C# で書くときに便利な拡張メソッド - 鷲ノ巣という記事を見て、じゃあPSでコマンド(高度な関数)を書く時にも同じことが出来るといいかな?と思ったのがきっかけです。

function Get-Test
{
    [CmdletBinding()]
    param([int]$Number)
    if($PSBoundParameters.ContainsKey((nameof{$Number})))
    {
        "-$(nameof{$Number})パラメータが指定された"
    }
}

こういう風に、"Number"という文字列をコード中に書かずに、-Numberパラメータ指定の有無を確認できるようになる、というわけです。

(この例の場合だと、Get-Test -Number 12 のようにすると、if文の中身が実行されます。)

ただ作ってはみたものの、使う意味がどれほどあるのか疑問に思えてきました。一応、ISEでは変数名やメンバ名に入力補完が効くので、実際の変数名を文字列で手打ちしなくて済むというメリットはなきにしもあらず、ですか。

しかし所詮は動的言語なので、存在しない変数名やメンバ名を入れても実行前にエラーは出ないですからね。(Set-StrictModeによるストリクトモードは編集時ではなくあくまで実行時(正確には変数やメンバを参照した瞬間)にエラーを出すためのもの)

それとISEのリファクタリング機能は弱い(というか無い)ので、リファクタリングに追従できるという本家nameof演算子に存在するメリットは、現状のところISEを使っている限りは享受できません。

PowerShell 5.0からの新要素、Script Analyzerによる静的解析を組み合わせればあるいは意味が出てくるのかもしれないですが、まだ確認できてないです。

というわけで、書いてはみたもののなんか微妙ですが、せっかくなんで公開しときます。

2014/12/11

MMLとは

この記事はPowerShell Advent Calendar 2014の11日目の記事です。

突然ですが、MMLってご存知ですか? MMLとはMusic Macro Languageの略で、その名の通り音楽演奏データを記述するための言語です。BASICのPLAY文で使うあれです。MIDIファイルに変換するコンパイラもありましたよね。

たとえば、「ねこふんじゃった」の最初の部分をMMLで書くとこんな感じです。MMLはいろんな記法があるのですが、よくあるのはこういうのです。

e-d-<g-4>g-rg-4e-d-<g-4>g-rg-4e-d-<g-4>g-4<e-4>g-4<d-4>frf4
e-d-<d-4>frf4e-d-<d-4>frf4e-d-<d-4>f4<e-4>f4<g-4>g-rg-4

ドの音をc、レの音をd、のように以下シの音をbまでアルファベット音階で割り当てます。半音上げる(シャープ)場合は音名のあとに+、半音下げる(フラット)場合は-を付与します。音の長さは4分音符なら4、8分音符なら8と書きます。付点は数字のあとに.を付けます。数字省略時は8分音符と解釈するのが普通のようです。オクターブを上げる場合は>、下げる場合は<と書きます(コンパイラによっては逆の解釈をする)。休符はrです。

本物のMMLでは、音色の指定だとかトラックの割り当てだとか、もっとたくさん命令があるんですが、基本はだいたいこんなもんです。

PowerShellで音を鳴らすには

PowerShellで音を鳴らすには、.NETのSystem.Console.Beepメソッドを使うのが一番手っ取り早いです。ビープ音ですね。比較的古いWindowsではハードウェアのビープスピーカーから、比較的新しいWindowsではサウンドデバイス上で鳴ります。今回のMMLシーケンサーも結局はBeepメソッドです。

そしてぎたぱそ先生がずっと以前に書いておられます。なので今回のはまあ、MMLシーケンサー部分を除けば二番煎じなんですけどもね。(そしてSmallBasicLibraryを使えば実はMML演奏もできるので、車輪の再発明でもあるんですが)

ちなみにwavやmp3なんかを鳴らすには、Windows Media PlayerをCOM経由で実行する方法や.NET(WPF)のSystem.Windows.Media.MediaPlayerクラスを使う方法などがあります。

音程の決め方

Beepメソッドでは第1引数にビープ音の周波数をHzで、第2引数に再生時間をミリ秒で指定します。つまりは音程(音の高さ)はHzで指定する必要があります。ここでドの音は何ヘルツで、みたいな対応表をどこかから探してきてそのデータを使ってもいいんですが、今回はせっかくなので、PowerShellで計算して求めてみます。

まず、ある音程の一つ上のオクターブの音程の間の周波数比は、1:2です。

ピアノ等の鍵盤楽器が近くにあれば、それを見てもらえば分かると思いますが、1オクターブには12の音程が含まれています。1オクターブの周波数比を12個均等に分割します(この周波数の決め方を平均律といいます)。つまり、隣り合う音程の周波数比は、1:12√2となるわけです。

さて、音程の周波数比はこれでわかりました。あとは基準となる音の周波数が分かれば、全ての音の周波数が計算できるわけです。時代や地域、演奏する楽器等によって微妙に違ってきますが、現代日本においては普通は、A(ラ)=440Hzが基準周波数です。

あとは単純にかけ算して周波数を求めて連想配列に入れておくだけです。コードにすればこんな感じですね。

$baseFrequency = 440.0
$pitches = @{
            "c" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 3/12)
            "d" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 5/12)
...
}

あと、+で半音上がる場合は[math]::Pow(2, 1/12)をかけ、-で半音下がる場合は割ればいいだけです。(別に$pitchesテーブルで最初から定義してもいいかもですが)

音価の決め方

音価というのは音の長さです。Beepメソッドの第2引数にはミリ秒で実際の時間を指定する必要があるので、これも計算で求めてやります。

4分音符というのは、1小節(全音符)を4分割、つまり1/4した音価を持ちます。同様に8分音符は1/8ですね。付点がつくと音価は1.5倍になります。

ではたとえば4分音符の具体的な音価はどうやって定めるのでしょうか。それを決めるのがテンポと拍子です。

テンポは1分間(つまり60000ミリ秒)の拍数(BPM、Bit Per Minuteともいう)で定義されます。今回作るシーケンサーは4/4拍子、すなわち1拍=4分音符とする4拍子固定とするので、1分間に4分音符がBPM回含まれることになります。

つまり、4分音符の音価=60000ミリ秒/BPMの値、全音符の音価=60000*4ミリ秒/BPMの値 となるわけです。

具体的なコードは…略します。単なるかけ算と割り算だけなんで。

MMLのパース

えっと時間がなくなってきたので、駆け足で説明します。

MMLのパースとは、要するに最初の例のようなMML(テキストデータ)から、実際に演奏する音程と音価の組み合わせのデータとして組み立てる作業になります。

今回のシーケンサーでは、繰り返し記号等はサポートしないので、単にMMLを一文字ずつ読み込んで、音名(cなど)を見つけたら、その後の文字を読んで、+があれば半音上げるなどして周波数を求め、その後に数字があればn分音符とみなし、先ほどの計算式から実際の音価を求めてやる。というのを全部の音でくり返すだけです。

この処理をやっているのがConvertFrom-MMLという関数です。MMLテキストを入力してやると、周波数(Frequency)や発音時間(Duration)などをプロパティとして含んだpscustomobject(Noteオブジェクト)を出力します。(Noteとは音符のことです)

MMLの演奏

パースしたMMLを実際に演奏するのがInvoke-Beep関数です。入力は、ConvertFrom-MMLで生成したNoteオブジェクトです。実際の処理は至って単純で、 [System.Console]::Beep($note.Frequency, $note.Duration)するだけです(えー)。あ、あと休符の時はDuration分だけSleepを入れてやっています。

MMLの>と<の意味を逆転する-Reverseスイッチ、BPMを指定する-Bpmパラメータ(デフォルト120)なんかも用意してます。

実際にはMMLから直接演奏できるように、Invoke-Mmlというラッパー関数を用意しています。

冒頭のねこふんじゃったのMMLを再生するにはこんな感じにします。

$s=@"
e-d-<g-4>g-rg-4e-d-<g-4>g-rg-4e-d-<g-4>g-4<e-4>g-4<d-4>frf4
e-d-<d-4>frf4e-d-<d-4>frf4e-d-<d-4>f4<e-4>f4<g-4>g-rg-4
"@
Invoke-Mml $s
コード
function ConvertFrom-MML
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeline=$true)][string[]]$mml,
        [int]$bpm = 120,
        [switch]$reverse = $false
    )
    begin
    {
        $baseFrequency = 440.0
        $scaleRatio = [math]::Pow(2, 1/12)
        $baseDuration = 60000 * 4 / $bpm
        $pitches = @{
            "c" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 3/12)
            "d" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 5/12)
            "e" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 7/12)
            "f" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 8/12)
            "g" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 10/12)
            "a" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 12/12)
            "b" = $baseFrequency * [math]::Pow(2, 14/12)
            "r" = -1
        }
        $currentOctave = 0
    }

    process
    {
        $chars = [string[]]$mml.ToCharArray()

        0..($chars.Length - 1)|%{
            if($null -ne $pitches[$chars[$_]])
            {
                $frequency = $pitches[$chars[$_]]
                $suffix = ""
            
                $denominator = ""
                $dot = $false

                if($_ -lt $chars.Length-1)
                {
                    switch($chars[($_ + 1)..($chars.Length - 1)])
                    {
                        {$pitches.Contains($_)}
                            {break}
                        "+"
                            {$frequency *= $scaleRatio; $suffix += $_}
                        "-"
                            {$frequency /= $scaleRatio; $suffix += $_}
                        {$_ -match "\d"}
                            {$denominator += $_}
                        "."
                            {$dot = $true}
                    }
                }

                $frequency *= [math]::Pow(2, $currentOctave)

                $denominator = [int]$denominator
                if($denominator -eq 0){$denominator = 8}
                $multiplier = 1 / $denominator
                
                if($dot){$multiplier *= 1.5}
                $duration = $baseDuration * $multiplier

                if($frequency -le 0){$on = $false}else{$on = $true}
                [pscustomobject]@{
                    Frequency = [int]$frequency
                    Duration = $duration
                    Note = "$($chars[$_])$suffix$denominator$(if($dot){"."})"
                    Octave = $currentOctave
                    Pitch = $chars[$_]
                    Suffix = $suffix
                    Denominator = "$denominator$(if($dot){"."})"
                    On = $on
                }
            }
            elseif($chars[$_] -eq ">")
            {
                if($reverse)
                {
                    $currentOctave--
                }
                else
                {
                    $currentOctave++
                }
            }
            elseif($chars[$_] -eq "<")
            {
                if($reverse)
                {
                    $currentOctave++
                }
                else
                {
                    $currentOctave--
                }
            }
        }
    }
}

function Invoke-Beep
{
    [CmdletBinding()]
    param([parameter(ValueFromPipeline = $true)][psobject[]]$note)
    
    process
    {
        if($note.On)
        {
            [System.Console]::Beep($note.Frequency, $note.Duration)
        }
        else
        {
            Start-Sleep -Milliseconds $note.Duration
        }
    }
}

function Invoke-Mml
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [string]$mml,
        [int]$bpm,
        [switch]$reverse
    )
    
    ConvertFrom-Mml @PSBoundParameters|Invoke-Beep
}
おわりに

今回はMMLをパースしてBeepを演奏するスクリプトをPowerShellで作ってみました。これをシーケンサーというのはおこがましいと思いますが、まあたまにはこういう柔らかいネタもいいんじゃないでしょうか。ドレミの音がどうやって決められてるのかというのも、もしかして話のネタくらいにはなるかも。

そしてこれ、シーケンサーといいつつ、入力機能がないですよね。それについては次回やります。

PowerShellアドベントカレンダー2014はまだまだ残席ございます。ぜひ、あなたのPowerShell話を聞かせて下さい。

2014/10/12

昨日10/11のPowerShell勉強会#4にお越しいただいた方、どうもありがとうございました。スタッフ一同、これからも定期的に開催していこうと考えておりますので、ぜひともよろしくお願い致します。

私のセッション資料を公開します。わんくま横浜で行ったものとほとんど同じですが、v5関係のスライドを少しだけ修正しています。

今回は高度な関数とコマンドレットの作り方を主に取り上げていますが、要するに、PowerShellコマンドはPowerShellスクリプトでもC#でもほぼ同じようにして同じようなものが書ける、ということなのです。なので、基本を押さえればどちらにも対応可能です。

両者は状況に応じて使い分ければOKかと思います。PowerShellよりC#が得意、というならばコマンドレットを書くと良いですし、スクリプト的なお手軽なコードで書きたい場合は高度な関数、とかですね。

速度が求められる部分とか、.NETアセンブリを多用する部分だけコマンドレットにして、他を高度な関数にする、あるいは、主要部はコマンドレットにして、その他はコマンドレットのラッパー的な高度な関数を用意する、のように両者を組み合わせたモジュールもよくあります。

以下はデモ用のサンプルスクリプトです。高度な関数の雛型的なものになります。使い方はスライド本文を参照してください。

function Get-Foo
{
    [CmdletBinding()]
    param([string[]]$Name)
    end
    {
        foreach($n in $name)
        {
            $out = [pscustomobject]@{
                Name = $n
                No = 0 
            }
            # PSCustomObjectのインスタンスに型名を付ける
            $out.PSTypeNames.Insert(0, "Winscript.Foo")
            $out
        }
    }
}

function Set-Foo
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)]
        [PSObject[]]
        $InputObject,
        [parameter(Position=1)]
        [string]
        $Property,
        [parameter(Position=2)]
        [PSObject]
        $Value,
        [switch]
        $PassThru
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.$Property = $Value
            if($PassThru)
            {
                $o
            }
        }
    }
}

# C#によるクラス定義
Add-Type -TypeDefinition @"
using System;
namespace Winscript
{
    public class Foo2
    {
        private string _name;
        private int _no;
        public Foo2(string name)
        {
            _name = name;
            _no = 0;
        }
        public string Name
        {
            get{
              return _name;  
            }
            set{
               _name = value; 
            }
        }
        public int No
        {
            get{
              return _no;  
            }
            set{
               _no = value; 
            }
        }
    }
}
"@

function Get-Foo2
{
    [CmdletBinding()]
    param([string[]]$Name)
    end
    {
        foreach($n in $name)
        {
           New-Object Winscript.Foo2 $n
        }
    }
}

function Set-Foo2
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)]
        [Winscript.Foo2[]]
        $InputObject,
        [parameter(Position=1)]
        [string]
        $Property,
        [parameter(Position=2)]
        [PSObject]
        $Value,
        [switch]
        $PassThru
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.$Property = $Value
            if($PassThru)
            {
                $o
            }
        }
    }
}

以下はデモで用いたC#のコードです。コマンドレットクラスの雛型的なものになっています。ビルドの際はSDKに含まれるPowerShell関係のdllを参照設定してください(詳しくはスライド)。また使用する際は、Import-Module ビルドで生成したdllのフルパス を実行してインポートして下さい。以下の例だとGet-Baz、Set-Bazの2コマンドレットがインポートされます。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;
using System.Management.Automation;

namespace Winscript
{
    [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "Baz")]
    public class GetBazCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string[] Name { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            foreach (var n in Name)
            {
                WriteObject(new Baz(n));
            }
        }
    }

    [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "Baz")]
    public class SetBazCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Baz[] InputObject { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string Property { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)]
        public PSObject Value { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false)]
        public SwitchParameter PassThru { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            foreach(var o in InputObject)
            {
                if (Property == "No")
                {
                    o.No = (int)Value.BaseObject;
                }
                else if(Property == "Name")
                {
                    o.Name = (string)Value.BaseObject;
                }
                if (PassThru)
                {
                    WriteObject(o);
                }
            }
        }
    }

    public class Baz
    {
        private string _name;
        private int _no;
        public Baz(string name)
        {
            _name = name;
            _no = 0;
        }
        public string Name
        {
            get
            {
                return _name;
            }
            set
            {
                _name = value;
            }
        }
        public int No
        {
            get
            {
                return _no;
            }
            set
            {
                _no = value;
            }
        }
    }
}

2014/04/26

小ネタですが。

まず、ダイナミックパラメータについてはぎたぱそ先生の記事を参照してください。要は、その名の通り動的に定義されるパラメータのことです。

ダイナミックパラメータは他の(静的な)パラメータの指定状態によってリアルタイムに定義されます。ValidateSet(値の候補リスト)だけではなく、パラメータの有無、パラメータ値の型やパラメータ名ですら変わり得ます。

一方、Get-Commandコマンドレットを使うとコマンドのパラメータや構文等の情報を取得する事ができます。しかし、ダイナミックパラメータは前述のような特性があるため、パラメータの有無、パラメータ名、パラメータ値の型が一意に定まりません。

この問題を解決するため、Get-Commandコマンドレットには-ArgumentListパラメータが用意されています。指定コマンドに与えるパラメータ値を-ArgumentListパラメータに指定すると、指定コマンド実行時にそのパラメータ値を指定した場合に定義されるダイナミックパラメータに関する情報が、出力結果に含まれるようになります。

例を挙げましょう。Get-Contentコマンドレットの-Pathパラメータは「位置パラメータ」、つまりパラメータ名を省略できるパラメータであり、パラメータ名なしで指定された一つめの値がバインドされます。つまり、 Get-Content C:\ とするとC:\(FileSystemプロバイダのパス)が-Pathパラメータにバインドされるわけです。(Get-Content -Path C:\ と同じ意味となる)

ところでGet-Contentコマンドレットは、FileSystemプロバイダでのみ有効となる-Encodingというダイナミックパラメータを持っています。「FileSystemプロバイダでのみ」というのはつまり、「カレントディレクトリがFileSystemプロバイダのパスであるか、-PathパラメータにFileSystemプロバイダのパスが指定されたとき」ということになります。

すなわち、 カレントディレクトリがC:\であったり、Get-Content C:\ と入力した瞬間、-Encodingダイナミックパラメータが定義されて利用できるようになります。

ではGet-CommandコマンドレットでGet-Contentコマンドレットの-Encodingダイナミックパラメータの情報を得るにはどうすればよいか。答えは、このダイナミックパラメータが定義されるトリガーとなるパラメータ値である「C:\」を-ArgumentListパラメータに指定してやればいいわけです。つまり 例えば

Get-Command -Name Get-Content -ArgumentList C:\ -Syntax

としてやると、Get-Contentコマンドレットの構文が

Get-Content [-Path] <string[]> [-ReadCount <long>] [-TotalCount <long>] [-Tail <int>] [-Filter <string>] [-Include <string[]>] [-Exclude <string[]>] [-Force] [-Credential <pscredential>] [-UseTransaction] [-Delimiter <string>] [-Wait] [-Raw] [-Encoding <FileSystemCmdletProviderEncoding>] [-Stream <string>] [<CommonParameters>]

のように表示され(※注:一部抜粋)、Get-Content C:\を実行するときに定義される-Encodingダイナミックパラメータも含まれていることがわかります。仮にHKLM:\等のFileSystemプロバイダ以外のパスを-ArgumentListに指定すると、

Get-Content [-Path] <string[]>[-ReadCount <long>] [-TotalCount <long>] [-Tail <int>] [-Filter <string>] [-Include <string[]>] [-Exclude <string[]>] [-Force] [-Credential <pscredential>] [-UseTransaction] [<commonparameters>]

のように表示され、ダイナミックパラメータが表示されないことが分かるかと思います。

さて、-ArgumentListは配列指定もでき、複数パラメータ値を指定した時の構文を調べることもできます。しかし位置パラメータ以外の場合、つまりダイナミックパラメータ定義のトリガーとなるパラメータにパラメータ名を指定する必要があるコマンドの場合はどうやら無理のようです。

以下はおまけです。ダイナミックパラメータのリストを表示します。-ArgumentListは指定してないので、カレントディレクトリのプロバイダの種類でのみ結果が変わります。

$cmds = Get-Command -CommandType Cmdlet,Function
foreach($cmd in $cmds)
{
    $params = $cmd.Parameters
    $dynamicParamNames = @()
    if($null -ne $params)
    {
        $dynamicParamNames = @($params.Values|?{$_.IsDynamic}|%{$_.Name})
    }
    
    if($dynamicParamNames.Length -ne 0)
    {
        foreach($dynamicParamName in $dynamicParamNames)
        {
            [pscustomobject]@{
                Cmdlet=$cmd
                Module=$cmd.ModuleName
                Parameter=$dynamicParamName
            }
        }
    }
}

まあ本題とあんまり関係なくなってしまったんですが、せっかく作ったのでということで。こういうのを見ると、PowerShellはコマンドもオブジェクトなんだ、ということが分かると思います。

2013/12/05

はじめに

この記事はPowerShell Advent Calendar 2013の5日目の記事です。

突然ですが、PowerShellにはJobが完了するまで待機するWait-Jobコマンドレットというのがあります。これはその名の通り、パイプラインから入力したJobオブジェクトがすべて(あるいはどれか一つが)完了状態になるまでスクリプトの実行を待機する効果があります。

当然ながらWait-JobはJobオブジェクトにしか利用できませんが、任意の入力オブジェクトに対して待機条件を指定してやれば、その条件を満たすまで実行を停止するコマンドがあると便利なんじゃないかな?と常々思っていたので書いてみました。

Wait-State関数
function Wait-State
{
    [CmdletBinding(DefaultParameterSetName="ByProperty")]
    param(
        [Parameter(ValueFromPipeline=$true)]
        [PSObject]$InputObject,
        [Parameter(Position=1,Mandatory=$true,ParameterSetName="ByProperty")]
        [string]$Property,
        [Parameter(Position=2,ParameterSetName="ByProperty")]
        [object]$Value,
        [Parameter(Position=1,Mandatory=$true,ParameterSetName="ScriptBlock")]
        [Alias("Script")]
        [ScriptBlock]$FilterScript,
        [Parameter()]
        [switch]
        $Any,
        [Parameter()]
        [switch]
        $IgnoreImmutable,
        [Parameter()]
        [switch]
        $PassThru,
        [Parameter()]
        [switch]
        $AllOutput,
        [Parameter()]
        [int]
        $IntervalSec=1,
        [Parameter()]
        [int]
        $TimeoutSec=60
    )

    begin
    {
        $objects = @()
        $watch = New-Object System.Diagnostics.StopWatch
        $watch.Start()
        $firstChecked = $false
    }

    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $objects += $o
        }
    }

    end
    {
        while($true)
        {
            $remains = @()
            foreach($o in $objects)
            {
                if($firstChecked)
                {
                    if($o.Refresh)
                    {
                        $o.Refresh()
                    }
                }

                if($null -ne $FilterScript)
                {
                    if($o|&{process{&$FilterScript}})
                    {
                        if($PassThru)
                        {
                            if((!$IgnoreImmutable -or ($IgnoreImmutable -and $firstChecked)))
                            {
                                $o
                            }
                        }
                    }
                    else
                    {
                        $remains += $o
                    }
                }
                else
                {
                    if($Value -eq $o.$Property  -and (!$IgnoreImmutable -or ($IgnoreImmutable -and $firstChecked)))
                    {
                        if($PassThru)
                        {
                            if((!$IgnoreImmutable -or ($IgnoreImmutable -and $firstChecked)))
                            {
                                $o
                            }
                        }
                    }
                    else
                    {
                        $remains += $o
                    }
                }
            }

            if($remains.Length -eq 0)
            {
                break
            }
            elseif($Any -and $remains.Length -lt $objects.Length)
            {
                if($AllOutput -and $PassThru)
                {
                    $remains
                }
                break
            }
            elseif($watch.Elapsed.TotalSeconds -ge $TimeoutSec)
            {
                if($AllOutput -and $PassThru)
                {
                    $remains
                }
                break
            }
            
            $objects = @($remains)
            $remains = @()
            
            $firstChecked = $true

            Start-Sleep -Seconds $IntervalSec
        }
    }
}
コマンド構文
Wait-State [-Property] <string> [[-Value] <Object>] [-InputObject <psobject>] [-Any] [-IgnoreImmutable] [-PassThru] [-AllOutput] [-IntervalSec <int>] [-TimeoutSec <int>]  [<CommonParameters>]

Wait-State [-FilterScript] <scriptblock> [-InputObject <psobject>] [-Any] [-IgnoreImmutable] [-PassThru] [-AllOutput] [-IntervalSec <int>] [-TimeoutSec <int>]  [<CommonParameters>]
パラメータ

-InputObject:入力オブジェクト。パイプライン入力可。
-Property:変更を確認するプロパティ名。
-Value:-Propertyで指定のプロパティ値が、このパラメータに指定する値になるまで待機する。
-FilterScript:プロパティを指定する代わりに待機条件をスクリプトブロックで指定する。
-Any:入力のどれか一つが条件を満たすまで待機するようにする。(省略時は入力が全部条件を満たすまで待機)
-PassThru:入力オブジェクトが待機条件を満たした時点で、そのオブジェクトを出力する。省略時は出力なし。
-IgnoreImmutable:最初から条件を満たしている場合は出力しない。-PassThruと併用。
-AllOutput:タイムアウトした場合や-Any指定時に一部のオブジェクトしか出力していない場合でも、最終的に未出力のすべてのオブジェクトを出力してから終了する。-PassThruと併用。
-IntervalSec:プロパティ値のチェック、もしくは待機条件スクリプトの実行の間隔秒数を指定。デフォルト1秒。
-TimeoutSec:最大待機秒数。デフォルト60秒。この時間を過ぎると条件を満たしていなくても待機を終了する。

使用例
# 停止しているサービスがすべて開始するまで待機する。
Get-Service |? Status -eq Stopped | Wait-State -Property Status -Value Running

# 上記と同じだが、開始したサービスを逐次表示する。
Get-Service |? Status -eq Stopped | Wait-State -Property Status -Value Running -PassThru

# 停止しているサービスが少なくとも1つ開始するまで待機する。
Get-Service |? Status -eq Stopped | Wait-State -Property Status -Value Running -Any

# プロセスのワーキングセットが100MBを超えた段階で逐次表示する。
Get-Process | Wait-State {$_.WorkingSet -ge 100MB} -PassThru

# 上記と同じだが、最初から100MBを超えてるものは出力しない。
Get-Process | Wait-State {$_.WorkingSet -ge 100MB} -PassThru -IgnoreImmutable

# ディレクトリ内のファイル容量がすべて50KBを超えるまで待機し、出力のFileInfo配列を変数に代入。
$files = Get-ChildItem | Wait-State {$_.Length -ge 50KB} -PassThru -AllOutput -TimeoutSec 3600
問題点

プロパティ値を取得するときにリアルタイムに値が反映されないオブジェクト(要するにGetした時点のプロパティ値がずっと固定されてるもの)に対しては正しく動作しません。というか、PowerShellで扱うオブジェクトはほとんどそうなんじゃないかと思います(汗

ServiceControllerオブジェクト、Processオブジェクト、FileInfoオブジェクト、DirectoryInfoオブジェクトについては、Refreshメソッドを実行すると、プロパティ値を現在の値に更新してくれるので、それを利用してプロパティ値を監視できるようにはしています。

それ以外についても監視できるようにするには、たぶんそれぞれのオブジェクトに応じた監視方法を地道に調査して実装していくしかないんじゃないかなあと思います。

INotifyPropertyChangedインターフェースを実装したクラスについては、PropertyChangedイベントをSubscribeしてプロパティ値の変更を追跡できるようにしてみようとちょっと思ったんですが、PowerShellで扱うオブジェクトにINotifyPropertyChangedを実装したクラスのものってそんなにあるんだろうか?と疑問を覚えたのでやめました。

WMIオブジェクトについては何か共通の方法でプロパティ値変更を監視できないかなあと思ったんですが、結局IntervalSec間隔でクエリを発行する方法になってしまい、低コストで行う方法がちょっと思いつきませんでした。

ただ、-FilterScriptパラメータをサポートしているので、ここに書くことでいかようにも待機条件をカスタマイズできるので、極端な話、条件スクリプトブロックに{(Get-Hoge -Name $_.Name).Property -eq “ほげ”}みたいなコードを書いてゴリ押しすることもできるかと思います。

感想

というわけで、なんだか微妙な成果になって恐縮ですが、なんで無いんだろうと思っていた関数を実際に書いてみると、無い理由が分かったりするものなんだなあ、と思ったりした次第です。

スクリプトの解説を何もしてないですが、あえて解説する程のものでもないこともないですが、まあ長くなるのでやめときます。

ただ、入力オブジェクトを一旦全部取得してから、後続パイプラインに流し込む例としていくらか参考になるかもしれません。(beginで入れ物を用意して、processで詰めて、endでメインの処理を書くだけですけど)

あとはフィルタースクリプトブロックの実装方法の一例としても参考になるかも? スクリプトブロックを二重にして$_に対象オブジェクトがきちんと格納されるようにする方法、若干トリッキーな気もしますが正式にはどう書くのが良いのか不明なのでこうしてみました。

2013/03/29

はじめに

Twitterブログ: 日本の皆さんにも「全ツイート履歴」が使えるようになりました の記事のとおり、自分の全ツイートデータをダウンロードする機能がTwitterで利用可能になっています。

ダウンロードされるzipファイルには、ツイートを表示するためのHTML、JavaScriptファイルのほか、CSV形式のデータ(tweets.csv)も含まれています。CSVファイルの処理といえばPowerShellが得意とするところです。このファイルを読み込んで、PowerShellで自分のツイートを分析してみましょう。

準備

具体的にダウンロードする方法は上記記事を参考にしていただいて、まずはダウンロードしたzipファイルからtweets.csvを解凍し、PowerShellのカレントディレクトリをtweets.csvのあるフォルダに移動させておいてください。

毎回CSVを読み込むと時間がかかるので、まず以下のようにしてImport-CsvコマンドレットによりCSVファイルを読み込み、変数にオブジェクトとして入れておきます。

$tweets = Import-Csv tweets.csv

なお私の総ツイート数は4万ほどで、tweets.csvは10MB程です。これくらいの容量だとそのままでもまずまずまともな速度で分析が可能ですが、何十万ツイートもしていらっしゃるTwitter廃人マニアの方は、適宜ファイルを分割するなどして対処願います。

CSVファイルのヘッダ行は

"tweet_id","in_reply_to_status_id","in_reply_to_user_id","retweeted_status_id","retweeted_status_user_id","timestamp","source","text","expanded_urls"

となっています。Import-Csvコマンドレットはデフォルトでは1行目を出力オブジェクトのプロパティ名とするので、データ行の1行がtweet_idプロパティ等を持つオブジェクトとして読み込まれ、$tweets変数にはそのオブジェクトの配列が格納されることになります。

ツイート抽出/検索
一番最初のツイートを表示
PS> $tweets | select -Last 1

tweet_id                 : 948090786
in_reply_to_status_id    : 
in_reply_to_user_id      : 
retweeted_status_id      : 
retweeted_status_user_id : 
timestamp                : 2008-10-06 10:54:10 +0000
source                   : web
text                     : はぐれメタルがあらわれた!
expanded_urls            : 

Select-Objectコマンドレット(エイリアスselect)はオブジェクトの絞り込みに使います。このCSVファイルではツイートの並び順がタイムスタンプの降順なので、最初のツイートは一番最後の行となります。

直近5ツイート表示
PS> $tweets | select -First 5 | fl timestamp,text

timestamp : 2013-03-21 17:02:23 +0000
text      : Need for Speedがなんか懐かしい。初めて買ったPCに体験版がバンドルさ
            れてた記憶がある。

timestamp : 2013-03-21 17:01:23 +0000
text      : そいえばEAのシムシティ不具合お詫び無料DL特典、何選ぼうかなあ。シム
            シティ4あるけど英語版という噂だし2013やった後につらいもんがありそう
            。

timestamp : 2013-03-21 16:45:09 +0000
text      : というわけでシムシティ大好きなんで、私の街を返してください…

...

Format-Listコマンドレット(エイリアスfl)を使うと必要なプロパティ値のみ抽出してリスト形式で表示できます。

文字列で検索
PS> $tweets | where {$_.text -match "眠い"} | fl timestamp,text

timestamp : 2013-03-05 10:46:39 +0000
text      : 眠いのってもしかしてアレルギールの副作用かも。蕁麻疹がひどいときし
            か飲んでないんだけどねえ

timestamp : 2013-03-05 05:42:18 +0000
text      : なんでこんなに眠いのかな

timestamp : 2013-03-04 07:44:18 +0000
text      : 眠いなあ

...

Where-Objectコマンドレット(エイリアスwhere)を使うとオブジェクト配列のうち特定条件のもののみ抽出できます。ここではツイート本文(textプロパティ)に"眠い"という文字列が含まれているものを抽出しています。どんだけ眠いんですか私は…

2009年のツイートのみ表示
PS> $tweets | select @{L = "timestamp"; E = {Get-Date $_.timestamp}},text | 
    where {$_.timestamp.Year -eq 2009} | sort timestamp |
    fl timestamp,text

timestamp : 2009/01/01 0:01:08
text      : あけおめ!

timestamp : 2009/01/01 0:16:31
text      : 2chとついったー強いなーmixiしんでた

timestamp : 2009/01/01 13:37:50
text      : 家族でおせちをたべた。おいしかった

...

もちろん本文に含まれる文字列以外にも、timestamp(ツイート時刻)で抽出するなどもできます。ここではtimestampがGMTで分かりづらく、かつ文字列のため扱いづらいので、Select-Objectに集計プロパティを指定してDateTime型に変換しています。Format-ListやSelect-Objectに指定する集計プロパティの書式は、@{L="ラベル";E={値を返すスクリプトブロック}}のように連想配列で指定します。LはLabel、EはExpressionのように省略せずに指定してもOKです。

集計プロパティはあんまり解説を見かけないですけども、オブジェクトを処理するコマンドレットの多くで利用可能できわめて重要なので覚えておくと良いと思います。

よるほ成功ツイート
PS> $tweets | where {(Get-Date  $_.timestamp).ToString("HH:mm:ss") -eq "00:00:00"} | 
    fl @{L = "timestamp"; E = {Get-Date $_.timestamp}},text

応用でこんなんもできます。0:00:00ちょうどのツイートを抽出します。私はかつてよるほ成功したことがないので結果は何も返ってきませんけど。

ツイート中のURLリストを作る
PS> $tweets | where {$_.expanded_urls} | select -expand expanded_urls
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E7%B4%A0%E4%B8%96
http://htn.to/4oxXDN
http://guitarrapc.wordpress.com
...

whereによる抽出を応用するとこういうこともできます。なお、expanded_urls列は本文中のURLが複数含まれているとそれらは,で区切られるため、可変長の行となります。Import-Csvコマンドレットはこのような可変長なCSVに対応していないので、複数URLがあっても最初の1つのみ取得します。それとexpanded_urlsが追加されたのはt.coによるURL短縮が始まってからなので、昔のツイートにこの値は含まれていません。

ツイート数統計
月別ツイート数表示
PS> $tweets | group @{E = {(Get-Date $_.timestamp).ToString("yyyy/MM")}} -NoElement

Count Name
----- ----
  432 2013/03
  413 2013/02
  248 2013/01
  741 2012/12
  497 2012/11
  791 2012/10
  659 2012/09
...

ツイート分析と言えばやはりツイート数統計を取ることから始まるでしょう。統計を取るにはGroup-Objectコマンドレット(エイリアスgroup)が使えます。ここでもグループ化キーとして集計プロパティを指定してやります。ツイートの「年/月」を文字列化し、それが同じツイートでグループ化することで、月別ツイート数の統計が表示できるわけです。

時間帯別ツイート数表示
PS> $tweets | group @{E = {Get-Date $_.timestamp | 
    select -expand Hour}} -NoElement |
    sort @{E = {[int]$_.Name}}

Count Name
----- ----
 2369 0
 1630 1
 1137 2
 ...
 2270 23

やり方としては先ほどのとほぼ同じです。Select-Object -ExpandPropertyはパイプライン入力でオブジェクトのプロパティ値を取得できるのでよく使います。ちなみにPowerShell 3.0だと「$obj|foreach プロパティ名」でも取れますね。

Sort-Objectコマンドレット(エイリアスsort)でもソートキーとして集計プロパティを指定できます。ここではNameプロパティ(グループ化キーの値)をintに変換したものをキーにソートしています。

曜日別ツイート数表示
PS> $tweets | group @{E = {Get-Date $_.timestamp | 
    select -expand DayOfWeek}} -NoElement |
    sort @{E = {[DayOfWeek]$_.Name}}

Count Name
----- ----
 4939 Sunday
 5164 Monday
 5463 Tuesday
 5164 Wednesday
 5563 Thursday
 5992 Friday
 6331 Saturday

これもやり方としてはほぼ同じ。ソートキーはDayOfWeek列挙体にキャストしてちゃんと曜日順に並ぶようにしてます。

ツイート数計測
総ツイート数
PS> $tweets | measure

Count    : 38616
Average  :
Sum      :
Maximum  :
Minimum  :
Property :

ここからはツイート数の計測をしていきます。単純にツイート総数を取るだけならMeasure-Objectコマンドレット(エイリアスmeasure)を使うだけでOKです。Averageなどは対応するスイッチパラメータ(-Averageなど)を指定すると計測されますが、この場合は元オブジェクトが数値ではないのでエラーになります。

ツイート文字数分析
PS> Add-Type -AssemblyName System.Web
PS> $tweets | where {!$_.retweeted_status_id} | 
    select @{L = "TextLength"; E = { 
        [System.Web.HttpUtility]::HtmlDecode($_.text).Length}} | 
    measure -Sum -Maximum -Minimum -Average -Property TextLength

Count    : 37718
Average  : 48.7322233416406
Sum      : 1838082
Maximum  : 140
Minimum  : 1
Property : TextLength

ツイート文字数を計測するとき、元のオブジェクトにはツイート文字数を返すプロパティはないので、Select-ObjectコマンドレットにTextLengthという集計プロパティを指定して新たに作ってしまいます。

Measure-Objectコマンドレットは-Propertyパラメータにより対象オブジェクトのどのプロパティ値を計測するか指定できます。そしてスイッチパラメータを全部有効にすることで、平均、合計、最大、最小値を計測しています。私の総ツイート文字数は183万です。

なお、リツイートの場合はretweeted_status_idにリツイート元のツイートIDが入るので、このIDがあるものはWhere-Objectで除外してます。またツイート本文の<や&などはHTMLエンコードされたものがtext列に格納されているので、HttpUtilityを使ってデコードしてから文字数をカウントしています。

通常ツイートとRTの比率
PS> $tweets | foreach {
  $TweetCount = 0;
  $RTCount = 0
} {
    if($_.retweeted_status_id){
        $RTCount++
    }else{
        $TweetCount++
    }
} {
    New-Object psobject @{
        AllCount = $tweets.Length;
        TweetCount = $TweetCount;
        RTCount = $RTCount;
        RTRatio = $RTCount/$tweets.Length
    }
}


Name                           Value
----                           -----
RTCount                        898
TweetCount                     37718
AllCount                       38616
RTRatio                        0.023254609488295

Measure-Objectコマンドレットは計測方法を指定することはできないので、独自の計測を行う場合はこんな感じでコードめいたものを書く必要が出てくるかと思います。RT率たったの2%か…ゴミめ…

ForEach-Object(エイリアスforeach)は1個のスクリプトブロックをパラメータに指定するとprocessブロック相当の列挙部分を実行しますが、このように3個指定すると、それぞれbegin(初期化処理)、process、end(終了処理)ブロックに割り振られます。

ここではbeginブロックで変数初期化、processブロックで通常ツイートとリツイートを加算、endブロックで計測値をPSObjectに格納して出力してます。ちなみにPowerShell 3.0ではカスタムオブジェクトを作る場合は「[pscustomobject]@{連想配列}」で書くほうが楽です。

お前は今まで寒いと言った回数を覚えているのか
PS> $tweets | foreach {$count = 0} {
    $count += ($_.text -split "寒い").Length - 1} {$count}
137

覚えてないから数えます。137回か。

数値だけを出力するならこんな感じでシンプルに書けますね。

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クライアントランキング
PS> $tweets | group @{E = {$_.source -replace "<.+?>"}} -NoElement | 
    sort Count -Descending

Count Name
----- ----
12927 Janetter
11333 web
 5230 Azurea for Windows
 3060 TweetDeck
 1694 Hatena
  866 twicca
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...

ここからはいろんなランキングを取得してみます。まずはツイートに使ったTwitterクライアントのランキング。ここでもGroup-Objectを使っています。クライアント名はクライアント配布URLがaタグで含まれているのでそれを-replace演算子で削ったものをグループ化キーとしています。ランキングなので最後はCountで降順ソート。

リプライしたユーザーランキング
PS> $tweets | where {$_.in_reply_to_user_id} |
    select @{L = "user"; E = {if($_.text -match "^(@[a-zA-Z0-9_]+)"){$matches[1]}}} |
    group user -NoElement | sort Count -Descending

Count Name
----- ----
  807 @xxxxxxxxxx
  417 @xxxxxxxxxx
  333 @xxxxxxxxxx
...

ランキング系はどれもgroup→sort Countのパターンになるかと思います。リプライツイートはin_reply_to_user_id列にリプライしたユーザーIDが含まれるのでまずはそれでフィルタし、ユーザー名はツイート本文から取ります。ユーザー名は-match演算子を使って正規表現で抽出します。$matches自動変数は連想配列で、[0]にマッチ全体が、[1],[2],...にはサブ式のキャプチャが入ります。ちなみにサブ式に名前を付けてるとキー名が数値ではなくサブ式名となります。

ハッシュタグランキング
PS> $tweets | foreach {[regex]::Matches($_.text, "(#\S+)") | 
    % {$_.Captures} |% {$_.Value}} | 
    group -NoElement | where Count -gt 1 | sort Count -Descending

Count Name
----- ----
  199 #zanmai
   75 #nowplaying
   68 #nhk
   63 #techedj2009
...

ハッシュタグも同様のアプローチで取れますが、ハッシュタグは1ツイートに複数あることがあり、-match演算子だと複数のマッチは取れないので[regex]を使って取得しています。

おわりに

PowerShellのオブジェクト処理用コマンドレットを用いると、CSVデータの分析ができます。普通はログファイル等を解析するのに使うわけですが、こういう身近なデータを扱ってみるのも面白いんじゃないでしょうか。きっとPowerShellの勉強にもなると思います。


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