2015/09/07
本当は怖いPowerShell その2 コマンド名の"Get-"補完
Twitterでこんな問題を出してみました。
PowerShell検定中級編。以下を実行するとそれぞれ何が起こるか。 @ &{} A &{process} B &{process{}} C &{process{process}} D &{process{process{}}}
? 牟田口大介 (@mutaguchi) September 7, 2015
以下、解答になります。
@ &{}
結果
何も出力されません。
解説
空のスクリプトブロック{}を実行演算子&で実行しています。空なので何も出力はありません。
A &{process}
結果
「'process' の後にステートメント ブロックがありません。」というパーサーのエラーになります。
解説
PowerShellのスクリプトブロックは、beginブロック、processブロック、endブロックを内包します。スクリプトブロック直下にparamブロック、DynamicParamブロック、beginブロック、processブロック、endブロック(他にもあったかも)以外のステートメントを記述すると、Endブロック内に記述されたものと暗黙的に解釈されます。
この場合、スクリプトブロック直下にprocess…と書き始めたので、パーサーはprocessブロックが開始されたと判断しますが、続くステートメントブロック{}(≠スクリプトブロック)の記述がないため、構文エラーとなります。
B &{process{}}
結果
何も出力されません。
解説
パーサーはAのように解釈しますが、今回はステートメントブロック{}がきちんと記述されているので、エラーなく解釈されます。
processブロックは、パイプライン入力がない場合でも1回実行されますが、この場合、中身は空なので、@と同様、何も出力はありません。
C &{process{process}}
結果
Get-Processコマンドレットが実行され、プロセス一覧が表示されます。
解説
・パーサーの挙動
Bまでの解説の通り、&{process{…}}とすると、…の部分が1回実行されます。今回はprocessブロック内に「process」と記述しているので、Aのようなパーサーエラーは発生せず、「process」がステートメントとして実行されます。
さて、PowerShellのステートメント(文)には「For」とか「If」とかと並列して、「パイプライン」が存在します。「パイプライン」には1つの「式」もしくは複数の「コマンド」が含まれます。
たとえば、「Get-ChildItem | Select-Object Name」というパイプラインには「Get-ChildItem」と「Select-Object Name」という2つのコマンドが含まれます。
(ちなみに、「式」とは「$x+1」とかの、値を返すもののことです。PowerShellではパイプラインの最初の要素にのみ、「コマンド」ではなく「式」を記述することができます。)
今回のお題では、「process」はprocessブロック下に記述されており、ForやIf等のステートメントではないのでパイプラインとして扱われます。このパイプラインには1つの要素のみ含まれていますが、式ではないので、コマンドとして解釈されます。
・コマンド探索の挙動
PowerShellの「コマンド」は、関数、コマンドレット、ワークフロー、Configuration、ファイル(実行ファイル、スクリプトファイルを含む)、&演算子で実行するスクリプトブロック等が挙げられます。
コマンドの探索は、まずコマンドへのエイリアスを探します。ない場合は、関数名orコマンドレット名を探します。それでもない場合は、実行ファイルやスクリプトファイルの拡張子(.exe、.ps1等)を付与してパスの通ったディレクトリを探します(ちなみにカレントディレクトリにあったとしても、相対パスor絶対パス表記でない場合は実行しません)。
さて、ここからが「本当は怖い」ところなんですが、ここまで探索してコマンドがなかった場合、与えられたコマンド名に"Get-"を付与してもう一度探索します。
今回のお題では、processという名前のコマンドを探して、もしパスが通ったフォルダにprocess.exeとかがあればそれが実行されますが、ない場合はGet-Processというコマンド名を探します。
もちろん、Get-Processというコマンドレットは標準で存在するので、それが実行されてしまう、というわけでした。
(ちなみにPowerShell 3.0以降なら、Get-付与で見つからない場合、さらにCmdlet Auto Discoveryにより未ロードのモジュールを探します。)
コマンド探索の詳細な挙動は、Trace-Command -Expression {コマンド} -Name CommandDiscovery -PSHost とすると調べられるので、見てみるのもいいかもしれません。
D &{process{process{}}}
結果
「Get-Process : パラメーター 'Name' を評価できません。その引数がスクリプト ブロックとして指定され、入力が存在しないためです。スクリプト ブロックは、入力を使用せずに評価できません。」というParameterBindingExceptionが発生します。
解説
・パーサーの挙動
Get-Processが実行され(ようとす)る理由についてはCまでの理解でOKでしょう。
さて、Get-Processコマンドレットには-Nameという、プロセス名を指定する位置パラメータが存在します。位置パラメータは、パラメータ名を指定せずパラメータ値のみを指定しても、指定順にパラメータにバインドしてくれる機能を持ちます。
たとえば、Get-Process powershell とすると、「Get-Process -Name powershell」が実行されます。
今回のお題「process{}」は、パーサーによってまず、コマンド名「process」と、パラメータ値「{}」(空のスクリプトブロック)に分割されます。
(ちなみにコマンド名に「{}」を含めることができないわけではなく、そういうコマンドを実行したい場合は、`でエスケープするか、&"command{}name"のように&演算子を用いれば可能です。)
今回の場合、パラメータ名の指定はありませんが、位置パラメータ-Nameに空のスクリプトブロックがバインドされることになるわけです。
・コマンドパラメータバインドの挙動
さて、-Nameパラメータの型は、System.String[]であり、scriptblockではありません。もちろんscriptblockからSystem.String[]への暗黙の型変換はありません。でもエラーメッセージ的には、スクリプトブロックを与えたこと自体は咎めていないように思えますね。
実はこれ、スクリプトブロックパラメータと呼ばれてる機能です。詳しくはスクリプトブロックパラメータのススメを見ていただくとして、要はコマンドへのパイプライン入力を、指定のスクリプトブロックで処理し、その出力結果をパラメータ値としてバインドする機能ですね。
今回エラーになった理由は、スクリプトブロックパラメータとして解釈しようとしたが、そもそも入力がなかったから、ということになります。
あまり意味はないですが、以下のように入力を与えてやれば、スクリプトブロックパラメータとして動作します。
"powershell" | Get-Process -Name {$_}
この場合パイプライン入力が追加されるので、-Nameパラメータの指定位置がずれることになるので、パラメータ名が必要になります。また、スクリプトブロックが空だと、「パラメーター 'Name' を評価できません。その引数の入力によって出力が作成されなかったためです。」というエラーをご丁寧に出してくれます。Trace-CommandでParameterBindingソースをトレースしてみるのも一興でしょう。
ちなみにあまり関係ない余談ですが、-NameパラメータにはValueFromPipelineByPropertyName属性が付いているので、実は以下のような指定もできます。
[PSCustomObject]@{Name="PowerShell"} | Get-Process
まとめ
PowerShellパーサーと飲むとき、話の肴にどうですかね。
See also: 本当は怖いPowerShell その1
2014/10/12
「PowerShellコマンドの書き方」セッション資料とデモ用コード公開(PowerShell勉強会#4@大阪)
昨日10/11のPowerShell勉強会#4にお越しいただいた方、どうもありがとうございました。スタッフ一同、これからも定期的に開催していこうと考えておりますので、ぜひともよろしくお願い致します。
私のセッション資料を公開します。わんくま横浜で行ったものとほとんど同じですが、v5関係のスライドを少しだけ修正しています。
今回は高度な関数とコマンドレットの作り方を主に取り上げていますが、要するに、PowerShellコマンドはPowerShellスクリプトでもC#でもほぼ同じようにして同じようなものが書ける、ということなのです。なので、基本を押さえればどちらにも対応可能です。
両者は状況に応じて使い分ければOKかと思います。PowerShellよりC#が得意、というならばコマンドレットを書くと良いですし、スクリプト的なお手軽なコードで書きたい場合は高度な関数、とかですね。
速度が求められる部分とか、.NETアセンブリを多用する部分だけコマンドレットにして、他を高度な関数にする、あるいは、主要部はコマンドレットにして、その他はコマンドレットのラッパー的な高度な関数を用意する、のように両者を組み合わせたモジュールもよくあります。
以下はデモ用のサンプルスクリプトです。高度な関数の雛型的なものになります。使い方はスライド本文を参照してください。
function Get-Foo { [CmdletBinding()] param([string[]]$Name) end { foreach($n in $name) { $out = [pscustomobject]@{ Name = $n No = 0 } # PSCustomObjectのインスタンスに型名を付ける $out.PSTypeNames.Insert(0, "Winscript.Foo") $out } } } function Set-Foo { [CmdletBinding()] param( [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)] [PSObject[]] $InputObject, [parameter(Position=1)] [string] $Property, [parameter(Position=2)] [PSObject] $Value, [switch] $PassThru ) process { foreach($o in $InputObject) { $o.$Property = $Value if($PassThru) { $o } } } } # C#によるクラス定義 Add-Type -TypeDefinition @" using System; namespace Winscript { public class Foo2 { private string _name; private int _no; public Foo2(string name) { _name = name; _no = 0; } public string Name { get{ return _name; } set{ _name = value; } } public int No { get{ return _no; } set{ _no = value; } } } } "@ function Get-Foo2 { [CmdletBinding()] param([string[]]$Name) end { foreach($n in $name) { New-Object Winscript.Foo2 $n } } } function Set-Foo2 { [CmdletBinding()] param( [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)] [Winscript.Foo2[]] $InputObject, [parameter(Position=1)] [string] $Property, [parameter(Position=2)] [PSObject] $Value, [switch] $PassThru ) process { foreach($o in $InputObject) { $o.$Property = $Value if($PassThru) { $o } } } }
以下はデモで用いたC#のコードです。コマンドレットクラスの雛型的なものになっています。ビルドの際はSDKに含まれるPowerShell関係のdllを参照設定してください(詳しくはスライド)。また使用する際は、Import-Module ビルドで生成したdllのフルパス を実行してインポートして下さい。以下の例だとGet-Baz、Set-Bazの2コマンドレットがインポートされます。
using System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; using System.Management.Automation; namespace Winscript { [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "Baz")] public class GetBazCommand : Cmdlet { [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)] public string[] Name { get; set; } protected override void ProcessRecord() { foreach (var n in Name) { WriteObject(new Baz(n)); } } } [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "Baz")] public class SetBazCommand : Cmdlet { [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)] public Baz[] InputObject { get; set; } [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)] public string Property { get; set; } [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)] public PSObject Value { get; set; } [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false)] public SwitchParameter PassThru { get; set; } protected override void ProcessRecord() { foreach(var o in InputObject) { if (Property == "No") { o.No = (int)Value.BaseObject; } else if(Property == "Name") { o.Name = (string)Value.BaseObject; } if (PassThru) { WriteObject(o); } } } } public class Baz { private string _name; private int _no; public Baz(string name) { _name = name; _no = 0; } public string Name { get { return _name; } set { _name = value; } } public int No { get { return _no; } set { _no = value; } } } }
2014/09/09
[Friendly] 任意ウィンドウのコントロールのテキストを読み書きするコマンドレット
8/23わんくま横浜勉強会で、PowerShellコマンドの書き方というセッションをしたのですが、その際、株式会社Codeerさんが公開されているFriendlyというライブラリを使ったコマンドレットを動作させるデモを行いました。
準備の時間がなくて、突貫工事で作ったサンプルで恐縮ですが、公開することにします。(一応動かしてみたら動いた、レベルのものなのであしからず…)
コード
using System; using System.Diagnostics; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; using System.Management.Automation; using Codeer.Friendly.Windows; using Codeer.Friendly.Dynamic; using System.Windows.Forms; namespace Winscript { [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "FormControlText")] public class GetFormControlTextCommand : Cmdlet { [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)] public string[] ControlName { get; set; } [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)] public Process Process { get; set; } protected override void ProcessRecord() { var _app = new WindowsAppFriend(this.Process); dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle); foreach (var c in form.Controls) { if (ControlName == null || ControlName.Contains((string)c.Name)) { WriteObject((string)c.Text); } } } } [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "FormControlText")] public class SetFormControlTextCommand : Cmdlet { [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)] public string ControlName { get; set; } [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)] public string Text { get; set; } [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)] public Process Process { get; set; } protected override void ProcessRecord() { var _app = new WindowsAppFriend(this.Process); dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle); foreach (var c in form.Controls) { if (ControlName == (string)c.Name) { c.Text = Text; } } } } }
ビルド方法
- Windows 8.1 SDK をインストールする。
- Visual Studio 2010以降でC#のクラスライブラリを新規作成する。
- C:\Program Files (x86)\Reference Assemblies\Microsoft\WindowsPowerShell\3.0 にある.dllを参照設定する。
- 対象フレームワークを.NET 4.5、対象プラットフォームをx64にする。
- 上記のコードを貼り付ける。
- NuGetでFriendlyおよびFriendly.Windowsを追加する。
- ビルドする。
使用方法
上記をビルドして生成したDLLにはGet-FormControlTextと、Set-FormControlTextの2つのコマンドレットが含まれます。
# コマンドレットのインポート Import-Module "dllのフルパス" # 操作対象のプロセスオブジェクト取得 $p = Get-Process WindowsFormsApplication1 # プロセスを指定して、すべてのコントロールのテキストを取得 Get-FormControlText -Process $p # プロセスとコントロール名を指定して、テキストを取得 Get-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1 # 位置パラメータなので以下のようにも書ける Get-FormControlText $p textBox1 # パイプラインからプロセスオブジェクトを入力することもできる $p | Get-FormControlText -ControlName textBox1 # プロセスとコントロール名を指定して、テキストを変更する Set-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1 -Text Wankuma Set-FormControlText $p textBox1 Yokohama $p | Set-FormControlText -ControlName textBox1 -Text 6
制限事項
フォーム直下に配置されたコントロールしか取得できない(と思います)。
Windows Formアプリケーションにしか対応していない(と思います)。
x64アプリしか操作できない(と思います。x86用はアセンブリを分ける必要がある??)。(←9/9追記)
コントロール名指定はCase sensitiveでワイルドカード不可です。(この辺ただの手抜きですが)
今後の方針?
上のコードをみてもらえればわかると思いますが、ちょっと触ってみたら一応動くものができるくらい、Friendlyは分かりやすいです。皆さんもぜひ使ってみてください。
本来は、テキストじゃなくてコントロールそのものをGetしたりSetしたりInvoke(クリックとか)したりできるようにしたかったんですが、Controlはシリアル化できないオブジェクトなので、Friendlyで実物を持ってきてコマンドレットに出力する、というのは無理でした。何らかのプロキシオブジェクトみたいなのでラップしたりすれば良いかと思います。
それにしてもPowerShellとFriendlyの組み合わせはものすごい可能性を秘めている予感がします。
システム管理方面では…
セッションでもやりましたが、PowerShellコマンドレットベースのアプリケーションを作ると、GUIとCUIのいいところどりが出来る、とはいうものの、コマンドインターフェースがなくGUIオンリーのアプリケーションはまだまだたくさんあるのが現実かと思います。そういうアプリケーションも、PowerShellデフォルトの機能のみではつらいですが、上記のようにFriendlyを併用すれば、GUI操作の自動化が容易になると思います。
開発方面では…
C#でFriendlyを使ったGUIのテストコードを書く以外に、上記のようなFriendlyの機能をラップしたコマンドレットを用意することで、PowerShellスクリプトでもテストコードを書くことができるようになると思います。その際、Pester等のPowerShell用テストフレームワークを併用すると、より一貫したテストコードが記述できるようになるんじゃないかと思います。
いずれは(いつ?)、Friendlyの機能をラップしたコマンドレット群をきちんと設計、実装して、モジュールとして公開したいですね!
2014/04/30
IEを使わずにWebブラウザをダウンロードする・PowerShell編
はじめに
IE6〜11まで、要するに現行のIEすべてを対象とするやばげなゼロデイ脆弱性がみつかり、パッチ公開までIE以外のブラウザを使いましょうという通達が出たり出なかったりしている昨今のようです。
その文脈で、IE以外のWebブラウザをダウンロードするのにIEを使うしかない!もう死ぬしか…みたいな(本気なのか冗談なのか判断が付きかねる)反応を散見します。
実際のところはWebブラウザを探してダウンロードする位はIE使えばいいと思いますが、IE使わないでいかにWebブラウザをダウンロードするか、を考えるのが、Twitter等で一種の大喜利のようになっています。
ftp.exeを使う、wgetなどのコマンドラインツールを使う、ペイントのファイルダイアログを使う(?)等々いろいろな案がありますが、皆なぜPowerShellを使わないんだ。ということで、書きます。
なお、WebブラウザのダウンロードURLはご自分でお調べください。こちらの方の記事が参考になるかと。
Invoke-WebRequestコマンドレットを使う
一番普通のやり方としては、Invoke-WebRequestコマンドレットを使う方法ですね。
Invoke-WebRequest https://アドレス/setup.exe -OutFile setup.exe
これを実行するとファイルがダウンロードされて、カレントディレクトリにsetup.exeというファイルが生成されます。フルパス指定でももちろんOKです。
なお、Invoke-WebRequestコマンドレットはHTMLのDOMパース時のみIEコンポーネントを用いるのですが、-OutFileパラメータ使用時はパースしないのでおそらくIEとは無関係で実行できると思います。(注:IEコンポーネントによるDOMパースを抑制するには、-UseBasicParsingパラメータを付加します)
Invoke-WebRequestコマンドレットはPowerShell 3.0から追加されたコマンドレットなので、3.0が同梱されているWindows 8、4.0が同梱されているWindows 8.1では特に何もせずに利用可能です。
ちなみにInvoke-WebRequestコマンドレットはデフォルトエイリアスとしてiwrが定義されているので、iwrでも呼び出せます。PowerShell 4.0ではそれに加えてwget、curlもエイリアス定義されていたりします。(このエイリアス定義は賛否両論ですけどね)
Windows 7の場合はPowerShellのデフォルトのバージョンは2.0なので、3.0以上を追加で入れる必要があります。Vistaは2.0までしか入らないので残念でした。
Start-BitsTransferコマンドレットを使う
Windows 7以上であればBITS(バックグラウンド インテリジェント転送サービス)の機能がPowerShellコマンドレットから利用できます。BITSはその名の通り、ネットワーク帯域の空き部分を有効活用してファイルを転送するかしこいサービスで、Windows Update等で用いられています。ファイル転送のプロトコルとしてはSMBとHTTP(S)をサポートしてるので、Webサイトからファイルをダウンロードするという用途で使うことができます。
ダウンロードを開始するには、Start-BitsTransferコマンドレットを使います。
Import-Module BitsTransfer Start-BitsTransfer https://アドレス/setup.exe setup.exe
Windows 7標準のPowerShell 2.0だと、Cmdlet Auto Discoveryの機能が働かないため、上記のようにImport-Moduleコマンドレットによる明示的なモジュールロードが必要ですが、PowerShell 3.0以降では不要です。
BitsTransferモジュールには他にもコマンドレットがあり、非同期転送等できたりするので興味のある方はヘルプをみてください。こちらの記事も参考になるかと:PowerShell: ◆Bits転送2
WebClientオブジェクトを使う
今回の大喜利(?)でPowerShellを用いてファイルダウンロードする方法というのもいくつか見かけたのですが、WebClientを使う方法が殆んどだったように思います。まあ今回の記事を書いた動機としては、今はもうWebClient使わなくても標準のコマンドレットでできるよ!ということなんで敢えてここでは書きません。次のツイートを参照して下さい:Twitter / tanakh: IEを使わずにFirefoxをダウンロードする方法、Powe ...
おまけ:chocolateyを使う
あまりPowerShellとは関係ないのですが、そもそもWindowsにはapt-getみたいなパッケージ管理システムはないんかい、という意見をみかけたので紹介します。ChocolateyというNuGetベースのWindows用アプリケーションのパッケージ管理ツールとリポジトリです。
このツール自体のインストールはコマンドプロンプトに、サイトトップに書いてあるコマンドをコピーペーストして実行するだけです。(このコマンド内でPowerShellを呼び出しているので関係あるっちゃある…)
あとはコマンドプロンプトで cinst GoogleChrome とかしてやるとダウンロードとインストールをしてくれると思います。
ところでchocolateyは現在のところコマンドプロンプトベースであり外部ツールですが、次期バージョンのPowerShell 5.0ではOneGetと呼ばれるパッケージ管理システムが追加され、コマンドレットでchocolateyをはじめとする様々なリポジトリからファイルを取得してインストールできるようになる予定なのでご期待ください。
2014/04/26
Get-Commandでダイナミックパラメータを表示する方法
小ネタですが。
まず、ダイナミックパラメータについてはぎたぱそ先生の記事を参照してください。要は、その名の通り動的に定義されるパラメータのことです。
ダイナミックパラメータは他の(静的な)パラメータの指定状態によってリアルタイムに定義されます。ValidateSet(値の候補リスト)だけではなく、パラメータの有無、パラメータ値の型やパラメータ名ですら変わり得ます。
一方、Get-Commandコマンドレットを使うとコマンドのパラメータや構文等の情報を取得する事ができます。しかし、ダイナミックパラメータは前述のような特性があるため、パラメータの有無、パラメータ名、パラメータ値の型が一意に定まりません。
この問題を解決するため、Get-Commandコマンドレットには-ArgumentListパラメータが用意されています。指定コマンドに与えるパラメータ値を-ArgumentListパラメータに指定すると、指定コマンド実行時にそのパラメータ値を指定した場合に定義されるダイナミックパラメータに関する情報が、出力結果に含まれるようになります。
例を挙げましょう。Get-Contentコマンドレットの-Pathパラメータは「位置パラメータ」、つまりパラメータ名を省略できるパラメータであり、パラメータ名なしで指定された一つめの値がバインドされます。つまり、 Get-Content C:\ とするとC:\(FileSystemプロバイダのパス)が-Pathパラメータにバインドされるわけです。(Get-Content -Path C:\ と同じ意味となる)
ところでGet-Contentコマンドレットは、FileSystemプロバイダでのみ有効となる-Encodingというダイナミックパラメータを持っています。「FileSystemプロバイダでのみ」というのはつまり、「カレントディレクトリがFileSystemプロバイダのパスであるか、-PathパラメータにFileSystemプロバイダのパスが指定されたとき」ということになります。
すなわち、 カレントディレクトリがC:\であったり、Get-Content C:\ と入力した瞬間、-Encodingダイナミックパラメータが定義されて利用できるようになります。
ではGet-CommandコマンドレットでGet-Contentコマンドレットの-Encodingダイナミックパラメータの情報を得るにはどうすればよいか。答えは、このダイナミックパラメータが定義されるトリガーとなるパラメータ値である「C:\」を-ArgumentListパラメータに指定してやればいいわけです。つまり 例えば
Get-Command -Name Get-Content -ArgumentList C:\ -Syntax
としてやると、Get-Contentコマンドレットの構文が
Get-Content [-Path] <string[]> [-ReadCount <long>] [-TotalCount <long>] [-Tail <int>] [-Filter <string>] [-Include <string[]>] [-Exclude <string[]>] [-Force] [-Credential <pscredential>] [-UseTransaction] [-Delimiter <string>] [-Wait] [-Raw] [-Encoding <FileSystemCmdletProviderEncoding>] [-Stream <string>] [<CommonParameters>]
のように表示され(※注:一部抜粋)、Get-Content C:\を実行するときに定義される-Encodingダイナミックパラメータも含まれていることがわかります。仮にHKLM:\等のFileSystemプロバイダ以外のパスを-ArgumentListに指定すると、
Get-Content [-Path] <string[]>[-ReadCount <long>] [-TotalCount <long>] [-Tail <int>] [-Filter <string>] [-Include <string[]>] [-Exclude <string[]>] [-Force] [-Credential <pscredential>] [-UseTransaction] [<commonparameters>]
のように表示され、ダイナミックパラメータが表示されないことが分かるかと思います。
さて、-ArgumentListは配列指定もでき、複数パラメータ値を指定した時の構文を調べることもできます。しかし位置パラメータ以外の場合、つまりダイナミックパラメータ定義のトリガーとなるパラメータにパラメータ名を指定する必要があるコマンドの場合はどうやら無理のようです。
以下はおまけです。ダイナミックパラメータのリストを表示します。-ArgumentListは指定してないので、カレントディレクトリのプロバイダの種類でのみ結果が変わります。
$cmds = Get-Command -CommandType Cmdlet,Function foreach($cmd in $cmds) { $params = $cmd.Parameters $dynamicParamNames = @() if($null -ne $params) { $dynamicParamNames = @($params.Values|?{$_.IsDynamic}|%{$_.Name}) } if($dynamicParamNames.Length -ne 0) { foreach($dynamicParamName in $dynamicParamNames) { [pscustomobject]@{ Cmdlet=$cmd Module=$cmd.ModuleName Parameter=$dynamicParamName } } } }
まあ本題とあんまり関係なくなってしまったんですが、せっかく作ったのでということで。こういうのを見ると、PowerShellはコマンドもオブジェクトなんだ、ということが分かると思います。
2011/12/19
PowerShell 3.0で追加されるバックグラウンドジョブ関係の新機能 [PS Advent Calendar '11]
はじめに
PowerShell Advent Calendar 2011の19日目の記事、そしてこれが私の記事では3回目となります。今回も前々回、前回からの引き続きでバックグラウンドジョブについての話題です。前回までは現行バージョンであるPowerShell 2.0におけるバックグラウンドジョブの機能の使い方を解説してきましたが、今回はPowerShellの次期バージョンである3.0に追加される予定の機能のうち、ジョブ関係のものをピックアップしてみます。現在PowerShell 3.0を含むWindows Management Framework(WMF)3.0のCTP2が公開されています。またWindows 8 Developer Preview / Windows Server 8 Developer PreviewにはWMF3.0 CTP1相当のPowerShell 3.0が含まれています。
注意:本記事で取り上げた内容は製品のプレビュー版をもとに記述しています。そのためリリース版では内容が一致しない可能性があることをご承知おきください。
using:ラベル
前回、ジョブに値を渡す方法について解説しましたが、-argumentListに引数として渡すというのは正直めんどうです。呼び出し元のグローバル変数を直接ジョブ側から参照したいですよね。そこでPowerShell v3では新たに変数に付けるusing:ラベルというのが追加されました。このラベルをジョブのスクリプトブロック内で使うと、呼び出し元の変数を参照することができます。具体例。
$test="PowerShell 3.0" Start-Job {$using:test}|Wait-Job|Receive-Job
とすると、「PowerShell 3.0」と表示され、たしかにジョブのスクリプトブロックから呼び出し元の変数を参照できていることがわかります。これは便利ですね。ただし残念ながらこの方法を使ってもスクリプトブロックをジョブに渡すことはできないようです。相変わらず文字列にキャストされてしまいました。
Receive-Jobコマンドレットの変更点
前々回に、Invoke-Command -asJobで複数リモートコンピュータに対してジョブを走らせた場合、そのジョブに対して$job|Receive-Jobがなぜか機能しない、と書きましたがこの問題が解決されています。そもそもなんでこの問題が発生していたのか、面白いのでちょっと解説します。
実はReceive-Jobコマンドレットの-locationパラメータに「パイプライン入力を許可する true (ByPropertyName)」フラグがついていたのが原因でした。複数コンピュータに対して実行したジョブは子ジョブを複数持ちますが、親ジョブ自体は配列ではありません。そしてそのLocationプロパティには子ジョブが実行されているコンピュータ名が"remote01,remote02,remote03"のようなカンマ区切りの文字列として格納されています。よってこのジョブオブジェクトをパイプラインを通じてReceive-Jobコマンドレットに渡すと、ValueFromPipelineByPropertyName属性が付いている-locationパラメータにジョブオブジェクトのLocationプロパティの値が渡されますが、その値はカンマ区切りの文字列なので正しく解釈されず、結果として期待の動作をしなかったわけです。
v3ではReceive-Job -locationのValueFromPipelineByPropertyName属性が取り除かれ、問題なく動作するようになりました。
他の変更点としてはReceive-Jobにジョブが完了するまで待つための-waitパラメータが追加されました。が、$job|Wait-Job|Receive-Jobと違いが分からないかも…。
Get-Jobコマンドレットの変更点
Get-Jobに-filterパラメータが追加されました。連想配列でジョブにフィルタをかけられるものです。
Get-Job -filter @{State="Completed";Location="localhost"}
where-objectを使わずともフィルタできるので便利、かも。しかし個人的には-filterパラメータはいろんなコマンドレットで定義されているものの、使い方がそれぞれ異なるのがとてもとてもイヤです。まず覚えられないのでヘルプを引くところから始まっちゃいますので。パフォーマンスの関係上、Where-Objectを使うよりコマンドレット内部でフィルタしたほうが速くなるというのはわかるのですが、もう少しフィルタ方式に統一性を持たせられなかったんだろうかとか思いますね。
Get-Jobにはほかに-afterと-beforeというパラメータが追加されています。これは後述するPSScheduledJobの完了時刻をDateTimeで範囲指定し、フィルタするものです。
PowerShell Workflow
PowerShell3.0というかWMF3.0のおそらく目玉機能の一つがPowerShell Workflowです。文字通り、PowerShellでワークフローが記述できるようになります。
Workflowは関数の一種なのですが、長時間を要するタスクやリモート実行や並列実行などで使うことを主目的としているようです。functionキーワードの代わりにworkflowキーワードでワークフローを定義すると、自動的に実行対象コンピュータ名や資格情報といったパラメータが複数定義されるので、これらのパラメータを特に定義なしで利用することができます。またworkflow内ではparallelブロックを定義でき、その中に記述された各行は並列に実行されます。またfor/foreachステートメントで-parallelパラメータが利用可能になり、繰り返し処理やコレクションの列挙を並列して行うことができるようになります。
自動定義されるパラメータに-asJobがあり、これを利用するとworkflowをジョブとして実行できます。このジョブは通常のジョブとは違い、新たに追加されたSuspend-JobコマンドレットとResume-Jobを使うことによって、ジョブの一時中断と再開ができます。このジョブの中断と再開は、リモートコンピュータ上でワークフローを走らせてるときでも可能ですし、中断後リモートセッションが切断されたあとに再開することもできますし、リモートコンピュータがシャットダウンしても再起動後にジョブを再開することまでできてしまいます。これらはWMFにおけるリモート基盤を支えているWinRMの最新バージョン、WinRM3.0が実現している機能です。このようにセッションを再接続してもタスクを継続できるような接続をrobust(堅牢な), resilient(弾力性のある、障害から容易に回復する) connectionと称しているようです。
PowerShell WorkflowはWindows Workflow Foundation(WF)と密接な関係があり、WFのデザイナで作ったxamlをPS Workflowに変換したり(逆もできる?)、Invoke-Expressionでxamlを実行したりできるらしいです。WF側でもPowerShellの多くの機能がアクティビティとして使用できたりして、WFとPowerShellがWMFというシステム管理フレームワークの主要なパーツとして密に連携していくようです。このあたりの話はWFの専門家であるAhfさんがPSアドベントカレンダーの23日目にしてくださる予定なので、楽しみですね!
なおPS Workflowは従来のPSスクリプトとは異なった利用状況を想定しているため、あるいはWFの機能と合わせるため、PSスクリプトではできるのにPS Workflowではできないことがとてもたくさんあります。forの中でbreakやcontinueステートメントが使えないとかStart-Sleepは-Secondパラメータしか指定できない(ミリ秒単位でスリープかけられない)とか色々あります。そのうちPS WorkflowとPSスクリプトの違いというドキュメントが公開されるんじゃないかと思います。
ちなみにWinRM3.0のおかげでワークフローではない通常のリモートジョブでも、New-PSSessionで作成したセッションの中でジョブを実行した場合、そのジョブが動作しているコンピュータへのセッションを切断(Disconnect-PSSession)したあと、セッションに再接続(Connect-PSSessionやReceive-PSSession)すればジョブの結果を取得したりすることができます。またセッションを作製したインスタンス(powershell.exe)でそのセッションを切断すると、それ以降は別のインスタンスやコンピュータからそのセッションにConnect-PSSessionで接続することができます。
ScheduledTasksモジュール
PowerShell3.0が含まれる次期Windowsでは大量のモジュールが追加され、それらのモジュールに含まれるコマンドレットの総数はWindows 8でも2000を超える膨大な量になります。これはWindows 8やWindows Server 8では従来のコマンドプロンプトから実行するコンソールexeコマンドのほとんどすべてをPowerShellコマンドレットに置き換える措置のためです。もちろん従来のコマンドは互換性のために残されますが、netsh.exeなど一部のコマンドではPowerShellへの移行を促すメッセージが表示されたりするようになるようです。参考:Window 8の機能の概要 − @IT
ScheduledTasksモジュールというタスクスケジューラを扱うモジュールもWindows 8 / Windows Server 8に新しく追加されるモジュールの一つで、schtasks.exeを置き換えるものとなります。これまでPowerShellでタスクスケジューラを扱うにはschtasks.exeを使うか、WMIのWin32_ScheduledJobを使う必要があり面倒でしたが、このモジュールに含まれるコマンドレットを用いるとそれが容易に行えるようになります。たとえば「notepad.exeを毎日朝10:00に起動する。バッテリ駆動のときでも実行」というタスクを「test」という名前で登録するには、
$action = New-ScheduledTaskAction -Execute "notepad.exe" $trigger = New-ScheduledTaskTrigger -At "10AM" -Daily $setting = New-ScheduledTaskSettings -AllowStartIfOnBatteries New-ScheduledTask -action $action -trigger $trigger -setting $setting|Register-ScheduledTask -TaskName test
とすれば可能であるはずです。実はServer 8 Developer Preview版ではこのコードは機能しません。タスクのトリガを作成するNew-ScheduledTaskTriggerコマンドレットが正しいオブジェクトを作ってくれないのです。これは将来のバージョンできっと修正されるかと思います。ただトリガを定義する部分をはずせば(あんまり意味はないですが)このコードは動作するので、やり方はたぶんあってると思います。
Register-ScheduledTaskコマンドレットには-asJobパラメータがあり、タスクスケジューラへの登録をジョブとしてバックグラウンドで行うことができます。ScheduledTasksモジュールはWMIを利用してタスクスケジューラを操作するので、ほかのWMI関係のコマンドレットと同様ですね。
なおScheduledTasksモジュールはデフォルトでは読み込まれていないので、使用するには本来Import-Moduleコマンドレットを使用しなければならないところですが、PowerShell3.0のCmdlet Discoveryという機能によりImport-Moduleは実行しなくてもScheduledTasksモジュールに含まれるコマンドレットを利用することができます。Cmdlet Discoveryとは現在読み込まれていて実行可能なコマンドレットの中にない、未知のコマンドレットを実行しようとしたとき、Modulesフォルダに存在するモジュールから同名のコマンドレットが定義されているものを探し出し、発見できたらそのモジュールを読み込んだうえでコマンドレットを実行するという優れた機能です。初回だけモジュールの検索とロードの手順が実行されるので待たされますが、一度Cmdlet Discoveryによってモジュールがシェルに読み込まれればあとは快適にコマンドレットを実行できるようになります。
PSScheduledJobモジュール
ScheduledTasksモジュールは-asJobパラメータが定義されているくらいで実はそれほどPowerShellのジョブとは関係ないのですが、ScheduledTasksモジュールが内包しているPSScheduledJobモジュールはPowerShellのジョブ機能と大いに関係があります。
従来PowerShellスクリプトをタスクスケジューラに登録するにはコマンドラインに"powershell.exe"を、引数に"-file hoge.ps1"を指定して、みたいなまわりくどいことをする必要がありました。しかし新しく追加されるPSScheduledJobモジュールに含まれるコマンドレット群はこの問題を解消します。PowerShellスクリプト(.ps1)あるいはスクリプトブロックをPSScheduledJobとして直接タスクスケジューラに登録できるようになり、PowerShellとタスクスケジューラのシームレスな連携を実現します。こちらはWindows 8/Server 8に付属のモジュールではなく、PowerShell 3.0に付属のモジュールなので、Win7などでも使用可能になる予定です。
使用例を見ていきましょう。
$triggers = @() $triggers += New-JobTrigger -at "2012/01/01 11:11:10" -Once $triggers += New-JobTrigger -at "10:00" -Daily $sb = { "This is Scheduled Job." Get-Date } Register-ScheduledJob -ScriptBlock $sb -Trigger $triggers -Name ScheduledJobTest1
まずNew-JobTriggerコマンドレットによってトリガー(具体的には実行時刻など)を定義します。ここでは決められた時刻に1回実行するものと、毎日同じ時刻に実行するものの2つを定義してみました。そしてこれらの時刻に実行したい内容をスクリプトブロックに記述し、これらをRegister-ScheduledJobコマンドレットで登録してやります。
するとこのスクリプトブロックはタスクスケジューラに登録され、指定時刻になると指定したスクリプトブロックの内容が実行されます。このタスクは「タスクスケジューラ― ライブラリ\Microsoft\Windows\PowerShell\ScheduledJobs」に登録されています。
このタスクのアクションは具体的には次のようになっています。
powershell.exe -NoLogo -NonInteractive -WindowStyle Hidden -Command "Import-Module PSScheduledJob; Start-Job -DefinitionName 'ScheduledJobTest2' -DefinitionPath 'C:\Users\Administrator\AppData\Local\WindowsPowerShell\ScheduledJobs' -WriteToStore | Wait-Job"
これによると、指定時刻に実際にタスクスケジューラによって実行されるのはpowershell.exeであり、Start-Jobコマンドレットを使って登録したスケジュールをPowerShellのジョブとして実行していることがわかります。Start-Jobコマンドレットの-DefinitionNameパラメータなどはPSScheduledJobのために追加されたもので、これによりRegister-ScheduledJobが出力したPSScheduledJob定義をファイルから読み込んでジョブとして実行できるようになっています。PSScheduledJob定義とジョブの出力は-DefinitionPathで指定されているフォルダの下にxmlファイルとして保存されているので興味がある方は覗いてみるといいかもしれません。
さて、スケジュールしたジョブの実行結果はどうやって受け取ればいいのでしょうか。実はこれはすごく簡単で、PSScheduledJob(ここではScheduledJobTest1という名前で定義しました)がタスクスケジューラによって一度以上実行された後は、
$job=Get-Job -name ScheduledJobTest1
とすることでJobオブジェクトとして取得することができるようになります。あとは通常のジョブと同じ取り扱いができるので、
$job|Receive-Job
などで実行結果を取得できます。
ちなみにPSScheduledJobはそれを定義したインスタンス以外でも参照することができます。具体的にはpowershell.exeでジョブをスケジューリングして終了→また別のpowershell.exeを立ち上げてimport-module PSScheduledJobしたあとGet-Job|Receive-JobしてPSScheduledJobの結果を参照、みたいなことができます。
ここで紹介した一連の操作ではスクリプトブロックをPSScheduledJobにしましたが、Register-ScheduledJobコマンドレットの-FilePathパラメータを用いれば.ps1ファイルをPSScheduledJobとして登録することも可能です。
現行バージョンのPowerShellはとにかく起動が遅いため、タスクスケジューラにスクリプトを登録しても実行が始まるまで何十秒も待たされるなどはざらでしたが、PSv3は起動がずいぶん速くなり、スペックや状況にもよるとは思いますがpowershell.exeの起動後ほんの数秒でスクリプトが走り始めます。この速度のおかげもあってPSScheduledJobはきっととても有効に機能するんじゃないかと思います。
おわりに
今回はPowerShell 3.0で増強されるバックグラウンドジョブ関係の機能をまとめてみました。これらの新機能のおかげで、時間のかかる処理や定期実行する処理を扱うのが飛躍的にやりやすくなりそうです。PowerShell 3.0で追加される機能は他にもたくさんあって、このブログでもいつか全部紹介したいと思ってるのですが、今回取り上げたジョブ関係はその中でもかなり重要な機能増加を多く含んでいると言えるでしょう。PowerShell 3.0やWindows 8/Server 8のリリースに備えてジョブ関係から予習しておくのは悪くないと思いますよ。
なんか25日のアドベントカレンダーのうち3回もバックグラウンドジョブネタをやって、PSアドベントカレンダーというより私だけ一人でPSジョブアドベントカレンダーをやってる感じでちょっと申し訳ないんですが、どうか許してください。そして前回は今回で終了するって言ってたんですが、実はまだジョブ関係の小ネタが残ってるので最終日25日にさせてください。では今日のところはこのへんで。明日はwaritohutsuさんの登場です。よろしくお願いします。
2010/02/22
[PSv2]PowerShell 2.0で新しく追加されたコマンドレットとパラメータの列挙
PowerShell 2.0では標準コマンドレットの数が1.0の129個から236個へと、107個増えています。また、既存のコマンドレットの一部にパラメータが増えています。そこで、2.0で新しく加わったコマンドレットと、新しく追加されたパラメータを列挙するスクリプトを作ってみました。
まず、1.0がインストールされている環境で、コマンドレットのリストをXMLに書き出します。次のコマンドを実行してください。
get-command -type cmdlet|export-clixml cmdlets1.xml -depth 3
同様に、2.0の環境でも実行してください。
get-command -type cmdlet|export-clixml cmdlets2.xml -depth 3
出来上がった二つのxmlファイルをカレントディレクトリに置いて、次のスクリプトを実行すると、新しく追加されたコマンドレットとパラメータが列挙されます。(必要なら適宜リダイレクトするなどしてファイルに落とし込んでください)
function Get-CmdletHash { param([string]$path) $cmdlets = Import-Clixml $path $cmdletsHash = @{} $cmdlets| %{ $parameters = @() $_.ParameterSets| %{ $_.Parameters| %{ $parameters += $_.Name } } $parameters = $parameters|Sort-Object|Get-Unique|?{"WarningAction","WarningVariable" -notcontains $_} $cmdletsHash.Add($_.Name,$parameters) } return $cmdletsHash } $ver1 = Get-CmdletHash cmdlets1.xml $ver2 = Get-CmdletHash cmdlets2.xml $ver2.Keys| %{ if($ver1.ContainsKey($_)) { $result = Compare-Object $ver1[$_] $ver2[$_] if($result) { "[Update] $_" $result | Format-Table } } else { "[New] $_ `r`n" } }
出力結果を置いておきます。こちら。
このスクリプトではGet-CommandコマンドレットがSystem.Management.Automation.CmdletInfoというコマンドレットの情報を格納したオブジェクトを返すことを利用し、Export-Clixmlコマンドレットでシリアライズ化してXMLファイルに落とし込むことにより異なるバージョンのPowerShell同士を比較しています。ここで-depthパラメータを3にしているのは、パラメータ情報を格納するParametersプロパティがルートから3階層下にあるためです。(デフォルトは2階層下までを出力。PS2.0ではCmdletInfoにParametersプロパティというのがあって2階層でたどれるのですが1.0にこのプロパティはないのでParameterSetsプロパティからたどる必要があります)
また、WarningActionとWarningVariableという共通パラメータが増えているので、これらはすべてのコマンドレットに共通して追加されているパラメータなので除外しておきます。
あとはパラメータをコマンドレットごとに配列化して、Compare-Objectで比較しています。新しく追加されたコマンドレットは[New]のマークをつけ、既存のコマンドレットでパラメータに変化があるものは[Update]をつけて追加されたパラメータを列挙するようにしています。
かなりたくさんのコマンドレットでパラメータが増えたことが分かりますね。また、Get-CommandコマンドレットのPSSnapinパラメータが廃止され、Moduleパラメータに変更されたことなどが分かったりします。
1.0ユーザーだった方にお勧めのスクリプトです。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2010/02/22/186334.aspx2007/07/19
コマンドレットのパラメータを列挙してみる。
共通パラメータ以外にも共通のパラメータって結構ありますよね。それを列挙してみました。
get-command -type cmdlet|%{$_.parametersets| %{$_.parameters}}|group name|sort count -des
結果
Count Name Group ----- ---- ----- 206 ErrorAction {ErrorAction, ErrorAction, ErrorAction, ErrorAction...} 206 Debug {Debug, Debug, Debug, Debug...} 206 Verbose {Verbose, Verbose, Verbose, Verbose...} 206 OutBuffer {OutBuffer, OutBuffer, OutBuffer, OutBuffer...} 206 OutVariable {OutVariable, OutVariable, OutVariable, OutVariable...} 206 ErrorVariable {ErrorVariable, ErrorVariable, ErrorVariable, ErrorVariable...} 80 WhatIf {WhatIf, WhatIf, WhatIf, WhatIf...} 80 Confirm {Confirm, Confirm, Confirm, Confirm...} 72 Force {Force, Force, Force, Force...} 71 Exclude {Exclude, Exclude, Exclude, Exclude...} 70 Include {Include, Include, Include, Include...} 61 PassThru {PassThru, PassThru, Passthru, PassThru...} 59 Credential {Credential, Credential, Credential, Credential...} 58 Name {Name, Name, Name, Name...} 47 Filter {Filter, Filter, Filter, Filter...} 46 Path {Path, Path, Path, Path...} 42 InputObject {InputObject, InputObject, InputObject, InputObject...} 31 LiteralPath {LiteralPath, LiteralPath, LiteralPath, LiteralPath...} 17 Value {Value, Value, Value, Value...} 15 Scope {Scope, Scope, Scope, Scope...} 12 Property {Property, Property, Property, Property...} 9 Encoding {Encoding, Encoding, Encoding, Encoding...} 8 Destination {Destination, Destination, Destination, Destination...} 8 FilePath {FilePath, FilePath, FilePath, FilePath...} 8 Description {Description, Description, Description, Description...} 8 DisplayName {DisplayName, DisplayName, DisplayName, DisplayName...} 7 PSProvider {PSProvider, PSProvider, PSProvider, PSProvider...} 7 Option {Option, Option, Option, Option...} 6 Recurse {Recurse, Recurse, Recurse, Recurse...} 6 NoClobber {NoClobber, NoClobber, NoClobber, NoClobber...} 6 Category {Category, Category, Category, Category...} 6 Resolve {Resolve, Resolve, Resolve, Resolve...} 5 Message {Message, Message, Message, Message...} 5 CaseSensitive {CaseSensitive, CaseSensitive, CaseSensitive, CaseSensitive...} 5 StackName {StackName, StackName, StackName, StackName...} 5 Id {Id, Id, Id, Id...} (5未満は略)
あれなんで200以上あるのかな、まあいいや細かいことは気にしない。31 LiteralPathくらいまでが重要そうです。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2007/07/19/86015.aspx2006/12/08
簡易ファイラ〜イベントハンドラII
前のブログを閉鎖するので、これから元記事を一気にコピーします。
元記事はこちらですhttp://winscript.s41.xrea.com/mt/archives/2005/09/post_4.html
.NET
FrameworkのSystem.Windows.Formsに含まれるコントロールを利用して、簡易ファイラをつくってみました。テキストボックスにパスを入れて「移動」ボタンを押すとそのフォルダの中身をリストボックスに表示します。リストボックスのファイルをダブルクリックすると実行、フォルダをダブルクリックすると移動します。イベントハンドラの使い方に注目してください。
function InvokeItem { Param($path) # 現在のパス+選択したファイル/フォルダ名を組み立てる $path2 = $(get-location).ToString() +"\" + $path if ([System.IO.Directory]::Exists($path2) ){ # フォルダなら移動 ChDirectory($path2) }else{ #ファイルなら実行 invoke-item $path } } function ChDirectory { Param($path) set-location $path #ディレクトリ移動 $listBox1.Items.Clear() #リストボックスを空にする # get-childitem Cmdletの戻り値をパイプラインに渡し、 # foreachしてリストボックスに追加する get-childitem | foreach{$r = $listBox1.Items.Add($_)} } [void] [Reflection.Assembly]::LoadWithPartialName("System.Windows.Forms") [void] [System.Windows.Forms.Application]::EnableVisualStyles() $form = new-object System.Windows.Forms.Form $form.Size = new-object System.Drawing.Size(300, 400) $textbox1 = new-object System.Windows.Forms.TextBox $textbox1.Size = new-object System.Drawing.Size(250, 20) $textbox1.Location = new-object System.Drawing.Point(0, 0) $textbox1.Text = get-location $button1 = new-object System.Windows.Forms.Button $button1.Size = new-object System.Drawing.Size(40, 20) $button1.Location = new-object System.Drawing.Point(250, 0) $button1.Text = "移動" # ButtonのClickイベント $button1.Add_Click({ChDirectory($textbox1.Text)}) $listbox1 = new-object System.Windows.Forms.ListBox $listBox1.Size = new-object System.Drawing.Size(250, 300) $listBox1.Location = new-object System.Drawing.Point(0, 50) # ListBoxのDoubleClickイベント $listBox1.Add_DoubleClick({InvokeItem($listBox1.SelectedItem)}) # 初期ディレクトリの設定 ChDirectory($textbox1.Text) # コントロールをフォームに配置して表示 $form.Controls.Add($textbox1) $form.Controls.Add($button1) $form.Controls.Add($listBox1) $form.showDialog()元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2006/12/09/49648.aspx
コマンドレットオンラインヘルプ作成 ver2
コマンドレットオンラインヘルプ作成
http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2006/11/07/43965.aspx
の続編です。本文中のコマンドレットにリンクを張るようにしました。その他いろいろ改善。
旧バージョンをお使いの方は一度*.htmlを削除してください。ファイル名が変わりました。
function Sanitize{ #サニタイズ処理 param ([string]$strSource) return ($strSource.Replace("&","&").Replace("<","<").Replace(">",">")) } function MakeLink{ #用語にリンクを張る param ([string]$strSource) foreach ($key in $keys){ $strSource = $strSource -replace "(\s)($key)(\s)", ("`$1`$2`$3") } return ($strSource); } #キーワードを格納するArrayList $keys = new-object System.Collections.Arraylist get-help -category all | ?{"Cmdlet","Provider","HelpFile" -contains $_.category}| %{if ($_.Name -ne $null) {[void] $keys.Add($_.Name)}} # "Cmdlet","Provider","HelpFile"のカテゴリを持つヘルプをHTML化 get-help -category all | ?{"Cmdlet","Provider","HelpFile" -contains $_.category}| %{"" + $(MakeLink $(Sanitize (get-help $_.Name -detail|out-string))).Replace("`r`n",""| out-file($_.name + ".html")} $temp="
") + "戻る
名前 | 種類 | 簡易説明 |
---|---|---|
" + $_.name + " | " + $_.category + " | " + $_.synopsis + " | "} # Cmdlet,Provider,HelpFileの各ヘルプ get-help -category all | ?{"Cmdlet","Provider","HelpFile" -contains $_.category} | sort category,name| %{$temp+="
" + $_.name + " | " + $_.category + " | " + $_.synopsis + " | "} $temp+="
コマンドレットとパイプを多用するスクリプトの見やすい記法ってなんかないですかね?自分で読んでもよくわかりませんなこれw
あと気づいたこと。メソッドを呼び出すときはmethodname
(parameter)
のようにメソッド名と引数の間にスペースを入れてはいけない!VBSとかになれているとはまります。
関数の呼び出しはfuncname param1
param2
のようにする(引数は,で区切るのではない!)。関数の戻り値を読むときは$(funcname param1
param2)
のようにする。関数中で何か値が返されるとそれがそのまま関数の戻り値になる(returnは明示しなくてもいいということ。複数の値を返すと戻り値は[object[]]の配列になる。逆に値を返したくない場合は[void]にキャスト)
-replace演算子でサブマッチ文字列は$1,$2..に格納される。$は変数の頭文字なので ` (アクサン グラーブ)でエスケープし、`$1とする。もしくは''(シングルクォーテーション)でくくり'$1'のようにする。
そうそう、
get-help -category all | ?{"Cmdlet","Provider","HelpFile" -contains
$_.category}|
は、なんで
get-help -category Cmdlet,Provider,HelpFile
にしなかったかというと、このようにしてもなぜかAliasが含まれてしまうからです。Cmdletを指定するとAliasが含まれる仕様のようです。
でも-containsの使い方がわかってよかったです(ちょっとトリッキー?)
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