2011/11/14
PowerShell Advent Calendar 2011開催のおしらせ
PowerShell Advent Calendar 2011というイベントを12/1より開催します。
こちら:PowerShell Advent Calendar 2011 : ATND
現在、参加者募集中です。
以下はイベント告知ページのコピペです。
概要
今年はPowerShellもAdvent Calendarをやりましょう!
Advent Calendarとは技術系コミュニティで行われるイベントの一つで、ある特定技術分野をテーマに、12/1から12/25までの25日間、参加者が交代で毎日ブログ記事を書いてクリスマスを迎えるイベントです。
ルール
PowerShell Advent Calendar 2011ではその名の通り、Windows PowerShellに関する記事を参加者みんなで書いていきます。Tips、コード、等々、PowerShellに関する内容であれば何でもOKです。基本的にATNDの参加表明順が執筆担当日になります。たとえば5番目に参加表明した方は12/5の記事を執筆します。参加者の方は担当日に記事をご自分のブログに書いていただき、そのURLをコメント欄に書いてください。都合で担当日に投稿できない、担当日を変えてほしいなどがありましたらコメント欄でお願いします。
参加者が25人に達した時点で締切りです。逆に期日までに参加者が現れない場合は、すでに執筆した参加者が再度執筆しても良いこととします(その場合はコメント欄で宣言を)。
あなたの参加、お待ちしています!
ぜひがんばって完走させましょう!
参考記事
- インフォメーション:本日12月1日より,プログラマ有志による技術系Advent Calendarが各所ではじまる|gihyo.jp … 技術評論社
Advent Calendarについての説明があります。去年の記事です。 - Advent Calendar 2011 (jp) 開催予定リスト – Life like a clown
今年開催予定のAdvent Calendarのリストがまとめられています。
ここまでコピペでした。
まだ参加希望者が少ないのですが、ぜひぜひ、ご参加くださいませ。お題はPowerShellがからんでいれば何でもOKです。PowerShellを触ってみた感想とか、試しにこういうコマンドを実行してみたorコードを試しに書いてみた、など何でも結構です。Advent Calendarはゆるふわなイベントなのであまり身構えず気軽にご参加いただけると嬉しいです。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/11/14/212019.aspxTechNet マガジン Oct. 2011のPowerShell記事(コード整形)に対する意見
TechNet マガジン October 2011内のWindows PowerShell: 空白文字を入れてくださいという記事に対する意見です。
PowerShellスクリプトを記述するときは適宜空白文字やインデントを入れて見やすくしましょう、という趣旨の記事なんですが、その趣旨には同意するものの、どうも実際にインデントを入れたスクリプトの例がいけてない気がしました。
ここでインデントや改行などを適切に追加して体裁を整えたとされるコードは次のようなものです。
(ブログのスタイルに起因する見え方の違いが考えられるので、比較のためにオリジナルも再掲させていただきます)
function Get-PCInfo { [CmdletBinding()] param( [Parameter(Mandatory=$True, ValueFromPipeline=$True, ValueFromPipelineByPropertyName=$True)] [string[]]$computername ) PROCESS { Write-Verbose "Beginning PROCESS block" foreach ($computer in $computername) { Write-Verbose "Connecting to $computer" try { $continue = $true $cs = Get-WmiObject -EV mybad -EA Stop ` -Class Win32_computersystem ` -ComputerName $computer } catch { $continue = $false $computer | Out-File -FilePath oops.txt -append Write-Verbose "$computer failed" $mybad | ForEach-Object { Write-Verbose $_ } } if ($continue) { $proc = Get-WmiObject win32_processor ` -ComputerName $computer | select -first 1 $obj = new-object -TypeName PSObject $obj | add-member NoteProperty ComputerName $computer $obj | add-member NoteProperty ProcArchitecture $proc.addresswidth $obj | add-member NoteProperty Domain $cs.domain $obj | add-member NoteProperty PCModel $cs.model $obj.psobject.typenames.insert(0,'MyPCInfo') write-output $obj } } } }
最初見た時、全体的に何がなんだか分からなかったのですが、よくよく見てみると一応ルールはあるようで、一つの文を改行して複数行に記述する場合は、二行目以降は文頭から詰めて記述する、というルールに従っているようです。
こういう書き方はかえって読みづらいと感じてしまうのは私だけでしょうか? 確かに、Webページや書籍などで一行がスペースに収まらないときに強制的に改行して表示する場合にこのような体裁になることはありますが、これははっきり言って読みづらいです。
せっかく自分で改行を入れるわけですから、改行したときも読みやすくしたほうがいいでしょう(そもそも強制改行されて読みづらくなるというのを防ぐというのも、自分で改行を入れる意義の一つなわけですから)。
あとparam()やforeach{}のインデント位置はそもそもなぜそうなのかよくわかりませんね(単なる編集ミスだろうか?)。
この辺を踏まえて、私流にインデントを入れるとこんな感じです。
function Get-PCInfo { [CmdletBinding()] param ( [Parameter( Mandatory=$True, ValueFromPipeline=$True, ValueFromPipelineByPropertyName=$True )] [string[]]$computername ) process { Write-Verbose "Beginning PROCESS block" foreach ($computer in $computername) { Write-Verbose "Connecting to $computer" try { $continue = $true $cs = Get-WmiObject -EV mybad -EA Stop ` -Class Win32_computersystem -ComputerName $computer } catch { $continue = $false $computer | Out-File -FilePath oops.txt -append Write-Verbose "$computer failed" $mybad | ForEach-Object { Write-Verbose $_ } } if ($continue) { $proc = Get-WmiObject win32_processor ` -ComputerName $computer | select -first 1 $obj = new-object -TypeName PSObject $obj | add-member NoteProperty ComputerName $computer $obj | add-member NoteProperty ProcArchitecture $proc.addresswidth $obj | add-member NoteProperty Domain $cs.domain $obj | add-member NoteProperty PCModel $cs.model $obj.psobject.typenames.insert(0,'MyPCInfo') write-output $obj } } } }
こんな感じでPowerShellも基本的には他の言語のコード整形の流儀に準じればいいと思います。唯一PowerShellで特徴的なのは複数行に渡るパイプラインの記述方法になると思いますが、そこも特に深く考えずに一段インデントを深くする程度でいいのではないかと思います。
あと「一貫性」の節で、「{」を改行の前に入れるか後に入れるかは統一させよとありますが、基本的にはそれでいいと思います。ただ改行の後に「{」を入れるスタイル(私の書いた例)でも、改行後に「{」や「(」を入れるとコードの意味が変わったりエラーになったりする場合が出てくるので、その場合はわざわざ継続文字「`」を入れてやらずとも、その部分だけは改行前に入れてやってもいいかなと思います。
具体的にはこのコードでいうと「[Parameter( 」のところなどですね。あとスクリプトブロックをパラメータに取るコマンドレットの場合なんかもそうです。
@(1..12)|ForEach-Object { Write-Host $_ Write-Host ($_ * $_) }
こういうのですね。この場合ForEach-Objectコマンドレットの-processパラメータ(ここではパラメータ名は省略されている)にスクリプトブロックを指定しているのですが、「{」はスクリプトブロックリテラルの開始文字なので、改行後に入れると正しく動作しません。
PowerShell ISEはまだVisual Studioなどに比べると編集機能が貧弱で、構文を元に自動的に整形してくれたりしないので、ユーザーが自分ルールで整形していかないといけないです。しかし基本的には他の言語と同様な、素直な整形を施してやれば特に読みづらくなるということもないかなと思います。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/11/14/212009.aspx2011/10/09
Windowsデスクトップガジェット(Windowsサイドバーガジェット)終了のお知らせ
WindowsサイドバーガジェットはWindows Vistaの登場で追加されたプログラムで、デスクトップ上にガジェットと呼ばれるミニプログラムを貼り付けることができます。ガジェットはHTML/CSS/J(ava)Script (+VBScript)で記述することができます。Windows7の登場で名称が「Windowsデスクトップガジェット」と変更され、一部仕様に変更が加えられたものの現役でした。
ところが先月末(2011/09)頃に、サードパーティー製のものを含む多数の追加ガジェットのWindows Live Galleryでの公開が中止されました。現在は登録されたガジェットのリストは表示されるものの、ダウンロードができない状態です。まもなくサイト自体が閉鎖されるものと思われます。
現時点でWindows7で「ガジェット」を実行し、そこに表示される「オンラインで追加のガジェットを取得」リンクをクリックするとデスクトップ ガジェット - Microsoft Windowsというページに飛ばされますが、ここでは(おそらく人気上位であった)ガジェットが数点のみダウンロードできるという状態です。
この措置に対するMicrosoftの公式コメントがこちらになります。Looking for gadgets? - Downloads - Microsoft Windows
この記事を要約すると
- MicrosoftはWindows Live Galleryを閉鎖し、今後、新しいガジェットの開発およびアップロードをサポートしない
- ただし人気ガジェットはまだダウンロードできるようにしておくよ
- ガジェット製作者はよりリッチなプラットフォームであるMetro Style Appにシフトしてね
- でもまだガジェットに興味がある人もいるだろうから一応開発ドキュメントは残しておくよ
- まだガジェットを公開したいのならCodePlexでどうぞ
という感じになるかと思います。まだPreview版しか出てない次期Windowsでしか動かないMetro Style Appを移行先に指定するのはかなり無理があるように思いますが、どうもMicrosoftはMetroと技術的にかぶるガジェットをさっさと亡きものにしたいようです。Windows 8のDeveloper Previewのクラシックデスクトップでは一応、今のところはデスクトップガジェットの機能は削除されていませんが、これからの開発の過程で削除されてしまう可能性も十分にありそうです。
ちなみにデスクトップガジェットはたとえIE9をインストールしてもHTML5コンテンツは動きませんし、JavaScriptもチャクラではなくJScript5.8で動きます。この時点でガジェットの未来はなさそうだと踏んでいましたが、思ったより早い終焉を迎えるようです。
Metro Style AppはたしかにWinRT上でJavaScript+HTML5+CSS3で開発することができ、ガジェットで培われたノウハウの一部は流用できる可能性はあるものの、ガジェットから単純に移行というのは難しそうです。利用者にとってもガジェットをデスクトップに常時複数表示させておき、作業中にもほかの情報を参照できるメリットが失われるのは厳しいものがあるように思います(Metro Style Appは一つだけクラシックデスクトップと同時に表示できる)。
告知も私の知るかぎりなかったですし、気づけばいきなり消滅していたという感じで、お困りの方も今後増えそうです(たしかにガジェットはいまいち流行ってなかったですがいきなりはヒドイ)。とりあえず現在追加インストールしているガジェットは、今後入手困難になる可能性が高いので、各自でバックアップを取っておくことをお勧めします。
.gadgetファイルそのものを保存していなくても、C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Windows Sidebar\Gadgetsの各サブフォルダがガジェット一つ一つに対応しているので、これをバックアップしておけば問題ありません。再インストールも単にこれらのファイルを同じ場所に書き戻すだけでOKです。
また、.gadgetファイルは単に関連ファイルをzipで固めたものなので、ご自分でこれらの各サブフォルダをzipにして.gadgetにリネームすればインストーラーを復元することもできます。
これらの措置は自己責任にてお願いします。各ガジェット作者のアナウンスがある場合はそちらに従ってください。
それにしても、WindowsデスクトップにHTML+スクリプトで記述されたミニプログラムを配置するといえば古くは「アクティブデスクトップ」まで遡ることになると思いますが、「ガジェット」で安定するかと思ったら二世代しか持ちませんでしたね。競合するGoogleデスクトップも終了しましたし、あまりウケがよろしくないんでしょうか。Metro Style Appはその点どうなんでしょうね?
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/10/09/204219.aspxJScriptで2次元のSafeArrayを作る
JScriptは言語単体ではSafeArrayを作ることができません。
そこでJScriptでSafeArrayが必要な場合、VBScriptを併用しVBScriptの配列(これはSafeArrayです)をJScriptに取り込む方法や、Scripting.DictionaryのItems()メソッドを使う方法などが使われているようです。
しかしこれらの方法で多次元のSafeArrayを作るサンプルをあまり見かけませんでした。Dictionaryの方法ではそもそも1次元しか無理ですしね。そんな中、この記事を発見しました→JScriptの配列とVBScriptの配列(SafeArray)を相互変換する方法(2次元編) - プログラマとSEのあいだ
この記事の二つ目の例ではExcelを使用しRegionオブジェクトが二次元配列を返す点を利用しています。これはなかなか盲点というかアイデアものではありますが、実行速度にやや難があるかな?と思いました。
注: ただしこの記事の方法は、もともとExcelで二次元配列が必要な場合があったから考案されたもののようで、その用途においてはExcelを起動するコストは考慮しなくてよいのかもしれません。
一つ目の方法ではVBScriptを併用していますが、.wsfファイルを使用してJScriptとVBScriptを混在させる形式をとっています。この方法はWSHでは問題ありませんが、複数のスクリプトエンジンを混在できないホスト環境では問題があります。
注:そんな環境ってあるのか?と聞かれそうですが、たしかにHTML/HTA/Windowsデスクトップ(サイドバー)ガジェット/WSH/classic ASPなどほとんどの環境では大丈夫そうです。ただ私が最近はまっているJScript実行環境であるところのAzureaでは無理ですね。WSHでも.jsファイルにこだわるのであれば。
そこで考えたのが、ScriptControlを使用してJScriptのコードの中でVBScriptのコードを実行させる方法です。以下のような感じになります。
function array2dToSafeArray2d(jsArray2d) { var sc = new ActiveXObject("ScriptControl"); sc.Language = "VBScript"; var code = 'Function ConvertArray(jsArray)\n' + ' ReDim arr(jsArray.length - 1, jsArray.[0].length - 1)\n' + ' outerCount = 0\n' + ' For Each outer In jsArray\n' + ' innerCount = 0\n' + ' For Each inner In outer\n' + ' arr(outerCount, innerCount) = inner\n' + ' innerCount = innerCount + 1\n' + ' Next\n' + ' outerCount = outerCount + 1\n' + ' Next\n' + ' ConvertArray = arr\n' + 'End Function\n'; sc.AddCode(code); return sc.Run("ConvertArray",jsArray2d); }
まあやっていることは本当にJScriptの配列をバラしてVBScriptの二次元配列に詰め直しているだけです。
ただいくつかポイントがあって、まずVBScriptからはJScriptのオブジェクトメンバーにドット演算子でアクセスができます。JScriptの配列はオブジェクトと同一であり、配列はオブジェクトに0,1,2...という名前のプロパティが存在することになります。しかしVBScriptで数字のメンバ名はそのままではドット演算子でアクセスできないので、[]でくくる必要があります(これ、予約語なんかもそうですね。あとVB6でもVB.NETでも同じなので覚えておくといいかも)。なので次元数2の配列の長さを調べるのにjsArray.[0]でまず内側の配列オブジェクトを取得しているわけです。
さらにポイントとして、VBScriptでJScriptの配列を含むオブジェクトメンバを列挙するのにコード例のようにFor Each Next構文が使えます。ただしFor Nextを使ってインデックスアクセスはできません。というのもjsArray.[3]とかはあくまでjsArrayオブジェクトの3プロパティの値を参照しているにすぎず、jsArray.[I]という書き方ができないからです(これだと単にIプロパティの値を見てることになる)。Eval関数を併用すれば可能ではありますが、コードの中にコードを含ませさらにその中にまたコードを含ませるのも微妙なのでここでは使ってません。
あとは紹介した記事の関数部分だけ置き換えればJScriptのVBArrayオブジェクトを用いたテストもできるかと思います。注意点はExcelオブジェクトは配列添え字が1から始まるのに対し、VBScriptの配列は0から始まる点です。LBound関数を使えばその差違は吸収できるかな、と思います。
最初は多次元配列というかn次元配列に拡張した関数を書いてやろうと企んでましたが挫折しました。ネストしたループではなく再帰呼び出しである必要がありますし、ReDimは次元数を動的に指定することができないので実行するVBScript自体を動的生成しなければいけません。興味がある方はチャレンジしてみてください。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/10/09/204198.aspx2011/09/30
スクリプトブロックパラメータのススメ
いきなりですが、PowerShellで「カレントディレクトリに含まれる.txtファイルの拡張子をすべて.logに変更する」方法がぱっと思いつくでしょうか?
コマンドプロンプトなら
ren *.txt *.log
で一発なのですが、PowerShellでrenコマンドに対応するコマンドレットであるRename-Itemコマンドレットを使って
Rename-Item -path *.txt -newName *.log
と書くことはできません。Rename-Itemコマンドレットの-pathパラメータと-newNameパラメータはワイルドカード文字を受け付けないからです。
ではどう書くのか。Get-ChildItemコマンドレットの-pathパラメータはワイルドカード文字を使うことができます(Get-Help Get-ChildItem -fullを調べるとpathパラメータの「ワイルドカード文字を許可する」はfalseになってますが、実際はワイルドカードが使えます)。よってGet-ChildItemでワイルドカードを用いてファイル一覧を取得し、それをRename-Itemコマンドレットにパイプで渡すとよさそうです。Rename-Itemの-pathパラメータは「パイプライン入力を許可する true (ByValue, ByPropertyName)」なので、パイプ経由でオブジェクトを渡すとこのパラメータに値が渡ります。なお、ByValueなどの意味は以前書いたエントリを参考にしてください。では書いてみましょう。
Get-ChildItem *.txt | Rename-Item -newItem *.log
あれ、新しい名前のほうのワイルドカードはどうすればいいんだ?というわけでこれでは駄目で、まだ一工夫が必要です。
素直に考えると、Get-ChildItemの結果(FileInfoオブジェクトの配列)をForEach-Objectで列挙して、その各要素でNameプロパティを元にRename-Itemコマンドレットを実行するというのが思いつきます。
Get-ChildItem *.txt | %{Rename-Item -path $_.Name -newName ($_.Name -replace "\.txt`$",".log")}
注: -replace演算子の右辺配列の最初の要素は正規表現を指定します。なので正規表現における特殊文字「.」は「\」でエスケープする必要があります。さらに拡張子以外の文字が置き換わらないように文字列の末端を表す「$」を使用します。「$」はPowerShellにおいて特殊文字なので「`」でエスケープします。
しかしこれはなんかNameプロパティの値を2回も参照してて冗長ですしあまりやりたくないですね。そもそもせっかくRename-Itemコマンドレットの-pathパラメータにパイプライン経由で直接オブジェクトを流し込める利点を生かせていません。
そこで登場するのが、このエントリのタイトルにもある「スクリプトブロックパラメータ」です。実はPowerShellには任意のコマンドレットパラメータにスクリプトブロックを指定する機能があるのです。コマンドレットパラメータは型が指定されていますが、これが<scriptblock>である必要はなく、<string>でも<int>でも何でもOKです。したがって、冒頭の問題の回答は次のように記述することができます。
Get-ChildItem *.txt | Rename-Item -newName {$_.Name -replace "\.txt`$",".log"}
このように、-newNameパラメータの型は<string>であるにも関わらず、スクリプトブロックを指定することができるのです。このスクリプトブロック内の$_は、パイプラインに渡されたオブジェクト配列の一要素です。つまりここではFileInfoオブジェクトになります。
注:この例だとファイルはカレントディレクトリにあるものが対象になるので、カレントディレクトリ以外で実行する場合はNameプロパティの代わりにFullNameプロパティを使ってフルパスを指定してください。
この機能、マイナーだと思いますが知っているとずいぶん楽になるケースが多いと思うので、ぜひ覚えておくことをお勧めします。しかし実はこの例題、Rename-Itemコマンドレットのヘルプの例4そのままだったりします。私はそこの解説を読んでもいまいち仕組みが分かりませんでした。Flexible pipelining with ScriptBlock Parameters - Windows PowerShell Blog - Site Home - MSDN Blogsという記事を読んでようやくこれがPowerShellの機能だと認識した次第です。
まあ、それでもrenコマンドのお手軽さには負けますけども、柔軟性に関してはもちろんPowerShellのほうが圧倒的に優れているのでそこは我慢するしかないのかなあ、と思います。どうしても簡単に書きたい場合は
cmd /c ren *.txt *.log
とかしてくださいませ。
ちなみにこの機能はユーザーが定義した関数では原則使用できないようです。ただ例外があって、次のような関数定義をしておくと大丈夫でした。
function test { param([parameter(ValueFromPipeline=$true)][string]$str) process { $str } }
ポイントはパラメータにparameter属性を指定して、ValueFromPipelineもしくはValueFromPipelineByPropertyNameを$trueにすることと、型名を指定すること(ここでは<string>)です。こうしておけば
dir|test -str {$_.fullname}
のようにして、コマンドレットの場合と同様にスクリプトブロックパラメータを使うことができます。属性と型指定どちらかが欠けているとスクリプトブロックが展開されずそのまま-strパラメータに渡ってしまうようです。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/09/30/203768.aspx2011/09/08
クリップボードアクセス完結編
PowerShellでクリップボードを読み書きする方法については5年ほど前にクリップボードアクセス(未完)II という記事を書きました。タイトル通り未完でして、このたび完結編を書こうと思いました。
System.Windows.Forms.Clipboardクラスを使う場合は先の記事にあるようにPowerShellをSTAで動作させる必要があります。ver.1の当時はその方法がありませんでしたが、ver.2ではpowershell.exeに-staパラメータが追加され、STAでの実行が可能となっています。
-staパラメータを使用しない場合は相変わらずこの方法は使えません。powershell.exe –staのプロセスを逐次起こして、クリップボードアクセス部分だけSTAの子プロセスでやらせることも不可能ではないですが、冗長ですしパフォーマンスの点で難があります。
ver.2ではAdd-Typeコマンドレットが追加され、任意のC#コードを動的に読み込むことができるようになりました。これを利用してクリップボードアクセスクラスを書くという手もあると思います。その中ではSTAのスレッドを起こしてクリップボードアクセスをすることになります。実際PowerShell Community Extensionsに含まれるOut-Clipboard/Get-Clipboardコマンドレットはそのような実装がされているようです。ですが動的にコードを読み込みコンパイルはやはりパフォーマンス上不利ですし、PSCXをインストールできない場合などもあるでしょう。
ところでSystem.Windows.Formsに含まれるTextBoxクラスはその名の通りテキストボックスコントロールなのですが、このコントロールにはCopy()メソッドとPaste()メソッドがあり、これらを使うとクリップボードに書き込み、クリップボードから読み込みが可能です。TextBoxクラスの良いところは、STAである必要がないところです。この方法を最初に提唱したのはこちらの方かな?
この方法を用いた関数もすでに公開されているのですが、PowerShellの作法に則った使い方ができるように少し改良を加えました。具体的には
Set-ClipBoard: 配列の指定、パイプラインからの入力を可能にした。
Get-ClipBoard: クリップボードの中身が複数行のテキストの場合、文字列配列を返すようにした。(Get-Contentと同様)
という変更を加えています。
function Set-ClipBoard { param([parameter(Mandatory=$true, ValueFromPipeline=$true)][object[]]$InputObject) begin { Add-Type -AssemblyName System.Windows.Forms $tb = New-Object System.Windows.Forms.TextBox $tb.Multiline = $true $out=@() } process { $out+=$InputObject } end { $tb.Text = $out -join "`r`n" $tb.SelectAll() $tb.Copy() } } function Get-ClipBoard { Add-Type -AssemblyName System.Windows.Forms $tb = New-Object System.Windows.Forms.TextBox $tb.Multiline = $true $tb.Paste() $tb.Text -replace "`r`n","`n" -replace "`r","`n" -split "`n" }
使い方例
# ファイルのフルパスをクリップボードに格納 Get-ChildItem|select -expand fullname|Set-ClipBoard # CSV文字列がクリップボードに入っている場合以下のコマンドを実行すると、 # クリップボードの中身が対応するHTML tableタグに置換される Get-ClipBoard|ConvertFrom-Csv|ConvertTo-Html -Fragment|Set-ClipBoard
やっぱりパイプで繋ぐのがPowerShellの醍醐味ですよね!
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/09/08/202547.aspx2011/07/02
Microsoft MVP for PowerShellを再受賞しました
昨日、Microsoft MVP for PowerShellを再受賞しました。
これでMVP受賞は7回目になり、MSMVPとして7年目になりました。
現在はPowerShellはじわじわと浸透しつつある時期なんじゃないかと思います。最近のMicrosoftのテクノロジ、特にWindowsサーバーを使うにはPowerShellの知識は必須になりつつあります。Windows AzureやOffice 365といったクラウドもPowerShellで管理することができます。もちろんクライアントOSで使うのも便利です。
そんなPowerShellの情報をこれからも発信していきたいと思っています。よろしくお願いします。
8/6にはわんくま大阪勉強会#44で「PowerShell基礎文法最速マスター」と銘打ってセッションをやります。これは以前このブログで同名エントリとして上げたもののオフライン版となります。ご興味のあるかたでご都合のつくかた、是非ご参加ください。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/07/02/200374.aspx2011/05/16
連想配列を変換してユーザー定義オブジェクトを簡単に作成する
昨日の記事で取り上げたJavaScriptSerializerを用いると、連想配列から楽にJSONを作成できることが分かったのですが、この記事を書いていて思ったのは、「PowerShellの連想配列って意外に使えるな」という点でした。
現在のところ、PowerShellは独自のクラスを記述する方法がありません(Add-Typeコマンドレットを用いてC#などでクラスを書いて利用することはできますが)。Add-Memberコマンドレットを用いると、既存のオブジェクトに対し、任意のプロパティやPowerShellスクリプトで記述したメソッドを追加することはできます。素のオブジェクトであるPSObjectをNew-Objectして作ったオブジェクトでもこれは可能なので、一応ユーザー定義オブジェクトを作ることは可能です。ですが、Add-Memberコマンドレットを使うのはちょっとめんどくさいです。
「Windows PowerShellインアクション」ではAdd-Memberを使いPowerShellの関数を駆使してクラス定義構文のようなものを実装した例はありますが、いささか大仰な感は否めません。
しかし連想配列をユーザー定義オブジェクト代わりに使うと、簡単にできますしそこそこ便利に使えます。
連想配列をオブジェクトの代わりにすることのメリットとデメリット
連想配列をオブジェクトの代わりにすることのメリットは以下の三点があるかと思います。
- 簡単な記述(連想配列のリテラル)でオブジェクトが作成できる
PowerShellの連想配列リテラル@{}を使うことで、簡単に記述できます。またそれを配列化するのも@()を使うと容易です。$pcItems= @( @{ code=25; name="ハードディスク2TB"; price=7000; }, @{ code=56; name="メモリ8GB"; price=8000; } )
- ドット演算子で値の参照、設定ができる
PowerShellの連想配列は「連想配列[キー名]」のほかに、「連想配列.キー名」でもアクセスできる。Write-Host $pcItems[1].name # 値の参照 $pcItems[1].name = "test" # 値の設定 $pcItems[0].maker = "Seagate" # 要素の追加
- 連想配列の配列に対してWhere-Objectコマンドレットでフィルタをかけることができる
これは2とも関係しているのですが、通常のオブジェクトと同様にWhere-Objectコマンドレットでのフィルタ、ForEach-Objectコマンドレットでの列挙が可能です。$pcItems|?{$_.price -gt 7000}|%{Write-Host $_.name}
このようにメリットはあるのですが、本物のオブジェクトではないのでそれに起因するデメリットがいくつかあります。
- 要素(プロパティ)をいくらでも自由に追加できてしまう
これはメリットではあるのですが、デメリットでもある点です。後述するデメリットのせいで、同じキーをもつ連想配列の配列を作ったつもりでも、どれかのキー(プロパティ名)を間違えていた場合、それを検出するのが困難です。 - メソッドがうまく記述できない
連想配列要素にスクリプトブロックを指定し、&演算子で実行することでメソッド的なことはできます。しかしこのスクリプトブロック内では$thisが使えず、オブジェクトのプロパティにアクセスすることができないのでいまいちです。$pcItem= @{ name="ハードディスク2TB"; price=7000; getPrice={Write-Host $this.price}; } &$pcItem.getPrice # 何も表示されない。$thisが使えない # getPrice={Write-Host $pcItem.price}ならOKだが…
- Get-Member、Format-List、Format-Tableなどが使えない
これらのコマンドレットはあくまで連想配列オブジェクト(Hashtable)に対して行われるので、意図した結果になりません。たとえば$pcItems|Format-Listした場合、Name : name Value : ハードディスク2TB Name : code Value : 25 Name : price Value : 7000 Name : name Value : メモリ8GB Name : code Value : 56 Name : price Value : 8000
こんな表示になってしまいます。
連想配列をユーザー定義オブジェクトに変換する関数ConvertTo-PSObject
このように、連想配列の記述のお手軽さは捨てがたいものの、いくつかの問題点もあるのが現実です。そこで連想配列のお手軽さを生かしつつ、ユーザー定義オブジェクトの利便性も取るにはどうすればいいか考えました。結論は、「連想配列を変換してユーザー定義オブジェクトにする関数を書く」というものでした。それが以下になります。
#requires -version 2 function ConvertTo-PSObject { param( [Parameter(Mandatory=$true, ValueFromPipeline=$true)] [System.Collections.Hashtable[]]$hash, [switch]$recurse ) process { foreach($hashElem in $hash) { $ret = New-Object PSObject foreach($key in $hashElem.keys) { if($hashElem[$key] -as [System.Collections.Hashtable[]] -and $recurse) { $ret|Add-Member -MemberType "NoteProperty" -Name $key -Value (ConvertTo-PSObject $hashElem[$key] -recurse) } elseif($hashElem[$key] -is [scriptblock]) { $ret|Add-Member -MemberType "ScriptMethod" -Name $key -Value $hashElem[$key] } else { $ret|Add-Member -MemberType "NoteProperty" -Name $key -Value $hashElem[$key] } } $ret } } }
ご覧のようにコード的には割にシンプルなものが出来ました。連想配列またはその配列をパラメータにとり、またはパイプラインから渡し、連想配列要素をプロパティまたはメソッドに変換してPSObjectにAdd-Memberしてるだけです。-recurseパラメータを付けると連想配列内に連想配列がある場合に再帰的にすべてPSObjectに変換します。
それでは実際の使用例を挙げます。
# 一番単純な例。パラメータに連想配列を渡すとPSObjectに変換する。 $book = ConvertTo-PSObject @{name="Windows PowerShell ポケットリファレンス";page=300;price=2000} Write-Host $book.name # 「Windows PowerShell ポケットリファレンス」と表示 $book.name="test" # プロパティに値をセットする Write-Host $book.name # 「test」と表示 #$book.size="A5" # 存在しないプロパティに値を代入しようとするとエラーになる # 連想配列をコードで組み立てていく例。 $mutaHash=@{} # 空の連想配列を作る $mutaHash.name="mutaguchi" # キーと値を追加 $mutaHash.age=32 $mutaHash.introduce={Write-Host ("私の名前は" + $this.name + "です。")} # スクリプトブロックを追加 $mutaHash.speak={Write-Host ($args[0])} # パラメータを取るスクリプトブロックを追加 $muta = $mutaHash|ConvertTo-PSObject # 連想配列はパイプラインで渡すことができる $muta.introduce() # 「私の名前はmutaguchiです。」と表示 $muta.speak("こんにちは。") # 「こんにちは。」と表示 # 連想配列の配列→PSObjectの配列に変換 $stationeryHashes=@() $stationeryHashes+=@{name="鉛筆";price=100} $stationeryHashes+=@{name="消しゴム";price=50} $stationeryHashes+=@{name="コピー用紙";price=500} $stationeryHashes+=@{name="万年筆";price=30000} $stationeries = ConvertTo-PSObject $stationeryHashes # "200円以上の文具を列挙" $stationeries|?{$_.price -ge 200}|%{Write-Host $_.name} # 「コピー用紙」と「万年筆」が表示 # 連想配列の配列をリテラルで一気に記述する $getPrice={Write-Host $this.price} # 共通のメソッドを定義 $pcItems= @( @{ code=25; name="ハードディスク2TB"; price=7000; getPrice=$getPrice }, @{ code=56; name="メモリ8GB"; price=8000; getPrice=$getPrice }, @{ code=137; name="23インチ液晶ディスプレイ"; price=35000; getPrice=$getPrice } )|ConvertTo-PSObject $pcItems[1].getPrice() # 「8000」と表示 $pcItems|Format-List <# 表示: name : ハードディスク2TB code : 25 price : 7000 name : メモリ8GB code : 56 price : 8000 name : 23インチ液晶ディスプレイ code : 137 price : 35000 #> # 連想配列の中に連想配列を含めたもの→PSObjectをプロパティの値に持つPSObject $blog= @{ utl="http://winscript.jp/powershell/"; title="PowerShell Scripting Weblog"; date=[datetime]"2011/05/16 00:25:31"; keywords=@("スクリプト","PowerShell","WSH"); # 配列を含めることもできる author=@{name="mutaguchi";age=32;speak={Write-Host "ようこそ私のブログへ"}} # 連想配列を含める }|ConvertTo-PSObject -recurse # -recurseパラメータを指定すると再帰的にすべての連想配列をPSObjectに変換する $blog.author.speak() # 「ようこそ私のブログへ」と表示 Write-Host $blog.keywords[1] # 「PowerShell」と表示 # ※配列要素に連想配列以外の値が含まれている場合は展開しない
このように簡単な関数一つで、連想配列にあった問題点をすべて解消しつつ簡単な記述で独自のオブジェクトを記述できるようになりました。おそらくかなり便利だと思いますのでぜひ使ってみてください。
余談:ScriptPropertyを使う場合
余談ですが、今回使用したNotePropertyはプロパティに代入できる型を指定したり、リードオンリーなプロパティを作ったりすることができません。そういうのを作りたい場合はScriptPropertyを使います。Add-Memberコマンドレットの-valueパラメータにゲッターを、-secondValueパラメータにセッターをそれぞれスクリプトブロックで記述します。
しかしこいつはあまりいけてないです。これらのスクリプトブロック内で参照するフィールドを別途Add-MemberでNotePropertyを使って作成する必要があるのですが、これをprivateにすることができません。よってGet-Memberでもばっちり表示されてしまいますし、フィールドを直接書き換えたりもできてしまいます。
また今回のように連想配列をPSObjectに変換する場合はprivateフィールド名も自動生成する必要があるのですが、それをScriptProperty内のゲッター、セッターから取得する方法がなく、たぶんInvoke-Expressionを使うしかありません。
これらを踏まえて元の連想配列要素の値の型を引き継ぎ、それ以外の型を代入できないようにしたScriptPropertyバージョンも一応書いてみました。ConvertTo-PSObject関数のelse句の部分を以下に置き換えます。
#$ret|Add-Member -MemberType "NoteProperty" -Name ("_" +$key) -Value $hash[$key] "`$ret|Add-Member -MemberType ScriptProperty -Name $key -Value {[" + $hash[$key].gettype().fullname + "]`$this._" + $key + "} -SecondValue {`$this._" + $key + "=[" + $hash[$key].gettype().fullname + "]`$args[0]}"|iex
まあこれはいまいちなんで参考程度に。
2012/08/23追記
この記事を書いた時は知らなかったのですが、実は単にNotePropertyだけを持つユーザー定義オブジェクトを作成するのであれば、もっと簡単な方法があります。
# PowerShell 1.0 $o=New-Object PSObject|Add-Member noteproperty Code 137 -pass|Add-Member noteproperty Name 23インチ液晶ディスプレイ -pass # PowerShell 2.0 $o=New-Object PSObject -Property @{Code=137;Name="23インチ液晶ディスプレイ"} # PowerShell 3.0 $o=[pscustomobject]@{Code=137;Name="23インチ液晶ディスプレイ"}
3つのコードはほぼ等価です。PowerShell 2.0と3.0では連想配列リテラルを用いて簡単にカスタムオブジェクトを作れるようになりました。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/05/16/199086.aspx2011/05/15
JavaScriptSerializerを使ってJSONをパース/作成
PowerShellでJScript.NETを利用してJSONをパースするの続きです。
あれからまた色々調べていると、.NET Framework 3.5から追加されたSystem.Web.Script.Serialization.JavaScriptSerializerクラスを用いるとJSONのパースと作成が簡単に行えることがわかりました。
まずはパースから。
$json=@' {"items": [ { "code":25, "name":"ハードディスク2TB", "price":7000 }, { "code":56, "name":"メモリ8GB", "price":8000 }, { "code":137, "name":"23インチ液晶ディスプレイ", "price":35000 } ] } '@ Add-Type -AssemblyName System.Web.Extensions $serializer=new-object System.Web.Script.Serialization.JavaScriptSerializer $obj=$serializer.DeserializeObject($json) $obj["items"][1]["name"] #「メモリ8GB」と表示される $obj.items[1].name # 上と同じ $obj["items"]|%{$_["name"]} # 名前が列挙される
このように、JavaScriptSerializerをNew-Objectして、DeserializeObjectメソッドを呼ぶだけで、JSONをパースした結果がオブジェクトに格納されます。このときJSオブジェクトはDictionary<string,object>に、JS配列はobject[]にされて格納されます。よってオブジェクトのアクセスは前回JScript.NETを使った場合と同様にパラメータ付プロパティでできますし、配列のアクセスは数値の添え字で可能です。
前回に比べて良くなっている点は、DictionaryなのでPowerShellにおける連想配列と同様に、プロパティアクセスが可能である点です。よって、$obj.items[1].nameのようにドット演算子で楽に値を取得できます。
さらにJS配列はオブジェクト配列として格納されています。よって、foreachすればその要素がそのまま列挙できます。前回に比べて素直なコードになっていることが分かると思います。
.NET 3.5が使える環境ではPowerShellでJSONをパースするにはJavaScriptSerializerが本命なんじゃないかなと思います。
そしてJavaScriptSerializerクラスを使うと、JSON文字列を作成することも容易です。ここでは先程の例のJSONを逆にPowerShellで作ってみます。
Add-Type -AssemblyName System.Web.Extensions $serializer=new-object System.Web.Script.Serialization.JavaScriptSerializer $serializer.Serialize( @{items= @( @{ code=25; name="ハードディスク2TB"; price=7000 }, @{ code=56; name="メモリ8GB"; price=8000 }, @{ code=137; name="23インチ液晶ディスプレイ"; price=35000 } ) })
このように、Serializeメソッドの引数にPowerShellの連想配列を渡すだけです。連想配列の要素に連想配列や配列を含むことで、オブジェクトを構築していきます。
これを実行すると結果は次のようになります。
{"items":[{"name":"ハードディスク2TB","code":25,"price":7000},{"name":"メモリ8GB","code":56,"price":8000},{"name":"23インチ液晶ディスプレイ","code": 137,"price":35000}]}
これは最初に示したJSONとまったく同じであることが分かると思います。このように非常に直感的かつ簡便にJSON文字列を作成することができます。PowerShellの連想配列と配列を使ってオブジェクトを組み立てるだけなので、難しいことを考える必要はなく、柔軟性も高いです。JSONの作成もJavaScriptSerializerが本命でしょうね。JavaScriptSerializerはPowerShellとの相性が抜群です。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/05/15/199058.aspx2011/05/14
PowerShellでJScript.NETを利用してJSONをパースする
PowerShellでJSONをパースする方法はいくつかあると思います。
1. System.Runtime.Serialization.Json.JsonReaderWriterFactoryクラスを用いる
これは.NET Framework 3.5から追加されたクラスで、JSONデータを読み書きするXMLReader/Writerを提供します。すなわちJSONをパースしてXMLに変換することが可能です。XMLはPowerShellから簡単に扱えるので有用な方法と言えるでしょう。
PowerShellからの使用方法についてはこちらの記事が参考になります。:JSON Serialization/Deserialization in PowerShell | Keith Hill's Blog
2. 頑張って自力でパースする
.NET 3.5が入っていない環境では1の方法が使えないので別の方法を考える必要があります。JSONはテキストデータなので、頑張って自力でパースすることもできなくはないでしょう。
PowerShellでやっている例はこちらになります。:Convert between PowerShell and JSON - Home("Source Code"のリンクをたどっていくとソースがあります)
3. ScriptControl+JScriptを用いる
もう少し簡便な方法はないかなと思っていろいろ考えたんですが、PowerShellではScriptControlを用いるとJScriptやVBScriptを実行することができます。そしてJSONはJavaScriptで扱うことを想定しているだけあって、JScriptではeval()するだけでJSONをオブジェクトに変換することができます。そこで実際にやってみたのですが…
$json=@' {"items": [ { "code":25, "name":"ハードディスク2TB", "price":7000 }, { "code":56, "name":"メモリ8GB", "price":8000 }, { "code":137, "name":"23インチ液晶ディスプレイ", "price":35000 } ] } '@ $sc=new-object -com ScriptControl $sc.Language = "JScript" $jscode="function parseJSON(json){return eval('(' +json + ')').toString();}" $sc.AddCode($jscode) $jsobj=$sc.CodeObject.parseJSON($json) $jsobj
このコードを実行すると、確かにJSONがパースされ、結果が$jsobjという変数に格納されるのですが、残念ながらPowerShellはJScriptのオブジェクト(JScriptTypeInfo)を展開することができないようなのです。
JScriptTypeInfoオブジェクトはVBScriptでは扱うことができるので、まずJScriptでパースし、その結果オブジェクトをVBScriptに渡し、オブジェクトはScripting.Dictionaryオブジェクトに変換し、配列はVBScriptの配列(Safe Array)に変換し、その結果オブジェクトをPowerShellに戻すという方法を考えました。PowerShellはCOMオブジェクトやSafe Arrayは扱えるので理屈の上ではうまくいきます。(参考までに、ASPでこの方法を実際にコードにしてる方がいらっしゃいました。:ASPでJSONパーサーを書いてみた - ゆるゆると)
しかしこの方法は当初の目的「簡便にJSONをパースする」からだいぶ離れてしまっています。
4. JScript.NETを用いる
そうだ、JScriptが駄目ならJScript.NETを使えばいいじゃない。JScript.NETなら結果は.NETのオブジェクトで返るしPowerShellでも読めるだろう、ということで、この前このブログで紹介したAdd-Typeコマンドレットを使ってJScript.NETのコードを実行する方法を利用してやってみました。
($jsonの値は先ほどのスクリプトのを使います)
$code=@" static function parseJSON(json) { return eval('(' +json + ')'); } "@ $JSONUtil = (Add-Type -Language JScript -MemberDefinition $code -Name "JSONUtil" -PassThru)[1] $jsobj = $JSONUtil::parseJSON($json) # $jsobjはJSObject $jsobj["items"][1]["name"] #「メモリ8GB」と表示される $items=$jsobj["items"] # $itemsはJSArrayObject $items|%{$items[$_]["name"]} # 名前が列挙される
という感じでうまくいきました。
ここで$jsobjに格納されているのはMicrosoft.JScript.JSObjectクラスのオブジェクトです。このクラスのItemプロパティ(引数付きプロパティ、PowerShellではParameterizedPropertyと呼ばれる)にプロパティ名を引数として渡すと、その値が返却されます。PowerShellでは引数付きの既定プロパティはC#のインデクサと同様の構文で値が参照できるので、$jsobj[“items”]のように[]でアクセス可能です。これは$jsobj.Item(“items”)としても同様の結果が得られます(プロパティなのに()で値を取るところはVB風味?)。
配列の列挙ですが、JSObjectと、オブジェクトが配列の場合はその派生クラスであるJSArrayObjectクラスになりますが、これらはIEnumerableインターフェースを実装しているのでforeachで列挙が可能です。しかしここで列挙されるのはあくまでkey、すなわちプロパティ名の方です。値が列挙されるわけではありません。ご存じのとおり、JavaScriptの配列、連想配列、オブジェクトは同じものであり、配列の場合はkeyが配列インデックスの数字に相当します。そのため配列をforeachしても「0,1,2…」という数字が列挙されるだけです。
なので配列を列挙する場合は、この例のように、一旦JSArrayObjectを変数で受けて、それに対してforeachし、列挙した要素(インデックスの数字)をJSArrayObject.Itemプロパティの引数に与えることで、JS配列要素の値を取得してやる必要があると思います。
1のXMLを経由する方法のように、JSONをドット演算子でプロパティアクセスできないのは残念ですが、.NET 3.5が入っていない(がPowerShell 2.0は入ってる)環境では、それほど手間をかけずJSONを扱えるという点でそれなりに有用ではないでしょうか。
JSObjectもXMLみたいに型アダプタがあればプロパティアクセスできるようになるでしょうし、Add-Memberコマンドレットを駆使してJSObjectに動的にプロパティを追加する関数を書くのもいいかもしれません。が、そこまでいくとやはりお手軽からはかけ離れてしまうので今回はこの辺にとどめておきましょう。
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/05/14/199047.aspxCopyright © 2005-2018 Daisuke Mutaguchi All rights reserved
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