2017/12/10

この記事はPowerShell Advent Calendar 2017の10日目です。

PowerShellはオブジェクトを扱うシェルですが、別にテキストデータを扱えない訳ではありません。むしろ、PowerShellで取得したデータをテキストファイルとして保存したり、スクリプトで用いるデータをテキストファイルで保存しておくことは日常的に行われることだと思います。

ただし、PowerShellで扱うデータはオブジェクトであり、テキストファイルは文字通り文字列であることから、コマンドレットを用いる等、何らかの手段で変換が必要になります。また、テキストデータ形式にも様々な種類があり、それぞれメリット、デメリットが存在します。今回の記事では、PowerShellで用いるデータを保持しておく際のテキストデータ形式について比較をしてみます。

プレーンテキスト

プレーンテキスト、すなわち書式なしのテキストファイルです。もっともシンプルな使い方をする場合、文字列配列の各要素に含まれる文字列が、テキストファイルの1行と対応します。

書き出し
$lines | Set-Content -LiteralPath file.txt -Encoding UTF8

$linesは文字列変数です。

特に理由がなければ文字コードはUTF-8で良いと思います。

追記
$lines | Add-Content -LiteralPath file.txt -Encoding UTF8

Add-Contentは実行のたびにファイルを開いて、書き込んでから閉じるという動作をするので、1行ずつforeachで実行するのはNGです。

読み込み
$lines = @(Get-Content -LiteralPath file.txt -Encoding UTF8)
メリット
  • 文字列配列をテキストファイルに書き出すのは多分これが一番楽だと思います。
  • 書き出したデータは人間にも読みやすい。 編集もしやすい。
デメリット
  • 文字列だけを保存しておきたいというケースがそもそも少ない。
CSV

コンマ等の特別な文字で区切り、1行あたりに複数のデータを保存できる形式です。

PowerShellのコマンドレットで扱う場合、オブジェクトが持つプロパティがヘッダ列名に対応します。各行にオブジェクト配列1要素のプロパティ値が、カンマ区切りで保持されます。

書き出し
$objects | Export-Csv -LiteralPath file.csv -NoTypeInformation -Encoding Default

$objectsは任意のオブジェクト配列です。必要であればSelect-Objectコマンドレットを併用して、プロパティを絞り込みます。

文字コードはExcelでそのまま読み込み/書き出しができるDefault(日本語環境ではShift_JIS)がお勧めです。(最近のExcel2016ならUTF8も一応読めますが)

追記
$objects | Export-Csv -LiteralPath file.csv -Append -NoTypeInformation -Encoding Default
読み込み
$objects = Import-Csv -LiteralPath file.csv -Encoding Default
メリット
  • オブジェクトのプロパティ値が、すべて数値あるいは文字列で表現できる値を持つ場合に最も適合する。
  • 人間にも読みやすく、ある程度は編集もできる。
  • Excelで開ける。
デメリット
  • オブジェクトのプロパティが、数値と文字列以外のオブジェクトである場合、すなわち、階層構造を持つデータの保存には適さない。
  • 数値も文字列として読み込まれてしまうので、数値として扱いたい場合は変換が必要になる。
  • Export-CsvとImport-Csvで扱うCSVファイルはヘッダが必須。つまり、ヘッダなしのCSVファイルが既にあって、それを読み書きするという用途には適さない。(できなくはないが)
  • 書き出し時の列順を制御することができない。つまり、PowerShellで書き出したCSVを、列順が固定であるとの想定である他のプログラムで読み込むことは基本NG。
  • 書き出し時、1つ目の要素に存在しないプロパティは、2つ目以降では存在しないものとして扱われる。同種のオブジェクトで構成される配列なら通常は問題ないのだが、要素によって動的に追加されるプロパティがあったりなかったりすると厄介。(ADでありがち)
JSON

JavaScriptのような表記でデータを保持するデータ形式です。データの受け渡しに様々な言語で利用できます。Web APIでもよく利用されます。

PowerShellではv3からJSONを扱うコマンドレットが提供されています。

書き出し
$objects | ConvertTo-Json | Set-Content -LiteralPath file.json -Encoding UTF8
読み込み
$objects = Get-Content -LiteralPath file.json -Encoding UTF8 -Raw | ConvertFrom-Json
メリット
  • CSVと異なり、階層構造を持ったデータでも扱える。
  • CSVと異なり、数値は数値型のまま読み書き可能。 (整数値はint、小数値はdecimal)
  • 人間にもまぁまぁ読めるし、頑張れば編集できなくもない。
デメリット
  • -Depthパラメータによりプロパティを展開する階層の深さを指定はできるが、プロパティに応じて深さ指定を変化させるというようなことはできない。基本的には、自分で構築したPSCustomObjectを使うか、JSON化する前に自分で元オブジェクトを整形しておく必要がある。
  • 直接ファイルに書き出し、追記、ファイルから読み込みするコマンドレットはない。
  • 実は細かい話をしだすと色々と罠があります…。
CLIXML

PowerShellではPSリモーティング等、プロセス間でオブジェクトのやり取りを行う際に、CLIXML形式を介してシリアライズ/デシリアライズが実行されます。シリアライズ対象によっては、完全に元のクラスのオブジェクトに復元されます。(復元されないオブジェクトにはクラス名にDeserialized.との接頭辞が付与され、プロパティ値のみ復元される)

ユーザーもコマンドレットを用いて、任意のデータをCLIXML形式でシリアライズし、XMLファイルとして保存することができます。

書き出し
$objects | Export-Clixml -LiteralPath file.xml
読み込み
$objects = Import-Clixml -LiteralPath file.xml
メリット
  • 元のオブジェクトの構造、プロパティ値と型情報を含めてほぼ完全にテキストファイルに保存できる。
  • 復元したオブジェクトはプロパティ値を参照できるのはもちろん、オブジェクト全体が完全にデシリアライズされ、元の型に戻った場合には、メソッドを実行することも可能。
  • 例え元の型に戻らず、Deserialized.との接頭辞が付いた状態でも、コンソールに表示する場合は元の型のフォーマットが使われるので見やすい。
デメリット
  • すべてのオブジェクトが元の型に戻せるわけではない。戻せるかどうかは確認が必要。
  • 人間が読み書きするようなものではない。

ちなみに、ConvertTo-Xmlという似たようなコマンドレットがありますが、出力形式はCLIXMLではない上、復元の手段もなく、かといって別に読みやすいXMLというわけでもなく、正直何のために使うのかよく分かりません(適切なxsltでも用意すればいいのかな?)。まだConvertTo-Htmlの方が使えそうです。

psd1

psd1は「PowerShellデータファイル」で、モジュールマニフェストやローカライズデータに使われるファイル形式です。スクリプトファイルの1種ですが、数値や文字列リテラル、配列、連想配列、コメントなど基本的な言語要素のみ使用可能です。PowerShell 5.0以降ではImport-PowerShellDataFileコマンドレットを用いて、任意のpsd1ファイルのデータを読み込み、変数に格納することが可能です。

書き出し

書き出し用のコマンドレットはありません。

読み込み

例えば以下のような内容をbackup_setting.psd1として保存しておきます。ルート要素は必ず連想配列にします。

@{
	Directories = @(
		@{
			From = "C:\test1"       # コピー元
			To = "D:\backup\test1"  # コピー先
			Exclude = @("*.exe", "*.dll")
			Recurse = $true
		},
		@{
			From = "C:\test2"
			To = "D:\backup\test2"
			Exclude = @("*.exe")
			LimitSize = 50MB
		},
		@{
			From = "C:\test3"
			To = "D:\backup\test4"
		}
	)
	Start = "0:00"
}

なお、dataセクションで全体を括ってもいいですが、psd1で許容される言語要素はdataセクションより更に制限がきついので、敢えてしなくてもいいんじゃないかと思います。

このファイルは以下のように読み込めます。

$setting = Import-PowerShellDataFile -LiteralPath backup_setting.psd1

$settingには連想配列が格納され、以下のように値が参照できます。

$setting.Directories | foreach {Copy-Item -Path $_.From -Destination $_.To}
メリット
  • PowerShellの構文でデータを記述できる。
  • 通常のps1ファイルを呼び出すのとは異なり、式の評価やコマンド実行などはされない分、セキュアである。
  • 配列と連想配列の組み合わせにより、JSONライクな階層構造を持てる。型情報も保持される。
  • JSONとは違い、コメントが入れられる。
デメリット
まとめ

PowerShellで扱うデータをテキストファイルとして保存する際には、各テキストデータ形式の特性を理解し、メリット、デメリットを踏まえて選定する必要があります。

また、当然ながらテキストファイルに保持することが不適切なデータもありますので、そこは注意してください。(画像データを敢えてBase64とかでエンコードしてテキストファイル化する意味があるのか、とかですね)

個人的には…

ちょっとした作業ログ等を記録しておきたい→プレーンテキスト

.NETオブジェクトの一部のプロパティだけ抜き出してファイル化したい→CSV

自分で構築したPSCustomObjectをファイル化したい→JSON

.NETオブジェクト全体をファイル化したい→CLIXML

スクリプトで使う設定データを用意したい→psd1

みたいな感じでなんとなく使い分けていると思います。psd1はまだ採用例はないですが…。

今回はビルトインのコマンドレットで扱えるもののみ取り上げましたが、他にもyaml等のテキストデータ形式が存在し、有志によるモジュールを用いて扱うことが可能です。

2016/12/15

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の15日目です。

前回はPowerShellのASTの概要を解説しました。今回は前回の補足というか応用的な内容になります。

前回、スクリプトブロックからどのようなASTが生成されるのか、図で書きました。そもそもあの図を作るにあたって、ASTの構造を視覚的に把握したかったので、そのためのスクリプトを書きました。

PowerShellで木構造を展開表示する方法は色々ある(※)かと思いますが、今回はJSONとして出力して、表示については他のアプリに任せることにしました。

※Format-Customのデフォルトビューは意外と使える

ただし、ASTオブジェクトをそのままConvertTo-Jsonコマンドレットに渡すわけにはいきません。というのも、AST構造を再帰的に展開するには、探索の深さ(-Depth)を大きくしなければいけませんが、そうするとASTではないオブジェクトも逐一展開してしまい、現実的な時間内で終わらなくなってしまいます。

そこで、ASTオブジェクトそのものをJSONにするのではなく、必要なプロパティのみ再帰的に取得したカスタムオブジェクトを生成し、それをJSONにする方針を取りました。その成果が以下のコードです。(using namespace節を使っているので、v5以上必須です。)

using namespace System.Management.Automation.Language

function GetAstInner
{
    param([Ast]$ast)
    end
    {
        $base = [ordered]@{
            ExtentText = $ast.Extent.Text
            AstName = $ast.GetType().Name
        }

        $children = [ordered]@{}
        $leaves = [ordered]@{}

        $ast.psobject.Properties |
        ? Name -notin Extent, Parent |
        %{
            $type = [type]($_.TypeNameOfValue)
            $propValue = $ast.($_.Name)
                
            if($type.IsSubclassOf([ast]))
            {             
                if($null -ne $propValue)
                {
                    $children[$_.name] = GetAstInner $propValue
                }
            }
            elseif($type.IsGenericType -and $null -ne ($type.GetGenericArguments() | where{$_.Name -eq "Tuple``2"}))
            {
                $asts = @()

                foreach($next in $propValue)
                {
                    if($null -ne $next)
                    {
                        $asts += [pscustomobject]@{
                            Item1 = $(
                                if($null -ne $next.Item1 -and $next.Item1 -is [ast])
                                {
                                    GetAstInner $next.Item1
                                }
                            )
                            Item2 = $(
                                if($null -ne $next.Item2 -and $next.Item2 -is [ast])
                                {
                                    GetAstInner $next.Item2
                                }
                            )
                        }
                    }
                }

                if($asts.length -ne 0)
                {
                    $children[$_.Name] = $asts
                }

            }
            elseif($type.IsGenericType -and $null -ne ($type.GetGenericArguments() | where{$_.IsSubclassOf([ast])}) )
            {
                $asts = @()

                foreach($next in $propValue)
                {
                    if($null -ne $next)
                    {
                        $asts += GetAstInner $next
                    }
                }

                if($asts.length -ne 0)
                {
                    $children[$_.Name] = $asts
                }
            }
            else
            {
                if($null -ne $propValue)
                {
                    $leaves[$_.Name] += $propValue.Tostring()
                }
            }
        }
        [pscustomobject]($base + $leaves + $children)
    }
}

function Get-Ast
{
    param([scriptblock]$ScriptBlock)
    end
    {
        GetAstInner $ScriptBlock.Ast
    }
}

本来なら、50種以上あるAstクラスに応じてきちんと場合分けすべきなのですが、コードが長くなるだけなので、動的言語の強みを生かしてダックタイピング的な方法で下位ノードを再帰的に展開しています。

途中、IfStatementAstのClausesプロパティなどで用いられている、ReadOnlyCollection<Tuple<Ast, Ast>>型であることを確認するのに苦労してますが、多分もっといい方法があると思います…。他はAstオブジェクトそのものか、ReadOnlyCollection<Ast>を返すだけなのでそんなに苦労はないです。Ast抽象クラスに含まれているExtent、Parentプロパティ以外で、Astを要素に含まないプロパティに関しては、ASTの葉として解釈しています。

次にこのスクリプトを使って、スクリプトブロックをJSONとして出力します。

$scriptBlock = {
    param([int]$x,[int]$y)
    end
    {
        $out = $x + $y
        $out | Write-Host -ForegroundColor Red
    }
}

Get-Ast $scriptBlock | 
    ConvertTo-Json -Depth 100 |
    Set-Content ast.json

サンプルとして用いるスクリプトブロックは、前回のものと同じです。これを先ほど書いたGet-Ast関数に渡して、結果をConvertTo-JsonでJSON化しています。この際、探索の深さを100としていますが、ネストが深いスクリプトブロックなどでは、もっと大きくする必要も出てくるかもしれません。

出力されたast.jsonを、JSON Viewerを使って表示してみたのが、以下のスクリーンショットになります。

スクリーンショット 2016-12-15 09.44.06

色んなスクリプトのASTを表示して、楽しんでみてください。

ASTシリーズはもう少し続きます。次回はAST Visitorと静的解析のお話です。

2015/08/10

C#6.0のnameof演算子(じんぐるさんによる解説岩永さんによる解説)が羨ましかったので、PowerShellでも似たようなことができるようにしてみました。

function nameof
{
    param([scriptblock]$s)
    $element=@($s.Ast.EndBlock.Statements.PipelineElements)[0]
    if($element -is [System.Management.Automation.Language.CommandExpressionAst])
    {
        switch($element.Expression)
        {
            {$_ -is [System.Management.Automation.Language.TypeExpressionAst]}
                {$_.TypeName.Name}
            {$_ -is [System.Management.Automation.Language.MemberExpressionAst]}
                {$_.Member.Value}
            {$_ -is [System.Management.Automation.Language.VariableExpressionAst]}
                {$_.VariablePath.UserPath}
        }
    }
    elseif($element -is [System.Management.Automation.Language.CommandAst])
    {
        $element.CommandElements[0].Value
    }
}

nameof{$PSHOME}                      # 変数名 : PSHOME
nameof{$PSHOME.Length}               # プロパティ名 : Length 
nameof{[System.Diagnostics.Process]} # クラス名 : System.Diagnostics.Process
nameof{[string]::Empty}              # フィールド名 : Empty
nameof{[DayOfWeek]::Friday}          # 列挙体メンバー名 : Friday
nameof{Get-Command}                  # コマンド名 : Get-Command

原理的には、変数やプロパティ等をスクリプトブロックに格納し、生成されるAST(抽象構文木、abstract syntax tree)を解析して、含まれる変数名やプロパティ名を抽出しています。(なので、PowerShell 3.0以上でないと動作しないと思います)

そもそも、どういうシチュエーションで使うの?という話ですが、実はあえとすさんのPowerShell コマンドを C# で書くときに便利な拡張メソッド - 鷲ノ巣という記事を見て、じゃあPSでコマンド(高度な関数)を書く時にも同じことが出来るといいかな?と思ったのがきっかけです。

function Get-Test
{
    [CmdletBinding()]
    param([int]$Number)
    if($PSBoundParameters.ContainsKey((nameof{$Number})))
    {
        "-$(nameof{$Number})パラメータが指定された"
    }
}

こういう風に、"Number"という文字列をコード中に書かずに、-Numberパラメータ指定の有無を確認できるようになる、というわけです。

(この例の場合だと、Get-Test -Number 12 のようにすると、if文の中身が実行されます。)

ただ作ってはみたものの、使う意味がどれほどあるのか疑問に思えてきました。一応、ISEでは変数名やメンバ名に入力補完が効くので、実際の変数名を文字列で手打ちしなくて済むというメリットはなきにしもあらず、ですか。

しかし所詮は動的言語なので、存在しない変数名やメンバ名を入れても実行前にエラーは出ないですからね。(Set-StrictModeによるストリクトモードは編集時ではなくあくまで実行時(正確には変数やメンバを参照した瞬間)にエラーを出すためのもの)

それとISEのリファクタリング機能は弱い(というか無い)ので、リファクタリングに追従できるという本家nameof演算子に存在するメリットは、現状のところISEを使っている限りは享受できません。

PowerShell 5.0からの新要素、Script Analyzerによる静的解析を組み合わせればあるいは意味が出てくるのかもしれないですが、まだ確認できてないです。

というわけで、書いてはみたもののなんか微妙ですが、せっかくなんで公開しときます。

2015/06/14

わんくま同盟大阪勉強会#63でのセッション資料を公開します。

デモで使用したサンプルスクリプトも併せてご利用ください。

わんくま同盟の勉強会は今回の大阪#63で10年目に入ったのですが、実は私も9年前の大阪#4で勉強会セッションデビューをしていたりします。

さて、今回はPowerShell DSCリソースを作成するというテーマで話しました。DSCでは管理対象ごとにロジック(リソース)と設定(Configuration)を分離でき、一貫性を持ったインフラ構成の自動化が可能になる素敵な機能です。が、いかんせん、ビルトインリソース(OS標準で含まれるリソース)の種類が少ないので、実際の業務で使うにはカスタムリソースを作成する必要が出てくると思います。

今回のデモでは、テキストファイルの中身を自動構成するという、ごく単純なサンプルを作成して実演してみましたが、考え方や実装方法の基本はこれでカバーできるのではないかと思います。

より詳しくは、ぎたぱそ氏の記事を読んでいただければ良いかと思います。本番で使えるPowerShell DSCリソース作成入門 - Build Insider

サンプルスクリプトの説明
  1. 事前準備

    今回のデモはWin10 Insider Preview(PowerShell 5.0)上で行いましたが、PowerShell 4.0環境でもおそらく動作すると思います。なお、今回のConfigurationはローカルコンピュータに対しPush適用(Start-DscConfigurationコマンドレットによる手動適用)することを想定しています。あらかじめ、DSCが実行可能な環境(スクリプト実行ポリシー、PSリモーティング、Local Configuration Managerの設定等)を整えておいてください。また、スクリプトはすべて管理者権限で実行してください。

  2. xDSCResourceDesignerのインストール

    DSCリソースのひな形を作成するためのxDSCResourceDesignerをインストールします。v5環境であればPowerShellGetを用い、Install-Module xDSCResourceDesigner で入ります。v4環境の場合はTechnetからDSC Resource KitをDLしてください。

  3. xDSCResourceDesignerの使用方法の確認

    xDSCResourceDesignerの使用方法を確認します。make_Foo_resource_template.ps1を実行すると、xDSCResourceDesignerを用いてDSCリソースFooのひな形が$env:ProgramFiles\WindowsPowerShell\Modules\TestResourceに作成されます。ひな形がどのように作成されるかを確認してください。また、Get-DscResource -Name Fooとして、DSCリソースがきちんと認識されているか、確認してください。

  4. TextFileLineリソースの作成

    今回のデモで作成したTextFileLineリソースは、make_TextFileLine_resource_template.ps1を実行してまずひな形を作成しました。作成されたひな形を用いて、TextFileLine.psm1に実際のロジックを記述し、DSCリソースを完成させました。zipに含まれるTestResourceフォルダの中身が、今回作成したDSCリソースモジュールになりますので、まずは内容を確認してみてください。特に、Set-TargetResource関数はどのように実装すると冪等性を保持して作成できるのかを念頭に置いてみてください。

  5. TextFileLineリソースの展開

    zipに含まれるTestResourceフォルダを$env:ProgramFiles\WindowsPowerShell\Modules\の下にコピーしてください。

    Get-DscResource -Name TextFileLineとしてDSCリソースが認識されていることを確認してください。

  6. TextFileLineリソースを用いたConfigurationの作成

    start_dsc_configuration.ps1に含まれる、TextFileLineTestが、今回適用してみるConfigurationになります。

    start_dsc_configuration.ps1を実行すると、ドキュメントフォルダにmofファイルを生成し、Start-DscConfigurationコマンドレットにより設定を反映させます。

    正しくConfigurationが適用されれば、ドキュメントフォルダにlist.txtというファイルが生成し、中にプログラム言語のリストが記入されているはずです。

  7. Configurationが反映されたことを確認

    Test-DscConfigurationコマンドレットを実行すると、現在の状態とConfigurationに書かれた状態が一致していればTrueと表示されます。今はConfigurationを適用した直後なのでTrueになるはずです。

    またGet-DscConfigurationコマンドレットを実行すると、現在の各プロパティの状態を表示してくれます。

    list.txtに含まれる行をテキストエディタで編集して上書きしたりすると、Test-DscConfigurationの結果はFalseになるはずです。

    list.txtを手動で変更した状態で、再度start_dsc_configuration.ps1を実行すると、再びConfiguration通りの状態に戻ると思います。その際、変更のなかったプロパティに関しては、処理がスキップされていることをログをみて確認してください。

  8. その他

    Configurationを色々書き換えて試してください。例えばEnsure="Absent"にすると対象項目が存在しない状態になります。

2014/12/01

はじめに

この記事はPowerShell Advent Calendar 2014の1日目の記事です。

次期バージョンのPowerShell 5.0について、そろそろ情報が出回ってきました。現在のところWindows Management Framework 5.0 Preview November 2014、もしくはWindows 10 Technical PreviewWindows Server Technical Previewに同梱のもので試すことができます。

v5での新機能、改善点は多岐に上ります。OneGet / PowerShellGet / クラス定義 / DSC機能増強 / ODataエンドポイントのコマンドレット化 / zipファイル / シンボリックリンク 等々。詳しくは、リリースノートが一番充実しているかと思います。日本語だとぎたぱそ氏の記事がまとまっているかと思ます。

さて、ここまで挙げた新機能や改善点は、とても順当でまっとうな進化点なのですが、v5にはちょっと異彩を放つ新機能がしれっと追加されています。それが、Auto-Generated Example-Driven Parsing です。

Auto-Generated Example-Driven Parsing とは

CSV、JSON、XMLのような既知のフォーマットではないが、何らかの法則性のあるテキストデータがあるとします。そんなテキストデータは(不幸なことに)割と世の中にあふれていますが、そのままでは(人が読む以外には)利用できないので、データとして扱うには、解析し、レコード(プロパティ:プロパティ値)として再構築する必要があります。

しかしながらフォーマットが既知のものではないため、既存のパーサーを使って解析することはできません。

従来のアプローチだと、このようなデータに対しては、まずユーザー(人間)がデータの法則性を読み取り、その法則をコンピュータに分かる表現(コードや正規表現など)に変換してやる必要がありました。

Auto-Generated Example-Driven Parsing とは、事前にユーザーがテキストデータの一部分のみを取り出し、各項目に対してプロパティ名を指示したデータ(テンプレート)を用意しておくと、元のテキストデータとユーザーが用意したテンプレートから法則性を解析し、元のテキストデータ全体を自動的にテキストデータからオブジェクトに変換してくれる機能です。

Auto-Generated Example-Driven Parsing とはもともとMicrosoft Research で研究されているFlashExtract というデータ解析手法の PowerShell コマンドレット(ConvertFrom-String)による実装になります。ConvertFrom-StringData じゃないですよ。全然別物です。これうっかりしてるとスルーしてしまいそうです。

具体例

たとえば、こんなデータがあったとします。

山内 佳乃 (やまうち よしの)
生年月日...1982/1/27 (32歳)、女性
田畑 真帆 (たばた まほ)
生年月日...1966/4/14 (48歳)、女性
三好 一樹 (みよし かずき)
生年月日...1972/7/10 (42歳)、男性
酒井 幸平 (さかい こうへい)
生年月日...1954/3/1 (60歳)、男性
藤島 恵子 (ふじしま けいこ)
生年月日...1969/5/4 (45歳)、女性
加藤 美優 (かとう みゅう)
生年月日...1986/12/8 (27歳)、女性
金谷 康文 (かなや やすふみ)
生年月日...1983/10/7 (31歳)、男性
岸本 紗季 (きしもと さき)
生年月日...1984/5/16 (30歳)、女性
永野 ケンイチ (ながの けんいち)
生年月日...1961/7/8 (53歳)、男性
小関 三郎 (こぜき さぶろう)
生年月日...1975/1/22 (39歳)、男性
山岸 光 (やまぎし ひかる)
生年月日...1939/2/13 (75歳)、女性
黒谷 恵麻 (くろたに えま)
生年月日...1949/2/13 (65歳)、女性

名前や生年月日が書かれたデータで、一応、法則性はあるようです。が、これをまともにパースしようと思うと、2行ごとに切り出して、正規表現を書いて…と、ちょっと面倒ですね。

ちなみにこのダミーデータ作成にはなんちゃって個人情報を使わせていただきました。CSVで出力した後、以下のようなスクリプトでわざわざ醜く変形しました。

Import-Csv -Encoding Default -Path dummy.cgi|%{"$($_.名前) ($($_.ふりがな))`n生年月日...$($_.誕生日) ($($_.年齢)歳)、$($_.性別)性"}|set-content -Encoding UTF8 -Path dummy.txt

さて、このテキストデータに対し、Auto-Generated Example-Driven Parsingで用いるテンプレートを書いてやりましょう。たとえば、以下のように適当に3件(ここでは3〜5個目のレコード)抜き出して、プロパティ名をつけてやります。赤字が、手動で元データに付与した文字列です。

{Name*:三好 一樹} ({Furigana:みよし かずき})
生年月日...{BirthDay:1972/7/10} ({Age:42}歳)、{Sexuality:}{Name*:酒井 幸平} ({Furigana:さかい こうへい})
生年月日...{BirthDay:1954/3/1} ({Age:60}歳)、{Sexuality:}{Name*:藤島 恵子} ({Furigana:ふじしま けいこ})
生年月日...{BirthDay:1969/5/4} ({Age:45}歳)、{Sexuality:}

みて頂ければ分かると思いますが、基本は、各データ項目に対して、{プロパティ名:データ}のように指定してやるだけです。主キーとなるデータ項目にはプロパティ名の後に「*」をつけてやります。こうやって作ったテンプレートをtemplate.txtと名前を付けて保存しましょう。

元データとテンプレートが揃ったので、あとは以下のようにしてConvertFrom-Stringコマンドレットを実行するだけです。

image

テンプレートを元に、元テキストに含まれるすべてのデータが、プロパティ値を持ったオブジェクトデータに変換されていることが分かるかと思います。これちょっとすごくないですか?

まとめ

Auto-Generated Example-Driven Parsingは個人的には、非常に面白い機能だと感じています。コンピュータに対して、「手本見せるよ、これはこう、これはこう。わかった? じゃ、あとは同じようにまとめといてね!」というのができるようになったわけで、ちょっと未来を感じました。

研究所レベルの研究成果を、製品として実装した初の例が、PowerShellだったというのも面白味を感じます。

ただ、CSVでもJSONでもXMLでもない、わけのわからない謎フォーマットで保存されたテキストデータを解析しなきゃならない事態というのは、そもそも不幸な状況であることも、また事実かと思います。

ConvertFrom-Stringは、そんな訳の分からないものを撲滅して、今度こそまともなフォーマットのデータに変換して保存するための、最終兵器のようなものかもしれません。

なお、Auto-Generated Example-Driven Parsingでは他にもプロパティに型を指定したり、部分的に正規表現を用いたり、階層構造を持つデータにも対応してたりと、かなり色々なことができるようになっています。ぜひ、v5環境を整えて、ConvertFrom-Stringを試してみてください。

さてさて、PowerShell Advent Calendar 2014、今年は参加者が少なく、完走はかなり危ぶまれますが、できるところまで行きたいですね! これをお読みのあなたの記事が読みたいです! ぜひ、ご参加いただけると幸いです。

2014/10/12

昨日10/11のPowerShell勉強会#4にお越しいただいた方、どうもありがとうございました。スタッフ一同、これからも定期的に開催していこうと考えておりますので、ぜひともよろしくお願い致します。

私のセッション資料を公開します。わんくま横浜で行ったものとほとんど同じですが、v5関係のスライドを少しだけ修正しています。

今回は高度な関数とコマンドレットの作り方を主に取り上げていますが、要するに、PowerShellコマンドはPowerShellスクリプトでもC#でもほぼ同じようにして同じようなものが書ける、ということなのです。なので、基本を押さえればどちらにも対応可能です。

両者は状況に応じて使い分ければOKかと思います。PowerShellよりC#が得意、というならばコマンドレットを書くと良いですし、スクリプト的なお手軽なコードで書きたい場合は高度な関数、とかですね。

速度が求められる部分とか、.NETアセンブリを多用する部分だけコマンドレットにして、他を高度な関数にする、あるいは、主要部はコマンドレットにして、その他はコマンドレットのラッパー的な高度な関数を用意する、のように両者を組み合わせたモジュールもよくあります。

以下はデモ用のサンプルスクリプトです。高度な関数の雛型的なものになります。使い方はスライド本文を参照してください。

function Get-Foo
{
    [CmdletBinding()]
    param([string[]]$Name)
    end
    {
        foreach($n in $name)
        {
            $out = [pscustomobject]@{
                Name = $n
                No = 0 
            }
            # PSCustomObjectのインスタンスに型名を付ける
            $out.PSTypeNames.Insert(0, "Winscript.Foo")
            $out
        }
    }
}

function Set-Foo
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)]
        [PSObject[]]
        $InputObject,
        [parameter(Position=1)]
        [string]
        $Property,
        [parameter(Position=2)]
        [PSObject]
        $Value,
        [switch]
        $PassThru
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.$Property = $Value
            if($PassThru)
            {
                $o
            }
        }
    }
}

# C#によるクラス定義
Add-Type -TypeDefinition @"
using System;
namespace Winscript
{
    public class Foo2
    {
        private string _name;
        private int _no;
        public Foo2(string name)
        {
            _name = name;
            _no = 0;
        }
        public string Name
        {
            get{
              return _name;  
            }
            set{
               _name = value; 
            }
        }
        public int No
        {
            get{
              return _no;  
            }
            set{
               _no = value; 
            }
        }
    }
}
"@

function Get-Foo2
{
    [CmdletBinding()]
    param([string[]]$Name)
    end
    {
        foreach($n in $name)
        {
           New-Object Winscript.Foo2 $n
        }
    }
}

function Set-Foo2
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)]
        [Winscript.Foo2[]]
        $InputObject,
        [parameter(Position=1)]
        [string]
        $Property,
        [parameter(Position=2)]
        [PSObject]
        $Value,
        [switch]
        $PassThru
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.$Property = $Value
            if($PassThru)
            {
                $o
            }
        }
    }
}

以下はデモで用いたC#のコードです。コマンドレットクラスの雛型的なものになっています。ビルドの際はSDKに含まれるPowerShell関係のdllを参照設定してください(詳しくはスライド)。また使用する際は、Import-Module ビルドで生成したdllのフルパス を実行してインポートして下さい。以下の例だとGet-Baz、Set-Bazの2コマンドレットがインポートされます。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;
using System.Management.Automation;

namespace Winscript
{
    [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "Baz")]
    public class GetBazCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string[] Name { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            foreach (var n in Name)
            {
                WriteObject(new Baz(n));
            }
        }
    }

    [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "Baz")]
    public class SetBazCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Baz[] InputObject { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string Property { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)]
        public PSObject Value { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false)]
        public SwitchParameter PassThru { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            foreach(var o in InputObject)
            {
                if (Property == "No")
                {
                    o.No = (int)Value.BaseObject;
                }
                else if(Property == "Name")
                {
                    o.Name = (string)Value.BaseObject;
                }
                if (PassThru)
                {
                    WriteObject(o);
                }
            }
        }
    }

    public class Baz
    {
        private string _name;
        private int _no;
        public Baz(string name)
        {
            _name = name;
            _no = 0;
        }
        public string Name
        {
            get
            {
                return _name;
            }
            set
            {
                _name = value;
            }
        }
        public int No
        {
            get
            {
                return _no;
            }
            set
            {
                _no = value;
            }
        }
    }
}

2014/09/09

8/23わんくま横浜勉強会で、PowerShellコマンドの書き方というセッションをしたのですが、その際、株式会社Codeerさんが公開されているFriendlyというライブラリを使ったコマンドレットを動作させるデモを行いました。

準備の時間がなくて、突貫工事で作ったサンプルで恐縮ですが、公開することにします。(一応動かしてみたら動いた、レベルのものなのであしからず…)

コード
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;
using System.Management.Automation;
using Codeer.Friendly.Windows;
using Codeer.Friendly.Dynamic;
using System.Windows.Forms;

namespace Winscript
{
    [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "FormControlText")]
    public class GetFormControlTextCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string[] ControlName { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Process Process { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            var _app = new WindowsAppFriend(this.Process);
            dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle);
            foreach (var c in form.Controls)
            {
                if (ControlName == null || ControlName.Contains((string)c.Name))
                {
                    WriteObject((string)c.Text);
                }
            }
        }
    }

    [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "FormControlText")]
    public class SetFormControlTextCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string ControlName { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)]
        public string Text { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Process Process { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            var _app = new WindowsAppFriend(this.Process);
            dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle);
            foreach (var c in form.Controls)
            {
                if (ControlName == (string)c.Name)
                {
                    c.Text = Text;
                }
            }
        }
    }
}
ビルド方法
  1. Windows 8.1 SDK をインストールする。
  2. Visual Studio 2010以降でC#のクラスライブラリを新規作成する。
  3. C:\Program Files (x86)\Reference Assemblies\Microsoft\WindowsPowerShell\3.0 にある.dllを参照設定する。
  4. 対象フレームワークを.NET 4.5、対象プラットフォームをx64にする。
  5. 上記のコードを貼り付ける。
  6. NuGetでFriendlyおよびFriendly.Windowsを追加する。
  7. ビルドする。
使用方法

上記をビルドして生成したDLLにはGet-FormControlTextと、Set-FormControlTextの2つのコマンドレットが含まれます。

# コマンドレットのインポート
Import-Module "dllのフルパス"

# 操作対象のプロセスオブジェクト取得
$p = Get-Process WindowsFormsApplication1 

# プロセスを指定して、すべてのコントロールのテキストを取得
Get-FormControlText -Process $p

# プロセスとコントロール名を指定して、テキストを取得
Get-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1

# 位置パラメータなので以下のようにも書ける
Get-FormControlText $p textBox1

# パイプラインからプロセスオブジェクトを入力することもできる
$p | Get-FormControlText -ControlName textBox1 

# プロセスとコントロール名を指定して、テキストを変更する
Set-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1 -Text Wankuma
Set-FormControlText $p textBox1 Yokohama
$p | Set-FormControlText -ControlName textBox1 -Text 6
制限事項

フォーム直下に配置されたコントロールしか取得できない(と思います)。

Windows Formアプリケーションにしか対応していない(と思います)。

x64アプリしか操作できない(と思います。x86用はアセンブリを分ける必要がある??)。(←9/9追記)

コントロール名指定はCase sensitiveでワイルドカード不可です。(この辺ただの手抜きですが)

今後の方針?

上のコードをみてもらえればわかると思いますが、ちょっと触ってみたら一応動くものができるくらい、Friendlyは分かりやすいです。皆さんもぜひ使ってみてください。

本来は、テキストじゃなくてコントロールそのものをGetしたりSetしたりInvoke(クリックとか)したりできるようにしたかったんですが、Controlはシリアル化できないオブジェクトなので、Friendlyで実物を持ってきてコマンドレットに出力する、というのは無理でした。何らかのプロキシオブジェクトみたいなのでラップしたりすれば良いかと思います。

それにしてもPowerShellとFriendlyの組み合わせはものすごい可能性を秘めている予感がします。

システム管理方面では…

セッションでもやりましたが、PowerShellコマンドレットベースのアプリケーションを作ると、GUIとCUIのいいところどりが出来る、とはいうものの、コマンドインターフェースがなくGUIオンリーのアプリケーションはまだまだたくさんあるのが現実かと思います。そういうアプリケーションも、PowerShellデフォルトの機能のみではつらいですが、上記のようにFriendlyを併用すれば、GUI操作の自動化が容易になると思います。

開発方面では…

C#でFriendlyを使ったGUIのテストコードを書く以外に、上記のようなFriendlyの機能をラップしたコマンドレットを用意することで、PowerShellスクリプトでもテストコードを書くことができるようになると思います。その際、Pester等のPowerShell用テストフレームワークを併用すると、より一貫したテストコードが記述できるようになるんじゃないかと思います。

いずれは(いつ?)、Friendlyの機能をラップしたコマンドレット群をきちんと設計、実装して、モジュールとして公開したいですね!

2014/03/23

昨日は、MVP Community Camp 2014の大阪会場にお越しいただき、ありがとうございました。

私のセッションスライドを公開します。

前回のエントリーでも書きましたが、DSCについては何度かセッションをやってきており、今回が一応の集大成的なものとなるかと思います。

今回はDSCというPowerShell4.0で追加された応用的な内容でしたが、4/12に開催されるPowerShell勉強会@大阪では基礎的なところからセッションをやる予定です。PowerShell勉強会@大阪については後ほど詳しく紹介エントリーを上げます。

さて、今回デモをやろうとしたんですが、見事に失敗してしまいました。大変申し訳ありません!

原因としてはHyper-Vにドメインコントローラー(兼、Configuration配布用サーバー)と設定対象サーバーの2台を同一ドメインに所属させていたのですが、手違いで設定対象サーバーからDCへの認証ができなくなっていて、結果、DSC反映時に必要なKerberos認証に失敗したためでした。やはりDCを仮想化させるのはいくらHyper-V 3.0でも注意深くやらないとダメですね。直前まではうまく動いてたんですけどもね…DCはやはり独立して用意すべきでした

本番ではデモに失敗したんですが、環境を再整備して動作することを確認しました。そこで、今回、デモで用いる予定だったスクリプトを一式、公開する事にしました。こちら:dsc_demo.zip

使用方法を以下に説明します。なお、すべては無保証なので、必ず、壊れてもいいサーバーを新規で用意してください。また、デモ環境をHyper-Vの仮想サーバーとしておくと、DSC適用前の状態のスナップショットを取れるのでいつでもデモ実行前の状態に戻せて便利です。

事前準備
  1. Configuration配布用サーバー(コンピューター名:dscpull)、設定対象サーバー(コンピューター名:target)を用意し、双方にWindows Server 2012 R2をGUI有効にしてインストールする。
  2. Windows Server 2012 R2がRTM版である場合は、General Availability Update Rollupを適用してGA相当にアップデートする(ビルド番号6.3.9600.16394の状態にする)。
  3. 両サーバーを同一ドメインに所属させる。
  4. 両サーバー間でKerberos認証が通りWinRMでリモート接続できることを確認しておく。
    たとえば、dscpullサーバーからEnter-PSSession targetとしてtargetサーバーにリモート接続できるかどうかで確認できます。
  5. dsc_demo.zip中に含まれるdscpullフォルダをConfiguration配布用サーバーのC:\直下にコピーする。
  6. dsc_demo.zip中に含まれるtargetフォルダを設定対象サーバーのC:\直下にコピーする。
Pushモードのデモ

このデモでは、dscpullサーバーでDSCをpushモードで実行することにより、「targetサーバーにIISをインストールし、Webサイトを作成し、開始する」という操作を適用します。よって、事前にtargetサーバーにはIISが入っていないことを確認しておいてください。

  1. targetサーバーのInstall_Website_Resource.ps1を実行する。
    この操作により、xWebAdministrationリソースモジュールがtargetサーバーに配置されます。
  2. dscpullサーバーのStart_Website_of_Target.ps1を実行する。
    この操作により、xWebAdministrationリソースモジュールがdscpullサーバーにも配置され、xWebSite等のリソースを呼び出すConfigurationに従ってMOFファイルを生成し、Start-DscConfigurationコマンドレットによって実際にMOFファイルの内容をtargetサーバーに反映させます。
    ※Pushモードの場合、カスタムリソースを利用する際は、実行側と対象の双方にカスタムリソースの事前配置が必要です。
  3. Start_Website_of_Target.ps1の実行が終了したら、targetサーバーをチェックして下さい。IISがインストールされ、IISマネージャ上ではDefault Web Siteは停止状態となり、MyWebSiteというサイトが作成され開始されていると思います。http://target/を開いてみてください。
  4. targetサーバーの設定を色々と変更して(Webサイトを停止する、削除する、IISをアンインストールする、InetPubフォルダのコンテンツを削除するetc)、再度Start_Website_of_Target.ps1を実行した場合でも、同じ設定に戻ることを確認してください。
Pullモードのデモ

このデモではまずdscpullサーバーにDSC Serviceをインストールし、PullサーバーとしてMOFファイルを配布できるようにします。続いてtargetサーバーの設定をPullモードにし、dscpullサーバーから設定を定期的に取得、反映させるようにします。(このデモでは「印刷サービス」(プリントサーバー)をインストールするConfigurationをサンプルとして利用しています)

  1. dscpullサーバーのInstall_DSC_Service.ps1を実行する。
    この操作により、xPSDesiredStateConfigurationリソースモジュールがdscpullサーバーに配置され、このモジュールに含まれるxDscWebServiceリソースを呼び出すConfiguration(Sample_xDscWebService)を実行し、Pullサーバーが構築されます。
  2. dscpullサーバーのDeploy_Config.ps1を実行する。
    この操作により、プリントサーバーをインストールするConfigurationからMOFファイル(ファイル名は対象サーバー名ではなく、対象サーバーを識別するConfigurationIDとなる)を生成し、New-DscCheckSumコマンドレットによりチェックサムファイルを出力し、両ファイルをPullサーバーのMOFファイル配布用フォルダにコピーすることで、設定の配置が完了します。
  3. targetサーバーのConfig_LCMforPull.ps1を実行する。
    この操作により、LCM(Local Configuration Manager)設定用のConfigurationからMOFファイルを生成し、Set-DscLocalConfigurationManagerによりMOFファイルを反映し、targetサーバーのLCMがPushモードからPullモードに変更されます。また対象サーバーを識別するためのConfigurationIDも定義します。このスクリプトを実行すると処理の最後で自動的に再起動を実行します。(DSCのモード切替は再起動後に反映されます)
  4. 再起動後、targetサーバーに印刷サービスがインストールされていることを確認してください。上手くいかない場合は、イベントビューアで”Desired State Configuration”を確認してください。またLCMのConfigurationに指定した間隔で設定が再反映されていること、あるいは新設定をPullサーバーに取得しにいっていることを確認してください。

2012/12/14

本記事はPowerShell Advent Calendar 2012の14日目の記事になります。

前回(アドベントカレンダー1日目)は「PowerShellらしい関数の書き方」と題して、パイプライン内でうまく他のコマンドと連携させるための関数をどう書けばいいのか、ということについて書きました。前回の関数の例では入力型と出力型がstringだったのですが、実際は自分で定義した型を入力、出力値に取るように書くのが普通かと思います。今回は、それをするためにどうやって型を定義するのか、そしてその型を関数にどう指定するのか、という話をします。

PowerShellにはクラス定義構文がない

そもそもの話になるんですが、型を定義する、つまりはクラスを記述するためのPowerShellのステートメントやコマンドレットが無いため、PowerShell単独ではできません。なので無理です以上おしまい。…というわけにはいかないので、実際はどうするのがいいのかという話をしていきます。

方法としては大きく分けて二つあると思います。

1.C#など他の.NET言語を用いてクラスを記述する

2.ユーザー定義オブジェクトを作成する

今回は1の方法を説明します。

C#を用いてクラスを記述する

つまりはPowerShellでクラスを定義できないなら、C#を使えばいいじゃない。ということです。幸いPowerShell 2.0からはAdd-Typeというコマンドレットを用いると、C#やVBなど.NET言語のソースをその場でコンパイルしてアセンブリとして現在のセッションに読み込むことが可能です。

たとえば、論理ドライブを表すDriveというクラスを定義してみます。

Add-Type -TypeDefinition @"
    namespace Winscript
    {
        public enum DriveType
        {
            Unknown, NoRootDirectory, RemovableDisk, LocalDisk, NetworkDrive, CompactDisc, RAMDisk
        }

        public class Drive
        {
            public string Name {get;set;}
            public string VolumeName {get;set;}
            public DriveType Type {get;set;}
            public long Size  {get;set;}
            public long FreeSpace  {get;set;}
            public long UsedSpace  {get;set;}
            public string RootPath {get;set;}
        }
    }
"@ -Language CSharpVersion3

このようにC#のコードを文字列として-TypeDefinitionパラメータに与えると、コンパイルされて指定のクラス(ここではWinscript.Drive)がロードされます。

ここで-Language CSharpVersion3というパラメータは指定コードをC# 3.0としてコンパイルすることを指定するため、今回使用している自動実装プロパティなどC# 3.0の構文が利用できます。なおこのパラメータはPowerShell 3.0では不要です。ただし明示しておくとPowerShell 2.0でも正しく動作します。というのも-Languageパラメータ省略時はPowerShell 2.0ではC# 2.0でコンパイルされるのですが、PowerShell 3.0ではC# 3.0でコンパイルするためです(逆にPSv3でC#2.0でコンパイルするには”CSharpVersion2”という新しく追加されたパラメータ値を指定します)

なお、ここでは-TypeDefinitionパラメータを用いてクラス全体を記述しましたが、この例のように列挙体も定義してそれをプロパティの型にするなどせず、すべて基本型のプロパティで完結するのならば、-MemberDefinitionパラメータを使ってメンバ定義だけを行う方が記述が短くなります。以下はWinscript.Manというクラスを定義する例です。

Add-Type -Namespace Winscript -Name Man -MemberDefinition @"
    public int Age {get;set;}
    public string Name {get;set;}
"@ -Language CSharpVersion3

例のようにC#のコード内には特にロジックを記述せず、単にデータの入れ物となるクラスにとどめておくのが良いかと思います。別にロジックを書いてもいいのですが、ISEで記述する限りはC#の編集に関してはただのテキストエディタレベルの恩恵しか受けないですし、それなら最初からVisual Studio使ってC#で全部コマンドレットとして書けばいいのに、ともなりかねないので。PowerShellでは実現困難な処理などがあればそれをメソッドとして書く程度ならいいかもしれません。ただしメソッドを記述してもそれをユーザーに直接使わせるというよりも、関数でラップして使わせる形が望ましいでしょう。

さて、次はこのクラスのオブジェクトを扱う関数を記述していきます。

定義した型のオブジェクトを扱う関数の記述

ここでは3つの関数を定義しています。Get-Drive関数はシステムに含まれるすべての論理ドライブを取得、Show-Drive関数は指定のDriveオブジェクトをエクスプローラで開く、Set-Drive関数は指定のDriveオブジェクトのボリューム名(VolumeNameプロパティ)を変更するものです。

ちなみに関数の動詞部分(ここではGet, Show, Set)は、Get-Verb関数で取得できるリスト以外のものは基本的に使わないようにします。モジュールに組み込んだ場合、インポートのたびに警告が出てしまうので。

関数の基本については前回に書いているので、今回のコードはそれを踏まえて読んでみてください。

function Get-Drive
{
    [OutputType([Winscript.Drive])]
    param(
        [string[]]$Name,
        [Winscript.DriveType]$Type
    )

    Get-WmiObject -Class Win32_LogicalDisk | ForEach-Object {
        if($null -ne $Name -and $Name -notcontains $_.Name)
        {
        }
        elseif($Type -ne $null -and $_.DriveType -ne $Type)
        {   
        }
        else
        {
            New-Object Winscript.Drive -Property @{
                Name = $_.Name
                VolumeName = $_.VolumeName
                Type = [enum]::Parse([Winscript.DriveType],$_.DriveType)
                RootPath = if($_.ProviderName -ne $null){$_.ProviderName}else{$_.Name + "\"}
                Size = $_.Size
                FreeSpace = $_.FreeSpace
                UsedSpace = $_.Size - $_.FreeSpace
            }
        }
    }
}

(↑10:33 foreachステートメントではなくForEach-Objectコマンドレットを使うように修正。Get-*な関数のようにパイプラインの先頭で実行する関数でも、内部でPowerShellのコマンドレットや関数の出力を利用する場合は、配列化してforeachするよりも、ForEach-Objectで出力を逐次処理した方が良いですね。内部関数の出力がすべて完了してから一気に出力するのではなく、内部関数が1個オブジェクトを出力するたびに出力するようにできるので。)

function Show-Drive
{
    [OutputType([Winscript.Drive])]
    param(
        [Parameter(ValueFromPipeline=$true,Mandatory=$true)]
        [Winscript.Drive[]]
        $Drive,
        
        [switch]
        $PassThru
    )

    process
    {
        foreach($d in $Drive)
        {
            Start-Process $d.Name
            if($PassThru)
            {
                $d
            }
        }
    }
}
function Set-Drive
{
      param(
        [Parameter(ValueFromPipeline=$true,Mandatory=$true)]
        [Winscript.Drive]
        $Drive,
        
        [Parameter(Mandatory=$true)] 
        [string]
        $VolumeName
    )

    process
    {
        Get-WmiObject Win32_LogicalDisk -Filter "DeviceID='$($Drive.Name)'" |
            Set-WmiInstance -Arguments @{VolumeName=$VolumeName} | Out-Null
    }
}

細かい説明は省きますが、前回説明した関数の基本フォーマットに、自分で定義した型を適用してロジックを書くとこうなる、という参考例としてとらえてください。

一つだけ前回に説明し忘れてたことがあります。それは[OutputType]属性です。これは文字通り、関数の出力型を指定するものです。この属性を指定しておくと何が嬉しいかというと、関数の出力を変数に代入したりWhere-Objectコマンドレットでフィルタをかけるコードを記述する際、関数の実行「前」にもプロパティ名をちゃんとタブ補完してくれるようになります。残念ながらこの静的解析機能はPowerShell 3.0からのものなので2.0だとできませんが、OutputType属性自体は2.0でも定義可能なので、定義しておくことを推奨します。

さて、型の定義と関数の定義をしたので実際に関数を実行してみます。

PS> Get-Drive # 全ドライブ取得

Name       : C:
VolumeName :
Type       : LocalDisk
Size       : 119926681600
FreeSpace  : 12262494208
UsedSpace  : 107664187392
RootPath   : C:\

Name       : D:
VolumeName :
Type       : LocalDisk
Size       : 500086886400
FreeSpace  : 198589583360
UsedSpace  : 301497303040
RootPath   : D:\

Name       : Q:
VolumeName :
Type       : CompactDisc
Size       : 0
FreeSpace  : 0
UsedSpace  : 0
RootPath   : Q:\

Name       : V:
VolumeName : 
Type       : NetworkDrive
Size       : 1500299390976
FreeSpace  : 571001868288
UsedSpace  : 929297522688
RootPath   : \\server\D

PS> Get-Drive | where {$_.Size -gt 1TB} # Where-Objectでフィルタ

Name       : V:
VolumeName : 
Type       : NetworkDrive
Size       : 1500299390976
FreeSpace  : 571001868288
UsedSpace  : 929297522688
RootPath   : \\server\D

PS> Get-Drive -Type NetworkDrive | Show-Drive -PassThru | ConvertTo-Csv #ネットワークドライブのみエクスプローラーで開く。取得結果はCSVとして出力。
#TYPE Winscript.Drive
"Name","VolumeName","Type","Size","FreeSpace","UsedSpace","RootPath"
"V:","","NetworkDrive","1500299390976","571001868288","929297522688","\\server\D"
PS> Get-Drive -Name D: | Set-Drive -VolumeName 新しいドライブ # D:ドライブのボリューム名を指定。(管理者権限で)

関数をきちんとPowerShellの流儀に従って記述したおかげで、このようにPowerShellの他の標準コマンドレットと同様の呼び出し方ができ、自作関数やそれ以外のコマンド同士をうまくパイプラインで繋げて実行することができています。

さて、おそらく一つ気になる点があるとすれば、ドライブの容量表示が見づらいということでしょう。容量であればGBとかの単位で表示してほしいですし、大きい数字は,で桁を区切ってほしいですよね。じゃあそういう値を文字列で返すプロパティを定義してやる必要があるというかと言えばそんなことはなく、PowerShellには型に応じた表示フォーマットを指定する方法が用意されています。次回はそのあたりを解説しようと思います。

また、C#とかめんどくさいしもうちょっと楽な方法はないのか?ということで、最初の方でちょっと触れた、ユーザー定義オブジェクトを利用する方法も、余裕があれば次回に。

さて、PSアドベントカレンダー、明日はsunnyoneさんです。よろしくお願いします!

2011/12/02

はじめに

このたび、技術系アドベントカレンダーイベントの1つとして、PowerShell Advent Calendar 2011を企画しました。この記事はその2日目の記事となります。アドベントカレンダーについてはリンク先を参照してください。

今日のテーマはPowerShellのバックグラウンドジョブ機能の使い方についてのまとめです。

バックグラウンドジョブとは

バックグラウンドジョブ機能はその名の通り、ジョブ(具体的にはスクリプト)をバックグラウンドで非同期に実行するものです。PowerShell v2で追加された機能の一つです。インタラクティブシェルでStart-Jobコマンドレットを使用してバックグラウンドジョブ(以下、単に「ジョブ」と表記)を実行すると、新しくpowershell.exeのプロセスが起動しそのままシェルに制御が戻りユーザーは後続の処理を行うことができます。もちろんスクリプトからジョブを実行することも可能です。時間のかかる処理をバックグラウンドで走らせたり、数多くの処理を並列で実行したりするのに重宝します。

起動されたジョブは操作中のpowershell.exeとは別のジョブ用のプロセスで実行され、処理が完了すると呼び出し元でその結果をReceive-Jobコマンドレットを使って受け取ることができます。ジョブは並列して何個も同時に実行できます。なおPowerShellのジョブは1ジョブ=1プロセスです。スレッドではないので注意。

PowerShellのジョブシステムはリモート処理インフラストラクチャの上に構築されているので、たとえローカルPCでもジョブ実行するにはローカルPCをリモート用構成にしておく必要があります。詳しくはabout_Remote_Requirementsを参照のこと。

ジョブはローカルでもリモートでも走らせることができます。以下に具体的な方法を述べていきます。

ローカルコンピュータでのジョブ実行

ローカルコンピュータ上に新しくジョブを作成して開始するにはStart-Jobコマンドレットを用います。

Start-Job {ジョブとして実行したいコマンド、スクリプト}

とするとジョブを実行します。

$job=Start-Job {..}

のようにするとJobオブジェクト(System.Management.Automation.PSRemotingJob)を変数に格納してあとで利用できます。変数で受けない場合はJobオブジェクトの内容が表示されます。

存在するジョブを取得するにはGet-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job

で現在実行中のジョブ一覧を表示します。以下に出力例を示します。

Id              Name            State      HasMoreData     Location             Command
--              ----            -----      -----------     --------             -------
1               Job1            Completed  True            localhost            "test"
3               Job3            Running    True            localhost            start-sleep -sec 120;"...

以下の表は各項目の意味です。

Id ジョブID番号
Name ジョブの名前
State

Running=実行中のジョブ

Stopped=停止したジョブ

Complete=完了したジョブ

Failed=エラーが出たジョブ

HasMoreData 返却されたデータがあるかどうか
Location ジョブが実行されているコンピュータ名
Command ジョブで実行されているコマンド、スクリプト

ジョブの終了を待つにはWait-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Wait-Job

とすると実行中のジョブすべてが完了するまで待ちます。-timeoutパラメータを使うと最大待ち時間(秒)を指定できます。

Get-Job|Wait-Job -any

とすると実行中のいずれかのジョブが完了するまで待ちます。正確には「対象のジョブが一つ以上完了するまで待つ」という効果なので、完了済みのジョブが1つ以上ある場合に新たにジョブを追加した場合などは想定の動作になりません。あらかじめRemove-Jobで完了済みのジョブを削除するか、Where-ObjectコマンドレットでRunningのみ対象にするようフィルタをかけるかしてください。

ジョブを中止するにはStop-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job -id 1|Stop-Job

とするとジョブIDが1のジョブを中止します。

$jobにJobオブジェクトが格納されている場合は

$job|Stop-Job

でもOKです。

ジョブを削除するにはRemove-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|where {$_.state -eq "Completed" -or $_.state -eq "Stopped"}|Remove-Job

とすると完了済みと中止したジョブを削除します。実行中のジョブは削除できませんが-forceパラメータを使って強制削除することは可能です。

ジョブの実行結果データを取得するにはReceive-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Receive-Job

とすると完了済みのジョブのうち、結果を返却しているもの(HasMoreDataがTrueのジョブ)があればその結果を表示します。-keepパラメータをつければ結果データを保持しますが付けてない場合は参照後破棄します。

*-Job系のコマンドレットの多くはJobオブジェクトを返却するので、パイプラインでどんどん繋げていけます。

Get-Job|Wait-Job -timeout 10|Receive-Job

のように。

ジョブの基本的な使い方に関して詳しくはabout_jobsを参照してください。

イベントサブスクライブ

PowerShell 2.0では.NET Frameworkのオブジェクトのイベントをサブスクライブすることができます。すなわちイベントハンドラを記述することができます。このイベントサブスクライブ機能もジョブ機能を元に構築されています。

たとえばTimerオブジェクトのElapsedイベントをサブスクライブし、タイマーの実行間隔(ここでは1秒)ごとにtest.txtファイルに乱数を追記していくサンプルは次のようになります。

$timer=new-object System.Timers.Timer
$timer.Interval=1000
Register-ObjectEvent -EventName Elapsed -SourceIdentifier test -Action {get-random|add-content c:\users\daisuke\test.txt} -InputObject $timer
$timer.Enabled=$true

Register-ObjectEventの結果、新しくジョブが生成しそのJobオブジェクトが返却されます。このジョブは-EventNameパラメータで指定したイベントが発生するたび、-Actionパラメータで指定したスクリプトブロックを実行します。

なお、イベントサブスクライブを解除するには

Unregister-Event test

のように-SourceIdentifierパラメータで指定した値を指定してUnregister-Eventコマンドレットを実行することで可能です。サブスクライブを解除してもジョブ自体は削除されない(StateがStoppedになるだけ)ので、必要であればRemove-Jobで削除します。

なお.NETオブジェクトの他にPowerShellスクリプトのカスタムイベント(Register-EngineEvent)、WMIオブジェクトのイベント(Register-WmiEvent)をサブスクライブすることもできます。これらのコマンドレットも同様にイベント発生時の処理をジョブとして登録します。詳しくは各コマンドレットのヘルプを参照してください。

リモートコンピュータでのジョブ実行

最初に述べたとおりPowerShellのジョブ機能はリモートインフラストラクチャの上に構築されています。よってローカルのみならずリモートコンピュータに対してジョブを実行することができます。もちろんリモートコンピュータにもリモート構成されていることが条件です。

基本はInvoke-Commandコマンドレットを用い、

$job=Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

となります。これで{}内の処理がリモートコンピュータ上のPowerShellインスタンスで実行されます。-asJobパラメータをつけることでジョブとして(ローカルPCから見て)非同期に処理できますが、-asJobパラメータを省略すると同期的に実行されます。この場合ジョブは作成されず、リモートでの処理が終了するまでローカル側は待機することになります。

リモートコンピュータに接続するための資格情報を別途入力する必要がある場合は-credentialパラメータを使用します。

Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob -credential ユーザー名

とするとパスワードを入力するダイアログが表示されます。なお、スクリプトで動かすときなどあらかじめ入力したパスワードを指定したい場合の方法は以前書きました

同じコマンドを複数のリモートPCで同時実行することも可能で、その場合は-computerNameパラメータにリモートコンピュータ名の配列を指定します(「,」区切り)。この場合ローカルPCで見えるジョブとしては1つですが、そのジョブにリモートコンピュータの数だけ子ジョブ(ChildJobs)が作成されています。

このように子ジョブが複数ある場合にReceive-Jobするときは

$job|Receive-Job -location リモートコンピュータ名

あるいは

$job.ChildJobs

として表示される子ジョブの名前(Name)を調べ、

Receive-Job -name 子ジョブの名前

とすることでリモートコンピュータごとに結果を取得できます。

すべての結果をまとめて取得するなら

Receive-Job $job

とします。

$job|Receive-Jobはなぜか駄目なようです。

固定セッションを用いたリモーティング

同じリモートPCに対して何度もコマンドを実行させたい場合、毎回リモートコンピュータ名を指定してセッションを張るのは非効率的なので、リモートセッションを確立したあとその固定セッションを何度も使用する方法が用意されています。新しく固定セッションを確立するにはNew-PSSessionコマンドレットを用い、

$session=New-PSSession リモートコンピュータ名

とすると固定セッションが確立され、$session変数にそのセッションオブジェクトが格納されます。あとは

Invoke-Command $session {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

とすればそのたびにそのセッションを用いてリモートでコマンドを実行できるようになります。

ここまでの説明はリモートコンピュータでしてきましたが、ローカルコンピュータに対して固定セッションを張ることも可能です。

さらに、Enter-PSSessionコマンドレットを用いると作成したセッションに入ってリモートコンピュータ上のPowerShellを対話実行することも可能です。

Enter-PSSession $session

とすると、プロンプトが

PS カレントディレクトリ>

から

[リモートコンピュータ名]: PS カレントディレクトリ> 

に変化し、以降リモートのPowerShellをローカルPCから対話実行できます。

なおこの状態から抜けるにはexitもしくはExit-PSSessionと入力して実行します。

ジョブ実行できるそのほかのコマンドレット

これまで述べたコマンドレット以外にも、いくつかのコマンドレットはジョブ実行(ローカルorリモート)することができます。ジョブ実行するには-asJobパラメータを使用します。以下にv2の段階で-asJobパラメータが定義されているそのほかのコマンドレットを示します。

これらのコマンドレットはコマンドレット自体にジョブ実行機能がついているので、単独で実行するだけならStart-JobやInvoke-Commandを用いる必要がありません。v2ではWMIを扱うコマンドレットにのみ-asJobパラメータが存在するようです(ここに挙げたコマンドレットはすべてWMIの機能を呼び出すもの)。なお、-asJobパラメータが使用できるコマンドレットの一覧を取得するのに、fsugiyamaさんの1日目の記事の問15のスクリプトを使用させていただきました。

おわりに

PowerShell Advent Calendar 2011二日目は、PowerShellのバックグラウンドジョブ機能概要についてまとめてみました。実はバックグランドジョブ機能のTipsを書こうと思ってその前ふりとして書き始めたのですが、これだけでかなりの量になってしまったので概要だけ一記事としてまとめることにしました。おそらくPSアドベントカレンダーに私はあと何回か登場することになりそうですので、Tips編はその際に書こうと思います。

さて、明日三日目は@jsakamotoさんのご登場ですね。よろしくお願いします!

そして参加者はまだまだ募集中ですよ!→PowerShell Advent Calendar 2011


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