2016/12/20

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の20日目です。

はじめに

前々回はASTの概要について述べ、最後にAST.FindAllメソッドを使って、ASTから指定のASTノードを検索する方法について説明しました。

前回はASTを再帰的に検索して、木構造を視覚化してみました。

今回もASTを検索する話なのですが、静的解析機能を実装するためのAST Visitorを用いる方法について説明します。が、あらかじめお断りしておきますが、静的解析の実装までは今回はたどり着きません。静的解析ツールをどう作るかorどう作られているか、ということを雰囲気で味わっていただければと。

Visitorパターン

AST Visitorの説明をする前に、まず、Visitorパターンについて簡単に。

Visitorパターン[Wikipedia]というのは、オブジェクト指向言語におけるデザインパターンの1つで、対象オブジェクトを巡回する「訪問者」クラスを定義するものです。Visitorクラスでは、対象クラスごとに行う処理を、個別にvisitメソッドをオーバーロードさせることで定義します。共通のVisitor抽象クラスを継承することで、異なる機能を持ったVisitorクラスを作ることができます。

一方、処理対象クラスには、Visitorオブジェクトを引数に受け取る、acceptメソッドを定義します。acceptメソッドでは、引数として受け取ったVisitorオブジェクトのvisitメソッドを呼ぶことで、処理を実行させます。

なお、処理対象クラスが子要素クラスを持つ場合には、acceptメソッド内で、子要素クラスのacceptメソッドを呼ぶようにします。こうしておくことで、Visitorは処理対象を再帰的に巡回できるようになります。

このように処理対象クラスから、実際に処理を行う機能をVisitorクラスとして分離することで、処理対象クラスに手を加えることなく、Visitorクラスを追加して、処理内容を増やしたりすることが可能になります。

AST Visitorの呼び出し

Visitorパターンを念頭において、AST Visitorの呼び出し方を見ていきましょう。Ast抽象クラスには、以下の2つのVisitメソッドが定義されています。

説明に入る前に注意点。メソッド名は"Visit"となっていますが、Visitorパターンでいうところの"accept"メソッドのことです。なぜメソッド名がAcceptじゃないのかは不明ですが…。

ともかく、AstクラスのVisitメソッドは、AstVisitor抽象クラスを継承したクラスのオブジェクトか、ICustomAstVisitorインターフェースを実装したクラスのいずれかを引数に取ることで、ASTに対する処理を実施します。

AstVisitor抽象クラスを継承、もしくはICustomAstVisitorインターフェースを実装することで、ASTの種類に応じた巡回処理を行うクラスを、自分で定義していきます。

AstVisitor抽象クラス

AstVisitor抽象クラスは、Visitorとしての基本的な機能があらかじめ実装されています。具体的には既に以下の機能は用意されています。

  • ASTの種類に応じたVisitメソッドの定義
    すべての種類のASTに対応するVisitメソッド(50個以上)がVirtualメソッドとして定義されています(※)。例えば、IfStatementAstに対する処理を行うための、VisitIfStatementメソッドがあります。

    ※一般的なVisitorパターンでは、Visitメソッドを対象クラス分オーバーロードさせますが、PowerShellのAstVisitorは対象クラスに応じた別名のメソッドを定義する方式です。これも理由は分かりませんが、オーバーロードにするには多すぎるからかもしれません。

  • 子ノードの再帰的な巡回
    各Visitメソッドには、ASTの子ノードに対し、再帰的にVisitメソッドを呼ぶ仕掛けがあらかじめ備わっています。
  • ノード巡回の停止
    各VisitメソッドはAstVisitAction列挙型を返却します。以下のように返却する値によって、ノード巡回の継続、停止を制御できます。
    • Continue:ノード巡回を継続(デフォルト)
    • SkipChildren:子ノードの巡回を行わない
    • StopVisit:巡回を終了する
カスタムAstVisitorクラスを作成する

以上の基本的な機能を踏まえて、AstVisitor抽象クラスを実装したカスタムVisitorクラスを作ります。C#で書くのが一般的ですが、せっかくなのでPowerShell v5で追加された、クラス構文を使って書いてみましょう。

例えば、「利用しているコマンドのリストを取得する。ただし、コマンドのパラメータ内で別コマンドを呼び出している場合は除く。」というお題を解くことを考えます。

ASTのFindAllメソッドだと、配下に含まれるすべてのCommandAstを取得してしまうので、単純にはいきません。そこでカスタムAstVisitorクラスの出番です。

このお題を実現するVisitorクラスは以下のようになるでしょう。

using namespace System.Management.Automation.Language

class GetCommandNamesVisitor : AstVisitor
{
    [string[]]$CommandNames = @()

    [AstVisitAction]VisitCommand([CommandAst]$commandAst)
    {
        $this.CommandNames += $commandAst.CommandElements[0].Extent.Text
        return [AstVisitAction]::SkipChildren
    }
}

PowerShellのクラス構文において、Virtualメソッドのオーバーライドは、単に同名のメソッドを定義するだけですので、ここではVisitCommandメソッドをオーバーライドします。

プロパティとフィールドの区別はないので、コマンド名の一覧を格納するCommandNamesプロパティは上記のような定義になります。メソッド内でクラスメンバを参照する際には$thisを用います。

作成したGetCommandNamesVisitorクラスをインスタンス化し、解析対象スクリプトブロックのASTのVisitメソッドに引数として渡します。

$scriptBlock = {
    $files = Get-ChildItem -Path (Get-Location | Split-Path -Parent) -File
    $files | 
        Sort-Object -Property LastWriteTime -Descending | 
        Select-Object -First 5
}

$visitor = New-Object GetCommandNamesVisitor
$scriptBlock.Ast.Visit($visitor)
$visitor.CommandNames

実行すると、結果は

Get-ChildItem
Sort-Object
Select-Object

のようになるかと思います。

AstVisitorクラスの具体的な実装については、PSReadLinePowerShellEditorServicesにありますので、参考にしてみてください。

ICustomAstVisitorの実装

前項で述べた、AstVisitor抽象クラスを継承したカスタムAstVisitorクラスの場合、基本的な処理を実装する必要はないですし、目的とするASTクラスに対するVisitメソッドだけオーバーライドすればいいので、非常に簡便です。

ただ、本格的にPowerShellの構文解析を行いたい場合、ノードの巡回順だとか、その他もろもろをもっと細かく自分で実装したいケースが出てきます。

そういった場合にはICustomAstVisitorインターフェースを実装したクラスを作って対応します。ICustomAstVisitorインターフェースも、AstVisitor抽象クラス同様、各ASTクラスに応じたVisitメソッドが定義されているのですが、各VisitメソッドはAstVisitAction列挙体ではなく、object型のオブジェクトを返します。つまり、自分で好きなオブジェクトを返すように定義できるわけです。

Ast.Visit(ICustomAstVisitor)はAstVisitor抽象クラスを引数に取る場合と異なり、objectを返却するのですが、このとき返却されるのは、最初に実行されたVisitメソッドの戻り値になります。

ICustomAstVisitorはインターフェースですので、処理はすべて自分で定義しなくてはなりません(※)。ノードの再帰的探索も、必要ならもちろん自前で実装する必要があります(前回紹介した、JSON化スクリプトのような処理になるかと思います)。

※ISEだとインターフェースの実装を一発で行うリファクタリング機能はないので、今回みたく実装すべきメンバがたくさんある場合は、こんな感じのひな形を作るスクリプトを使うと良いでしょう。

今回はICustomAstVisitorインターフェースを実装したクラスの実例まではご紹介できませんでしたが、興味のある方は、PSScriptAnalyzerで用いられているので参考にしてみてください。

まとめ

PowerShellのASTについてきちんと解説している記事が英語圏を含めてもあまりないようでしたので、3回に渡って、一通りの基礎知識をまとめてみました。

普通にPowerShellを使っている分には、滅多に使うことはないと思いますが、たとえばPSScriptAnalyzerカスタムルールを自分で作る場合には、ASTの知識は必須になってきますので、必要に応じて参考にしていただければ幸いです。

2016/01/03

PowerShellのパイプライン処理

まず、PowerShellのパイプライン処理について軽くおさらいします。

例えば、@、A、Bをそれぞれ何らかのコマンドとしたとき、

@|A|B

というパイプラインがあったら、処理の流れは、

@begin→Abegin→Bbegin→(@process→Aprocess→Bprocess→)×n→@end→Aend→Bend

の順に実行されます。(processブロックで「1入力に対し1出力する」場合以外は必ずしもこうならないですが)

さて、AかBのprocessブロック実行中に、何らかの条件を満たした時、パイプラインのprocessの後続処理を打ち切りたい場合はどうすれば良いでしょうか。

まずはbreakを使った駄目な例

ネットでよく見かける以下のようなコード、すなわち「パイプラインはbreakで処理を打ち切ることができる」というのは実は正しくないのです。

function Select-WhileTest
{
    [CmdletBinding()]             
    param (             
        [parameter(ValueFromPipeline=$true)] 
        [psobject[]]$InputObject,
        [parameter(Position=0)]           
        [scriptblock]$Predicate
    )

    process
    {
        if(!(&$Predicate))
        {
            break
        }
        $InputObject
    }
}

このコードはv2までではそもそも正しく動作しませんが、v3以降では条件によっては正しく動作しているように見えるのが、誤解の元なのかと思います。(というか私も誤解してました。)

例えば、

$result = "初期値"
$result = &{end{foreach($i in (1..5)){$i}}} | Select-WhileTest {$_ -lt 3}
Write-Host "`$resultは $result です。"

のようにすると、

$resultは 1 2 です。

のように、想定した通りの結果が得られます。このように、上流のスクリプトブロックのendブロック内にforeachなどループブロックが存在し、そのループブロック内で下流に値を出力している場合はうまくいきます。(ちなみに、スクリプトブロック直下に記述するのとendブロック内に記述するのは等価。)

しかし、上流にループブロックがない場合、例えば

$result = "初期値"
$result = 1..5 | Select-WhileTest {$_ -lt 3}
Write-Host "`$resultは $result です。"

とすると、コンソールに1と2が改行区切りで表示されますが、ホストに表示されるだけで$resultには値は格納されません。そしてスクリプト化して実行した場合は、Write-Hostが実行されることすらなく、スクリプトが終了してしまいます。

breakだとなぜうまくいかないのか

結局どういうことかというと、パイプライン下流のbreakは、パイプラインを打ち切る処理をするのではなく、単に一つ上流のブロックをbreakする処理に過ぎないのです。

パイプライン上流にループブロックがある場合は、そのループブロックをbreakしますが、それ以外の場合はスクリプトのbegin, process, endのいずれかのブロックがbreakされてしまい、結果としてスクリプトが終了してしまうわけですね。

そして、このSelect-WhileTest関数だと大丈夫ですが、processブロックの中にループブロックを記述し、その中でbreakを書くのは当然ダメです。単にそのループを抜けるだけなので、上流の出力は止まってくれません。

breakではなくcontinueを使う場合も基本は同じ結果です。しかもcontinueは所詮、その名の通り継続処理なので、上流に以下のような無限リストがあると無限ループに陥ってしまいます。

&{begin{$i = 0} process{while($true){$i++; $i}}}|Select-WhileTest {$_ -lt 3}

breakの代わりに、

throw (New-Object System.Management.Automation.PipelineStoppedException)

を実行する方法も見かけますが、これはループブロックがあっても強制的にスクリプトが終了するので余計ダメです。try...catchでエラートラップすればスクリプトの終了は回避できますが、「パイプラインが正常終了せずエラーを出した」扱いであることには代わりないので、やはり出力を変数に格納することができません。

ダミーループを用いる、取りあえずの解決策

前述のbreakを使った方法の問題点のうち、上流にループブロックがないとスクリプトが終了してしまい、出力を変数に代入することもできない問題は、とりあえず解決する方法があります。

以下のように、呼び出す時にパイプライン全体をダミーのループブロックでラップすれば良いのです。

$result = "初期値"
$result = do{
    1..5 | Select-WhileTest {$_ -lt 3}
}until($true)
Write-Host "`$resultは $result です。"

このようにしておけば、breakはパイプラインの外側のdo...untilを抜ける効果になるので、スクリプトが終了する心配も、値を出力しない問題も起こりません。

元々、パイプライン上流にループブロックが存在する場合でも、単にdoループ内の処理が1回走るだけなので、特に問題は起きません。1回だけ処理を実行するダミーループなら、for($i=0; $i -lt 1; $i++){}とかでも良いです。

ただ…この記述を美しいと思う人は多分いないですね。事情を知らないと意味不明ですし。そして、breakを記述する側の関数には、前述の通りのループブロック内では値を出力できないという制限は残ったままになります。

やはりbreakでパイプラインを打ち切るのは、本来想定された動作かと言われるとかなり微妙なところだと思います。(v3で一応動くようになったとはいえ)

この方法についての参考記事:Cancelling a Pipeline - Dreaming in PowerShell - PowerShell.com ? PowerShell Scripts, Tips, Forums, and Resources (ただしv2準拠の内容であることに注意)

ところで、Select-Object -Firstは…

さて、話は変わって、PowerShell 3.0からはSelect-Object -First の処理が変わったことについては、ご存知の方も多いかと思います。

具体的には、v2までは単にパイプライン処理をすべて終了してから、最初のn件を抽出する処理であったn件のパイプライン出力がされた後は、入力をすべてフィルタし出力に流さなくなる動作であったところが、v3からはn件のパイプライン出力がされた時点で、パイプラインの処理を打ち切るようになりました。(1/5修正)

つまり、

$result = 1..5| &{process{Write-Host "Process:$_"; $_}}| Select-Object -First 2
Write-Host "`$resultは $result です。"

というスクリプトは、v2までは

Process:1
Process:2
Process:3
Process:4
Process:5
$resultは 1 2 です。

のようにパイプライン出力は指示通り2件であるものの、上流の処理は結局、全部実行されてしまっています。

一方v3以降では、

Process:1
Process:2
$resultは 1 2 です。

のように、きちんと上流の処理を打ち切ってくれています。

つまり、ここまで述べてきたパイプライン処理の打ち切りは、実はv3以降のSelect-Object -Firstでは実現できているということです。これと同じことを我々も自作関数の中でやりたいわけです。

ではSelect-Object -Firstは具体的にどういう処理をしているかというと、StopUpstreamCommandsExceptionという例外をthrowすることでパイプライン処理の打ち切りを実現しています。この例外はまさに名前の通り、パイプライン上流の処理を中止するための例外です。この例外を自作関数でthrowしてやればうまくいきそうです。

しかし、この例外は非publicな例外クラスであることから、New-Objectコマンドレットなどでインスタンス化することはできません。リフレクションを駆使する必要がでてきます。
参考:PowerShell 3.0からはじめるTakeWhile - めらんこーど地階

(1/5追記)参考2:パイプラインの処理を途中で打ち切る方法のPowerShell版 - tech.guitarrapc.cóm(Add-TypeでC#経由でリフレクションしてます。)

頑張ればできなくはないですが、もっと楽な方法はないものか…と思ってあきらめかけたところ、いい方法を思いついたので紹介します。

Select-Object -Firstを利用する方法

Select-Object -Firstでできることが我々には(簡単には)できない。ならばどうするか。Select-Object -Firstを使えばいいじゃない。という発想です。

function Select-While
{
    [CmdletBinding()]             
    param (             
        [parameter(ValueFromPipeline=$true)] 
        [psobject[]]$InputObject,
        [parameter(Position=0)]           
        [scriptblock]$Predicate
    )

    begin
    {
        $steppablePipeline = {Select-Object -First 1}.GetSteppablePipeline()
        $steppablePipeline.Begin($true)
    }

    process
    {
        if(!(&$Predicate))
        {
            $steppablePipeline.Process($InputObject)
        }
        $InputObject
    }

    end
    {
        $steppablePipeline.End()
    }
}

scriptblockにはGetSteppablePipelineというメソッドが存在し、このメソッドによりSteppablePipelineオブジェクトが取得できます。これは何かというと、要は「スクリプトブロック内のbegin, process, endを個別に実行する」ための機能です。
参考:PowerShell: ◆パイプライン入力・パラメータ入力対応のGridView出力関数を作る(私自身も以前この記事で知りました。)

{Select-Object -First 1}というスクリプトブロックは、1回目に実行するprocessブロック内でStopUpstreamCommandsExceptionを出してくれます。

よって、自作関数のprocessブロック内のパイプライン処理を打ち切りたい箇所で、SteppablePipelineオブジェクトのProcessメソッドを使うことで、{Select-Object -First 1}のprocessブロックの処理を呼び出してやればいいわけです。

このようにして作成したSelect-While関数を以下のように実行してみると、

# 上流にループあり
$result1 = &{end{foreach($i in (1..5)){$i}}} | Select-WhileTest {$_ -lt 2}
Write-Host "`$result1は $result1 です。"

# 上流にループなし
$result2 =  1..5 | Select-While {$_ -lt 3}
Write-Host "`$result2は $result2 です。"

# 上流に無限リスト
$result3 = &{begin{$i = 0} process{while($true){$i++; $i}}} | Select-While {$_ -lt 4}
Write-Host "`$result3は $result3 です。"

結果は

$result1は 1 です。
$result2は 1 2 です。
$result3は 1 2 3 です。

となり、少なくとも今まで述べてきた諸問題はすべて解消していることが分かると思います。

このSelect-While関数は、スクリプトブロックで指定した条件を満たさなくなったときに、パイプライン処理を打ち切ってくれるものですが、この「Steppable Select -First 方式」を使えば他の自作関数でも、割と気楽に呼べるんじゃないかなと思います。ループブロック内で呼び出すことももちろん可能です。

ただし問題点はある

これはSelect-Object -FirstというかStopUpstreamCommandsExceptionあるいはPowerShellのパイプライン機構の仕様に由来する問題であると思われるので、どうにもならないことではあるんですが、一点だけ注意事項があります。

$result = 1..5| &{
    begin
    {
        Write-Host "Begin"
    }
    process
    {
        Write-Host "Process:$_"
        $_
    }
    end
    {
        Write-Host "End"
    }
}| Select-While {$_ -lt 2}

Write-Host "`$resultは $result です。"

これの結果は

Begin
Process:1
Process:2
$resultは 1 です。

となり、なんとendブロックが実行されていません。Select-While {$_ -lt 2} の代わりに Select-Object -Firstを使っても、同様にendは実行されません。

つまり、StopUpstreamCommandsExceptionというのはパイプライン処理を打ち切って、そこまでの出力値を正しくパイプライン出力として出してくれますが、やってくれるのはそこまでで、最後のendブロック処理はしてくれません。

これは十分注意が必要な点で、自作関数内でbeginブロックで確保したリソースをprocessブロックで利用して、endブロックで解放する…という、いかにも書いてしまいそうなパターンは、実はNGなんですね。何も上のようにマニアックなことをしなくても、単に下流でSelect-Object -Firstを使うだけでアウトです。

じゃあ、リソースの取り回しはどうするのが良いの、って話もありますが、それはまたの機会にしましょう。

(1/5追記)あえとすさんの記事が参考になります。:パイプライン処理の後始末をしよう - 鷲ノ巣 ただ、この方法ではパイプライン下流でthrowされた場合はトラップできないぽいですね。コマンドレットクラスの場合はIDisposable実装で良さそうです。

ここからは私見ですが、StopUpstreamCommandsExceptionが後付けかつ非パブリックなところとか、パイプラインを合法的に脱出するステートメントが今に至るまで用意されていないところとか、パイプラインを何とかして途中で打ち切っても、endは実行されないところとかを見ていると、そもそもPowerShellではパイプライン処理の中断というのは、あまり想定してない操作なのかなぁ、という気がしてきています。

上記のような裏技を使って回避するのも一案ではあるとは思いますが、そもそも「パイプライン処理の中断はイレギュラー」と考えて、そういう処理は避けて、必要に応じて別のアプローチを取ることも考えた方がいいのかもしれません。

2014/10/12

昨日10/11のPowerShell勉強会#4にお越しいただいた方、どうもありがとうございました。スタッフ一同、これからも定期的に開催していこうと考えておりますので、ぜひともよろしくお願い致します。

私のセッション資料を公開します。わんくま横浜で行ったものとほとんど同じですが、v5関係のスライドを少しだけ修正しています。

今回は高度な関数とコマンドレットの作り方を主に取り上げていますが、要するに、PowerShellコマンドはPowerShellスクリプトでもC#でもほぼ同じようにして同じようなものが書ける、ということなのです。なので、基本を押さえればどちらにも対応可能です。

両者は状況に応じて使い分ければOKかと思います。PowerShellよりC#が得意、というならばコマンドレットを書くと良いですし、スクリプト的なお手軽なコードで書きたい場合は高度な関数、とかですね。

速度が求められる部分とか、.NETアセンブリを多用する部分だけコマンドレットにして、他を高度な関数にする、あるいは、主要部はコマンドレットにして、その他はコマンドレットのラッパー的な高度な関数を用意する、のように両者を組み合わせたモジュールもよくあります。

以下はデモ用のサンプルスクリプトです。高度な関数の雛型的なものになります。使い方はスライド本文を参照してください。

function Get-Foo
{
    [CmdletBinding()]
    param([string[]]$Name)
    end
    {
        foreach($n in $name)
        {
            $out = [pscustomobject]@{
                Name = $n
                No = 0 
            }
            # PSCustomObjectのインスタンスに型名を付ける
            $out.PSTypeNames.Insert(0, "Winscript.Foo")
            $out
        }
    }
}

function Set-Foo
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)]
        [PSObject[]]
        $InputObject,
        [parameter(Position=1)]
        [string]
        $Property,
        [parameter(Position=2)]
        [PSObject]
        $Value,
        [switch]
        $PassThru
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.$Property = $Value
            if($PassThru)
            {
                $o
            }
        }
    }
}

# C#によるクラス定義
Add-Type -TypeDefinition @"
using System;
namespace Winscript
{
    public class Foo2
    {
        private string _name;
        private int _no;
        public Foo2(string name)
        {
            _name = name;
            _no = 0;
        }
        public string Name
        {
            get{
              return _name;  
            }
            set{
               _name = value; 
            }
        }
        public int No
        {
            get{
              return _no;  
            }
            set{
               _no = value; 
            }
        }
    }
}
"@

function Get-Foo2
{
    [CmdletBinding()]
    param([string[]]$Name)
    end
    {
        foreach($n in $name)
        {
           New-Object Winscript.Foo2 $n
        }
    }
}

function Set-Foo2
{
    [CmdletBinding()]
    param(
        [parameter(ValueFromPipeLine=$true, Mandatory=$true, Position=0)]
        [Winscript.Foo2[]]
        $InputObject,
        [parameter(Position=1)]
        [string]
        $Property,
        [parameter(Position=2)]
        [PSObject]
        $Value,
        [switch]
        $PassThru
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.$Property = $Value
            if($PassThru)
            {
                $o
            }
        }
    }
}

以下はデモで用いたC#のコードです。コマンドレットクラスの雛型的なものになっています。ビルドの際はSDKに含まれるPowerShell関係のdllを参照設定してください(詳しくはスライド)。また使用する際は、Import-Module ビルドで生成したdllのフルパス を実行してインポートして下さい。以下の例だとGet-Baz、Set-Bazの2コマンドレットがインポートされます。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;
using System.Management.Automation;

namespace Winscript
{
    [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "Baz")]
    public class GetBazCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string[] Name { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            foreach (var n in Name)
            {
                WriteObject(new Baz(n));
            }
        }
    }

    [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "Baz")]
    public class SetBazCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Baz[] InputObject { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string Property { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)]
        public PSObject Value { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false)]
        public SwitchParameter PassThru { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            foreach(var o in InputObject)
            {
                if (Property == "No")
                {
                    o.No = (int)Value.BaseObject;
                }
                else if(Property == "Name")
                {
                    o.Name = (string)Value.BaseObject;
                }
                if (PassThru)
                {
                    WriteObject(o);
                }
            }
        }
    }

    public class Baz
    {
        private string _name;
        private int _no;
        public Baz(string name)
        {
            _name = name;
            _no = 0;
        }
        public string Name
        {
            get
            {
                return _name;
            }
            set
            {
                _name = value;
            }
        }
        public int No
        {
            get
            {
                return _no;
            }
            set
            {
                _no = value;
            }
        }
    }
}

2011/12/19

はじめに

PowerShell Advent Calendar 2011の19日目の記事、そしてこれが私の記事では3回目となります。今回も前々回前回からの引き続きでバックグラウンドジョブについての話題です。前回までは現行バージョンであるPowerShell 2.0におけるバックグラウンドジョブの機能の使い方を解説してきましたが、今回はPowerShellの次期バージョンである3.0に追加される予定の機能のうち、ジョブ関係のものをピックアップしてみます。現在PowerShell 3.0を含むWindows Management Framework(WMF)3.0のCTP2が公開されています。またWindows 8 Developer Preview / Windows Server 8 Developer PreviewにはWMF3.0 CTP1相当のPowerShell 3.0が含まれています。

注意:本記事で取り上げた内容は製品のプレビュー版をもとに記述しています。そのためリリース版では内容が一致しない可能性があることをご承知おきください。

using:ラベル

前回、ジョブに値を渡す方法について解説しましたが、-argumentListに引数として渡すというのは正直めんどうです。呼び出し元のグローバル変数を直接ジョブ側から参照したいですよね。そこでPowerShell v3では新たに変数に付けるusing:ラベルというのが追加されました。このラベルをジョブのスクリプトブロック内で使うと、呼び出し元の変数を参照することができます。具体例。

$test="PowerShell 3.0"
Start-Job {$using:test}|Wait-Job|Receive-Job

とすると、「PowerShell 3.0」と表示され、たしかにジョブのスクリプトブロックから呼び出し元の変数を参照できていることがわかります。これは便利ですね。ただし残念ながらこの方法を使ってもスクリプトブロックをジョブに渡すことはできないようです。相変わらず文字列にキャストされてしまいました。

Receive-Jobコマンドレットの変更点

前々回に、Invoke-Command -asJobで複数リモートコンピュータに対してジョブを走らせた場合、そのジョブに対して$job|Receive-Jobがなぜか機能しない、と書きましたがこの問題が解決されています。そもそもなんでこの問題が発生していたのか、面白いのでちょっと解説します。

実はReceive-Jobコマンドレットの-locationパラメータに「パイプライン入力を許可する   true (ByPropertyName)」フラグがついていたのが原因でした。複数コンピュータに対して実行したジョブは子ジョブを複数持ちますが、親ジョブ自体は配列ではありません。そしてそのLocationプロパティには子ジョブが実行されているコンピュータ名が"remote01,remote02,remote03"のようなカンマ区切りの文字列として格納されています。よってこのジョブオブジェクトをパイプラインを通じてReceive-Jobコマンドレットに渡すと、ValueFromPipelineByPropertyName属性が付いている-locationパラメータにジョブオブジェクトのLocationプロパティの値が渡されますが、その値はカンマ区切りの文字列なので正しく解釈されず、結果として期待の動作をしなかったわけです。

v3ではReceive-Job -locationのValueFromPipelineByPropertyName属性が取り除かれ、問題なく動作するようになりました。

他の変更点としてはReceive-Jobにジョブが完了するまで待つための-waitパラメータが追加されました。が、$job|Wait-Job|Receive-Jobと違いが分からないかも…。

Get-Jobコマンドレットの変更点

Get-Jobに-filterパラメータが追加されました。連想配列でジョブにフィルタをかけられるものです。

Get-Job -filter @{State="Completed";Location="localhost"}

where-objectを使わずともフィルタできるので便利、かも。しかし個人的には-filterパラメータはいろんなコマンドレットで定義されているものの、使い方がそれぞれ異なるのがとてもとてもイヤです。まず覚えられないのでヘルプを引くところから始まっちゃいますので。パフォーマンスの関係上、Where-Objectを使うよりコマンドレット内部でフィルタしたほうが速くなるというのはわかるのですが、もう少しフィルタ方式に統一性を持たせられなかったんだろうかとか思いますね。

Get-Jobにはほかに-afterと-beforeというパラメータが追加されています。これは後述するPSScheduledJobの完了時刻をDateTimeで範囲指定し、フィルタするものです。

PowerShell Workflow

PowerShell3.0というかWMF3.0のおそらく目玉機能の一つがPowerShell Workflowです。文字通り、PowerShellでワークフローが記述できるようになります。

Workflowは関数の一種なのですが、長時間を要するタスクやリモート実行や並列実行などで使うことを主目的としているようです。functionキーワードの代わりにworkflowキーワードでワークフローを定義すると、自動的に実行対象コンピュータ名や資格情報といったパラメータが複数定義されるので、これらのパラメータを特に定義なしで利用することができます。またworkflow内ではparallelブロックを定義でき、その中に記述された各行は並列に実行されます。またfor/foreachステートメントで-parallelパラメータが利用可能になり、繰り返し処理やコレクションの列挙を並列して行うことができるようになります。

自動定義されるパラメータに-asJobがあり、これを利用するとworkflowをジョブとして実行できます。このジョブは通常のジョブとは違い、新たに追加されたSuspend-JobコマンドレットとResume-Jobを使うことによって、ジョブの一時中断と再開ができます。このジョブの中断と再開は、リモートコンピュータ上でワークフローを走らせてるときでも可能ですし、中断後リモートセッションが切断されたあとに再開することもできますし、リモートコンピュータがシャットダウンしても再起動後にジョブを再開することまでできてしまいます。これらはWMFにおけるリモート基盤を支えているWinRMの最新バージョン、WinRM3.0が実現している機能です。このようにセッションを再接続してもタスクを継続できるような接続をrobust(堅牢な), resilient(弾力性のある、障害から容易に回復する) connectionと称しているようです。

PowerShell WorkflowはWindows Workflow Foundation(WF)と密接な関係があり、WFのデザイナで作ったxamlをPS Workflowに変換したり(逆もできる?)、Invoke-Expressionでxamlを実行したりできるらしいです。WF側でもPowerShellの多くの機能がアクティビティとして使用できたりして、WFとPowerShellがWMFというシステム管理フレームワークの主要なパーツとして密に連携していくようです。このあたりの話はWFの専門家であるAhfさんがPSアドベントカレンダーの23日目にしてくださる予定なので、楽しみですね!

なおPS Workflowは従来のPSスクリプトとは異なった利用状況を想定しているため、あるいはWFの機能と合わせるため、PSスクリプトではできるのにPS Workflowではできないことがとてもたくさんあります。forの中でbreakやcontinueステートメントが使えないとかStart-Sleepは-Secondパラメータしか指定できない(ミリ秒単位でスリープかけられない)とか色々あります。そのうちPS WorkflowとPSスクリプトの違いというドキュメントが公開されるんじゃないかと思います。

ちなみにWinRM3.0のおかげでワークフローではない通常のリモートジョブでも、New-PSSessionで作成したセッションの中でジョブを実行した場合、そのジョブが動作しているコンピュータへのセッションを切断(Disconnect-PSSession)したあと、セッションに再接続(Connect-PSSessionやReceive-PSSession)すればジョブの結果を取得したりすることができます。またセッションを作製したインスタンス(powershell.exe)でそのセッションを切断すると、それ以降は別のインスタンスやコンピュータからそのセッションにConnect-PSSessionで接続することができます。

ScheduledTasksモジュール

PowerShell3.0が含まれる次期Windowsでは大量のモジュールが追加され、それらのモジュールに含まれるコマンドレットの総数はWindows 8でも2000を超える膨大な量になります。これはWindows 8やWindows Server 8では従来のコマンドプロンプトから実行するコンソールexeコマンドのほとんどすべてをPowerShellコマンドレットに置き換える措置のためです。もちろん従来のコマンドは互換性のために残されますが、netsh.exeなど一部のコマンドではPowerShellへの移行を促すメッセージが表示されたりするようになるようです。参考:Window 8の機能の概要 − @IT

ScheduledTasksモジュールというタスクスケジューラを扱うモジュールもWindows 8 / Windows Server 8に新しく追加されるモジュールの一つで、schtasks.exeを置き換えるものとなります。これまでPowerShellでタスクスケジューラを扱うにはschtasks.exeを使うか、WMIのWin32_ScheduledJobを使う必要があり面倒でしたが、このモジュールに含まれるコマンドレットを用いるとそれが容易に行えるようになります。たとえば「notepad.exeを毎日朝10:00に起動する。バッテリ駆動のときでも実行」というタスクを「test」という名前で登録するには、

$action = New-ScheduledTaskAction -Execute "notepad.exe"
$trigger = New-ScheduledTaskTrigger -At "10AM" -Daily
$setting = New-ScheduledTaskSettings -AllowStartIfOnBatteries 
New-ScheduledTask -action $action -trigger $trigger -setting $setting|Register-ScheduledTask -TaskName test

とすれば可能であるはずです。実はServer 8 Developer Preview版ではこのコードは機能しません。タスクのトリガを作成するNew-ScheduledTaskTriggerコマンドレットが正しいオブジェクトを作ってくれないのです。これは将来のバージョンできっと修正されるかと思います。ただトリガを定義する部分をはずせば(あんまり意味はないですが)このコードは動作するので、やり方はたぶんあってると思います。

Register-ScheduledTaskコマンドレットには-asJobパラメータがあり、タスクスケジューラへの登録をジョブとしてバックグラウンドで行うことができます。ScheduledTasksモジュールはWMIを利用してタスクスケジューラを操作するので、ほかのWMI関係のコマンドレットと同様ですね。

なおScheduledTasksモジュールはデフォルトでは読み込まれていないので、使用するには本来Import-Moduleコマンドレットを使用しなければならないところですが、PowerShell3.0のCmdlet Discoveryという機能によりImport-Moduleは実行しなくてもScheduledTasksモジュールに含まれるコマンドレットを利用することができます。Cmdlet Discoveryとは現在読み込まれていて実行可能なコマンドレットの中にない、未知のコマンドレットを実行しようとしたとき、Modulesフォルダに存在するモジュールから同名のコマンドレットが定義されているものを探し出し、発見できたらそのモジュールを読み込んだうえでコマンドレットを実行するという優れた機能です。初回だけモジュールの検索とロードの手順が実行されるので待たされますが、一度Cmdlet Discoveryによってモジュールがシェルに読み込まれればあとは快適にコマンドレットを実行できるようになります。

PSScheduledJobモジュール

ScheduledTasksモジュールは-asJobパラメータが定義されているくらいで実はそれほどPowerShellのジョブとは関係ないのですが、ScheduledTasksモジュールが内包しているPSScheduledJobモジュールはPowerShellのジョブ機能と大いに関係があります。

従来PowerShellスクリプトをタスクスケジューラに登録するにはコマンドラインに"powershell.exe"を、引数に"-file hoge.ps1"を指定して、みたいなまわりくどいことをする必要がありました。しかし新しく追加されるPSScheduledJobモジュールに含まれるコマンドレット群はこの問題を解消します。PowerShellスクリプト(.ps1)あるいはスクリプトブロックをPSScheduledJobとして直接タスクスケジューラに登録できるようになり、PowerShellとタスクスケジューラのシームレスな連携を実現します。こちらはWindows 8/Server 8に付属のモジュールではなく、PowerShell 3.0に付属のモジュールなので、Win7などでも使用可能になる予定です。

使用例を見ていきましょう。

$triggers = @()
$triggers += New-JobTrigger -at "2012/01/01 11:11:10" -Once
$triggers += New-JobTrigger -at "10:00" -Daily

$sb = {
    "This is Scheduled Job."
    Get-Date
}

Register-ScheduledJob -ScriptBlock $sb -Trigger $triggers -Name ScheduledJobTest1

まずNew-JobTriggerコマンドレットによってトリガー(具体的には実行時刻など)を定義します。ここでは決められた時刻に1回実行するものと、毎日同じ時刻に実行するものの2つを定義してみました。そしてこれらの時刻に実行したい内容をスクリプトブロックに記述し、これらをRegister-ScheduledJobコマンドレットで登録してやります。

するとこのスクリプトブロックはタスクスケジューラに登録され、指定時刻になると指定したスクリプトブロックの内容が実行されます。このタスクは「タスクスケジューラ― ライブラリ\Microsoft\Windows\PowerShell\ScheduledJobs」に登録されています。

このタスクのアクションは具体的には次のようになっています。

powershell.exe -NoLogo -NonInteractive -WindowStyle Hidden -Command "Import-Module PSScheduledJob; Start-Job -DefinitionName 'ScheduledJobTest2' -DefinitionPath 'C:\Users\Administrator\AppData\Local\WindowsPowerShell\ScheduledJobs' -WriteToStore | Wait-Job"

これによると、指定時刻に実際にタスクスケジューラによって実行されるのはpowershell.exeであり、Start-Jobコマンドレットを使って登録したスケジュールをPowerShellのジョブとして実行していることがわかります。Start-Jobコマンドレットの-DefinitionNameパラメータなどはPSScheduledJobのために追加されたもので、これによりRegister-ScheduledJobが出力したPSScheduledJob定義をファイルから読み込んでジョブとして実行できるようになっています。PSScheduledJob定義とジョブの出力は-DefinitionPathで指定されているフォルダの下にxmlファイルとして保存されているので興味がある方は覗いてみるといいかもしれません。

さて、スケジュールしたジョブの実行結果はどうやって受け取ればいいのでしょうか。実はこれはすごく簡単で、PSScheduledJob(ここではScheduledJobTest1という名前で定義しました)がタスクスケジューラによって一度以上実行された後は、

$job=Get-Job -name ScheduledJobTest1

とすることでJobオブジェクトとして取得することができるようになります。あとは通常のジョブと同じ取り扱いができるので、

$job|Receive-Job

などで実行結果を取得できます。

ちなみにPSScheduledJobはそれを定義したインスタンス以外でも参照することができます。具体的にはpowershell.exeでジョブをスケジューリングして終了→また別のpowershell.exeを立ち上げてimport-module PSScheduledJobしたあとGet-Job|Receive-JobしてPSScheduledJobの結果を参照、みたいなことができます。

ここで紹介した一連の操作ではスクリプトブロックをPSScheduledJobにしましたが、Register-ScheduledJobコマンドレットの-FilePathパラメータを用いれば.ps1ファイルをPSScheduledJobとして登録することも可能です。

現行バージョンのPowerShellはとにかく起動が遅いため、タスクスケジューラにスクリプトを登録しても実行が始まるまで何十秒も待たされるなどはざらでしたが、PSv3は起動がずいぶん速くなり、スペックや状況にもよるとは思いますがpowershell.exeの起動後ほんの数秒でスクリプトが走り始めます。この速度のおかげもあってPSScheduledJobはきっととても有効に機能するんじゃないかと思います。

おわりに

今回はPowerShell 3.0で増強されるバックグラウンドジョブ関係の機能をまとめてみました。これらの新機能のおかげで、時間のかかる処理や定期実行する処理を扱うのが飛躍的にやりやすくなりそうです。PowerShell 3.0で追加される機能は他にもたくさんあって、このブログでもいつか全部紹介したいと思ってるのですが、今回取り上げたジョブ関係はその中でもかなり重要な機能増加を多く含んでいると言えるでしょう。PowerShell 3.0やWindows 8/Server 8のリリースに備えてジョブ関係から予習しておくのは悪くないと思いますよ。

なんか25日のアドベントカレンダーのうち3回もバックグラウンドジョブネタをやって、PSアドベントカレンダーというより私だけ一人でPSジョブアドベントカレンダーをやってる感じでちょっと申し訳ないんですが、どうか許してください。そして前回は今回で終了するって言ってたんですが、実はまだジョブ関係の小ネタが残ってるので最終日25日にさせてください。では今日のところはこのへんで。明日はwaritohutsuさんの登場です。よろしくお願いします。

2011/12/13

はじめに

この記事はPowerShell Advent Calendar 2011の13日目、そして私の2回目の記事となります。

今日のテーマは前回の続きで、PowerShellのバックグラウンドジョブの結果を読み取ったり、バックグラウンドジョブに値を与えたりして、ジョブと通信を行う方法を解説します。

ジョブから呼び出し元に値を返却する

ジョブの結果を取得するにはReceive-Jobコマンドレットを使用すれば良いと前回書きましたが、今回はジョブ側から結果を返す実際の方法を示します。

基本的にPowerShellのスクリプトやスクリプトブロックが呼び出し元に返却する値というのは、そのスクリプト(or ブロック)でパイプラインを通じて最終的にデフォルト出力に渡されたすべての値です。複数行に渡って出力されている場合は、呼び出し元にはその配列(object[])として返却されます。

ジョブにおいてもそれは同様で、基本的にStart-Jobなどで生成したスクリプトやスクリプトブロックが出力したすべての値がジョブの出力となり、呼び出し元からはReceive-Jobコマンドレットで受け取ることができます。

以下に現在の日付時刻を出力するサンプルを示します。サンプルなのでジョブなのに同期的な処理になってますがご了承を。

$job=Start-Job {
    Start-Sleep -sec 5
    Get-Date
}
Wait-Job $job|Receive-Job

複数だと以下のようになります。

$job=Start-Job {
    Start-Sleep -sec 1
    "Give me job."
    Get-Date
    1+1
}
Wait-Job $job|Receive-Job

この場合だと文字列、日付時刻、数値の3種類のオブジェクトが出力されますので、結果は長さ3のobject配列になります。そのためこれらの値を個別に取り出す場合は次のようにします。

$job=Start-Job {
    Start-Sleep -sec 1
    "Give me job."
    Get-Date
    1+1
}
$result=Wait-Job $job|Receive-Job
Write-Host $result[0]
Write-Host $result[1].ToString("yyyyMMdd")
Write-Host $result[2]

このように配列のインデックスで各値にアクセスできますが、これだと受け取り側での処理が分かりにくいと思われるかもしれませんね。

そこでお勧めなのが、このように複数値を返却するのではなく、カスタムオブジェクトを1つだけ返却するようにする方法です。

$job = Start-Job {
    Start-Sleep -sec 1
    $ret = New-Object PSObject -property @{
        String = "Give me job.";
        Date = Get-Date;
        Number = 1+1
    }
    $ret
}
$result = Wait-Job $job|Receive-Job
Write-Host $result.String
Write-Host $result.Date.ToString("yyyyMMdd")
Write-Host $result.Number

この方法ではジョブの中でNew-Objectコマンドレットでカスタムオブジェクトを作成し、それを返却しています。返却値は1つのオブジェクトでそのプロパティに値が格納されているのでドット演算子で値を参照できるようになりました。

ただしこの方法にも欠点があって、Receive-Objectで結果を参照するとき、ジョブが終了するまですべての値が参照できません。実はジョブが完了してない段階でも、Receive-Objectを実行するとジョブがそこまで出力した値を逐次取得することができるのです。よって

$job=Start-Job {
    Start-Sleep -sec 3
    "Give me job."
    Start-Sleep -sec 3
    Get-Date
    Start-Sleep -sec 3
    1+1
}

のようにしてジョブを走らせた後、適当な間隔で

$job|Receive-Job

を実行すると、それまでに出力した部分までを取得して書き出します。先程の例のように出力をカスタムオブジェクトでまとめてしまうとこの手法が使えなくなってしまいます。

どちらもメリット、デメリットがあるのでうまく使い分けると良いかと思います。具体的にはジョブの実行途中では結果を取得せず、ジョブ完了後の最終的な結果のみまとめて参照したい場合はカスタムオブジェクトで返却し、それ以外はそのまま随時値を返却するようにすればいいと思います。

さて、ジョブの結果を受け取る際にもう一点注意しなければならないことがあります。それはジョブが返すオブジェクトの型です。PowerShellのジョブ機能はリモーティング機構の上に構築されているというのは前回も書きましたが、その関係上、呼び出し元とジョブとの間でオブジェクトを受け渡しする場合は一度シリアル化され、受け取り側でデシリアライズされます。

オブジェクトのクラスもしくは構造体がシリアライズ可能(Serializable属性がついている)なら、PowerShellによりシリアル化→デシリアライズされたオブジェクトはシリアル化される前のオブジェクトと同一のものです。しかしそうではないオブジェクトの場合だと完全に元と同じオブジェクトには復元されません。

たとえば(Get-Process)[0]をジョブで実行するとSystem.Diagnostics.Processオブジェクトが得られますが、それをジョブの呼び出し元に返却するとDeserialized.System.Diagnostics.Processというカスタムオブジェクトに変換されます。このオブジェクトは各プロパティ値は(シリアル化可能なものだけ)保持しているものの、メソッド定義などは消失しているのでこのオブジェクトのメソッドを実行することはできません。

ちなみにSystem.StringクラスやSystem.Int32やSystem.DateTime構造体はSerializable属性がついているのでジョブの結果として取得しても元のオブジェクトと同一なので、メソッドなどが呼び出し可能です。

ジョブに呼び出し元の値を渡す

今度は逆の場合です。ジョブを走らせるとき、呼び出し元からジョブに値を渡す方法です。

$job = Start-Job {
    param($date,$value)
    Start-Sleep -sec 1
    "${date}の${value}日後の日付は" + $date.AddDays($value).ToString("yyyy/MM/dd") + "です。"
} -argumentList @((Get-Date),1)
Wait-Job $job|Receive-Job

このようにStart-Jobコマンドレットの-argumentListパラメータに、ジョブに渡したい値を指定すればOKです。複数ある場合はこのように配列指定も可能です。

ジョブ側ではparamキーワードで仮引数を指定しておけば、スクリプトブロック内で呼び出し元の値が格納された変数を使用できます。ここではparamを使いましたが、paramを使用しない場合は$argsに実引数が配列として格納されているので、これを利用するのでもOKです。

値を渡す場合でもシリアライズとデシリアライズが行われるので、その点だけは注意が必要です。

ジョブは呼び出し元と別インスタンスなので、呼び出し元に読み込まれた関数を参照することはできません。よってジョブでも呼び出し元で定義した関数を実行したい場合は同様に-argumentListで関数の実体であるスクリプトブロックを送ってやる必要があります。

function Get-Test
{
    "テスト!" + (1+1)
}

$job = Start-Job {
    param($sb)
    &([scriptblock]::Create($sb))
} -argumentList (Get-Item Function:\Get-Test).ScriptBlock

Wait-Job $job|Receive-Job

-argumentListでスクリプトブロックを渡すとStringにキャストされてしまうので、ジョブ内でそれをCreateメソッドでスクリプトブロックに戻してから実行演算子&で実行するという回りくどいことになってしまいました。関数にこだわらなければ呼び出し側でスクリプトブロックを作って変数に入れ、それを-argumentListに入れてやると少しだけ記述がシンプルになりますが、ジョブ内でスクリプトブロックを復元しなければならないのは同様です。

いずれにせよあんまり美しくないのでお勧めしません。こんなことをやるくらいならジョブの中あるいは -InitializationScriptパラメータの中で関数やスクリプトブロックを定義してやるか、関数を別スクリプトファイルに切り出して、そのスクリプトファイルをジョブ内で読み込むほうが良いかと思います。前者の場合だと呼び出し元とジョブ内で関数を共有することはできませんが、後者の方法だとファイルとしては分割してしまいますが可能です。

おわりに

今回はジョブと通信する方法として、ジョブから結果を出力したり、ジョブに値を渡したりする方法をまとめました。意外と落とし穴が多いので注意してください。

このシリーズはあと1回だけ続く予定です。お楽しみに。

2011/12/02

はじめに

このたび、技術系アドベントカレンダーイベントの1つとして、PowerShell Advent Calendar 2011を企画しました。この記事はその2日目の記事となります。アドベントカレンダーについてはリンク先を参照してください。

今日のテーマはPowerShellのバックグラウンドジョブ機能の使い方についてのまとめです。

バックグラウンドジョブとは

バックグラウンドジョブ機能はその名の通り、ジョブ(具体的にはスクリプト)をバックグラウンドで非同期に実行するものです。PowerShell v2で追加された機能の一つです。インタラクティブシェルでStart-Jobコマンドレットを使用してバックグラウンドジョブ(以下、単に「ジョブ」と表記)を実行すると、新しくpowershell.exeのプロセスが起動しそのままシェルに制御が戻りユーザーは後続の処理を行うことができます。もちろんスクリプトからジョブを実行することも可能です。時間のかかる処理をバックグラウンドで走らせたり、数多くの処理を並列で実行したりするのに重宝します。

起動されたジョブは操作中のpowershell.exeとは別のジョブ用のプロセスで実行され、処理が完了すると呼び出し元でその結果をReceive-Jobコマンドレットを使って受け取ることができます。ジョブは並列して何個も同時に実行できます。なおPowerShellのジョブは1ジョブ=1プロセスです。スレッドではないので注意。

PowerShellのジョブシステムはリモート処理インフラストラクチャの上に構築されているので、たとえローカルPCでもジョブ実行するにはローカルPCをリモート用構成にしておく必要があります。詳しくはabout_Remote_Requirementsを参照のこと。

ジョブはローカルでもリモートでも走らせることができます。以下に具体的な方法を述べていきます。

ローカルコンピュータでのジョブ実行

ローカルコンピュータ上に新しくジョブを作成して開始するにはStart-Jobコマンドレットを用います。

Start-Job {ジョブとして実行したいコマンド、スクリプト}

とするとジョブを実行します。

$job=Start-Job {..}

のようにするとJobオブジェクト(System.Management.Automation.PSRemotingJob)を変数に格納してあとで利用できます。変数で受けない場合はJobオブジェクトの内容が表示されます。

存在するジョブを取得するにはGet-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job

で現在実行中のジョブ一覧を表示します。以下に出力例を示します。

Id              Name            State      HasMoreData     Location             Command
--              ----            -----      -----------     --------             -------
1               Job1            Completed  True            localhost            "test"
3               Job3            Running    True            localhost            start-sleep -sec 120;"...

以下の表は各項目の意味です。

Id ジョブID番号
Name ジョブの名前
State

Running=実行中のジョブ

Stopped=停止したジョブ

Complete=完了したジョブ

Failed=エラーが出たジョブ

HasMoreData 返却されたデータがあるかどうか
Location ジョブが実行されているコンピュータ名
Command ジョブで実行されているコマンド、スクリプト

ジョブの終了を待つにはWait-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Wait-Job

とすると実行中のジョブすべてが完了するまで待ちます。-timeoutパラメータを使うと最大待ち時間(秒)を指定できます。

Get-Job|Wait-Job -any

とすると実行中のいずれかのジョブが完了するまで待ちます。正確には「対象のジョブが一つ以上完了するまで待つ」という効果なので、完了済みのジョブが1つ以上ある場合に新たにジョブを追加した場合などは想定の動作になりません。あらかじめRemove-Jobで完了済みのジョブを削除するか、Where-ObjectコマンドレットでRunningのみ対象にするようフィルタをかけるかしてください。

ジョブを中止するにはStop-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job -id 1|Stop-Job

とするとジョブIDが1のジョブを中止します。

$jobにJobオブジェクトが格納されている場合は

$job|Stop-Job

でもOKです。

ジョブを削除するにはRemove-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|where {$_.state -eq "Completed" -or $_.state -eq "Stopped"}|Remove-Job

とすると完了済みと中止したジョブを削除します。実行中のジョブは削除できませんが-forceパラメータを使って強制削除することは可能です。

ジョブの実行結果データを取得するにはReceive-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Receive-Job

とすると完了済みのジョブのうち、結果を返却しているもの(HasMoreDataがTrueのジョブ)があればその結果を表示します。-keepパラメータをつければ結果データを保持しますが付けてない場合は参照後破棄します。

*-Job系のコマンドレットの多くはJobオブジェクトを返却するので、パイプラインでどんどん繋げていけます。

Get-Job|Wait-Job -timeout 10|Receive-Job

のように。

ジョブの基本的な使い方に関して詳しくはabout_jobsを参照してください。

イベントサブスクライブ

PowerShell 2.0では.NET Frameworkのオブジェクトのイベントをサブスクライブすることができます。すなわちイベントハンドラを記述することができます。このイベントサブスクライブ機能もジョブ機能を元に構築されています。

たとえばTimerオブジェクトのElapsedイベントをサブスクライブし、タイマーの実行間隔(ここでは1秒)ごとにtest.txtファイルに乱数を追記していくサンプルは次のようになります。

$timer=new-object System.Timers.Timer
$timer.Interval=1000
Register-ObjectEvent -EventName Elapsed -SourceIdentifier test -Action {get-random|add-content c:\users\daisuke\test.txt} -InputObject $timer
$timer.Enabled=$true

Register-ObjectEventの結果、新しくジョブが生成しそのJobオブジェクトが返却されます。このジョブは-EventNameパラメータで指定したイベントが発生するたび、-Actionパラメータで指定したスクリプトブロックを実行します。

なお、イベントサブスクライブを解除するには

Unregister-Event test

のように-SourceIdentifierパラメータで指定した値を指定してUnregister-Eventコマンドレットを実行することで可能です。サブスクライブを解除してもジョブ自体は削除されない(StateがStoppedになるだけ)ので、必要であればRemove-Jobで削除します。

なお.NETオブジェクトの他にPowerShellスクリプトのカスタムイベント(Register-EngineEvent)、WMIオブジェクトのイベント(Register-WmiEvent)をサブスクライブすることもできます。これらのコマンドレットも同様にイベント発生時の処理をジョブとして登録します。詳しくは各コマンドレットのヘルプを参照してください。

リモートコンピュータでのジョブ実行

最初に述べたとおりPowerShellのジョブ機能はリモートインフラストラクチャの上に構築されています。よってローカルのみならずリモートコンピュータに対してジョブを実行することができます。もちろんリモートコンピュータにもリモート構成されていることが条件です。

基本はInvoke-Commandコマンドレットを用い、

$job=Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

となります。これで{}内の処理がリモートコンピュータ上のPowerShellインスタンスで実行されます。-asJobパラメータをつけることでジョブとして(ローカルPCから見て)非同期に処理できますが、-asJobパラメータを省略すると同期的に実行されます。この場合ジョブは作成されず、リモートでの処理が終了するまでローカル側は待機することになります。

リモートコンピュータに接続するための資格情報を別途入力する必要がある場合は-credentialパラメータを使用します。

Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob -credential ユーザー名

とするとパスワードを入力するダイアログが表示されます。なお、スクリプトで動かすときなどあらかじめ入力したパスワードを指定したい場合の方法は以前書きました

同じコマンドを複数のリモートPCで同時実行することも可能で、その場合は-computerNameパラメータにリモートコンピュータ名の配列を指定します(「,」区切り)。この場合ローカルPCで見えるジョブとしては1つですが、そのジョブにリモートコンピュータの数だけ子ジョブ(ChildJobs)が作成されています。

このように子ジョブが複数ある場合にReceive-Jobするときは

$job|Receive-Job -location リモートコンピュータ名

あるいは

$job.ChildJobs

として表示される子ジョブの名前(Name)を調べ、

Receive-Job -name 子ジョブの名前

とすることでリモートコンピュータごとに結果を取得できます。

すべての結果をまとめて取得するなら

Receive-Job $job

とします。

$job|Receive-Jobはなぜか駄目なようです。

固定セッションを用いたリモーティング

同じリモートPCに対して何度もコマンドを実行させたい場合、毎回リモートコンピュータ名を指定してセッションを張るのは非効率的なので、リモートセッションを確立したあとその固定セッションを何度も使用する方法が用意されています。新しく固定セッションを確立するにはNew-PSSessionコマンドレットを用い、

$session=New-PSSession リモートコンピュータ名

とすると固定セッションが確立され、$session変数にそのセッションオブジェクトが格納されます。あとは

Invoke-Command $session {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

とすればそのたびにそのセッションを用いてリモートでコマンドを実行できるようになります。

ここまでの説明はリモートコンピュータでしてきましたが、ローカルコンピュータに対して固定セッションを張ることも可能です。

さらに、Enter-PSSessionコマンドレットを用いると作成したセッションに入ってリモートコンピュータ上のPowerShellを対話実行することも可能です。

Enter-PSSession $session

とすると、プロンプトが

PS カレントディレクトリ>

から

[リモートコンピュータ名]: PS カレントディレクトリ> 

に変化し、以降リモートのPowerShellをローカルPCから対話実行できます。

なおこの状態から抜けるにはexitもしくはExit-PSSessionと入力して実行します。

ジョブ実行できるそのほかのコマンドレット

これまで述べたコマンドレット以外にも、いくつかのコマンドレットはジョブ実行(ローカルorリモート)することができます。ジョブ実行するには-asJobパラメータを使用します。以下にv2の段階で-asJobパラメータが定義されているそのほかのコマンドレットを示します。

これらのコマンドレットはコマンドレット自体にジョブ実行機能がついているので、単独で実行するだけならStart-JobやInvoke-Commandを用いる必要がありません。v2ではWMIを扱うコマンドレットにのみ-asJobパラメータが存在するようです(ここに挙げたコマンドレットはすべてWMIの機能を呼び出すもの)。なお、-asJobパラメータが使用できるコマンドレットの一覧を取得するのに、fsugiyamaさんの1日目の記事の問15のスクリプトを使用させていただきました。

おわりに

PowerShell Advent Calendar 2011二日目は、PowerShellのバックグラウンドジョブ機能概要についてまとめてみました。実はバックグランドジョブ機能のTipsを書こうと思ってその前ふりとして書き始めたのですが、これだけでかなりの量になってしまったので概要だけ一記事としてまとめることにしました。おそらくPSアドベントカレンダーに私はあと何回か登場することになりそうですので、Tips編はその際に書こうと思います。

さて、明日三日目は@jsakamotoさんのご登場ですね。よろしくお願いします!

そして参加者はまだまだ募集中ですよ!→PowerShell Advent Calendar 2011

2011/05/05

仕様みたいです。以下、検証コード。

$def = @"
public static string TestMethod(string str)
{
    if(str==null)
    {
        return "null";
    }
    else if(str==string.Empty)
    {
        return "empty";
    }
    else
    {
        return "other";
    }
}
"@
$test = Add-Type -memberDefinition $def -name "TestClass" -passThru
$test::TestMethod($null)

結果は「null」ではなく「empty」になってしまいます。

Windows Phone 7 エミュレーターをビルド後アクティブにする « LiveSpac.esのコメント欄でも書いたのですが、回避策はリフレクション経由でメソッドを呼ぶしかなさそうです。

$test.GetMethod("TestMethod").Invoke($null, @($null))

このように、Invokeメソッドの第一引数はスタティックメソッドの実行なのでインスタンスを指定しないので$null、第二引数はメソッドに与える引数の配列を指定します。ここでは引数は一つ、その値は$nullなので、@($null)を指定します。このようにすると結果は「null」となり意図した結果が得られます。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/05/05/198785.aspx

2011/04/26

PowerShell 2.0ではAdd-Typeコマンドレットを用いてC#など他言語のコードをコンパイルし実行することが可能です。(P/Invokeも可能です)

ほとんど使っている方はいないと思われますが、JScript.NETのコードもコンパイルして実行できます。以下、コード例です。

$code=@"
static function writeHello()
{
    System.Console.WriteLine("Hello JScript.NET World!");
}
"@

$c = Add-Type -Language JScript -MemberDefinition $code -Name "JSTest" -PassThru
$c[1]::writeHello()

JScript.NETのスタティックメソッドを用意してやると、Add-Typeコマンドレットによりそのメソッドを持ったクラス(ここではMicrosoft.PowerShell.Commands.AddType.AutoGeneratedTypes.JSTest)が生成されます。-passThruパラメータを指定することでその型情報が変数に代入できます。あとはJSTestクラスのスタティックメソッドを::演算子で呼び出すのですが、なぜかAdd-Typeが目的のクラスの型以外にJScript.NETのグローバルクラス?の型情報も一緒に出力するので、型情報が配列になっています。よってインデックスを指定してからスタティックメソッドを呼ぶようにします。

ここではスタティックメソッドを実行する例を挙げましたが、インスタンスメソッドも実行できるか試してみました。

$code=@"
import System;
public class JSTest
{
    public function writeHello()
    {
        Console.WriteLine("Hello JScript.NET World!");
    }
}
"@

Add-Type -Language JScript -TypeDefinition $code
$o = new-object JSTest
$o.writeHello()

ところがこれはNew-Objectのところで「New-Object : "0" 個の引数を指定して ".ctor" を呼び出し中に例外が発生しました: "アプリケーションでエラーが発生しました。"」というエラーになってしまいます。コンストラクタの実行でしくっているようですが…。ちなみに明示的にfunction JSTest()というコンストラクタを定義してやってもだめでした。なんででしょうね?

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/04/26/198645.aspx

2010/09/20

文字列を連結する際、+=演算子などを使うとループ回数によっては非常に時間がかかることがあります。これは+=演算子が実行されるたびに毎回string型の新しいインスタンスを生成しているからです。同じ文字列変数に対して+=演算子で文字列を追加していくループがある場合は、+=演算子の代わりにStringBuilderクラスを使うのが良いです。

たとえば、

$str=""
@("aaaa","bbbb","cccc","dddd")|
%{$str += $_}
$str

というようなコードと同様の結果を得るためには、

$sb=New-Object System.Text.StringBuilder
@("aaaa","bbbb","cccc","dddd")|
%{[void]$sb.Append($_)}
$sb.ToString()

のようにします。[void]にキャストしているのは、AppendメソッドがStringBuilderのインスタンスを返すため、それを表示させないようにするためです。結果はいずれも

aaaabbbbccccdddd

となり、文字列の連結が可能です。

このようにループ回数が少ない場合はそれほど所要時間に差はないのですが、数千の文字列を連結していく場合だと+=演算子を使うと非常に時間がかかります。どれくらい差が出るのか、スクリプトを書いて検証してみました。

function Measure-StringJoinCommand
{
    param([int]$itemCount)
    
    $randomStrs=@()
    @(1..$itemCount)|%{$randomStrs += Get-Random}
    $StringJoinTime=@()
    $StringBuilderTime=@()
    @(1..3)|
    %{
        $StringJoinTime +=
            (Measure-Command {
                $str=""
                $randomStrs|%{$str+=$_}
                $str
            }).Ticks
        $StringBuilderTime +=
            (Measure-Command {
                $sb=New-Object System.Text.StringBuilder
                $randomStrs|%{[void]$sb.Append($_)}
                $sb.ToString()
            }).Ticks
    }   
   
    $result=New-Object psobject
    $result|Add-Member -MemberType noteproperty -Name ElementCount -Value $itemCount
    $result|Add-Member -MemberType noteproperty -Name StringJoinTime -Value (($StringJoinTime|Measure-Object -Average).Average/10000)
    $result|Add-Member -MemberType noteproperty -Name StringBuilderTime -Value (($StringBuilderTime|Measure-Object -Average).Average/10000)
    $result|Add-Member -MemberType noteproperty -Name StringJoinTicksPerElement -Value (($StringJoinTime|Measure-Object -Average).Average/$itemCount)
    $result|Add-Member -MemberType noteproperty -Name StringBuilderTicksPerElement -Value (($StringBuilderTime|Measure-Object -Average).Average/$itemCount)
    $result 
}

@(100,300,500,800,1000,3000,5000,8000,10000,30000,50000,80000)|
    %{Measure-StringJoinCommand -itemCount $_}|
    Format-Table -Property `
        @{Label="Elements";Expression={$_.ElementCount.ToString("#,##0")};Width=8},
        @{Label="StringJoin(msec)";Expression={$_.StringJoinTime.ToString("#,##0")};Width=20},
        @{Label="StringBuilder(msec)";Expression={$_.StringBuilderTime.ToString("#,##0")};Width=20},
        @{Label="StringJoin(tick/element)";Expression={$_.StringJoinTicksPerElement.ToString("#,##0")};Width=30},
        @{Label="StringBuilder(tick/element)";Expression={$_.StringBuilderTicksPerElement.ToString("#,##0")};Width=30}

CPU=Intel(R) Core(TM)2 CPU 6600 @ 2.40GHz,memory=3GB,Windows 7 x86での実行結果は次の通り

Elements StringJoin(msec)     StringBuilder(msec)  StringJoin(tick/element)       StringBuilder(tick/element)   
-------- ----------------     -------------------  ------------------------       ---------------------------   
100      8                    6                    830                            646                           
300      22                   22                   719                            746                           
500      36                   34                   718                            689                           
800      60                   55                   755                            690                           
1,000    86                   72                   857                            721                           
3,000    264                  192                  880                            638                           
5,000    573                  334                  1,146                          667                           
8,000    1,534                522                  1,917                          653                           
10,000   2,562                731                  2,562                          731                           
30,000   23,386               2,204                7,795                          735                           
50,000   60,805               3,730                12,161                         746                           
80,000   184,407              6,541                23,051                         818   

この表は左から、連結する文字列要素数(ループ回数)、+=演算子を使った場合の所要時間(ミリ秒)、StringBuilderを使った場合の所要時間(ミリ秒)、+=演算子を使った場合の1要素あたりの所要時間(tick=100ナノ秒)、StringBuilderを使った場合の1要素あたりの所要時間(tick=100ナノ秒)、です。なお1要素当たりの平均文字数は9文字程度です。また、測定は3回おこない平均値を取っています。

この表によるとループ回数が5000回程度であれば所要時間にさほど差違は見られませんが、それ以降は急激に+=演算子の所要時間が増えることが分かります。また、+=演算子はループが5000回より増えるとループ回数が増えれば増えるほど1要素あたりにかかる時間も増えるのに対し、StringBuilderの場合はほぼ一定です。

というわけで1ループあたりに追加する文字数とループ回数が少ない場合は+=演算子でもそれほど問題にはなりませんが、そうでない場合はStringBuilderを使うのが良さそうです。これらの値が増加する可能性がある場合は、最初からStringBuilderを使っておけば、ある日突然処理がめちゃくちゃ重くなる、という事態も避けられるでしょう。PowerShellでStringBuilderを使っているサンプルがネットにはあまり見当たらなかったのですが、PowerShellでも積極的に使うと幸せになれると思います。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2010/09/20/193089.aspx

2010/02/13

PowerShellは.NET Framework 2.0を利用するWindowsのシステム管理用シェルである。シェルであるためコンソールで対話的にコマンドを実行することができるのはもちろん、スクリプトファイル(*.ps1)を記述しバッチ的に実行することも可能である。ここではPowerShellスクリプトで(コンソールでも使用は可能だが)用いることのできる基礎文法を紹介する。なお、PowerShellでは文法上、大文字小文字を区別しない。

※(★2.0)の注釈があるものはPowerShell 2.0で新たに追加された要素である。

1.基礎

表示

コンソールに文字列を表示。

"Hello world" 

コマンドレット(後述)を使用した場合。

Write-Host "Hello world" 

コマンドレット

PowerShellはコマンドレットと呼ばれる100種類以上のコマンドライン・ツール群を単独で、あるいはパイプライン(後述)で連結して使用するのが基本となる。コマンドレットは原則verb-nounという命名規則にしたがっている。パラメータをつける場合は「-パラメータ名」あるいは「-パラメータ名 パラメータ値」を指定する。

# コマンドレットの一覧表示
Get-Command 

# サービスの一覧を表示
Get-Service 

# アプリケーション イベントログの最新15個のエントリを表示
Get-EventLog -logName Application -newest 15

パイプライン

コマンドレットが値を返却する場合、.NET Frameworkのオブジェクトが含まれる配列であることが多い。このオブジェクト配列がパイプラインを渡って後続のコマンドレットに入力される。

# プロセスのリスト(System.Diagnostics.Processオブジェクトの配列)を取得し、
# Where-Objectコマンドレットでハンドル数(handlesプロパティ)の値が500より大きいものだけを取り出し
# Select-Objectコマンドレットで最初の5つのオブジェクトだけを切りだして表示
Get-Process | Where-Object {$_.handles -gt 500} | Select-Object -first 5

# C:\Windows 配下のフォルダ、ファイルの一覧(System.IO.DirectoryInfo,System.IO.FileInfoオブジェクトの配列)を取得し、
# ForEach-Objectコマンドレットで配列を列挙しすべてのオブジェクトのFullNameプロパティ(フルパス)の値を表示
Get-ChildItem C:\Windows | ForEach-Object {$_.FullName} 

# 通常の配列に関してもパイプラインを使用可能。
# 重複を取り除き、ソートをかける
@(3,5,10,1,2,1,1,1,2,6,4,4)|Sort-Object|Get-Unique 

コメント

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マルチラインコメント(★2.0)

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複数行に渡る
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#> 

変数の宣言

PowerShellは変数の宣言をしなくても変数を使用可能。以下のようにするとどのような型でも代入可能な変数が作られる。

$a = 1
$a = $b = $c = 1 #複数変数に一度に同じ値を代入する場合
$items = Get-ChildItem # コマンドレットの戻り値を格納 

変数の型を指定することは可能。以下のようにするとint型のみ格納可能な変数が作られる。

[int]$a = 1 

あるいは、コマンドレットを用いて$aという変数を宣言することもできる。この場合変数の型は指定できない。

New-Variable -name a 

変数のスコープ

# どのスコープからも読み書き可能
$global:a = 1

# 現在のスコープからのみ読み書き可能
$private:a = 1 

# 現在のスクリプトからのみ読み書き可能
$script:a = 1 

文法チェック

以下を実行することで未定義の変数を参照するとエラーが出るようになる。

Set-PSDebug -strict 

スクリプトの実行

デフォルトの実行ポリシーではスクリプトの実行は不許可であるため、以下のようにポリシーを変更しておく。(RemoteSignedはローカルにあるスクリプトファイルは無条件で実行可、リモートにあるスクリプトファイルは署名付きのもののみ実行可)

Set-ExecutionPolicy RemoteSigned 

スクリプト/コマンドを実行するにはコマンドラインで次のようにする。

コマンドを実行する

powershell -command {Get-ChildItem C:\} 

ファイルを実行する

powershell  .\script.ps1 

ドットソース(スクリプトの内容をグローバルスコープに読み込む)

powershell  . .\script.ps1 

ファイルを実行する(★2.0)

powershell -file script.ps1 

PowerShellスクリプトから別のスクリプトを実行する場合(関数のインクルードにも用いられる)

.\script.ps1
. .\script.ps1 # ドットソース 

デバッガの起動

Set-PSDebug -trace 2 

ステップ実行

Set-PSDebug -step 

2.数値

数値の表現

PowerShellにおける数値は.NET Frameworkの数値を表す構造体のインスタンスである。数値には整数、浮動小数点があり、変数に代入した段階で適切な型が設定される。

# int型(System.Int32型)
$int = 1

# System.Double型
$double = 1.001

四則演算

# 足し算
$i = 1 + 1

# 引き算
$i = 1 - 1 

# 掛け算
$i = 1 * 1 

# 割り算
$i = 1 / 1 

余りと商の求め方

# 割り算の余り
$mod = 7 % 3 

# 上記の場合の商
$div = (7 - 7 % 3) / 3 

べき乗

# 2の8乗
$i = [math]::Pow(2,8) 

インクリメントとデクリメント

# インクリメント
$i++ 

# デクリメント
$i-- 

3.文字列

PowerShellにおける文字列は.NET Frameworkの System.Stringクラスのインスタンスである。

文字列の表現

文字列はシングルクォーテーションかダブルクォーテーションで囲む。ダブルクォーテーションの中では`t(タブ)や`r`n(改行)などの特殊文字が使用でき、変数が展開される。

$str1 = 'abc'
$str2 = "def"
$str3 = "a`tbc`r`n" 

#変数展開(結果は abc def)
$str4 = "$str1 def" 

文字列操作

各種文字列操作

# 結合
$join1 = "aaa" + "bbb"
$join2 = [string]::Join(",",@("aaa","bbb","ccc") )

# 結合(★2.0)
$join2 = @("aaa","bbb","ccc") -join "," 

# 分割
$record1 = "aaa,bbb,ccc".Split(",") 

# 分割(★2.0)
$record2 = "aaa,bbb,ccc" -split "," 

# 長さ
$length = "abcdef".Length 

# 切り出し
$substr = "abcd".SubString(0,2) # ab

正規表現検索

# hitした場合はTrue,しなかった場合はFalse
$result = "abcd" -match "cd"

# 最初に見つかった文字列。添え字の1,2…には()内のサブ式にhitした文字列が格納。
$matches[0] 

正規表現置換

$result = "abc" -replace "c","d" 

4.配列

PowerShellにおける配列は.NET Frameworkの System.Arrayクラスのインスタンスである。

配列の参照と代入

# 5個の要素を持つ配列宣言と代入
$arr1 = @(1,3,5,7,9)
 
# 以下のようにも記述できる
$arr1 = 1,3,5,7,9 

# 型指定する場合
[int[]]$arr1 = @(1,3,5,7,9) 

# 1〜10までの要素を持つ配列宣言と代入
$arr2 = @(1..10) 

# 1要素の配列宣言と代入
$arr3 = @(1) 
$arr3 = ,1 

# 空の配列宣言と代入
$arr4 = @() 

配列の要素の参照と代入

# 4番目の要素を参照 
$ret = $arr2[3] 

# 6〜9番目の要素を含んだ配列を参照
$ret = $arr2[5..8] 

# 1〜4番目と8番目の要素を含んだ配列を参照
$ret = $arr2[0..3+7] 

# 配列の末尾の要素を取り出す
$ret = $arr2[-1] 

# 5番目の要素に値を代入
$arr2[4] = 11 

# 3より小さな要素を含んだ配列を返す
$ret = $arr2 -lt 3 

配列の個数

$arr1_num = $arr1.Length 

配列の操作

$arr1 = @(1,3,5,7,9) 
$arr2 = @(1..10) 

# 配列の末尾に要素を加える(push)
$arr2 += 50 

# 配列を結合し新しい配列を作成
$arr5 = $arr1 + $arr2 

# 配列にある要素が含まれるかどうか(ここではTrue)
$arr2 -contains 2 

5.ハッシュ

PowerShellにおけるハッシュは.NET Frameworkの System.Collections.Hashtableクラスのインスタンスである。

ハッシュ変数の宣言と代入

# 3つの要素を持つハッシュの宣言と代入
$hash1 = @{a=1;b=2;c=3}
 
# 空のハッシュの宣言と代入
$hash2 = @{} 

ハッシュの要素の参照と代入

# 要素の参照
$hash1.a 
$hash1["a"] 

#要素の代入
$hash1.b = 5
$hash1["b"] = 5 

ハッシュの操作

# ハッシュに要素を追加
$hash1.d = 4 
$hash1.Add("e",5)
 
# ハッシュの要素の削除
$hash1.Remove("a") 

# ハッシュのキーの取得
$keys = $hash1.Keys 

# ハッシュの値の取得
$values = $hash1.Values 

# ハッシュの要素を列挙
foreach ($key in $hash1.Keys)
{
    $key + ":" + $hash1[$key]
} 

# キーの存在確認
$hash1.Contains("b") 

6.制御文

if文

if (条件) {

}

if 〜 else文

if (条件) {

}
else{

}

if 〜 elsif 文

if (条件) {

}
elseif (条件) { 

} 

while/do文

while (条件) {

}

do {

} while (条件)

for文

for ($i = 0; $i -lt 5; $i++) {

} 

foreach文

foreach ($item in $items) {

} 

switch文

case を書かないのが特徴的。またスクリプトブロックを条件文に記述できる。

switch ($i) {
    1 {"1";break}
    2 {"2";break}
    {$_ -lt 5} {"5より小さい";break}
    default {"default句";break}
}
# ここで$iに配列を指定すると配列要素すべてに対してswitch文が実行される。 

比較演算子

比較演算子の一覧。PowerShellではPerlの文字列比較演算子のような記述をおこなうが、Perlとは異なり文字列も数値も同じ書式である。

$num1 -eq $num2 # $num1は$num2と等しい
$num1 -ne $num2 # $num1は$num2は等しくない
$num1 -lt $num2 # $num1は$num2より小さい
$num1 -gt $num2 # $num1は$num2より大きい
$num1 -le $num2 # $num1は$num2以下
$num1 -ge $num2 # $num1は$num2以上 

論理演算子

# 論理否定
$ret = -not $true
$ret = !$true

# 論理積
$ret = $true -and $false 

# 論理和
$ret = $true -or $false 

# 排他的論理和
$ret = $true -xor $false 

ビット演算子

# ビット単位の否定
$ret = -bnot 0x14F4

# ビット単位の積
$ret = 0x14F4 -band 0xFF00 

# 上記結果を16進数で表示する場合
$ret = (0x14F4 -band 0xFF00).ToString("X") 

# ビット単位の和
$ret = 0x14F4 -bor 0xFF00 

# ビット単位の排他的論理和
$ret = 0x14F4 -bxor 0xFF00 

7.サブルーチン

PowerShellのサブルーチンには関数とフィルタがある。関数とフィルタは呼び出し行の前で宣言する必要がある。 filter構文もfunction構文と並んで独自関数を記述するものだが、filter構文はパイプラインに渡されたオブジェクトをフィルタするのに用いる。 functionとの違いは、パイプラインに渡した配列を一度に処理するか(function)個別に処理するか(filter)

# 関数宣言の基本
function Get-Test {
    return "test"
}
# 注:returnを付けなくても関数内で出力された値はすべて呼び出し元に返却される。返却したくない場合は出力値をを[void]にキャストするか|Out-Nullに渡す。

# 引数を指定する場合
function Get-Test {
    param($param1,$param2)
    return $param1 + $param2
}
 
# 引数を指定する場合の簡易的な記述法
function Get-Test($param1,$param2) {
    return $param1 + $param2
} 

# 引数の型を指定する場合
function Get-Test {
    param([string]$param1,[string]$param2)
    return $param1 + $param2
} 

# 関数の呼び出し方(,区切りではなくスペース区切りであることに注意)
Get-Test "引数1" "引数2"

# 引数の順序はパラメータ名(引数名)を指定すると自由に指定可能
Get-Test -param2 "引数2" -param1 "引数1" 

# フィルタ宣言の基本
filter Get-Odd {
    if($_ % 2 -eq 1){
        return $_ 
    }else{
        return
    }
} 

# フィルタの使用
@(1..10) | Get-Odd

8.テキストファイル入出力

コマンドレットで可能。エンコーディングは日本語環境のデフォルトではShift-JIS。コマンドレット出力のテキストファイルへの書き出しに関してはリダイレクトも可能。この場合エンコーディングはUnicode。

$str1 = "testテスト"
Set-Content test.txt $str1 # 書き込み
Add-Content test.txt "追記" # 追記
$str2 = Get-Content test.txt # 読み込み

Set-Content test.txt $str1 -encoding UTF8 # UTF-8で書き込み

# リダイレクト
Get-Process > test.txt # 書き込み
Get-Process >> test.txt # 追記
Get-Process | Out-File test.txt -encoding UTF8 # エンコーディングを指定する場合

9.例外

PowerShellで例外が発生すると、デフォルトではエラーメッセージを表示し次の行を実行する(シェル変数$ErrorActionPreferenceの設定により挙動の変更可能)。VBでいうとOn Error Resume Nextに近い。エラーが発生すると$Errorにエラー情報の配列が格納され、$?にFalseが格納される。エラーをトラップするには次の構文を使用する。VBでいうとOn Error Goto lineに近い。

# すべてのエラーをトラップ
trap {

}

# エラーの型名を指定してトラップ
trap [System.Management.Automation.CommandNotFoundException] {

} 

# エラーを発生させる
throw "エラー"
throw New-Object NullReferenceException 

構造化例外処理(★2.0)

# 基本
try{

}
catch{

}
finally{

} 

# エラーの型を指定してcatch
try{

}
catch [System.Net.WebException],[System.IO.IOException]{

}

10.知っておいたほうがよい文法

行継続文字

1行にすると長いコードを複数行に書くには行継続文字`を用いる。VBの_。

$items = Get-ChildItem a*,b*,c*,d*,e* `
-force -recurce 

ただし以下のような場合は`を使用しなくてもよい

$items =
    Get-ChildItem a*,b*,c*,d*,e* -force –recurse
    
Get-Process | 
    Where-Object {$_.handles -gt 500} |
    Select-Object -first 5 

ステートメント分割

ステートメントを分割するには改行コードもしくは;を使用する。VBの:。JavaScriptと同様、文末に;はつけてもつけなくてもよい。

$i = 1; $j = 5; $k = $i + $j 

ヒア文字列

複数行の文字列を記述する方法。

$str = @"
aaaaaa
bbbbb
cccc
ddd
ee
"@ 

.NET Frameworkクラスの利用

.NET Frameworkに含まれているクラスのプロパティやメソッドを使用できる。基本的に完全修飾名を指定しなければいけないが、"System."は省略可能。また、intなど型エイリアスがいくつか定義されている。

# スタティックメンバの使用
[System.Math]::Pow(2,8) 

# インスタンスの生成とメソッドの実行
$arrayList = New-Object System.Collections.ArrayList
$arrayList.Add("a") 

# コンストラクタがある場合。複数ある場合は配列として指定
$message = New-Object System.Net.Mail.Message from@example.com,to@example.com

# COMオブジェクトの生成
$wshShell = New-Object -com WScript.Shell 

# デフォルトで読み込まれていないアセンブリを読み込む
[void] [System.Reflection.Assembly]::LoadWithPartialName("System.Windows.Forms")
[System.Windows.Forms.MessageBox]::Show("hello!") 

# クラスにどんなメンバがあるかの確認
# インスタンスメンバ
Get-ChildItem | Get-Member 

# スタティックメンバ
[math] | Get-Member -static 

キャスト

-asを使った場合はキャスト失敗時もエラーにならずNullが格納される。

$dt = [System.DateTime]"2010/02/13"
$dt = "2010/02/13" -as [System.DateTime] 

ユーザー定義オブジェクト

PowerShellにはクラスを定義する構文はないが、空のオブジェクト(PSObject)を生成し、任意のプロパティ(ノートプロパティ)を付加することができる。

$obj = New-Object PSObject
$property = New-Object System.Management.Automation.PSNoteProperty "Name","名前"
$obj.PSObject.Members.Add($property) 

シェル変数

あらかじめ定義されている変数。シェル変数には自動変数(変更不可能)とユーザー定義変数(変更すると挙動を変更することができる)がある。自動変数の例を挙げる。

$_ :現在パイプラインにわたっているオブジェクト
$args :関数やスクリプトに与えられたパラメータの配列
$pshome :PowerShellがインストールされているフォルダのフルパス
$MyInvocation :スクリプトの実行情報。$myInvocation.ScriptNameでスクリプトのフルパス取得(★2.0)。$myInvocation.MyCommand.Path(1.0の場合)
$true :true。
$false :false。
$null :null。

 

サブ式

$()内には複数行のコードが記述できる。

$arr = $(1;2;1+4)

式モードとコマンドモード

PowerShellの構文解析は式モードとコマンドモードがある。式モードは通常のモード。コマンドモードは引用符がなくても文字列を文字列として扱う。コマンドレットのパラメータなどはコマンドモードで扱われる。ただしコマンドモードになるところでも()もしくは$()もしくは@()をつけるとその中身は式モードとして解釈、実行される。

$i = 1 + 1 # 式モード
Write-Host aaa # コマンドモード(表示:aaa)
Write-Host aaa bbb # コマンドモード(表示:aaa bbb)
Write-Host 1+1 # コマンドモード(表示:1+1)
Write-Host (1+1) # 式モード(表示:2)
$itemCount = @(Get-ChildItem).Length # 式モード

実行演算子とスクリプトブロック

&演算子を用いるとスクリプトブロック{}の内容を実行できる。この場合、スクリプトブロック内のコードは別スコープになる。

$script = {$i = 1+6; Write-Host $i}
&$script
& 'C:\Program Files\Internet Explorer\iexplore.exe' # パスにスペースの含まれるファイルを実行したりするのにも使える

フォーマット演算子

-f演算子を使うと、.NET Frameworkのカスタム書式が使用可能。

"{0:#,##0}Bytes" -f 38731362 # 表示:38,731,362Bytes

バイト数の簡易表記

$i = 1KB # 1024が代入される
$i = 1MB # 1048576が代入される
$i = 1GB # 1073741824が代入される

そのほかの基礎文法最速マスターへのリンク

プログラミング基礎文法最速マスターまとめ - ネットサービス研究室
http://d.hatena.ne.jp/seikenn/20100203/programmingMaster

PowerShellの詳しい機能解説についてはこちらの記事を参照してください。
PowerShell的システム管理入門 ―― PowerShell 2.0で始める、これからのWindowsシステム管理術 ―― ─ @IT
進化したPowerShell 2.0 ─ @IT

文法や機能について詳しく学びたい方には書籍もあります
Windows PowerShellポケットリファレンス
PowerShellによるWindowsサーバ管理術

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2010/02/13/186034.aspx

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