2011/10/09
JScriptで2次元のSafeArrayを作る
JScriptは言語単体ではSafeArrayを作ることができません。
そこでJScriptでSafeArrayが必要な場合、VBScriptを併用しVBScriptの配列(これはSafeArrayです)をJScriptに取り込む方法や、Scripting.DictionaryのItems()メソッドを使う方法などが使われているようです。
しかしこれらの方法で多次元のSafeArrayを作るサンプルをあまり見かけませんでした。Dictionaryの方法ではそもそも1次元しか無理ですしね。そんな中、この記事を発見しました→JScriptの配列とVBScriptの配列(SafeArray)を相互変換する方法(2次元編) - プログラマとSEのあいだ
この記事の二つ目の例ではExcelを使用しRegionオブジェクトが二次元配列を返す点を利用しています。これはなかなか盲点というかアイデアものではありますが、実行速度にやや難があるかな?と思いました。
注: ただしこの記事の方法は、もともとExcelで二次元配列が必要な場合があったから考案されたもののようで、その用途においてはExcelを起動するコストは考慮しなくてよいのかもしれません。
一つ目の方法ではVBScriptを併用していますが、.wsfファイルを使用してJScriptとVBScriptを混在させる形式をとっています。この方法はWSHでは問題ありませんが、複数のスクリプトエンジンを混在できないホスト環境では問題があります。
注:そんな環境ってあるのか?と聞かれそうですが、たしかにHTML/HTA/Windowsデスクトップ(サイドバー)ガジェット/WSH/classic ASPなどほとんどの環境では大丈夫そうです。ただ私が最近はまっているJScript実行環境であるところのAzureaでは無理ですね。WSHでも.jsファイルにこだわるのであれば。
そこで考えたのが、ScriptControlを使用してJScriptのコードの中でVBScriptのコードを実行させる方法です。以下のような感じになります。
function array2dToSafeArray2d(jsArray2d) { var sc = new ActiveXObject("ScriptControl"); sc.Language = "VBScript"; var code = 'Function ConvertArray(jsArray)\n' + ' ReDim arr(jsArray.length - 1, jsArray.[0].length - 1)\n' + ' outerCount = 0\n' + ' For Each outer In jsArray\n' + ' innerCount = 0\n' + ' For Each inner In outer\n' + ' arr(outerCount, innerCount) = inner\n' + ' innerCount = innerCount + 1\n' + ' Next\n' + ' outerCount = outerCount + 1\n' + ' Next\n' + ' ConvertArray = arr\n' + 'End Function\n'; sc.AddCode(code); return sc.Run("ConvertArray",jsArray2d); }
まあやっていることは本当にJScriptの配列をバラしてVBScriptの二次元配列に詰め直しているだけです。
ただいくつかポイントがあって、まずVBScriptからはJScriptのオブジェクトメンバーにドット演算子でアクセスができます。JScriptの配列はオブジェクトと同一であり、配列はオブジェクトに0,1,2...という名前のプロパティが存在することになります。しかしVBScriptで数字のメンバ名はそのままではドット演算子でアクセスできないので、[]でくくる必要があります(これ、予約語なんかもそうですね。あとVB6でもVB.NETでも同じなので覚えておくといいかも)。なので次元数2の配列の長さを調べるのにjsArray.[0]でまず内側の配列オブジェクトを取得しているわけです。
さらにポイントとして、VBScriptでJScriptの配列を含むオブジェクトメンバを列挙するのにコード例のようにFor Each Next構文が使えます。ただしFor Nextを使ってインデックスアクセスはできません。というのもjsArray.[3]とかはあくまでjsArrayオブジェクトの3プロパティの値を参照しているにすぎず、jsArray.[I]という書き方ができないからです(これだと単にIプロパティの値を見てることになる)。Eval関数を併用すれば可能ではありますが、コードの中にコードを含ませさらにその中にまたコードを含ませるのも微妙なのでここでは使ってません。
あとは紹介した記事の関数部分だけ置き換えればJScriptのVBArrayオブジェクトを用いたテストもできるかと思います。注意点はExcelオブジェクトは配列添え字が1から始まるのに対し、VBScriptの配列は0から始まる点です。LBound関数を使えばその差違は吸収できるかな、と思います。
最初は多次元配列というかn次元配列に拡張した関数を書いてやろうと企んでましたが挫折しました。ネストしたループではなく再帰呼び出しである必要がありますし、ReDimは次元数を動的に指定することができないので実行するVBScript自体を動的生成しなければいけません。興味がある方はチャレンジしてみてください。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/10/09/204198.aspxプライバシーポリシー