2017/12/24

この記事には「 独自研究 」に基づいた記述が含まれているおそれがあります。

この記事はPowerShell Advent Calendar 2017の24日目です。

一般的なプログラミング言語では、文(statement)と式(expression)の違いは、値を返すのが式で、返さないのが文、という説明がされることが多いと思います。しかし、PowerShellではこの説明は成り立たたず、文が値を返したりしてるように見えて良く分かりません。そこでPowerShellにおける文と式とはそもそも何なのかということを、仕様書(PowerShell 3.0のものですが)やAST(ShowPSAstモジュールが便利!)を眺めながら考えてみたので軽くまとめようと思います。

文(statement)と式(expression)の定義

PowerShellでは言語要素として、文(statement)と式(expression)が明確に定義されています。すなわち、言語要素の何が文であって、何が式であるかという定義は仕様できちんと決まっていて、ある言語要素が、状況によって文になったり式になったりと変化する、ということはありません。

パイプライン、代入、ifやforやfunctionなどは文です。

変数、数値/文字リテラル、オブジェクトのメンバ呼び出し、スクリプトブロック、単項または二項算術演算子で構成される式、カンマ演算子で構成される配列などは式です。

ただ、仕様書での定義と、実際に構築されるASTに齟齬があることはあります。

例えば「$a=1」のような代入については、ASTではAssignmentStatementAstとなります。一方、言語仕様上はassignment-expressionと書かれています。厳密には、言語仕様書のgrammer節によれば、assignment-expressionはexpressionではなくpipelineであるということになっています(お前は何を言っているんだ)。いずれにせよパイプラインは文であるので、AST通り、代入は文であるという解釈で良いと思います。

※仕様書にはassignment expressionとはっきり書いてあるんだから代入は式だろ!という意見を否定するものではないです。が、代入は文であると考えたほうが他の文法と整合性を取りやすいので、そういう立場をとりました。

しばたさんが9日目に書かれた記事で取り上げられているように、配列に関しても同様の齟齬があります。いずれにせよ「1,2,3」のような配列は、式と考えて良いと思います。

文と式の構造

PowerShellには文と式が存在することは分かりました。では文と式は何が違うのか? それを考察するために、具体的にいくつかの文と式の構造を取り上げて見ていきます。

パイプライン(文)

パイプラインといえば「Get-Process | Where-Object Handles -gt 100 | Select-Object ProcessName」みたいな|で繋ぐやつのことでしょ、と思われがちですが、言語仕様上は以下のようなものはすべてパイプラインです。

Get-Process -Name PowerShell # @コマンド1つだけ
1 # A数値リテラルだけ
1 + 1  # B算術演算子で構成される算術式
$a = 1 # C代入
gps | where Handles -gt 100 | select ProcessName # Dパイプ記号でコマンドを連結したもの
1 + 1 | Write-Host # E算術式をパイプラインでコマンドと繋げたもの

要はパイプラインというのは、一般的なプログラミング言語で、;で終わる一文に相当するものと考えればだいたい間違いないと思います。ただしPowerShellだと文末の;は必須ではなく、改行でもOKです。

パイプラインは以下のような構造を取ります。[]は省略可能を意味します。

パイプライン要素1 [ | パイプライン要素2] [ | パイプライン要素3] ...

または、

代入文

すなわち、代入文(後述)を除くパイプラインは1個以上のパイプライン要素から構成されており、複数のパイプライン要素が存在する場合はパイプ演算子|で連結されます。

パイプライン要素には式とコマンド(Get-Processとか)が存在します。ただし式は1つ目のパイプライン要素にのみ許可されます。

以上を踏まえると、@、Dはコマンドのみで構成されるパイプライン、A、Bは単独の式のみで構成されるパイプライン、Eは1つの式とコマンドで構成されるパイプライン、Cは代入文であることが分かります。

代入文

代入文はパイプラインなので、文です。代入文は以下のような構造を取ります。(ここでは+=などの複合代入演算子については省略)

式 = 文

ただし、左辺の式は、変数やプロパティなど、代入が可能な式である必要があります。

よって以下のような記述が可能です。

$a = $b # @変数
$a = 1 + 1 # A算術式
$a = Get-Process # Bパイプライン(コマンド1つ)
$a = gps | where Handles -gt 100 # Cパイプライン(コマンド複数)
$a = if($true){"a"}else{"b"} # Dif文
$a = $b = 1 # E代入文の結果を更に代入

言語仕様上、代入文の右辺には文であれば何でも書けるのですが、実際に代入が行われるのは、パイプライン、if文、for文、switch文といった、パイプラインに値を出力する文と代入文に限られます。ちなみにDのようにパイプラインと代入文以外の文を右辺に指定できるようになったのは、PowerShell2.0からです。

ところで上記@やAは右辺が式です。代入文の右辺は文じゃなかったの?と思われると思いますが、パイプラインの節で述べた通り、単独の式もパイプラインであり、パイプラインは文なので、三段論法でいくと式は文として扱われることになります。

※AST上では$a = $bの右辺はPipelineAst/CommandExpressionAst/VariableExpressionAstではなく、いきなりCommandExpressionAst/VariableExpressionAstとなっているので、この説明はASTの実装とはかみ合わないかもしれません。AssignmentStatementAst.Rightは確かにStatementAstを取るのですが、CommandExpressionAstはStatementAstから派生しているクラスなので、式の代入は問題なく行えます。

代入文は上記Eのようなことができることから分かる通り、値を返す文ですが、パイプラインには値を出力しません。値は返すがパイプライン出力がないものは、インクリメント演算子で構成される式($a++等)も同様です。

if文

パイプラインと代入文以外の文は色々あるわけですが、代表的なものとしてif文を取り上げます。一番シンプルなif文はこういう構造です。

if (パイプライン) {
    文1
    文2
....}

おそらく多くの人が誤解しているのではないかと思いますが、条件節に書くのは式ではなくパイプラインです。パイプラインを実行した結果、出力値がtrue、またはboolに型変換してtrueになる場合に、ブロック内の複数の文が実行されます。

よって以下のような記述が可能です。

if ($true) {} # @変数
if ($a -eq 1) {} # A論理演算子で構成された式
if ("a.txt" | Test-Path) {} # Bパイプライン
if ($a = 1) {} # C代入文

@とAは普通の書き方ですが、実際には、1つの式のみ有するパイプラインを実行し、出力される値が判定されています。

条件節はパイプラインなので、当然Bのような書き方もできるわけです。また、代入文もパイプラインであるので、Cの書き方もできてしまい、注意を要します。

条件節に指定できるのはパイプラインだけで他の文は許容されないので、
if (if($true){}){}
というような書き方はできません。

※といっても実はこう書くと文法上はvalidであり、条件節内は「ifコマンド、パラメータ値1($true)、パラメータ値2(スクリプトブロック)」という解釈になってしまいます。

また、条件節にはパイプラインは1つのみ指定可能で、複数文を書くことはできないので、
if ($a;$b) {}
という書き方はできません。(パーサーもエラーを出す)

丸括弧式

さて、普通のプログラミング言語だと、()はグループ化や演算子の優先順を変更するのに用いられるものの、別に文法そのものに影響を与えるものではないと思います。多くの場合、ASTでも()の情報はそぎ落とされます。

ところがPowerShellでの丸括弧()は文法的な意味を有しており、ASTにもParenExpressionAstとして存在する、立派な式です。丸括弧式の構造は以下の通りです。

(パイプライン)

これは要するに、「パイプラインに()を付けると式になる」、ということです。()内のパイプラインで出力された値が返される式となります。具体的にどういうところで使うのかを示します。

2 * (1 + 3) # @数値演算の優先順を変更する
($a = 1) # A値を返すがパイプラインには出力しない代入文の値を出力させる
$a[(Get-Hoge)] # B式は許容するがパイプラインは許容しない構文で、式に変換する
Get-Process -Name (Get-Hoge) # Cコマンドのパラメータにコマンド実行結果を指定する

@の使い方は普通です。ただし、()はパイプラインを生成するので、「(1+3)」は「1つの式のみ有するパイプラインを実行し、パイプラインに値を出力し、その値を返す」という見た目より複雑な処理になります。

※少なくともAST上はそうなりますが、実際は何らかの最適化処理が入ってる可能性はあります。

代入を重ねる場合にはAのような書き方は必要ないのですが、代入した結果をパイプラインの出力としたい場合は()を付ける必要があります。この場合、$aに1が代入され、コンソールにも1が出力されます。

Bで挙げている、式を許容するがパイプラインは許容しない言語要素というのは実はあまりないです。前述した通りif文の条件節は式じゃなくて、パイプラインを取るといった案配です。ただ、たとえば配列や連想配列の要素を取得するインデックス演算子[]は、式のみ許容されます。なのでコマンドなどのパイプラインの出力値を指定したい場合は()が必須となるわけです。

ちなみに、()内にはパイプライン以外の文(if文等)は指定できません。また、複数のパイプラインも指定できず、あくまで1つだけです。

※任意の文あるいは複数の文を式としたい場合には、部分式演算子$()または@()を用います。両者とも内部の文がパイプラインに出力した値を返す、「部分式」となります。両者とも複数値が出力されると配列になりますが、@()は出力値が1つでも要素数1の配列を返す点が異なります。

まとめ?

PowerShellの文と式は厳密に定義されています。文は複数の文と式で構成されるし、式は複数の文と式で構成されています。文や式の構成要素が取る文や式の種類についても、各々、きちんと定義されています。

ただし、PowerShellにおいて「値を返すか返さないか」、「パイプラインに出力されるかされないか」、「式であるか文であるか」という概念はすべて独立しています。そのため、PowerShellの文とは何である、式とは何である、ということを一言で説明することは難しいんじゃないかと思います。

なので、本記事でこれまで述べてきたとおり、「パイプラインは文で、要素として式やコマンドを取りますよ」とか、「ifは文で、条件節にはパイプラインを取りますよ」みたいな、各論でしか表現できないのではないかなぁと、私はそういう結論に至りました。

しかしここまで書いてちゃぶ台をひっくり返すようなことを言いますが、ある言語要素が文であるか式であるか、ここまで仕様書を読んだりASTを追ったりして把握するのは、まあ楽しくなくはないですが、知らなくても別に大丈夫だと思われます。別に、ifの条件節には条件式を書くのだと理解していても不都合は特にないかと。

効用があるとすれば、例えば「if ((Test-Path a.txt)) {}」とか「foreach ($i in (1..5)) {}」とかの、余分な()を取り除くのには文法の知識が役立ちます。それもまぁ、心配だから怪しい所には常に()付けておく or 何か変だったら()付けてみる とかでもそれ程問題にはならないかもしれません。

2017/12/01

この記事はPowerShell Advent Calendar 2017の1日目です。

毎年恒例のPowerShell Advent Calendar、今年も始まりました。ここ数年は私がトップバッターを務めさせていただいて、1年間のPowerShell界隈の出来事をさくっとまとめてみています。→2016年2015年

昨年2016年はPowerShell 10周年の年であり、PowerShell 5.1、Windows Server 2016、Nano ServerとPowerShell Core Editionが各々正式版としてリリースされ、さらにはPowerShellがオープンソース化、マルチプラットフォーム展開を始めるという大きな変革があった年でした。

今年2017年は昨年ほど大きな変化はないとはいえ、昨年のOSS化からのマルチプラットフォーム展開を着実に進行させた年だと言えると思います。

以下、いくつかトピックを紹介します。

WMF 5.1インストーラーの登場

PowerShell 5.1を含むWMF (Windows Management Framework) 5.1は、Windows2016に同梱され、昨年8月にリリースされたWindows 10 Anniversary Updateにも同梱されました。今年1月に公開されたWMF5.1のインストーラーは、下位OS(Windows 7/8.1/Server 2008 R2/2012/2012 R2)のためのものです。

なお、Win10/2016に同梱のPester(テストフレームワーク)やPSReadline(コンソール入力支援)についてはWMF5.1には含まれていないので、別途PowerShellGetでインストールするのがお勧めです。

Azure Cloud ShellでのPowerShell サポート

Webブラウザ上で動作するAzureの管理用シェルである、Azure Cloud ShellではまずBashがサポートされていましたが、今年9月にPowerShellもサポート(まだプレビューですが)されました。

自動的に認証された状態で最新のAzure PowerShellのコマンドが使え、AzureのリソースにAzure:ドライブを介してアクセスすることが可能です。

注意点があって、このPowerShell版Azure Cloud Shell、どうも現バージョンでは(Nano Serverではなく)Windows Server Coreのコンテナ上で動作しているらしく、Bashに比べ起動が若干遅いのと、実体はPowerShell CoreではなくWindows PowerShell 5.1であることはちょっと念頭においておいたほうがいいかもしれません。

これ、PowerShell CoreではまだAzure PowerShellの全機能がサポートされてないからだと思うんですが、今後に期待ですね。

PowerShell for Visual Studio Code 正式版リリース

先だってオープンソース化された、マルチプラットフォーム対応のコードエディタであるVisual Studio CodeでPowerShellスクリプトの開発を行うためのExtension、PowerShell for Visual Studio Codeの正式版(1.0)が5月に公開されました。なお、現時点での最新バージョンは1.5.1となっています。

当初は、PowerShellに付属の標準スクリプト開発環境、PowerShell ISEの方が多機能だったようにも思いますが、今はもう完全にISEの機能を追い越したんじゃないかと思います。シンタックスハイライト、インテリセンス、デバッグ、コンソールといった基本機能はもちろん、Gitによるバージョン管理もVSCode自体でサポートされていることに加え、静的解析機能を提供するPowerShell Script Analyzer、テストフレームワークのPester、プロジェクト管理機能を提供するPlasterなどが統合されており、本格的な開発環境となっています。

また当然ではありますが、マルチプラットフォーム対応なので、WindowsではWindows PowerShell 、LinuxやMacではPowerShell Coreの開発が各々可能です。

公式ブログでのアナウンスによれば、今後ISEがなくなることはありませんが、ISEに新機能が追加されることはなくなり、PowerShell for VSCodeの開発に注力されることになります。ISEはとにかく標準添付である(GUI有効ならサーバーOSでも動く!)という強みがあり、シンプルなスクリプト記述であればそこそこ便利に使えるので、これからもシチュエーションに応じて使い分けて行けば良いのかなと思います。

PowerShell Core RCのリリース

昨年OSS化したPowerShell Core 6はα版として開発が続いていましたが、今年5月にはβ版となり、先月(11月)、ついにRC(Release Candidate)となりました。6.0.0のGAリリースは来年1月になるそうです。

OSS化直後からRCに至るまでの変更点は多岐に渡り、とても一言で説明できるものではないですが、ポイントとしては以下の3点に集約されるんじゃないかと思います。

  1. PowerShellが長年抱えていた問題点の洗い出しと修正

    PowerShellがOSS化した当初は、ほとんどがWindows PowerShell 5.1のコードそのままであったと言ってよいかと思います。10年以上増改築が繰り返されたコードが突如、全世界に公開されたわけです。コミュニティの力でバグや変な仕様といった問題点が洗い出され、どんどん修正されていきました。
    また、不足していると思われる機能はどんどん追加されました。既存コマンドレットのパラメータが増えるというパターンが多かったように思います。

    特筆すべきは、破壊的変更であっても妥当性があれば躊躇せずに取り入れていったことかと思います。これは英断ではありますが、一方でWindows PowerShell 5.1とPowerShell Coreでは細かいところで非互換性が色々出ていますので、移行の際には注意を要します。

  2. マルチプラットフォーム対応

    前述の通り、OSS化した当初のPowerShell 6.0は、ほぼWindows PowerShell 5.1なので、Windowsでしか動作しない部分が多々ありました。それをLinuxやMac環境でも動作するように多くの修正が加えられました。

    ところで、PowerShell 6.0は当初、条件付きコンパイルにより、Windows用に.NET Framework(Full CLR)をターゲットにして、Desktop Edition相当のPowerShellをビルドすることが可能でした。

    しかしβ版になったタイミングで、OSS版PowerShell 6.0は、「PowerShell Core 6.0」すなわち、「.NET Core上で動作するPowerShell Core」であることが明確にされました。よってFull CLRターゲットのビルドはできなくなり、β6ではついにFull CLR対応のコードはすべて削除され、Core CLR対応のコードのみとなりました。

  3. Windows PowerShell用コマンドレットの呼び出し

    PowerShell Core 6.0にはいくつかのコマンドレットが同梱されていますが、Windows PowerShell 5.1に含まれているすべてのコマンドレットを網羅しているわけではありません。また、WindowsやWindows Serverの管理のために提供されている、OS付属のモジュール群もCore 6.0には含まれておらず、α版の段階では実行も不可能(だったはず)でした。

    β1からターゲットが.NET Core 2.0に移行したことにより、.NET Standard 2.0がサポートされました。このことによって、Windowsに付属の数千ものコマンドレットを初めとするWindows PowerShell用コマンドレット(要はFull CLRをターゲットとしてビルドされたもの)のうち、.NET Standard 2.0に含まれるAPIしか使われていないものであれば、原理的にはPowerShell Coreでも実行可能になりました。

Windows PowerShellの今後

さて、PowerShell Core 6.0がまもなく正式版リリースということですが、では従来のWindows PowerShellはどうなるのか、という話について。

公式ブログのアナウンスによれば、Windows 10やWindows Server 2016に付属のWindows PowerShell 5.1については、今後もサポートライフサイクルに則り、重大なバグフィックスやセキュリティパッチ提供等のサポートは継続されます。もちろん下位バージョンのOS/Windows PowerShellも同様です。

しかしながら、Windows PowerShellに新機能が追加されることは今後はなく、開発のメインはPowerShell Coreへと移行します。つまりは、PowerShell Coreの開発の中で追加された新機能、変更点、バグフィックスについては、基本的にはWindows PowerShellとは無関係ということです。

また、現状ではPowerShell CoreはWindows PowerShell環境に追加インストールし、サイドバイサイド実行が可能となっていますが、将来的にPowerShell CoreがWindowsに同梱されるかどうかについては言及されておらず、今のところは不明です。

以下は私見になります。

このような状況で、Windows PowerShellユーザー、とりわけWindows Serverの管理はするが、Linuxとかは特に…というユーザーはこれからどうすべきか?という点は割と悩ましいところだと思います。個人的には、WindowsやWindows Serverを管理するスクリプトが現時点であるなら、それを無理に今すぐCore対応にする必要はないと思います。現時点で今すぐCoreに移行すべき理由というのはとくに無いと感じます。Coreで追加、改善された機能はあるものの、Coreには無い機能もたくさんあるからです。
また新規にスクリプトを作る場合でも、対象がWindowsに限定されるのであれば、Windows PowerShell用に作れば良いのではないかと。OS付属のコマンドレットの動作は確実に保証されているわけですから。

ただし、ご存じの通りWindows10とServer 2016は半期に一度の大型アップデートで新機能が次々追加されていきます。その過程でPowerShell Coreが含まれるようになったり、Coreのみ対応のコマンドレットが追加される可能性は無きにしもあらずなのではないかとも思います。なので、Coreの状況をチラ見しつつ、未来に備えておく必要はあると思います。Windows10/Server2016の「次」も見据えて。

それとPowerShellでWindowsもLinuxも面倒みていきたい、という野心がある方は、Coreを採用していくのがいいのではないかと思います。ただし、現状しばらくは茨の道ではあるとは思います。

あとはスクリプトやモジュールを作成し公開する方は、より多くの環境で使われるように、可能であればCore対応を進めるのは悪くないんじゃないかと思います。

おわりに

他にもWin10/Server2016におけるPowerShell 2.0の非推奨化の話とか、DSC Core構想とか、なにげに結構いろいろ話題はありました。

さて、Windows PowerShellとしては一端落ち着いた感もある界隈ですが、PowerShell Coreとしてはこれからも活発に動いていくものと思います。注目していきたいですね。

そんな2017年の締めくくり、今年はどんな記事が集まるでしょうか。PowerShell Advent Calendar 2017の参加、お待ちしております。

2016/01/11

注:最後に書きましたが、この記事の内容には未解決問題が残っています。

はじめに

前回は、パイプラインを下流の関数内で打ち切る方法について説明しました。

今回は逆に、下流でパイプラインが打ち切られた場合、上流の関数ではどう対応すべきなのか、特にリソース解放処理を焦点にして考察してみます。

パイプラインが打ち切られるケース

前回も説明しましたが、パイプライン内の関数またはコマンドレットで何らかの例外が発生すると、パイプライン処理がその時点で打ち切られます。パイプライン処理が打ち切られると、後続のprocessブロックのみならず、パイプラインに含まれるすべてのendブロックの実行もスキップされてしまいます。

ところでコマンドレットや関数では何かエラーが発生した場合、コマンドレットではWriteErrorメソッド、関数ではWrite-Errorコマンドレットを使ってエラーストリームに、生の例外オブジェクトをラップしたErrorRecordを出力し、呼び出し側のErrorActionの設定にエラー時の処理を委ねるのが基本です。

呼び出し時のErrorAction指定がContinue、SilentlyContinue、Ignoreの場合は、パイプラインが中断することはありませんが、StopやInquireで中断した場合は例外(ActionPreferenceStopException)がthrowされ、パイプラインは打ち切られます。
(ちなみにv3からはStopで中断した場合は、コマンドレットがエラーストリームに書き出したErrorRecordに含まれるExceptionがthrowされる)

また、継続不能エラーが発生(ThrowTerminatingErrorメソッド)したり、.NETの生の例外がそのままthrowされたり(お行儀が悪いですが)、breakステートメント(FlowControlException)が実行されたり、Select-Object -First(StopUpstreamCommandsException)が実行された場合も、同様にパイプラインは打ち切られます。

つまり、下流のコマンドでパイプラインが打ち切られるケースというのは色々あり得るので、endブロックというのは実行が確約されたものでは全くない、ということに留意しておく必要があります。

関数内のリソース解放処理

確実に実行したい後処理というのは色々あると思いますが、特に確保したリソースの解放というのは確実に実行してもらわないと困ります。

しかし、前述のような背景があるので、何らかのリソースを用いる関数を書く際に、beginブロックでリソースを確保し、processブロックでリソースを利用し、endブロックでリソースを解放する、ということは基本はNGということになります。

この点、コマンドレットクラスであれば、IDisposableインターフェースを実装しておけば、コマンドレット終了時にDisposeメソッドをPowerShellが呼んでくれるので、その中にリソース解放処理を記述しておけばOKです。しかし関数ではこの手法が使えないので、代替案を考える必要があります。

パイプライン処理の後始末をしよう - 鷲ノ巣であえとす氏が考案した、beginブロックに後処理用の関数を定義しておく方法では、同じ関数内のprocessブロックで発生したエラーをcatchしてリソース解放処理を走らせることは可能です。が、残念ながら下流で発生した例外をcatchすることはできず、その場合は後処理がスキップされてしまいます。

リソース解放処理を含めた関数

あえとす氏の方法を若干アレンジして、下流で例外が発生した場合も確実にリソース解放の後処理を走らせる方法を考えてみました。以下にコードを示します。

※クラス構文を使ってますが、これは単に、Disposeできるオブジェクトのサンプルだと思ってください。

class SomeResource : IDisposable
{
    [void]Dispose()
    {
        # ここで何らかのリソース解放処理を行ったものとする
    }
}

function Write-OutputWithResource
{
    [CmdletBinding()]
    param([Parameter(ValueFromPipeline)][psobject[]]$InputObject)
    begin
    {
        $resource = New-Object SomeResource # 後で解放する必要のある何らかのリソース確保

        function Clear-Resource
        {
            # リソースの解放処理
            $resource.Dispose()
        }
    }
    process
    {
        try
        {
            $processing = $true
            Write-Verbose "output_start: $InputObject"
            $InputObject # パイプライン出力
            Write-Verbose "output_end: $InputObject"
            $processing = $false
        }
        catch
        {
            # try内で例外が発生した場合はそのまま再スロー
            throw
        }
        finally
        {
            if($processing)
            {
                Write-Verbose "resource_dispose (on error)"
                Clear-Resource
            }
            Write-Verbose "output_finally: $InputObject"
        }
    }
    end
    {
        Write-Verbose "resource_dispose (at end)"
        Clear-Resource
    }
}

processブロック内のtryブロックでパイプライン下流に値を出力したとき、下流で例外が出てもcatchブロックが実行されないので、代わりに、必ず実行されるfinallyブロックから後処理を呼び出すようにしてみました。

ただし、パイプライン下流で例外が発生しなかった場合には、processブロック内ではリソース解放処理はしたくないので、例外発生の有無を$processingという変数の値を見ることで確認しています。もしパイプライン出力したあと下流で例外が出ていれば、$processingの値は$trueのままになるので判断可能です。

パイプラインが中断することなく、最後まで実行される場合は、endブロック内でリソース解放処理を行います。

同じ関数内で例外が発生したときのリソース解放処理についても、$processing = $trueと$processing  = $falseの間に例外が発生する可能性のある処理を記述した上で、catchブロックで再throwすれば、併せて対応できるのではないかと思います。(それ用のtry..catchを記述してもいいですが)

関数の実行例
PS> 1..3 | Write-OutputWithResource -Verbose | Select-Object -First 2
詳細: output_start: 1
1
詳細: output_end: 1
詳細: output_finally: 1
詳細: output_start: 2
2
詳細: resource_dispose (on error)
詳細: output_finally: 2

このように、下流でパイプライン打ち切りがあるとendブロックは実行されませんが、リソース解放処理は、きちんとprocessブロック内のfinallyブロックから呼び出されています。

PS> 1..3 | Write-OutputWithResource -Verbose
詳細: output_start: 1
1
詳細: output_end: 1
詳細: output_finally: 1
詳細: output_start: 2
2
詳細: output_end: 2
詳細: output_finally: 2
詳細: output_start: 3
3
詳細: output_end: 3
詳細: output_finally: 3
詳細: resource_dispose (at end)

もちろんパイプラインが最後まで正常に実行された場合も、ちゃんと最後にendブロックでリソース解放が行えるようになっています。

おわりに

本当に、こうするしかないんですかね…?

PowerShellにもリソース利用のusingステートメント欲しいです、が、begin, process, endにまたがって機能するusingってどういう構文になるんでしょうね。

(14:22追記)と、ここまで書いておいて、この方法では下流で発生した例外には対処できますが、上流で例外が発生した場合はリソース解放が実行されないという問題に気付きました…。どうすればいいんだ…。

2015/12/04

この記事はPowerShell Advent Calendar 2015の4日目の記事です。

はじめに

今回はPowerShellでWebページのスクレイピングをする際の、ちょっとしたノウハウ集を前後編に分けて紹介したいと思います。

スクレイピングというのは、Webページから文字列を取ってきて、スクリプトから利用可能な形に加工する処理です。昨今は多くのWebサイトやサービスでWeb APIが公開されていて、スクレイピングをせずとも比較的簡単にデータを取得できます。PowerShellだとInvoke-RestMethodコマンドレット等が使えます(その話はまた次回とかにやります)。

しかし現実には、APIが公開されていない等の理由で、HTMLを取ってきて自前で解釈せざるを得ないケースが多々あります。さて、PowerShellではどうやりましょうか、というのが今回の話。様々な方々によってもう色々と語られている分野ではあるのですが、結構細かいハマりどころがあるのでちょっとまとめてみようと思いました。

前編ではまず、Webページからの文字列の取得方法ついてまとめます。

なお、スクレイピングには技術的な問題以外の、微妙な問題(著作権の問題とか、Webサイトへの攻撃と見なされる可能性とか)を含むものなので、その辺りは各自どうかご留意ください。この辺りの話はPowerShellに限った問題ではないので、ここでは詳説いたしません。参考記事:Webスクレイピングの注意事項一覧 - Qiita

Invoke-WebRequestコマンドレットで文字列を取得する

PowerShellでのスクレイピング、基本は何はなくともInvoke-WebRequestコマンドレットです。ただしこのコマンドレットはPowerShell 3.0で追加されたものなので、2.0環境にはないことに注意です。その場合は.NETのWebClientクラス等を使う方法があり、後で述べます。

基本は、

$response = Invoke-WebRequest -Uri "http://winscript.jp/"

のように、Invoke-WebRequestコマンドレットを実行する、だけです。「-Uri」は省略可能です。

このとき$responseにはHtmlWebResponseObjectオブジェクトが格納されています。このうち、指定URLのWebページに含まれているHTMLなどの文字列データは、Contentプロパティに格納されます。つまり、$response.Content に欲しいデータが格納されているので、あとはそれをよしなに利用すればいいわけです。

実はInvoke-WebRequestは、文字列データを取得すると同時に、HTMLの場合はパースしてタグの構造をオブジェクト化までしてくれます。が、それについては次回。

なお、Invoke-WebRequestコマンドレットでは文字列を取得する他、バイナリデータをダウンロードしてファイルとして保存する機能もあります。それについては過去記事をご参照ください。

リクエストにパラメータを付与する(GET)

GETメソッドを用いてクエリを指定する場合、要はhttps://www.google.co.jp/search?q=PowerShell のようなURLのデータを取得する場合は、Invoke-WebRequest "https://www.google.co.jp/search?q=PowerShell" のようにQueryStringを含んだURLをそのまま指定するだけでOKです。

ただし、動的にクエリを組み立てる場合は、URIエンコード(URIエスケープ)を考慮する必要があります。もっとも簡単なのは

$searchWord = "PowerShell 配列"
$response = Invoke-WebRequest "https://www.google.co.jp/search?q=$([Uri]::EscapeDataString($searchWord))"

のように、Uri.EscapeDataStringメソッドを使う方法かと思います。

リクエストにパラメータを付与する(POST)

POSTメソッドでリクエストボディにパラメータを付与するには、Invoke-WebRequestコマンドレットの-Methodパラメータに"Post"を指定し、-Bodyパラメータにリクエストボディに付与するデータを連想配列で指定します。

たとえばブログのトラックバックを手動で撃つにはこんな感じでいけます。

$body = @{title="テスト";url="http://example.com/";excerpt="テスト";blog_name="test"}
Invoke-WebRequest http://ご自分のブログのトラックバックpingURL -Method POST -Body $body

なお、リクエストボディに含めるパラメータの各値(連想配列の値)は、自動でURIエンコードしてくれます。

(12/16追記)
また、-Bodyには連想配列のみならず、任意の文字列(URIエンコード要)やバイト配列(バイナリを送信する場合)を指定することも可能です。

標準認証が必要なページを取得する

ページの取得に標準認証が必要な場合は、-Credentialパラメータにユーザー名とパスワードを指定したPSCredentialオブジェクトを指定すればOKです。

セキュリティのことは取りあえず置いておき、簡易的にスクリプトに生パスワードを直書きしてもいいかな、という場合には以下のように書くことができます。

$userName = "user"
$password = "pass"
$credential = New-Object PSCredential $userName, (ConvertTo-SecureString $password -AsPlainText -Force)
Invoke-WebRequest 認証が必要なページのURL -Credential $credential

しかしこの方法はもちろんお勧めできないので、スクリプトとして保存する場合は通常はパスワードを暗号化しておきます。

まず、Get-Credential ユーザー名 | Export-Clixml cred.xmlを、スクリプトを実行するコンピュータ上で、スクリプトを実行するアカウントと同じアカウントで実行します。パスワードを入力するダイアログが出るので、Webサイトにログオンする際のパスワードを入力します。すると、ユーザー名と暗号化されたパスワードがcred.xmlに出力されます。

スクリプトからは

$credential = Import-Clixml cred.xml
Invoke-WebRequest 認証が必要なページのURL -Credential $credential

のようにすると、cred.xmlからユーザー名と復号したパスワードを、そのまま-Credentialパラメータに渡すことが可能です。

なおcred.xmlに含まれる暗号化パスワードは、ConvertFrom-SecureStringコマンドレットと同様、Windows Data Protection API(DPAPI)を用いてWindowsアカウントのパスワードをキーに利用して暗号化されているので、他のユーザーが復号することはできません。

ちなみに同一スクリプトファイルに暗号化パスワードを含めておくこともできなくはないです。過去記事参照。あと本当は資格情報マネージャーを使うのがいいんですが、…略。参考:PowerShell で Windows の 資格情報マネージャー を利用する (Jenkins などでの Git Credentialなど) - tech.guitarrapc.com

セッション情報を引き継ぐ

多くのWebアプリケーションは、同一クライアントからの連続したアクセスを、セッションという単位で管理します。

サーバーはクライアント(普通はWebブラウザ)の初回アクセス時にセッションIDを含むcookieを返し、クライアントからの2回目のアクセス時に、サーバーはcookieにセッションIDが含まれているかどうかを確認し、同一クライアントからのアクセスかどうかを判断するわけです。(ざっくりした説明ですが)

WebブラウザではなくInvoke-WebRequestを使ったアクセスでも同様に、以下のようにすれば受けとったcookie等のセッション情報を次回アクセスに引き継ぐことができます。

$url = "https://ログオンが必要なサイト"
$body = @{リクエストボディ(例えばユーザー名とかパスワードとか)}
$response = Invoke-WebRequest $url -SessionVariable sv -Method POST -Body $body
Invoke-WebRequest $url -WebSession $sv

初回アクセス時に-SessionVariableパラメータに指定した変数名(sv)の変数($sv)にはWebRequestSessionオブジェクトが格納されます。この中に、サーバーから受け取ったcookie等の情報が格納されています。

次回アクセス時には、-WebSessionパラメータに、初回アクセス時に得られたWebRequestSessionオブジェクト($sv)を指定します。

さて、実際のWebアプリケーションではcookie以外にも、Formのhiddenフィールドの値などもセッション管理に用いていることがあります。その場合は、初回アクセスのレスポンスからFormに含まれるinput type="hidden"なフィールドを抽出し、次回アクセスのリクエストボディに含ませる必要が出てきます。この辺りの話は後編で述べるパースが必須になってくる(し、長くなる)ので今回は詳説しません。Invoke-WebRequestコマンドレットのリファレンスのExample2に、Facebookにログオンする例なんてのがあるので、そちらで雰囲気をつかんでください。(今でも動作するかは確認してないですが)

エラートラップ

さて、Invoke-WebRequestは、タイムアウトになった、名前解決ができなかった、ページが無かった(404エラー)等々、正常にWebページを取得できなかった場合は、System.Net.WebExceptionというエラーを出します。

コマンドレットの出すエラー(Errorストリームに出力されるErrorRecord)は、try...catchステートメントでは捕捉できない、というのが原則ですが、Invoke-WebRequestコマンドレットのエラーは一般的なコマンドレットと異なり、普通の.NETの例外(System.Net.WebException)なので、try...catchステートメントでエラートラップを行います。

とは言え、Invoke-WebRequestコマンドレットの仕様上、エラートラップをして適切な処理を行うのは非常にめんどいです。何故かというと、Invoke-WebRequestがエラーを出した時点で、HtmlWebResponseObjectオブジェクトの出力は行われないので、このオブジェクトから得られる様々な情報(レスポンス文字列、ステータスコード等々)が取得できないからです。

じゃあどうすればいいのかという話なんですけど、どうもWebExceptionオブジェクトのResponseプロパティを見るしかないようです。具体的にはこんな感じ。

try
{
    $response = Invoke-WebRequest http://存在しないページなど
}
catch [System.Net.WebException]
{
    # HTTPステータスコード取得
    $statusCode = $_.Exception.Response.StatusCode.value__

    # レスポンス文字列取得
    $stream = $_.Exception.Response.GetResponseStream()
    $reader = New-Object System.IO.StreamReader $stream
    $reader.BaseStream.Position = 0
    $reader.DiscardBufferedData()
    $responseBody = $reader.ReadToEnd()
}

せっかくInvoke-WebRequestコマンドレットは、生のレスポンスを利用しやすくHtmlWebResponseObjectという形で返してくれるのに、エラー発生時はその恩恵を受けることができず、泥臭い処理が必要になります。これはかなりいけてないですし、どうせここまで書かないといけないのであれば最初からWebClientクラスを使った方がいいと思います。

httpsで無効な証明書が使われている場合

(12/16追記)
Invoke-WebRequestコマンドレット(およびWebClient)では、httpsで始まるURLからもダウンロード可能ですが、サイトで用いられている証明書に問題がある場合(期限が切れている、暗号化形式に問題がある、いわゆるオレオレ証明書である等)には、「要求は中止されました。SSL/TLSセキュリティで保護されているチャネルを作成できませんでした」というエラーが出てしまいます。

これを回避するには、Invoke-WebRequestコマンドレット実行前に、

[System.Net.ServicePointManager]::ServerCertificateValidationCallback = {$true}

という1文を記述しておきます。

ただし、証明書に問題があるということは、その通信相手が正当かどうか、通信内容が正しく秘匿されているかどうか、保証がされなくなるということですから、その点は念頭においてください。

文字化けの問題

Invoke-WebRequestコマンドレットのもう一つの悩ましい問題、それは文字コードです。実はInvoke-WebRequestコマンドレットには、Webページの文字コードを指定する方法がありません。(多分)

ではレスポンス文字列の文字コードがどのように決まるかというと、サーバーが返すレスポンスヘッダのContent-Typeフィールドで指定されているcharsetです。具体的には、$response.Headers["Content-Type"]の値が例えば"text/html; charset=UTF-8"であれば、$response.Contentの文字コードはUTF-8になります。

このときページ(HTML)を記述している文字コードと、レスポンスヘッダで指定されている文字コードが一致すれば全く問題はないのですが、異なる場合は容赦なく文字化けします。

異なる場合だけでなく、レスポンスヘッダのContent-Typeフィールドに文字コードの指定がない場合はASCIIと見なされるので、日本語のページの場合はやはり文字化けします。

この問題を回避する方法は、私はまだ見つけていません。よって文字化けが起きる場合は、諦めてWebClientを使って文字コードを指定するようにしています…。

WebClientを用いる

以上で述べてきたとおり、Invoke-WebRequestコマンドレットは、ページをさくっと取得して、さくっとパースするのには重宝するのですが、細かい所で融通が利かない印象があります。

そこで細かい処理が必要な場合(と、PowerShell 2.0環境)は、素直にWebClientクラスを用いるのがいいと思います。今回WebClientの使い方も入れようかと思いましたが、長くなったので詳しくは省略します。

基本は以下のような感じでDownloadStringメソッドを使って文字列を取得します。文字コードも指定できます。

$client = New-Object System.Net.WebClient
$client.Encoding = [System.Text.Encoding]::UTF8
$content = $client.DownloadString("http://アドレス")

なお、WebClientを用いた場合でも、Invoke-WebRequestと同等のHTMLパースを行う方法は存在するので、それは次回に。

おわりに

今回はまず、Webページから文字列データを取得する部分にフォーカスしてみました。といっても、Invoke-WebRequestの機能を全部網羅したわけではなく、使用頻度が高そうなものと個人的ハマリポイントがあるところだけです。なので詳しくはリファレンスを見て下さい。というかハマリポイントたぶんまだまだ一杯あると思います。

後編では、とってきた文字列データを「パース」して、扱いやすいデータ形式に変換する方法についてまとめようかと思います。

2015/03/20

わんくま同盟大阪勉強会#62で行った、「PowerShell 5.0 新機能」セッションスライドを公開します。

WMF 5.0 Preview Feb. 2015時点でのPowerShell 5.0 / WMF 5.0の新機能は大体こんな感じにまとめられるかと思います。

  • Experimental design 
    • OneGet
    • PowerShellGet
    • クラス定義
    • DSC(Desired State Configuration)機能強化
    • デバッグ機能強化
    • スクリプトアナライザー
    • Auto-Generated Example-Driven Parsing
  • Stable design 
    • 監査機能の強化
    • CMS (CRYPTOGRAPHIC MESSAGE SYNTAX) コマンドレット
    • ODataエンドポイントのコマンドレット化
    • シンボリックリンク操作機能
    • zipファイル操作コマンドレット
    • Networkスイッチ管理用コマンドレット

新機能のうち、目玉となりそうなOneGet、クラス構文、DSC機能強化についてはいずれもまだ一部もしくは全部がExperimental designなので、今後もまだ仕様変更が入るものと思われます。(逆に仕様に物申すことができるチャンスは今だけ)

まだ正式版リリース(今年中?)までに新要素が入る可能性はありますが、全体像はそろそろ見えてきたと思います。現時点でも相当に新要素が追加されており、個人的にはv4→v5はv2→v3の時並のインパクトがあるアップグレードですので、今のうちに予習を始めておくのが良いかと思われます。

なお、近々、PowerShell勉強会@大阪(JPPOSH主催)でもPowerShell 5の話をする予定です。基本は同内容ですが、発表時点での最新情報を追加していこうと考えています。詳細が決まりましたらまた告知したいと思います。

2014/09/09

8/23わんくま横浜勉強会で、PowerShellコマンドの書き方というセッションをしたのですが、その際、株式会社Codeerさんが公開されているFriendlyというライブラリを使ったコマンドレットを動作させるデモを行いました。

準備の時間がなくて、突貫工事で作ったサンプルで恐縮ですが、公開することにします。(一応動かしてみたら動いた、レベルのものなのであしからず…)

コード
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;
using System.Management.Automation;
using Codeer.Friendly.Windows;
using Codeer.Friendly.Dynamic;
using System.Windows.Forms;

namespace Winscript
{
    [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "FormControlText")]
    public class GetFormControlTextCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string[] ControlName { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Process Process { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            var _app = new WindowsAppFriend(this.Process);
            dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle);
            foreach (var c in form.Controls)
            {
                if (ControlName == null || ControlName.Contains((string)c.Name))
                {
                    WriteObject((string)c.Text);
                }
            }
        }
    }

    [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "FormControlText")]
    public class SetFormControlTextCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string ControlName { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)]
        public string Text { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Process Process { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            var _app = new WindowsAppFriend(this.Process);
            dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle);
            foreach (var c in form.Controls)
            {
                if (ControlName == (string)c.Name)
                {
                    c.Text = Text;
                }
            }
        }
    }
}
ビルド方法
  1. Windows 8.1 SDK をインストールする。
  2. Visual Studio 2010以降でC#のクラスライブラリを新規作成する。
  3. C:\Program Files (x86)\Reference Assemblies\Microsoft\WindowsPowerShell\3.0 にある.dllを参照設定する。
  4. 対象フレームワークを.NET 4.5、対象プラットフォームをx64にする。
  5. 上記のコードを貼り付ける。
  6. NuGetでFriendlyおよびFriendly.Windowsを追加する。
  7. ビルドする。
使用方法

上記をビルドして生成したDLLにはGet-FormControlTextと、Set-FormControlTextの2つのコマンドレットが含まれます。

# コマンドレットのインポート
Import-Module "dllのフルパス"

# 操作対象のプロセスオブジェクト取得
$p = Get-Process WindowsFormsApplication1 

# プロセスを指定して、すべてのコントロールのテキストを取得
Get-FormControlText -Process $p

# プロセスとコントロール名を指定して、テキストを取得
Get-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1

# 位置パラメータなので以下のようにも書ける
Get-FormControlText $p textBox1

# パイプラインからプロセスオブジェクトを入力することもできる
$p | Get-FormControlText -ControlName textBox1 

# プロセスとコントロール名を指定して、テキストを変更する
Set-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1 -Text Wankuma
Set-FormControlText $p textBox1 Yokohama
$p | Set-FormControlText -ControlName textBox1 -Text 6
制限事項

フォーム直下に配置されたコントロールしか取得できない(と思います)。

Windows Formアプリケーションにしか対応していない(と思います)。

x64アプリしか操作できない(と思います。x86用はアセンブリを分ける必要がある??)。(←9/9追記)

コントロール名指定はCase sensitiveでワイルドカード不可です。(この辺ただの手抜きですが)

今後の方針?

上のコードをみてもらえればわかると思いますが、ちょっと触ってみたら一応動くものができるくらい、Friendlyは分かりやすいです。皆さんもぜひ使ってみてください。

本来は、テキストじゃなくてコントロールそのものをGetしたりSetしたりInvoke(クリックとか)したりできるようにしたかったんですが、Controlはシリアル化できないオブジェクトなので、Friendlyで実物を持ってきてコマンドレットに出力する、というのは無理でした。何らかのプロキシオブジェクトみたいなのでラップしたりすれば良いかと思います。

それにしてもPowerShellとFriendlyの組み合わせはものすごい可能性を秘めている予感がします。

システム管理方面では…

セッションでもやりましたが、PowerShellコマンドレットベースのアプリケーションを作ると、GUIとCUIのいいところどりが出来る、とはいうものの、コマンドインターフェースがなくGUIオンリーのアプリケーションはまだまだたくさんあるのが現実かと思います。そういうアプリケーションも、PowerShellデフォルトの機能のみではつらいですが、上記のようにFriendlyを併用すれば、GUI操作の自動化が容易になると思います。

開発方面では…

C#でFriendlyを使ったGUIのテストコードを書く以外に、上記のようなFriendlyの機能をラップしたコマンドレットを用意することで、PowerShellスクリプトでもテストコードを書くことができるようになると思います。その際、Pester等のPowerShell用テストフレームワークを併用すると、より一貫したテストコードが記述できるようになるんじゃないかと思います。

いずれは(いつ?)、Friendlyの機能をラップしたコマンドレット群をきちんと設計、実装して、モジュールとして公開したいですね!

2012/12/01

今日から、PowerShell Advent Calendar 2012が始まりました。初日は私が担当させていただきます。お題は旬の話題、PowerShell 3.0の新機能!…ではなく、初心に返って、PowerShellの「関数」ってどう書くのがいいのかというお話をします。PowerShell 3.0どころか、大部分はPowerShell 1.0から変わっていない基本の話です。

これは今までずっと書きたかったネタですがなかなか書く暇がなくて放置してたものです。3.0の話はきっと他の皆さんが書いて下さるはず!私もまた順番が回ってきたら書こうと思います。

PowerShellの関数は従来言語とだいぶ違う

PowerShellを使いこなすようになってくると、他の言語を使う時と同じで、定型処理は関数として一つにまとめたくなってきます。ところが他の言語と同じような感覚で関数を書くと、どうもうまくいかないのです。

たとえば引数にフォルダパスとフォルダ名を指定すると、指定フォルダが存在すればFalseを返し、存在しなければ作成してTrueを返す関数を書いてみました。

function MakeDir($path,$name)
{
    $newDirPath = Join-Path $path $name
    if((Test-Path $newDirPath))
    {
        return $false
    }
    else
    {
        New-Item -ItemType Directory -Path $newDirPath 
        return $true
    }
}

実行は

MakeDir("C:\test","NewFolder")

と、メソッド風に呼び出すことはできないので、コマンドレット風に

MakeDir C:\test NewFolder

と呼び出せばいいんですが(まあ最初はここもつまづきポイントではありますが)、この実行結果は以下のようになります。

    ディレクトリ: C:\test

Mode                LastWriteTime     Length Name 
----                -------------     ------ ----
d----        2012/12/01      7:51            NewFolder
True

フォルダが作成されてTrueが返却されることを想定していたのに、なんか余計な出力が混じってしまっています。なんでしょうこれは?

実はPowerShell関数内で値が出力されると、returnキーワードがついてなくてもすべて呼び出し元に出力されるという仕様なのです。そしてPowerShellにおけるreturnキーワードの効果は「後続処理を打ち切って呼び出し元に戻る。ただしreturnの後に値が指定してあればそれを最後の値として戻す」となります。そのため、呼び出し元に返したくない出力が関数内にある場合は、すべて[void]にキャストしたり|Out-Nullとしてリダイレクトするなどして出力を破棄する必要があるのです。このMakeDir関数の場合はNew-Itemコマンドレットが作成したフォルダのFolderInfoオブジェクトを出力するので、これをNew-Item -ItemType Directory -Path $newDirPath | Out-Null のように破棄してやる必要があるわけです。

パイプラインの動作

先ほどの例を見ると、「いやいやなんでそんな訳のわからない仕様なんだよ、returnあるときだけ値返せよ」とお思いかと思います。しかしこれはPowerShellの特長の一つである、コマンドのパイプラインによる連携を行うための仕様なんです。

ここでコマンドを繋ぐパイプラインがどういう動作をしてるか、おさらいします。

Get-Process | where {$_.Handles -ge 500} | foreach {$_.Path}

これはハンドル数が500以上のプロセスのメインモジュールファイルのパスを取得するというコマンドで、別に何の変哲もありません。ところが、このコマンドがやっている処理を、次のように誤解してませんでしょうか?

@ 稼働中のすべてのプロセスの一覧を配列として取得する。
A @で取得した配列を走査して、Handlesプロパティの値を調べる。Handlesが500以上のオブジェクトだけ抽出した配列を生成する。
B Aで生成した配列を列挙して、{}内のスクリプトをそれぞれ実行する。

しかし、これは間違いです。

正しくは

@ 稼働中の1つのプロセスオブジェクトを取得して次のコマンドへ送る。
A そのプロセスのハンドル数が500以上なら、次のコマンドへ送る。そうでないなら@に戻る。
B そのプロセスに対して{}内のスクリプトを実行する。まだ未取得のプロセスが残っていれば@に戻る。

という動きをしています。つまり、パイプラインの手前で一旦すべての処理を終えてから、出力オブジェクトがまとめて配列という形で次のコマンドに送られるのではなく、オブジェクトがパイプラインの先頭から末尾に向けて1つずつ通過していき、それが先頭コマンドの出力オブジェクト数だけ繰り返される、という動作をしているのです。

これがPowerShellのパイプライン処理が、従来の処理系での関数と決定的に違うところで、パイプラインによって複数のコマンドが、あたかももとからあった単一のコマンドのように密に連携するわけです。

(この処理、.NETのLINQにちょっと似てると思う方もいらっしゃると思います。しかしLINQとは全然違うものです。なんせPowerShellはLINQより先に世に出てますし! しかし類似点も多いのでいずれ比較なんかを書きたいと思ってます)

パイプラインで連携可能な関数の書き方

さて、先ほどのパイプラインの話ではコマンドレットを連携させていました。しかしPowerShellにおいてはコマンドレットも関数も、それが.NETのクラスかPowerShellのスクリプトなのかの違いがあるだけで、基本は同じ「コマンド」です。なので、関数もコマンドレットと同様、適切な記述をおこなえば、パイプラインでコマンド同士を連携させることが可能です。

以下に、Get-Repeatという関数の例を挙げます。この関数は-Textパラメータに文字列を指定し、-Countパラメータに回数を指定すると、指定文字列を指定回数分連結した文字列を出力する、という何の変哲もない関数です。しかしパイプラインからの入力を受け付け、次のパイプラインへ出力することを想定した作りになっています。

function Get-Repeat
{
    param(
        [Parameter(ValueFromPipeline=$true,Mandatory=$true)]
        [string[]]
        $Text,
        
        [int]
        $Count=2
    )

    begin
    {
    }

    process
    {
        foreach($s in $Text)
        {
            $s * $count
        }
    }

    end
    {
    }
}

以下は実行例です。

PS> Get-Repeat -Text ab -Count 2
abab
PS> "ab" | Get-Repeat -Count 2
abab
PS> Get-Repeat -Text ab,cd -Count 2
abab
cdcd
PS> "ab","cd" | Get-Repeat -Count 2
abab
cdcd

このように、パラメータに値を指定してもパイプラインから入力しても、スカラー値(配列ではない単一のオブジェクト)でも配列でも、正しく処理されています。

この関数をポイントごとに見ていきましょう。

PowerShellの正式な関数はparam節、beginブロック、processブロック、endブロックに分かれます。param節にはパラメータを指定します。beginブロックにはパイプラインで連携した際、最初の1回だけ実行される初期化処理、endブロックには最後の1回だけ実行される後始末処理を記述します。beginとendは今回の例では内容を省略しています。processブロックには、パイプラインから入力された1つのオブジェクトに対してその都度実行される処理を記述します。

ちなみに、

コマンド@|コマンドA|コマンドB

とある場合、各コマンドにおけるbegin,process,endブロックは次のような順番で呼び出されます。

コマンド@begin→コマンドAbegin→コマンドBbegin→{コマンド@process→コマンドAprocess→コマンドBprocess→コマンド@process…}→コマンド@end→コマンドAend→コマンドBend

processブロックでの処理は、通常はパイプラインだけではなくパラメータからも値を入力できるようにしておきます。そのためにはparam節に記述するパラメータに「このパラメータはパイプラインから値を入力することもできる」を意味する[Parameter(ValueFromPipeline=$true)]という属性を指定します(この属性はPowerShell 2.0から利用可)。今回のパラメータには「このパラメータは必須である」を意味するMandatory=$trueもあわせて指定しています。

先述の通り、パイプラインから入力される場合は配列ではなくオブジェクトが単体で渡されるのですが、パラメータから入力される場合はスカラー値と配列値、どちらの可能性もあるため、[string[]] のようにパラメータの型を配列型にしておくことで、どちらを指定しても処理できるようにしています。

processブロックではパラメータ経由で配列値が渡された場合に、各要素に対して処理を行うためforeachループを設けています。ちなみにスカラー値が渡された場合もforeachは問題なく処理します。

processブロック内では、returnは記述しません。returnするとその時点で関数が終了してしまうので正しくすべての出力ができなくなってしまいます。

特にこの例の関数のように入力型と出力型が同一の場合は、processブロックでは1オブジェクトの入力に対して、1オブジェクトを出力するようにしておくと、他のコマンドと連携させやすくなります。ただしWhere-Objectコマンドレットのようにフィルタ処理を行う関数の場合は、条件によっては何も出力しないようにします(空の配列とか$nullを返すのではないことに注意)。もちろん入力オブジェクトから何らかの配列値を出力する場合もありえます。

最低限、これらのポイントを押さえて関数を記述すると、他のコマンドとパイプラインで連携しやすい、PowerShellらしい関数を書くことができると思います。

まとめ

PowerShellでは従来言語と同じ感覚で関数を書くと、うまくいかないことが多いです。もっとも単に処理をひとまとめにしたいというニーズだけならばそれでも問題ないのですが、関数同士を組み合わせたいときに問題が顕在化します。

パイプラインの真の動作を理解し、パイプラインの中に組み込んで動作させることを想定した関数を記述すると、他のコマンドレットあるいは自作関数と連携しやすくなり、PowerShellの真の力を解放することができると思います。

PowerShell Advent Calendar 2012の1日目にしてはえらい固いネタかもですが、基本をおさらいするのも大事ですよね。

さて、明日は@jsakamotoさんの番です。よろしくお願いします。

2012/07/06

今月21日に、マイクロソフト品川オフィスで開催される第2回Windows Server 2012 Community DayでPowerShell 3.0のセッションをすることになりました。

Windows Server 2012 Community Day | Technet

セッション 4: Windows Server 2012 管理のための Windows PowerShell 3.0 新機能解説
牟田口 大介 (テクニカル ライター)

■ 内容: Windows Server 2012 には Windows PowerShell 3.0 および Windows Management Framework 3.0 (WMF 3.0) が搭載され、管理機能がより強化されます。本セッションでは PowerShell 3.0/WMF 3.0 で改善された点と新機能をご紹介し、PowerShell ベースの GUI 管理アプリなど Windows Server の新しい管理の手法について解説します。

16:45 - 17:45

このイベントはWindows Server, IT pro系のMicrosoft MVPが集結し、Windows Server 2012の魅力を語るというものです。すでに6/30に第1回が行われ、今回はその続編となります。

私は上記アジェンダのようにPowerShell 3.0を中心としたWMF3.0によるWindows Server 2012管理の手法をご紹介しようと思っています。

お近くの方はぜひお立ち寄りくださいませ。第1回は早い時期に満員御礼となったそうで、第2回も早期に募集締め切りになる可能性もありそうです。ご登録はお早めにお願いします。

ところで私はMVPの受賞月が7月で、今回も無事、再受賞することができました。これで9年の連続受賞となりずいぶん長く続いたものです。今期1年間もどうぞよろしくお願いします。

2011/12/19

はじめに

PowerShell Advent Calendar 2011の19日目の記事、そしてこれが私の記事では3回目となります。今回も前々回前回からの引き続きでバックグラウンドジョブについての話題です。前回までは現行バージョンであるPowerShell 2.0におけるバックグラウンドジョブの機能の使い方を解説してきましたが、今回はPowerShellの次期バージョンである3.0に追加される予定の機能のうち、ジョブ関係のものをピックアップしてみます。現在PowerShell 3.0を含むWindows Management Framework(WMF)3.0のCTP2が公開されています。またWindows 8 Developer Preview / Windows Server 8 Developer PreviewにはWMF3.0 CTP1相当のPowerShell 3.0が含まれています。

注意:本記事で取り上げた内容は製品のプレビュー版をもとに記述しています。そのためリリース版では内容が一致しない可能性があることをご承知おきください。

using:ラベル

前回、ジョブに値を渡す方法について解説しましたが、-argumentListに引数として渡すというのは正直めんどうです。呼び出し元のグローバル変数を直接ジョブ側から参照したいですよね。そこでPowerShell v3では新たに変数に付けるusing:ラベルというのが追加されました。このラベルをジョブのスクリプトブロック内で使うと、呼び出し元の変数を参照することができます。具体例。

$test="PowerShell 3.0"
Start-Job {$using:test}|Wait-Job|Receive-Job

とすると、「PowerShell 3.0」と表示され、たしかにジョブのスクリプトブロックから呼び出し元の変数を参照できていることがわかります。これは便利ですね。ただし残念ながらこの方法を使ってもスクリプトブロックをジョブに渡すことはできないようです。相変わらず文字列にキャストされてしまいました。

Receive-Jobコマンドレットの変更点

前々回に、Invoke-Command -asJobで複数リモートコンピュータに対してジョブを走らせた場合、そのジョブに対して$job|Receive-Jobがなぜか機能しない、と書きましたがこの問題が解決されています。そもそもなんでこの問題が発生していたのか、面白いのでちょっと解説します。

実はReceive-Jobコマンドレットの-locationパラメータに「パイプライン入力を許可する   true (ByPropertyName)」フラグがついていたのが原因でした。複数コンピュータに対して実行したジョブは子ジョブを複数持ちますが、親ジョブ自体は配列ではありません。そしてそのLocationプロパティには子ジョブが実行されているコンピュータ名が"remote01,remote02,remote03"のようなカンマ区切りの文字列として格納されています。よってこのジョブオブジェクトをパイプラインを通じてReceive-Jobコマンドレットに渡すと、ValueFromPipelineByPropertyName属性が付いている-locationパラメータにジョブオブジェクトのLocationプロパティの値が渡されますが、その値はカンマ区切りの文字列なので正しく解釈されず、結果として期待の動作をしなかったわけです。

v3ではReceive-Job -locationのValueFromPipelineByPropertyName属性が取り除かれ、問題なく動作するようになりました。

他の変更点としてはReceive-Jobにジョブが完了するまで待つための-waitパラメータが追加されました。が、$job|Wait-Job|Receive-Jobと違いが分からないかも…。

Get-Jobコマンドレットの変更点

Get-Jobに-filterパラメータが追加されました。連想配列でジョブにフィルタをかけられるものです。

Get-Job -filter @{State="Completed";Location="localhost"}

where-objectを使わずともフィルタできるので便利、かも。しかし個人的には-filterパラメータはいろんなコマンドレットで定義されているものの、使い方がそれぞれ異なるのがとてもとてもイヤです。まず覚えられないのでヘルプを引くところから始まっちゃいますので。パフォーマンスの関係上、Where-Objectを使うよりコマンドレット内部でフィルタしたほうが速くなるというのはわかるのですが、もう少しフィルタ方式に統一性を持たせられなかったんだろうかとか思いますね。

Get-Jobにはほかに-afterと-beforeというパラメータが追加されています。これは後述するPSScheduledJobの完了時刻をDateTimeで範囲指定し、フィルタするものです。

PowerShell Workflow

PowerShell3.0というかWMF3.0のおそらく目玉機能の一つがPowerShell Workflowです。文字通り、PowerShellでワークフローが記述できるようになります。

Workflowは関数の一種なのですが、長時間を要するタスクやリモート実行や並列実行などで使うことを主目的としているようです。functionキーワードの代わりにworkflowキーワードでワークフローを定義すると、自動的に実行対象コンピュータ名や資格情報といったパラメータが複数定義されるので、これらのパラメータを特に定義なしで利用することができます。またworkflow内ではparallelブロックを定義でき、その中に記述された各行は並列に実行されます。またfor/foreachステートメントで-parallelパラメータが利用可能になり、繰り返し処理やコレクションの列挙を並列して行うことができるようになります。

自動定義されるパラメータに-asJobがあり、これを利用するとworkflowをジョブとして実行できます。このジョブは通常のジョブとは違い、新たに追加されたSuspend-JobコマンドレットとResume-Jobを使うことによって、ジョブの一時中断と再開ができます。このジョブの中断と再開は、リモートコンピュータ上でワークフローを走らせてるときでも可能ですし、中断後リモートセッションが切断されたあとに再開することもできますし、リモートコンピュータがシャットダウンしても再起動後にジョブを再開することまでできてしまいます。これらはWMFにおけるリモート基盤を支えているWinRMの最新バージョン、WinRM3.0が実現している機能です。このようにセッションを再接続してもタスクを継続できるような接続をrobust(堅牢な), resilient(弾力性のある、障害から容易に回復する) connectionと称しているようです。

PowerShell WorkflowはWindows Workflow Foundation(WF)と密接な関係があり、WFのデザイナで作ったxamlをPS Workflowに変換したり(逆もできる?)、Invoke-Expressionでxamlを実行したりできるらしいです。WF側でもPowerShellの多くの機能がアクティビティとして使用できたりして、WFとPowerShellがWMFというシステム管理フレームワークの主要なパーツとして密に連携していくようです。このあたりの話はWFの専門家であるAhfさんがPSアドベントカレンダーの23日目にしてくださる予定なので、楽しみですね!

なおPS Workflowは従来のPSスクリプトとは異なった利用状況を想定しているため、あるいはWFの機能と合わせるため、PSスクリプトではできるのにPS Workflowではできないことがとてもたくさんあります。forの中でbreakやcontinueステートメントが使えないとかStart-Sleepは-Secondパラメータしか指定できない(ミリ秒単位でスリープかけられない)とか色々あります。そのうちPS WorkflowとPSスクリプトの違いというドキュメントが公開されるんじゃないかと思います。

ちなみにWinRM3.0のおかげでワークフローではない通常のリモートジョブでも、New-PSSessionで作成したセッションの中でジョブを実行した場合、そのジョブが動作しているコンピュータへのセッションを切断(Disconnect-PSSession)したあと、セッションに再接続(Connect-PSSessionやReceive-PSSession)すればジョブの結果を取得したりすることができます。またセッションを作製したインスタンス(powershell.exe)でそのセッションを切断すると、それ以降は別のインスタンスやコンピュータからそのセッションにConnect-PSSessionで接続することができます。

ScheduledTasksモジュール

PowerShell3.0が含まれる次期Windowsでは大量のモジュールが追加され、それらのモジュールに含まれるコマンドレットの総数はWindows 8でも2000を超える膨大な量になります。これはWindows 8やWindows Server 8では従来のコマンドプロンプトから実行するコンソールexeコマンドのほとんどすべてをPowerShellコマンドレットに置き換える措置のためです。もちろん従来のコマンドは互換性のために残されますが、netsh.exeなど一部のコマンドではPowerShellへの移行を促すメッセージが表示されたりするようになるようです。参考:Window 8の機能の概要 − @IT

ScheduledTasksモジュールというタスクスケジューラを扱うモジュールもWindows 8 / Windows Server 8に新しく追加されるモジュールの一つで、schtasks.exeを置き換えるものとなります。これまでPowerShellでタスクスケジューラを扱うにはschtasks.exeを使うか、WMIのWin32_ScheduledJobを使う必要があり面倒でしたが、このモジュールに含まれるコマンドレットを用いるとそれが容易に行えるようになります。たとえば「notepad.exeを毎日朝10:00に起動する。バッテリ駆動のときでも実行」というタスクを「test」という名前で登録するには、

$action = New-ScheduledTaskAction -Execute "notepad.exe"
$trigger = New-ScheduledTaskTrigger -At "10AM" -Daily
$setting = New-ScheduledTaskSettings -AllowStartIfOnBatteries 
New-ScheduledTask -action $action -trigger $trigger -setting $setting|Register-ScheduledTask -TaskName test

とすれば可能であるはずです。実はServer 8 Developer Preview版ではこのコードは機能しません。タスクのトリガを作成するNew-ScheduledTaskTriggerコマンドレットが正しいオブジェクトを作ってくれないのです。これは将来のバージョンできっと修正されるかと思います。ただトリガを定義する部分をはずせば(あんまり意味はないですが)このコードは動作するので、やり方はたぶんあってると思います。

Register-ScheduledTaskコマンドレットには-asJobパラメータがあり、タスクスケジューラへの登録をジョブとしてバックグラウンドで行うことができます。ScheduledTasksモジュールはWMIを利用してタスクスケジューラを操作するので、ほかのWMI関係のコマンドレットと同様ですね。

なおScheduledTasksモジュールはデフォルトでは読み込まれていないので、使用するには本来Import-Moduleコマンドレットを使用しなければならないところですが、PowerShell3.0のCmdlet Discoveryという機能によりImport-Moduleは実行しなくてもScheduledTasksモジュールに含まれるコマンドレットを利用することができます。Cmdlet Discoveryとは現在読み込まれていて実行可能なコマンドレットの中にない、未知のコマンドレットを実行しようとしたとき、Modulesフォルダに存在するモジュールから同名のコマンドレットが定義されているものを探し出し、発見できたらそのモジュールを読み込んだうえでコマンドレットを実行するという優れた機能です。初回だけモジュールの検索とロードの手順が実行されるので待たされますが、一度Cmdlet Discoveryによってモジュールがシェルに読み込まれればあとは快適にコマンドレットを実行できるようになります。

PSScheduledJobモジュール

ScheduledTasksモジュールは-asJobパラメータが定義されているくらいで実はそれほどPowerShellのジョブとは関係ないのですが、ScheduledTasksモジュールが内包しているPSScheduledJobモジュールはPowerShellのジョブ機能と大いに関係があります。

従来PowerShellスクリプトをタスクスケジューラに登録するにはコマンドラインに"powershell.exe"を、引数に"-file hoge.ps1"を指定して、みたいなまわりくどいことをする必要がありました。しかし新しく追加されるPSScheduledJobモジュールに含まれるコマンドレット群はこの問題を解消します。PowerShellスクリプト(.ps1)あるいはスクリプトブロックをPSScheduledJobとして直接タスクスケジューラに登録できるようになり、PowerShellとタスクスケジューラのシームレスな連携を実現します。こちらはWindows 8/Server 8に付属のモジュールではなく、PowerShell 3.0に付属のモジュールなので、Win7などでも使用可能になる予定です。

使用例を見ていきましょう。

$triggers = @()
$triggers += New-JobTrigger -at "2012/01/01 11:11:10" -Once
$triggers += New-JobTrigger -at "10:00" -Daily

$sb = {
    "This is Scheduled Job."
    Get-Date
}

Register-ScheduledJob -ScriptBlock $sb -Trigger $triggers -Name ScheduledJobTest1

まずNew-JobTriggerコマンドレットによってトリガー(具体的には実行時刻など)を定義します。ここでは決められた時刻に1回実行するものと、毎日同じ時刻に実行するものの2つを定義してみました。そしてこれらの時刻に実行したい内容をスクリプトブロックに記述し、これらをRegister-ScheduledJobコマンドレットで登録してやります。

するとこのスクリプトブロックはタスクスケジューラに登録され、指定時刻になると指定したスクリプトブロックの内容が実行されます。このタスクは「タスクスケジューラ― ライブラリ\Microsoft\Windows\PowerShell\ScheduledJobs」に登録されています。

このタスクのアクションは具体的には次のようになっています。

powershell.exe -NoLogo -NonInteractive -WindowStyle Hidden -Command "Import-Module PSScheduledJob; Start-Job -DefinitionName 'ScheduledJobTest2' -DefinitionPath 'C:\Users\Administrator\AppData\Local\WindowsPowerShell\ScheduledJobs' -WriteToStore | Wait-Job"

これによると、指定時刻に実際にタスクスケジューラによって実行されるのはpowershell.exeであり、Start-Jobコマンドレットを使って登録したスケジュールをPowerShellのジョブとして実行していることがわかります。Start-Jobコマンドレットの-DefinitionNameパラメータなどはPSScheduledJobのために追加されたもので、これによりRegister-ScheduledJobが出力したPSScheduledJob定義をファイルから読み込んでジョブとして実行できるようになっています。PSScheduledJob定義とジョブの出力は-DefinitionPathで指定されているフォルダの下にxmlファイルとして保存されているので興味がある方は覗いてみるといいかもしれません。

さて、スケジュールしたジョブの実行結果はどうやって受け取ればいいのでしょうか。実はこれはすごく簡単で、PSScheduledJob(ここではScheduledJobTest1という名前で定義しました)がタスクスケジューラによって一度以上実行された後は、

$job=Get-Job -name ScheduledJobTest1

とすることでJobオブジェクトとして取得することができるようになります。あとは通常のジョブと同じ取り扱いができるので、

$job|Receive-Job

などで実行結果を取得できます。

ちなみにPSScheduledJobはそれを定義したインスタンス以外でも参照することができます。具体的にはpowershell.exeでジョブをスケジューリングして終了→また別のpowershell.exeを立ち上げてimport-module PSScheduledJobしたあとGet-Job|Receive-JobしてPSScheduledJobの結果を参照、みたいなことができます。

ここで紹介した一連の操作ではスクリプトブロックをPSScheduledJobにしましたが、Register-ScheduledJobコマンドレットの-FilePathパラメータを用いれば.ps1ファイルをPSScheduledJobとして登録することも可能です。

現行バージョンのPowerShellはとにかく起動が遅いため、タスクスケジューラにスクリプトを登録しても実行が始まるまで何十秒も待たされるなどはざらでしたが、PSv3は起動がずいぶん速くなり、スペックや状況にもよるとは思いますがpowershell.exeの起動後ほんの数秒でスクリプトが走り始めます。この速度のおかげもあってPSScheduledJobはきっととても有効に機能するんじゃないかと思います。

おわりに

今回はPowerShell 3.0で増強されるバックグラウンドジョブ関係の機能をまとめてみました。これらの新機能のおかげで、時間のかかる処理や定期実行する処理を扱うのが飛躍的にやりやすくなりそうです。PowerShell 3.0で追加される機能は他にもたくさんあって、このブログでもいつか全部紹介したいと思ってるのですが、今回取り上げたジョブ関係はその中でもかなり重要な機能増加を多く含んでいると言えるでしょう。PowerShell 3.0やWindows 8/Server 8のリリースに備えてジョブ関係から予習しておくのは悪くないと思いますよ。

なんか25日のアドベントカレンダーのうち3回もバックグラウンドジョブネタをやって、PSアドベントカレンダーというより私だけ一人でPSジョブアドベントカレンダーをやってる感じでちょっと申し訳ないんですが、どうか許してください。そして前回は今回で終了するって言ってたんですが、実はまだジョブ関係の小ネタが残ってるので最終日25日にさせてください。では今日のところはこのへんで。明日はwaritohutsuさんの登場です。よろしくお願いします。

2011/10/09

WindowsサイドバーガジェットはWindows Vistaの登場で追加されたプログラムで、デスクトップ上にガジェットと呼ばれるミニプログラムを貼り付けることができます。ガジェットはHTML/CSS/J(ava)Script (+VBScript)で記述することができます。Windows7の登場で名称が「Windowsデスクトップガジェット」と変更され、一部仕様に変更が加えられたものの現役でした。

ところが先月末(2011/09)頃に、サードパーティー製のものを含む多数の追加ガジェットのWindows Live Galleryでの公開が中止されました。現在は登録されたガジェットのリストは表示されるものの、ダウンロードができない状態です。まもなくサイト自体が閉鎖されるものと思われます。

現時点でWindows7で「ガジェット」を実行し、そこに表示される「オンラインで追加のガジェットを取得」リンクをクリックするとデスクトップ ガジェット - Microsoft Windowsというページに飛ばされますが、ここでは(おそらく人気上位であった)ガジェットが数点のみダウンロードできるという状態です。

この措置に対するMicrosoftの公式コメントがこちらになります。Looking for gadgets? - Downloads - Microsoft Windows

この記事を要約すると

  • MicrosoftはWindows Live Galleryを閉鎖し、今後、新しいガジェットの開発およびアップロードをサポートしない
  • ただし人気ガジェットはまだダウンロードできるようにしておくよ
  • ガジェット製作者はよりリッチなプラットフォームであるMetro Style Appにシフトしてね
  • でもまだガジェットに興味がある人もいるだろうから一応開発ドキュメントは残しておくよ
  • まだガジェットを公開したいのならCodePlexでどうぞ

という感じになるかと思います。まだPreview版しか出てない次期Windowsでしか動かないMetro Style Appを移行先に指定するのはかなり無理があるように思いますが、どうもMicrosoftはMetroと技術的にかぶるガジェットをさっさと亡きものにしたいようです。Windows 8のDeveloper Previewのクラシックデスクトップでは一応、今のところはデスクトップガジェットの機能は削除されていませんが、これからの開発の過程で削除されてしまう可能性も十分にありそうです。

ちなみにデスクトップガジェットはたとえIE9をインストールしてもHTML5コンテンツは動きませんし、JavaScriptもチャクラではなくJScript5.8で動きます。この時点でガジェットの未来はなさそうだと踏んでいましたが、思ったより早い終焉を迎えるようです。

Metro Style AppはたしかにWinRT上でJavaScript+HTML5+CSS3で開発することができ、ガジェットで培われたノウハウの一部は流用できる可能性はあるものの、ガジェットから単純に移行というのは難しそうです。利用者にとってもガジェットをデスクトップに常時複数表示させておき、作業中にもほかの情報を参照できるメリットが失われるのは厳しいものがあるように思います(Metro Style Appは一つだけクラシックデスクトップと同時に表示できる)。

告知も私の知るかぎりなかったですし、気づけばいきなり消滅していたという感じで、お困りの方も今後増えそうです(たしかにガジェットはいまいち流行ってなかったですがいきなりはヒドイ)。とりあえず現在追加インストールしているガジェットは、今後入手困難になる可能性が高いので、各自でバックアップを取っておくことをお勧めします。

.gadgetファイルそのものを保存していなくても、C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Windows Sidebar\Gadgetsの各サブフォルダがガジェット一つ一つに対応しているので、これをバックアップしておけば問題ありません。再インストールも単にこれらのファイルを同じ場所に書き戻すだけでOKです。

また、.gadgetファイルは単に関連ファイルをzipで固めたものなので、ご自分でこれらの各サブフォルダをzipにして.gadgetにリネームすればインストーラーを復元することもできます。

これらの措置は自己責任にてお願いします。各ガジェット作者のアナウンスがある場合はそちらに従ってください。

それにしても、WindowsデスクトップにHTML+スクリプトで記述されたミニプログラムを配置するといえば古くは「アクティブデスクトップ」まで遡ることになると思いますが、「ガジェット」で安定するかと思ったら二世代しか持ちませんでしたね。競合するGoogleデスクトップも終了しましたし、あまりウケがよろしくないんでしょうか。Metro Style Appはその点どうなんでしょうね?

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/10/09/204219.aspx

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