2016/01/11

注:最後に書きましたが、この記事の内容には未解決問題が残っています。

はじめに

前回は、パイプラインを下流の関数内で打ち切る方法について説明しました。

今回は逆に、下流でパイプラインが打ち切られた場合、上流の関数ではどう対応すべきなのか、特にリソース解放処理を焦点にして考察してみます。

パイプラインが打ち切られるケース

前回も説明しましたが、パイプライン内の関数またはコマンドレットで何らかの例外が発生すると、パイプライン処理がその時点で打ち切られます。パイプライン処理が打ち切られると、後続のprocessブロックのみならず、パイプラインに含まれるすべてのendブロックの実行もスキップされてしまいます。

ところでコマンドレットや関数では何かエラーが発生した場合、コマンドレットではWriteErrorメソッド、関数ではWrite-Errorコマンドレットを使ってエラーストリームに、生の例外オブジェクトをラップしたErrorRecordを出力し、呼び出し側のErrorActionの設定にエラー時の処理を委ねるのが基本です。

呼び出し時のErrorAction指定がContinue、SilentlyContinue、Ignoreの場合は、パイプラインが中断することはありませんが、StopやInquireで中断した場合は例外(ActionPreferenceStopException)がthrowされ、パイプラインは打ち切られます。
(ちなみにv3からはStopで中断した場合は、コマンドレットがエラーストリームに書き出したErrorRecordに含まれるExceptionがthrowされる)

また、継続不能エラーが発生(ThrowTerminatingErrorメソッド)したり、.NETの生の例外がそのままthrowされたり(お行儀が悪いですが)、breakステートメント(FlowControlException)が実行されたり、Select-Object -First(StopUpstreamCommandsException)が実行された場合も、同様にパイプラインは打ち切られます。

つまり、下流のコマンドでパイプラインが打ち切られるケースというのは色々あり得るので、endブロックというのは実行が確約されたものでは全くない、ということに留意しておく必要があります。

関数内のリソース解放処理

確実に実行したい後処理というのは色々あると思いますが、特に確保したリソースの解放というのは確実に実行してもらわないと困ります。

しかし、前述のような背景があるので、何らかのリソースを用いる関数を書く際に、beginブロックでリソースを確保し、processブロックでリソースを利用し、endブロックでリソースを解放する、ということは基本はNGということになります。

この点、コマンドレットクラスであれば、IDisposableインターフェースを実装しておけば、コマンドレット終了時にDisposeメソッドをPowerShellが呼んでくれるので、その中にリソース解放処理を記述しておけばOKです。しかし関数ではこの手法が使えないので、代替案を考える必要があります。

パイプライン処理の後始末をしよう - 鷲ノ巣であえとす氏が考案した、beginブロックに後処理用の関数を定義しておく方法では、同じ関数内のprocessブロックで発生したエラーをcatchしてリソース解放処理を走らせることは可能です。が、残念ながら下流で発生した例外をcatchすることはできず、その場合は後処理がスキップされてしまいます。

リソース解放処理を含めた関数

あえとす氏の方法を若干アレンジして、下流で例外が発生した場合も確実にリソース解放の後処理を走らせる方法を考えてみました。以下にコードを示します。

※クラス構文を使ってますが、これは単に、Disposeできるオブジェクトのサンプルだと思ってください。

class SomeResource : IDisposable
{
    [void]Dispose()
    {
        # ここで何らかのリソース解放処理を行ったものとする
    }
}

function Write-OutputWithResource
{
    [CmdletBinding()]
    param([Parameter(ValueFromPipeline)][psobject[]]$InputObject)
    begin
    {
        $resource = New-Object SomeResource # 後で解放する必要のある何らかのリソース確保

        function Clear-Resource
        {
            # リソースの解放処理
            $resource.Dispose()
        }
    }
    process
    {
        try
        {
            $processing = $true
            Write-Verbose "output_start: $InputObject"
            $InputObject # パイプライン出力
            Write-Verbose "output_end: $InputObject"
            $processing = $false
        }
        catch
        {
            # try内で例外が発生した場合はそのまま再スロー
            throw
        }
        finally
        {
            if($processing)
            {
                Write-Verbose "resource_dispose (on error)"
                Clear-Resource
            }
            Write-Verbose "output_finally: $InputObject"
        }
    }
    end
    {
        Write-Verbose "resource_dispose (at end)"
        Clear-Resource
    }
}

processブロック内のtryブロックでパイプライン下流に値を出力したとき、下流で例外が出てもcatchブロックが実行されないので、代わりに、必ず実行されるfinallyブロックから後処理を呼び出すようにしてみました。

ただし、パイプライン下流で例外が発生しなかった場合には、processブロック内ではリソース解放処理はしたくないので、例外発生の有無を$processingという変数の値を見ることで確認しています。もしパイプライン出力したあと下流で例外が出ていれば、$processingの値は$trueのままになるので判断可能です。

パイプラインが中断することなく、最後まで実行される場合は、endブロック内でリソース解放処理を行います。

同じ関数内で例外が発生したときのリソース解放処理についても、$processing = $trueと$processing  = $falseの間に例外が発生する可能性のある処理を記述した上で、catchブロックで再throwすれば、併せて対応できるのではないかと思います。(それ用のtry..catchを記述してもいいですが)

関数の実行例
PS> 1..3 | Write-OutputWithResource -Verbose | Select-Object -First 2
詳細: output_start: 1
1
詳細: output_end: 1
詳細: output_finally: 1
詳細: output_start: 2
2
詳細: resource_dispose (on error)
詳細: output_finally: 2

このように、下流でパイプライン打ち切りがあるとendブロックは実行されませんが、リソース解放処理は、きちんとprocessブロック内のfinallyブロックから呼び出されています。

PS> 1..3 | Write-OutputWithResource -Verbose
詳細: output_start: 1
1
詳細: output_end: 1
詳細: output_finally: 1
詳細: output_start: 2
2
詳細: output_end: 2
詳細: output_finally: 2
詳細: output_start: 3
3
詳細: output_end: 3
詳細: output_finally: 3
詳細: resource_dispose (at end)

もちろんパイプラインが最後まで正常に実行された場合も、ちゃんと最後にendブロックでリソース解放が行えるようになっています。

おわりに

本当に、こうするしかないんですかね…?

PowerShellにもリソース利用のusingステートメント欲しいです、が、begin, process, endにまたがって機能するusingってどういう構文になるんでしょうね。

(14:22追記)と、ここまで書いておいて、この方法では下流で発生した例外には対処できますが、上流で例外が発生した場合はリソース解放が実行されないという問題に気付きました…。どうすればいいんだ…。

2012/01/13

コンピュータの再起動はRestart-Computerコマンドレット、シャットダウンはStop-Computerコマンドレットを使えばできますが、(休止状態ではなく)スリープはどうやるんだろう?と疑問に思い調査しました。

  • COMコンポーネントのShell.ApplicationのSuspendメソッドを使う方法:
    少なくともうちのWin7環境では使えませんでした(何も起こらない)。
  • shutdown.exeを使う方法:
    /hオプションを使えば休止状態にはできるが、スリープはできない模様。
  • rundll32.exe powrprof.dll,SetSuspendStateを使う方法:
    ハイブリッドスリープが有効である場合は休止状態になる。ちなみにネットでたまにみかける”rundll32.exe powrprof.dll,SetSuspendState Sleep”でスリープするというのは嘘tipsです。
    参照:rundll32.exe powrprof.dll,SetSuspendState Sleepって大嘘は誰が言い出したん - xcaqhbajのメモ
  • WMIのWin32_OperatingSystemのWin32Shutdownメソッドを使う方法:
    シャットダウン、再起動、ログオフはできますがスリープや休止状態はできないようです。

というわけであまり簡単にはいかないようです。

幸いPowerShell 2.0からはAdd-TypeコマンドレットによりC#やVBを介してP/Invokeができますので、これを利用してスリープを行うWin32APIを呼び出すことにしました。

$signature = @"
[DllImport("powrprof.dll")]
public static extern bool SetSuspendState(bool Hibernate,bool ForceCritical,bool DisableWakeEvent);
"@
$func = Add-Type -memberDefinition $signature -namespace "Win32Functions" -name "SetSuspendStateFunction" -passThru 
$func::SetSuspendState($false,$false,$false) 

powrprof.dllに含まれるSetSuspendState関数をP/Invokeで呼び出してやります。引数のHibernateはTrueを指定すると休止状態、Falseを指定するとスリープになります。今回はスリープしたいので$falseを渡してやります。

あとで知ったのですがSystem.Windows.Forms.Application.SetSuspendState メソッドを使うのでもいいですね。こちらの場合はAdd-TypeコマンドレットでSystem.Windows.Formsを読み込むと利用できるかと思います。

Add-TypeコマンドレットのおかげでPowerShellからWin32APIを簡単に呼べるようになり、○○はWin32APIを使わないといけないから諦めよう、ということがなくなりました。WSH時代に比べると良くなったなーと思います。本当はなるべくならWin32APIを直接は使わずに片づけたいところですけども。

2011/12/25

はじめに

PowerShell Advent Calendar 2011の25日目最終日の記事、そしてこれが私の記事では4回目となります。今回もバックグラウンドジョブについての話題です。今回はバックグラウンドジョブを使って並列処理をやってみようという試みです。

これまでの記事は以下になります。

2日目:バックグラウンドジョブの使い方・基本編

13日目:バックグラウンドジョブとの通信

19日目:PowerShell 3.0で追加されるバックグラウンドジョブ関係の新機能

ところでつい2日前、WMF3 CTP2 Windows PowerShell Workflow.pdfというpdfファイルが公開されました。これは19日目に書いたPS workflowについての詳しい説明(英語)です。構文だけでなくPSスクリプトとの違いやWFとの関係などが詳しく書かれています。ぜひ目を通しておくことをお勧めします。23日目のAhfさんの記事と併せて読むと理解が深まると思いますよ!

並列処理スクリプト

C#をご存知の方なら、PowerShellのバックグラウンドジョブ機能はC#4.0から使えるTaskオブジェクトとちょっと似てるかなーと思われるかもしれません。ではC#4.0でコレクションに対して並列処理でループを回すParallel.For()やParallel.Invoke()みたいなことはPowerShellでできないのか、という疑問が出てくるかと思います。

前回述べたようにPowerShell 3.0ならworkflowを使えば並列処理が可能で、for -parallelステートメントやparallelブロックでParallel.For()やParallel.Invoke()みたいなことが可能になります。しかしPowerShell 3.0がリリースされるのはまだ先ですし制限事項も多いので、なんとかPowerShell 2.0で、しかもworkflowのような制限なしで、並列処理のスクリプトは書けないものかと考えてみました。

function ParallelForEach-Object
{    
    [CmdletBinding()]
    param(
        [Parameter(Mandatory=$true,Position=1)][scriptblock]$process,
        [scriptblock]$begin={},
        [scriptblock]$end={},
        [Parameter(ValueFromPipeline=$true)][psobject]$inputObject
    )
    begin
    {
        &$begin
        $jobs=@()
    }
    
    process
    {    
        $jobs|Receive-Job
        while(@($jobs|?{$_.State -eq "Running"}).Length -ge 5)
        {
            $jobs|Receive-Job
            start-sleep -Milliseconds 100
        }       
        
        $jobs += Start-Job $process -argumentList $inputObject
    }

    end
    {
        while(@($jobs |?{$_.State -eq "Running"}).Length -gt 0)
        {
            $jobs|Receive-Job
            start-sleep -Milliseconds 100
        }
        $jobs|Receive-Job
        $jobs|remove-job
        &$end
    }
}




$watch=new-object System.Diagnostics.Stopwatch

"ForEach-Object 開始"

$watch.Start()
1..10|ForEach-Object {
    "start: " + $_
    Start-Sleep -sec 5
    "end: " + $_
    
}
$watch.Stop()

"ForEach-Objectの場合:" + $watch.Elapsed.TotalSeconds + " sec"

$watch.Reset()

"ParallelForEach-Object 開始"

$watch.Start()
1..10|ParallelForEach-Object {
    "start: " + $args[0]
    Start-Sleep -sec 5
    "end: " + $args[0]
}
$watch.Stop()

"ParallelForEach-Objectの場合:" + $watch.Elapsed.TotalSeconds + " sec"

ParallelForEach-Object関数はパイプラインから渡されたコレクションの各要素について、並列にスクリプトブロックを実行させるものです。同等の処理をForEach-Objectを使って同期的に逐次処理した場合とかかる時間を比較しています。10個の要素があり、各要素につき5秒かかる処理なので、逐次的に処理すると当然50秒以上かかりますが、ParallelForEach-Object関数を使って並列処理させると環境にもよりますが20秒以内に完了します。

この関数では渡されたコレクション1要素に対し1つのジョブを割り当て、同時に5ジョブまで(呼び出し元を含めて同時稼働が6プロセスまで)を並列実行するようにしています。

ただこれはあくまでなんちゃって並列処理なので、並列化することで本当に処理が高速になるかどうかは環境次第かと思います。一応、うちのCore2Duo (2コアCPU)な環境だと、足し算を3万回ほどする処理を10回行う場合、逐次処理とこの関数を使った並列処理では54秒が39秒に短縮され、有意な実行時間差が出ました。

またジョブを開始するのに新しくプロセスを起動させるので、1ループあたりの実行時間がプロセス起動にかかる時間より短ければ、この関数による並列化で処理時間の短縮は見込めません。

処理の対象が複数のリモートPCである場合などは割と有効なのかなと思います。たとえば複数サーバーから別々のファイルを同時にダウンロードするときなど。

ここではParallel.For()やParallel.ForEach()相当の関数を書きましたが、Parallel.Invoke()のような関数も書けるかと思います。スクリプトブロックの配列をStart-Jobで順に走らせ、Wait-Job, Receive-Jobする感じですね。

あとここではやりませんでしたが、Start-Jobの代わりにInvoke-Commandを使い複数のリモートPCに処理を振り分ければ、なんちゃって分散処理もできるのかなあと思いました。

おわりに

実はこのスクリプトを書いたのはPS Workflowの調査前のことで、Workflowで同様のことが可能になることを知って少々愕然としたのですが、それなりに面白いスクリプトかと思ったので公開することにしました。ともあれ、これからのマルチコア、メニーコアの時代、非同期処理や並列処理はますます重要になるかと思います。管理スクリプトにおいてもこれらの概念を意識しないわけにはいかなくなるでしょう。全4回にわたってPowerShellのバックグラウンド機能を解説してきましたが、これらがあなたの非同期&並列スクリプトライフ(?)の一助になれば幸いです。

さてさて、これでPSアドベントカレンダー2011もおしまいです。楽しんでいただけたでしょうか? 私自身も自分で記事を書いていて楽しかったですし、他の方の記事を読むのも色々な発見があり、とても有意義な25日間でした。記事を書いて参加していただいた方々、そして読者の方々に厚く御礼申し上げます。これからもぜひ、PowerShellを活用し、楽しんでくださいませ。

それでは皆様、良いクリスマスをお過ごしください!

2011/12/02

はじめに

このたび、技術系アドベントカレンダーイベントの1つとして、PowerShell Advent Calendar 2011を企画しました。この記事はその2日目の記事となります。アドベントカレンダーについてはリンク先を参照してください。

今日のテーマはPowerShellのバックグラウンドジョブ機能の使い方についてのまとめです。

バックグラウンドジョブとは

バックグラウンドジョブ機能はその名の通り、ジョブ(具体的にはスクリプト)をバックグラウンドで非同期に実行するものです。PowerShell v2で追加された機能の一つです。インタラクティブシェルでStart-Jobコマンドレットを使用してバックグラウンドジョブ(以下、単に「ジョブ」と表記)を実行すると、新しくpowershell.exeのプロセスが起動しそのままシェルに制御が戻りユーザーは後続の処理を行うことができます。もちろんスクリプトからジョブを実行することも可能です。時間のかかる処理をバックグラウンドで走らせたり、数多くの処理を並列で実行したりするのに重宝します。

起動されたジョブは操作中のpowershell.exeとは別のジョブ用のプロセスで実行され、処理が完了すると呼び出し元でその結果をReceive-Jobコマンドレットを使って受け取ることができます。ジョブは並列して何個も同時に実行できます。なおPowerShellのジョブは1ジョブ=1プロセスです。スレッドではないので注意。

PowerShellのジョブシステムはリモート処理インフラストラクチャの上に構築されているので、たとえローカルPCでもジョブ実行するにはローカルPCをリモート用構成にしておく必要があります。詳しくはabout_Remote_Requirementsを参照のこと。

ジョブはローカルでもリモートでも走らせることができます。以下に具体的な方法を述べていきます。

ローカルコンピュータでのジョブ実行

ローカルコンピュータ上に新しくジョブを作成して開始するにはStart-Jobコマンドレットを用います。

Start-Job {ジョブとして実行したいコマンド、スクリプト}

とするとジョブを実行します。

$job=Start-Job {..}

のようにするとJobオブジェクト(System.Management.Automation.PSRemotingJob)を変数に格納してあとで利用できます。変数で受けない場合はJobオブジェクトの内容が表示されます。

存在するジョブを取得するにはGet-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job

で現在実行中のジョブ一覧を表示します。以下に出力例を示します。

Id              Name            State      HasMoreData     Location             Command
--              ----            -----      -----------     --------             -------
1               Job1            Completed  True            localhost            "test"
3               Job3            Running    True            localhost            start-sleep -sec 120;"...

以下の表は各項目の意味です。

Id ジョブID番号
Name ジョブの名前
State

Running=実行中のジョブ

Stopped=停止したジョブ

Complete=完了したジョブ

Failed=エラーが出たジョブ

HasMoreData 返却されたデータがあるかどうか
Location ジョブが実行されているコンピュータ名
Command ジョブで実行されているコマンド、スクリプト

ジョブの終了を待つにはWait-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Wait-Job

とすると実行中のジョブすべてが完了するまで待ちます。-timeoutパラメータを使うと最大待ち時間(秒)を指定できます。

Get-Job|Wait-Job -any

とすると実行中のいずれかのジョブが完了するまで待ちます。正確には「対象のジョブが一つ以上完了するまで待つ」という効果なので、完了済みのジョブが1つ以上ある場合に新たにジョブを追加した場合などは想定の動作になりません。あらかじめRemove-Jobで完了済みのジョブを削除するか、Where-ObjectコマンドレットでRunningのみ対象にするようフィルタをかけるかしてください。

ジョブを中止するにはStop-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job -id 1|Stop-Job

とするとジョブIDが1のジョブを中止します。

$jobにJobオブジェクトが格納されている場合は

$job|Stop-Job

でもOKです。

ジョブを削除するにはRemove-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|where {$_.state -eq "Completed" -or $_.state -eq "Stopped"}|Remove-Job

とすると完了済みと中止したジョブを削除します。実行中のジョブは削除できませんが-forceパラメータを使って強制削除することは可能です。

ジョブの実行結果データを取得するにはReceive-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Receive-Job

とすると完了済みのジョブのうち、結果を返却しているもの(HasMoreDataがTrueのジョブ)があればその結果を表示します。-keepパラメータをつければ結果データを保持しますが付けてない場合は参照後破棄します。

*-Job系のコマンドレットの多くはJobオブジェクトを返却するので、パイプラインでどんどん繋げていけます。

Get-Job|Wait-Job -timeout 10|Receive-Job

のように。

ジョブの基本的な使い方に関して詳しくはabout_jobsを参照してください。

イベントサブスクライブ

PowerShell 2.0では.NET Frameworkのオブジェクトのイベントをサブスクライブすることができます。すなわちイベントハンドラを記述することができます。このイベントサブスクライブ機能もジョブ機能を元に構築されています。

たとえばTimerオブジェクトのElapsedイベントをサブスクライブし、タイマーの実行間隔(ここでは1秒)ごとにtest.txtファイルに乱数を追記していくサンプルは次のようになります。

$timer=new-object System.Timers.Timer
$timer.Interval=1000
Register-ObjectEvent -EventName Elapsed -SourceIdentifier test -Action {get-random|add-content c:\users\daisuke\test.txt} -InputObject $timer
$timer.Enabled=$true

Register-ObjectEventの結果、新しくジョブが生成しそのJobオブジェクトが返却されます。このジョブは-EventNameパラメータで指定したイベントが発生するたび、-Actionパラメータで指定したスクリプトブロックを実行します。

なお、イベントサブスクライブを解除するには

Unregister-Event test

のように-SourceIdentifierパラメータで指定した値を指定してUnregister-Eventコマンドレットを実行することで可能です。サブスクライブを解除してもジョブ自体は削除されない(StateがStoppedになるだけ)ので、必要であればRemove-Jobで削除します。

なお.NETオブジェクトの他にPowerShellスクリプトのカスタムイベント(Register-EngineEvent)、WMIオブジェクトのイベント(Register-WmiEvent)をサブスクライブすることもできます。これらのコマンドレットも同様にイベント発生時の処理をジョブとして登録します。詳しくは各コマンドレットのヘルプを参照してください。

リモートコンピュータでのジョブ実行

最初に述べたとおりPowerShellのジョブ機能はリモートインフラストラクチャの上に構築されています。よってローカルのみならずリモートコンピュータに対してジョブを実行することができます。もちろんリモートコンピュータにもリモート構成されていることが条件です。

基本はInvoke-Commandコマンドレットを用い、

$job=Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

となります。これで{}内の処理がリモートコンピュータ上のPowerShellインスタンスで実行されます。-asJobパラメータをつけることでジョブとして(ローカルPCから見て)非同期に処理できますが、-asJobパラメータを省略すると同期的に実行されます。この場合ジョブは作成されず、リモートでの処理が終了するまでローカル側は待機することになります。

リモートコンピュータに接続するための資格情報を別途入力する必要がある場合は-credentialパラメータを使用します。

Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob -credential ユーザー名

とするとパスワードを入力するダイアログが表示されます。なお、スクリプトで動かすときなどあらかじめ入力したパスワードを指定したい場合の方法は以前書きました

同じコマンドを複数のリモートPCで同時実行することも可能で、その場合は-computerNameパラメータにリモートコンピュータ名の配列を指定します(「,」区切り)。この場合ローカルPCで見えるジョブとしては1つですが、そのジョブにリモートコンピュータの数だけ子ジョブ(ChildJobs)が作成されています。

このように子ジョブが複数ある場合にReceive-Jobするときは

$job|Receive-Job -location リモートコンピュータ名

あるいは

$job.ChildJobs

として表示される子ジョブの名前(Name)を調べ、

Receive-Job -name 子ジョブの名前

とすることでリモートコンピュータごとに結果を取得できます。

すべての結果をまとめて取得するなら

Receive-Job $job

とします。

$job|Receive-Jobはなぜか駄目なようです。

固定セッションを用いたリモーティング

同じリモートPCに対して何度もコマンドを実行させたい場合、毎回リモートコンピュータ名を指定してセッションを張るのは非効率的なので、リモートセッションを確立したあとその固定セッションを何度も使用する方法が用意されています。新しく固定セッションを確立するにはNew-PSSessionコマンドレットを用い、

$session=New-PSSession リモートコンピュータ名

とすると固定セッションが確立され、$session変数にそのセッションオブジェクトが格納されます。あとは

Invoke-Command $session {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

とすればそのたびにそのセッションを用いてリモートでコマンドを実行できるようになります。

ここまでの説明はリモートコンピュータでしてきましたが、ローカルコンピュータに対して固定セッションを張ることも可能です。

さらに、Enter-PSSessionコマンドレットを用いると作成したセッションに入ってリモートコンピュータ上のPowerShellを対話実行することも可能です。

Enter-PSSession $session

とすると、プロンプトが

PS カレントディレクトリ>

から

[リモートコンピュータ名]: PS カレントディレクトリ> 

に変化し、以降リモートのPowerShellをローカルPCから対話実行できます。

なおこの状態から抜けるにはexitもしくはExit-PSSessionと入力して実行します。

ジョブ実行できるそのほかのコマンドレット

これまで述べたコマンドレット以外にも、いくつかのコマンドレットはジョブ実行(ローカルorリモート)することができます。ジョブ実行するには-asJobパラメータを使用します。以下にv2の段階で-asJobパラメータが定義されているそのほかのコマンドレットを示します。

これらのコマンドレットはコマンドレット自体にジョブ実行機能がついているので、単独で実行するだけならStart-JobやInvoke-Commandを用いる必要がありません。v2ではWMIを扱うコマンドレットにのみ-asJobパラメータが存在するようです(ここに挙げたコマンドレットはすべてWMIの機能を呼び出すもの)。なお、-asJobパラメータが使用できるコマンドレットの一覧を取得するのに、fsugiyamaさんの1日目の記事の問15のスクリプトを使用させていただきました。

おわりに

PowerShell Advent Calendar 2011二日目は、PowerShellのバックグラウンドジョブ機能概要についてまとめてみました。実はバックグランドジョブ機能のTipsを書こうと思ってその前ふりとして書き始めたのですが、これだけでかなりの量になってしまったので概要だけ一記事としてまとめることにしました。おそらくPSアドベントカレンダーに私はあと何回か登場することになりそうですので、Tips編はその際に書こうと思います。

さて、明日三日目は@jsakamotoさんのご登場ですね。よろしくお願いします!

そして参加者はまだまだ募集中ですよ!→PowerShell Advent Calendar 2011

2011/11/14

TechNet マガジン October 2011内のWindows PowerShell: 空白文字を入れてくださいという記事に対する意見です。

PowerShellスクリプトを記述するときは適宜空白文字やインデントを入れて見やすくしましょう、という趣旨の記事なんですが、その趣旨には同意するものの、どうも実際にインデントを入れたスクリプトの例がいけてない気がしました。

ここでインデントや改行などを適切に追加して体裁を整えたとされるコードは次のようなものです。

(ブログのスタイルに起因する見え方の違いが考えられるので、比較のためにオリジナルも再掲させていただきます)

function Get-PCInfo {
[CmdletBinding()]
param(
        [Parameter(Mandatory=$True,
ValueFromPipeline=$True,
ValueFromPipelineByPropertyName=$True)]
        [string[]]$computername
    )
    PROCESS {
        Write-Verbose "Beginning PROCESS block"
foreach ($computer in $computername) {
            Write-Verbose "Connecting to $computer"
            try {
                $continue = $true
                $cs = Get-WmiObject -EV mybad -EA Stop `
-Class Win32_computersystem `
-ComputerName $computer
            } catch {
                $continue = $false
                $computer | 
Out-File -FilePath oops.txt -append
Write-Verbose "$computer failed"
                $mybad | ForEach-Object { Write-Verbose $_ }
            }
            if ($continue) {
                $proc = Get-WmiObject win32_processor `
-ComputerName $computer | 
                    select -first 1
                $obj = new-object -TypeName PSObject
             $obj | add-member NoteProperty ComputerName $computer
             $obj | add-member NoteProperty ProcArchitecture $proc.addresswidth
             $obj | add-member NoteProperty Domain $cs.domain
             $obj | add-member NoteProperty PCModel $cs.model
                $obj.psobject.typenames.insert(0,'MyPCInfo')
                write-output $obj
            }
        }
    }
}

最初見た時、全体的に何がなんだか分からなかったのですが、よくよく見てみると一応ルールはあるようで、一つの文を改行して複数行に記述する場合は、二行目以降は文頭から詰めて記述する、というルールに従っているようです。

こういう書き方はかえって読みづらいと感じてしまうのは私だけでしょうか? 確かに、Webページや書籍などで一行がスペースに収まらないときに強制的に改行して表示する場合にこのような体裁になることはありますが、これははっきり言って読みづらいです。

せっかく自分で改行を入れるわけですから、改行したときも読みやすくしたほうがいいでしょう(そもそも強制改行されて読みづらくなるというのを防ぐというのも、自分で改行を入れる意義の一つなわけですから)。

あとparam()やforeach{}のインデント位置はそもそもなぜそうなのかよくわかりませんね(単なる編集ミスだろうか?)。

この辺を踏まえて、私流にインデントを入れるとこんな感じです。

function Get-PCInfo
{
    [CmdletBinding()]
    param
    (
        [Parameter(
            Mandatory=$True,
            ValueFromPipeline=$True,
            ValueFromPipelineByPropertyName=$True
        )]
        [string[]]$computername
    )
    
    process
    {
        Write-Verbose "Beginning PROCESS block"
        foreach ($computer in $computername)
        {
            Write-Verbose "Connecting to $computer"
            try 
            {
                $continue = $true
                $cs = Get-WmiObject -EV mybad -EA Stop `
                      -Class Win32_computersystem -ComputerName $computer
            }
            catch
            {
                $continue = $false
                $computer | 
                    Out-File -FilePath oops.txt -append
                Write-Verbose "$computer failed"
                $mybad | ForEach-Object { Write-Verbose $_ }
            }
            if ($continue)
            {
                $proc = Get-WmiObject win32_processor `
                        -ComputerName $computer |
                            select -first 1
                $obj = new-object -TypeName PSObject
                $obj | add-member NoteProperty ComputerName $computer
                $obj | add-member NoteProperty ProcArchitecture $proc.addresswidth
                $obj | add-member NoteProperty Domain $cs.domain
                $obj | add-member NoteProperty PCModel $cs.model
                $obj.psobject.typenames.insert(0,'MyPCInfo')
                write-output $obj
            }
        }
    }
}

こんな感じでPowerShellも基本的には他の言語のコード整形の流儀に準じればいいと思います。唯一PowerShellで特徴的なのは複数行に渡るパイプラインの記述方法になると思いますが、そこも特に深く考えずに一段インデントを深くする程度でいいのではないかと思います。

あと「一貫性」の節で、「{」を改行の前に入れるか後に入れるかは統一させよとありますが、基本的にはそれでいいと思います。ただ改行の後に「{」を入れるスタイル(私の書いた例)でも、改行後に「{」や「(」を入れるとコードの意味が変わったりエラーになったりする場合が出てくるので、その場合はわざわざ継続文字「`」を入れてやらずとも、その部分だけは改行前に入れてやってもいいかなと思います。

具体的にはこのコードでいうと「[Parameter( 」のところなどですね。あとスクリプトブロックをパラメータに取るコマンドレットの場合なんかもそうです。

@(1..12)|ForEach-Object {
    Write-Host $_
    Write-Host ($_ * $_)
}

こういうのですね。この場合ForEach-Objectコマンドレットの-processパラメータ(ここではパラメータ名は省略されている)にスクリプトブロックを指定しているのですが、「{」はスクリプトブロックリテラルの開始文字なので、改行後に入れると正しく動作しません。

PowerShell ISEはまだVisual Studioなどに比べると編集機能が貧弱で、構文を元に自動的に整形してくれたりしないので、ユーザーが自分ルールで整形していかないといけないです。しかし基本的には他の言語と同様な、素直な整形を施してやれば特に読みづらくなるということもないかなと思います。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/11/14/212009.aspx

2007/06/17

ダッチさんのメソッド名ランキングにインスパイアされてPowerShellのコマンドレットではどうなのかというのをやってみました。

get-command |group-object verb|sort count -descending

結果

Count Name                      Group
----- ----                      -----
   29 Get                       {Get-Acl, Get-Alias, Get-AuthenticodeSignatu...
   13 Set                       {Set-Acl, Set-Alias, Set-AuthenticodeSignatu...
    8 New                       {New-Alias, New-Item, New-ItemProperty, New-...
    7 Write                     {Write-Debug, Write-Error, Write-Host, Write...
    6 Out                       {Out-Default, Out-File, Out-Host, Out-Null...}
    5 Remove                    {Remove-Item, Remove-ItemProperty, Remove-PS...
    4 Add                       {Add-Content, Add-History, Add-Member, Add-P...
    4 Format                    {Format-Custom, Format-List, Format-Table, F...
    4 Clear                     {Clear-Content, Clear-Item, Clear-ItemProper...
    4 Export                    {Export-Alias, Export-Clixml, Export-Console...
    3 Invoke                    {Invoke-Expression, Invoke-History, Invoke-I...
    3 Start                     {Start-Service, Start-Sleep, Start-Transcript}
    3 Stop                      {Stop-Process, Stop-Service, Stop-Transcript}
    3 Import                    {Import-Alias, Import-Clixml, Import-Csv}
    2 ConvertTo                 {ConvertTo-Html, ConvertTo-SecureString}
    2 Copy                      {Copy-Item, Copy-ItemProperty}
    2 Update                    {Update-FormatData, Update-TypeData}
    2 Select                    {Select-Object, Select-String}
    2 Rename                    {Rename-Item, Rename-ItemProperty}
    2 Move                      {Move-Item, Move-ItemProperty}
    2 Measure                   {Measure-Command, Measure-Object}
    1 Sort                      {Sort-Object}
    1 Where                     {Where-Object}
    1 Tee                       {Tee-Object}
    1 Split                     {Split-Path}
    1 Test                      {Test-Path}
    1 Trace                     {Trace-Command}
    1 Suspend                   {Suspend-Service}
    1 ForEach                   {ForEach-Object}
    1 Group                     {Group-Object}
    1 Join                      {Join-Path}
    1 Compare                   {Compare-Object}
    1 ConvertFrom               {ConvertFrom-SecureString}
    1 Convert                   {Convert-Path}
    1 Resolve                   {Resolve-Path}
    1 Restart                   {Restart-Service}
    1 Resume                    {Resume-Service}
    1 Pop                       {Pop-Location}
    1 Push                      {Push-Location}
    1 Read                      {Read-Host}

やはりGetが多いですね。対応してSetも多いです。結果は普通ですが一行のコマンドでこんなことが分かるのが面白いでしょ?

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2007/06/17/81041.aspx

2006/11/29

WMIクラスのインスタンスは簡単にGet-WMIObjectコマンドレットで取れますが、WMIのスタティックなメソッドを実行するにはどうすればいいのでしょう?

結論は.NETクラスのSystem.Management.ManagementClassをnew-objectしたインスタンスから呼べます。

(new-object System.Management.ManagementClass Win32_Process).create("not
epad")

このように、コンストラクタにWMIクラス名を指定します。例はnotepad.exeのプロセスを作成するというものですが、PowerShellではnotepadと入力するだけで実行できるのであまり適切な例とは言えませんが…

ついでに後片付け。notepad.exeを終了します。

gwmi Win32_Process|?{$_.processname -eq "notepad.exe"}|%{$_.terminate()}

betaの段階ではInvokeMethodメソッドを呼ばなければいけなかったようですが、正式版では直で呼べるようですね。ありがたや。

これもstop-process -name notepadでできるのであまり適切な例とは言えませんが…

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2006/11/29/47498.aspx


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