2016年のPowerShellを軽く振り返ってみる - PowerShell Scripting Weblog

2016/12/01

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の1日目です。

PowerShellアドベントカレンダー、今年も始まりました。みなさまのご協力の甲斐あって、過去5年間はすべて完走していますが、今回もできれば完走を目指していく感じでまいりましょう。色々な立場の方からの視点でPowerShellを俯瞰できるこのイベント、私自身も毎年楽しんでおります。

さて、去年も2015年のPowerShellをまとめる的な記事から始めたわけですが、今年も去年に負けず劣らず、大変革の年だったと思いますので、今回も1年を振り返るところからスタートしましょう。

Bash on Ubuntu on Windows の登場

去年のPowerShell5.0登場、周辺モジュールのOSS化といった大きな動きがあってから、今年の前半は少しおとなしめ?の界隈でした(5.0のインストーラーにバグがあって一時非公開とか小騒動はありました)が、まず驚いたのがPowerShellそのものではなくて、Windowsで動くbashが登場したというトピックですね。発表があったのは今年の3月末の事です。

bashとは言わずと知れた、Linuxの標準シェルですが、これをWindows 10の"Windows Subsystem for Linux"という仕組みの上で動作するUbuntu上で動作するbashとして動作させてしまおうというものです。なので正式には"Bash on Ubuntu on Windows"という名称になります。

このbash、Windowsのシステムを管理するためのものではなく、Web等の開発用途を想定して提供されたものです。なので本来的にはPowerShellとは関係ないのですが、当初は色々と誤解が飛び交ったように思います。曰く、MSはPowerShellを捨ててやっとbashを採用した。PowerShellとは何だったのか。等々…。

これらの誤解や疑問には、PowerShellの公式ブログで、bashという新たなシェルがWindowsに追加されたが、両者は並立するものだ、PowerShellはこれからも進化するよ!といった異例の公式見解が示されたりもしました。

Bash on Ubuntu on Windowsは、後述するPowerShell 5.1とともに、8月リリースのWindows 10 Anniversary Updateで正式に利用可能となりました。

PowerShell 5.1 の登場

今年7月には、PowerShell 5.1 / WMF (Windows Management Framework 5.1)のプレビュー版が登場しました。[リリースノート]

そもそもPowerShell 5.0はWindows Server 2016のためのシェルとして開発が進められていたはずですが、先にWindows 10に同梱されたものの、2016正式版までやや時間を要すこととなりました。その間にPowerShell 5.0にはいくつかの機能や改良が加えられ、結局、5.1というバージョンが登場するに至ったものと思われます。

PowerShell 5.1は、前述の下位OS用のプレビュー版の他、今年8月初めのWindows 10 Anniversary Updateという大型アップデート適用で使えるようになりました。そしてその後、今年10月に正式版が登場したWindows Server 2016にも(もちろん)同梱されました。

5.1ではローカルユーザーやグループを扱うコマンドレット等が(ようやく?)追加されたりもしています。が、一番大きな変更点は、Windows Server 2016に追加された新機能である、Nano Server用のPowerShellが、従来のPowerShellと分離した点でしょう。

従来の、.NET Frameworkで動くフル機能のPowerShellは、5.1からは"Desktop Edition"と呼ばれます。対して、コンテナに最適化させるため、フットプリントを最小にしたNano Server(や、Windows IoT等)で動作するコンパクトなサブセット、"Core Edition"が新たに登場しました。

Core Editionは、.NET Frameworkのコア部分を実装した、.NET Core上で動作します。ちなみに.NET CoreはOSS(オープンソースソフトウェア)となっています。

Core Editionはサブセット版というだけあって、今となっては若干レガシーにもなった一部のコマンドレットが使えないことを初め、いくつかの制限事項もありますが、概ね、Nano Serverの管理に必要十分な機能を保っているのではないかと個人的には思っています。

PowerShell オープンソース化

今年、PowerShell界をもっとも震撼させたニュース、それは間違いなく、今年8月に実施された、PowerShellのオープンソース化でしょう[GitHub]。周辺モジュールのOSS化など、これまでの流れからいくと、確かに本体OSS化の機運は高まっているように個人的にも感じていましたが、OSS化するとしてもCore Edition部分止まりだろうなーと思っていたら、まさかのDesktop Editionを含んだ全体だったので驚きました。

そしてOSS化の副産物(と個人的には感じる)である、PowerShell on Linux、PowerShell on Macが登場しました。これも一部の方、特にWindowsやMicrosoft製品を普段あまり使われない方に、割と大きなインパクトを与えていたように思います。

PowerShellがオープンソースになったこと、"PowerShell for every system!"になったことの意義についてはちょっと語りつくすには時間が足り無さそうですが、敢えて現実ベースの話を先にすると、一般ユーザー(PowerShellをシステム管理に用いている管理者)にとって、すぐに世界が変化するかというとそうではないんじゃないかという気がしています。

というのも、現在のところOSS版のPowerShellのバージョンは「6.0」とされているものの、まだα版の段階で、基本機能はほぼほぼ5.1と変わらないです。OSS版が改良されても、別に今Windowsで使っているPowerShellがすぐに強くなるわけではありません(現在のところ、サイドバイサイドでインストールする)。オープンソース、マルチプラットフォーム展開を始めたといっても、それは現在の所、PowerShell本体とコアモジュールに留まっていて、コマンド数もたかだか数百個程度でしょう(もうちょっとあるかな?)。PowerShellでOS、サーバー、アプリ、インフラを管理するには、専用のコマンドが山ほど必要になってきますが、それらは今まで通り、Windowsの製品にしか含まれないものです。そのような状況で、たとえばLinuxを管理するのには自分でコマンドを作るか、普通にLinuxのコマンドを呼ぶか…あれそれって別に普通のシェルスクリプトでいいんじゃ…とか。

今後は、OSS側での成果が、Windows / Windows Server上のPowerShellに反映され、両者は一本化される、はず、です、たぶん、が、それはまだアナウンスもなく、いつ、どのような形でもたらされるかは不明と云わざるを得ません。

もちろん、この状況はあくまで現時点の状況です。ゆくゆくはPowerShellで、WindowsもLinuxもMacも一貫したコマンド&スクリプトで管理できる日が来るかもしれませんね。現在のところは、PowerShellの謎挙動に遭遇したとき、ソースを合法的に眺めて思いを馳せることができるようになったのが大きいかと個人的には思います。もちろん腕に覚えのある方は、(ルールに従って)どしどしプルリクエストを投げて、PowerShellを自ら育てていただければな、と思います。

PowerShell 10周年

とまぁ、激動の1年が終わりかけた先日の11/14には、PowerShell 1.0が登場してちょうど10年ということで、PowerShell10周年イベントがあったりしました。思えば遠くへ来たものですね。

さてさて、PowerShellを取り巻く状況は刻一刻と変化し、去年と今年ではその傾向が顕著です。おそらく節目の年である今年の最後を飾ることになる、PowerShell Advent Calendar 2016を、どうぞよろしくお願い致します。


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