2016/12/15

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の15日目です。

前回はPowerShellのASTの概要を解説しました。今回は前回の補足というか応用的な内容になります。

前回、スクリプトブロックからどのようなASTが生成されるのか、図で書きました。そもそもあの図を作るにあたって、ASTの構造を視覚的に把握したかったので、そのためのスクリプトを書きました。

PowerShellで木構造を展開表示する方法は色々ある(※)かと思いますが、今回はJSONとして出力して、表示については他のアプリに任せることにしました。

※Format-Customのデフォルトビューは意外と使える

ただし、ASTオブジェクトをそのままConvertTo-Jsonコマンドレットに渡すわけにはいきません。というのも、AST構造を再帰的に展開するには、探索の深さ(-Depth)を大きくしなければいけませんが、そうするとASTではないオブジェクトも逐一展開してしまい、現実的な時間内で終わらなくなってしまいます。

そこで、ASTオブジェクトそのものをJSONにするのではなく、必要なプロパティのみ再帰的に取得したカスタムオブジェクトを生成し、それをJSONにする方針を取りました。その成果が以下のコードです。(using namespace節を使っているので、v5以上必須です。)

using namespace System.Management.Automation.Language

function GetAstInner
{
    param([Ast]$ast)
    end
    {
        $base = [ordered]@{
            ExtentText = $ast.Extent.Text
            AstName = $ast.GetType().Name
        }

        $children = [ordered]@{}
        $leaves = [ordered]@{}

        $ast.psobject.Properties |
        ? Name -notin Extent, Parent |
        %{
            $type = [type]($_.TypeNameOfValue)
            $propValue = $ast.($_.Name)
                
            if($type.IsSubclassOf([ast]))
            {             
                if($null -ne $propValue)
                {
                    $children[$_.name] = GetAstInner $propValue
                }
            }
            elseif($type.IsGenericType -and $null -ne ($type.GetGenericArguments() | where{$_.Name -eq "Tuple``2"}))
            {
                $asts = @()

                foreach($next in $propValue)
                {
                    if($null -ne $next)
                    {
                        $asts += [pscustomobject]@{
                            Item1 = $(
                                if($null -ne $next.Item1 -and $next.Item1 -is [ast])
                                {
                                    GetAstInner $next.Item1
                                }
                            )
                            Item2 = $(
                                if($null -ne $next.Item2 -and $next.Item2 -is [ast])
                                {
                                    GetAstInner $next.Item2
                                }
                            )
                        }
                    }
                }

                if($asts.length -ne 0)
                {
                    $children[$_.Name] = $asts
                }

            }
            elseif($type.IsGenericType -and $null -ne ($type.GetGenericArguments() | where{$_.IsSubclassOf([ast])}) )
            {
                $asts = @()

                foreach($next in $propValue)
                {
                    if($null -ne $next)
                    {
                        $asts += GetAstInner $next
                    }
                }

                if($asts.length -ne 0)
                {
                    $children[$_.Name] = $asts
                }
            }
            else
            {
                if($null -ne $propValue)
                {
                    $leaves[$_.Name] += $propValue.Tostring()
                }
            }
        }
        [pscustomobject]($base + $leaves + $children)
    }
}

function Get-Ast
{
    param([scriptblock]$ScriptBlock)
    end
    {
        GetAstInner $ScriptBlock.Ast
    }
}

本来なら、50種以上あるAstクラスに応じてきちんと場合分けすべきなのですが、コードが長くなるだけなので、動的言語の強みを生かしてダックタイピング的な方法で下位ノードを再帰的に展開しています。

途中、IfStatementAstのClausesプロパティなどで用いられている、ReadOnlyCollection<Tuple<Ast, Ast>>型であることを確認するのに苦労してますが、多分もっといい方法があると思います…。他はAstオブジェクトそのものか、ReadOnlyCollection<Ast>を返すだけなのでそんなに苦労はないです。Ast抽象クラスに含まれているExtent、Parentプロパティ以外で、Astを要素に含まないプロパティに関しては、ASTの葉として解釈しています。

次にこのスクリプトを使って、スクリプトブロックをJSONとして出力します。

$scriptBlock = {
    param([int]$x,[int]$y)
    end
    {
        $out = $x + $y
        $out | Write-Host -ForegroundColor Red
    }
}

Get-Ast $scriptBlock | 
    ConvertTo-Json -Depth 100 |
    Set-Content ast.json

サンプルとして用いるスクリプトブロックは、前回のものと同じです。これを先ほど書いたGet-Ast関数に渡して、結果をConvertTo-JsonでJSON化しています。この際、探索の深さを100としていますが、ネストが深いスクリプトブロックなどでは、もっと大きくする必要も出てくるかもしれません。

出力されたast.jsonを、JSON Viewerを使って表示してみたのが、以下のスクリーンショットになります。

スクリーンショット 2016-12-15 09.44.06

色んなスクリプトのASTを表示して、楽しんでみてください。

ASTシリーズはもう少し続きます。次回はAST Visitorと静的解析のお話です。

2016/12/01

この記事はPowerShell Advent Calendar 2016の1日目です。

PowerShellアドベントカレンダー、今年も始まりました。みなさまのご協力の甲斐あって、過去5年間はすべて完走していますが、今回もできれば完走を目指していく感じでまいりましょう。色々な立場の方からの視点でPowerShellを俯瞰できるこのイベント、私自身も毎年楽しんでおります。

さて、去年も2015年のPowerShellをまとめる的な記事から始めたわけですが、今年も去年に負けず劣らず、大変革の年だったと思いますので、今回も1年を振り返るところからスタートしましょう。

Bash on Ubuntu on Windows の登場

去年のPowerShell5.0登場、周辺モジュールのOSS化といった大きな動きがあってから、今年の前半は少しおとなしめ?の界隈でした(5.0のインストーラーにバグがあって一時非公開とか小騒動はありました)が、まず驚いたのがPowerShellそのものではなくて、Windowsで動くbashが登場したというトピックですね。発表があったのは今年の3月末の事です。

bashとは言わずと知れた、Linuxの標準シェルですが、これをWindows 10の"Windows Subsystem for Linux"という仕組みの上で動作するUbuntu上で動作するbashとして動作させてしまおうというものです。なので正式には"Bash on Ubuntu on Windows"という名称になります。

このbash、Windowsのシステムを管理するためのものではなく、Web等の開発用途を想定して提供されたものです。なので本来的にはPowerShellとは関係ないのですが、当初は色々と誤解が飛び交ったように思います。曰く、MSはPowerShellを捨ててやっとbashを採用した。PowerShellとは何だったのか。等々…。

これらの誤解や疑問には、PowerShellの公式ブログで、bashという新たなシェルがWindowsに追加されたが、両者は並立するものだ、PowerShellはこれからも進化するよ!といった異例の公式見解が示されたりもしました。

Bash on Ubuntu on Windowsは、後述するPowerShell 5.1とともに、8月リリースのWindows 10 Anniversary Updateで正式に利用可能となりました。

PowerShell 5.1 の登場

今年7月には、PowerShell 5.1 / WMF (Windows Management Framework 5.1)のプレビュー版が登場しました。[リリースノート]

そもそもPowerShell 5.0はWindows Server 2016のためのシェルとして開発が進められていたはずですが、先にWindows 10に同梱されたものの、2016正式版までやや時間を要すこととなりました。その間にPowerShell 5.0にはいくつかの機能や改良が加えられ、結局、5.1というバージョンが登場するに至ったものと思われます。

PowerShell 5.1は、前述の下位OS用のプレビュー版の他、今年8月初めのWindows 10 Anniversary Updateという大型アップデート適用で使えるようになりました。そしてその後、今年10月に正式版が登場したWindows Server 2016にも(もちろん)同梱されました。

5.1ではローカルユーザーやグループを扱うコマンドレット等が(ようやく?)追加されたりもしています。が、一番大きな変更点は、Windows Server 2016に追加された新機能である、Nano Server用のPowerShellが、従来のPowerShellと分離した点でしょう。

従来の、.NET Frameworkで動くフル機能のPowerShellは、5.1からは"Desktop Edition"と呼ばれます。対して、コンテナに最適化させるため、フットプリントを最小にしたNano Server(や、Windows IoT等)で動作するコンパクトなサブセット、"Core Edition"が新たに登場しました。

Core Editionは、.NET Frameworkのコア部分を実装した、.NET Core上で動作します。ちなみに.NET CoreはOSS(オープンソースソフトウェア)となっています。

Core Editionはサブセット版というだけあって、今となっては若干レガシーにもなった一部のコマンドレットが使えないことを初め、いくつかの制限事項もありますが、概ね、Nano Serverの管理に必要十分な機能を保っているのではないかと個人的には思っています。

PowerShell オープンソース化

今年、PowerShell界をもっとも震撼させたニュース、それは間違いなく、今年8月に実施された、PowerShellのオープンソース化でしょう[GitHub]。周辺モジュールのOSS化など、これまでの流れからいくと、確かに本体OSS化の機運は高まっているように個人的にも感じていましたが、OSS化するとしてもCore Edition部分止まりだろうなーと思っていたら、まさかのDesktop Editionを含んだ全体だったので驚きました。

そしてOSS化の副産物(と個人的には感じる)である、PowerShell on Linux、PowerShell on Macが登場しました。これも一部の方、特にWindowsやMicrosoft製品を普段あまり使われない方に、割と大きなインパクトを与えていたように思います。

PowerShellがオープンソースになったこと、"PowerShell for every system!"になったことの意義についてはちょっと語りつくすには時間が足り無さそうですが、敢えて現実ベースの話を先にすると、一般ユーザー(PowerShellをシステム管理に用いている管理者)にとって、すぐに世界が変化するかというとそうではないんじゃないかという気がしています。

というのも、現在のところOSS版のPowerShellのバージョンは「6.0」とされているものの、まだα版の段階で、基本機能はほぼほぼ5.1と変わらないです。OSS版が改良されても、別に今Windowsで使っているPowerShellがすぐに強くなるわけではありません(現在のところ、サイドバイサイドでインストールする)。オープンソース、マルチプラットフォーム展開を始めたといっても、それは現在の所、PowerShell本体とコアモジュールに留まっていて、コマンド数もたかだか数百個程度でしょう(もうちょっとあるかな?)。PowerShellでOS、サーバー、アプリ、インフラを管理するには、専用のコマンドが山ほど必要になってきますが、それらは今まで通り、Windowsの製品にしか含まれないものです。そのような状況で、たとえばLinuxを管理するのには自分でコマンドを作るか、普通にLinuxのコマンドを呼ぶか…あれそれって別に普通のシェルスクリプトでいいんじゃ…とか。

今後は、OSS側での成果が、Windows / Windows Server上のPowerShellに反映され、両者は一本化される、はず、です、たぶん、が、それはまだアナウンスもなく、いつ、どのような形でもたらされるかは不明と云わざるを得ません。

もちろん、この状況はあくまで現時点の状況です。ゆくゆくはPowerShellで、WindowsもLinuxもMacも一貫したコマンド&スクリプトで管理できる日が来るかもしれませんね。現在のところは、PowerShellの謎挙動に遭遇したとき、ソースを合法的に眺めて思いを馳せることができるようになったのが大きいかと個人的には思います。もちろん腕に覚えのある方は、(ルールに従って)どしどしプルリクエストを投げて、PowerShellを自ら育てていただければな、と思います。

PowerShell 10周年

とまぁ、激動の1年が終わりかけた先日の11/14には、PowerShell 1.0が登場してちょうど10年ということで、PowerShell10周年イベントがあったりしました。思えば遠くへ来たものですね。

さてさて、PowerShellを取り巻く状況は刻一刻と変化し、去年と今年ではその傾向が顕著です。おそらく節目の年である今年の最後を飾ることになる、PowerShell Advent Calendar 2016を、どうぞよろしくお願い致します。

2015/10/17

はじめに

がりっち氏がWindows10 UWPに日本語解析のAPIが備わっていた件 | garicchi.com というエントリを上げていました。

実はWin10に限らず、Win8.1 / Server 2012R2以降であれば、Windows ランタイム(WinRT)のWindows.Globalization名前空間に含まれるJapanesePhoneticAnalyzerクラスを用いた形態素解析ができます。

形態素解析とは要するに文字列を単語(正確には形態素という、文字列の最小構成要素)ごとに分割し、それぞれの単語の品詞を判別する処理になります。(JapanesePhoneticAnalyzerクラスだと分割までで、品詞の情報は取得できない?ようですが…)

またJapanesePhoneticAnalyzerでは分割した単語の読み仮名を取得することができます。

WinRTならPowerShellからも使えるんじゃないかなーと思ってやったらできたので、紹介します。

WinRTのPowerShellからの利用法

WinRTについての説明は他サイト様に譲りますが、要はWindowsストアアプリやUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリを動作させる実行環境とAPI群です。

じゃあデスクトップアプリであるPowerShellは関係ないのかというとそうではなくて、例えばストアアプリのサイドローディングを行うAppxモジュールというものがあります。

つまりWinRTは従来のデスクトップアプリからの相互運用もできるようになっています。(すべてのコンポーネントではない)

このあたりの話は、荒井さんの記事が参考になるかと思います。:特集:デスクトップでもWinRT活用:開発者が知っておくべき、ライブラリとしてのWindowsランタイム (1/5) - @IT

PowerShellからWinRTを利用するには.NET Frameworkに含まれるクラスを利用するのと基本は同じです。

ただし注意点としては、クラス名を指定する時は、クラスの「アセンブリ修飾名」を指定する必要があります。

今回の例ではJapanesePhoneticAnalyzerクラスを使いますが、アセンブリ修飾名はWindows.Globalization.JapanesePhoneticAnalyzer, Windows.Globalization, Version=255.255.255.255, Culture=neutral, PublicKeyToken=null, ContentType=WindowsRuntime

となります。

このうち必須となるのは

Windows.Globalization.JapanesePhoneticAnalyzer:クラスの完全修飾名
Windows.Globalization:クラスの含まれる名前空間
ContentType=WindowsRuntime:WinRTのコンポーネントであること

の3つだけのようです。

つまり、PowerShellからは

[Windows.Globalization.JapanesePhoneticAnalyzer, Windows.Globalization, ContentType=WindowsRuntime]

とすればクラスを参照することができます。

ちなみに任意の型のアセンブリ修飾名を知るには、[型名].AssemblyQualifiedName のようにすればOKです。

なお、WinRTにはPowerShellからも利用価値の高いクラスが他にも色々あるようです。ぎたぱそ氏が認証系のクラスについて書かれていますので、参考にしてみてください。:PowerShell も Windows Store Apps 同様に Windows.Security.Credentials namespace を使って認証情報を管理できるようにしてみる - tech.guitarrapc.com

単語を分割する

早速、形態素解析をやってみましょう。具体的にはJapanesePhoneticAnalyzerのGetWordsメソッドを呼び出すだけです。

すべての基本になるので軽く関数としてラップしておきます。

function Get-JpWord
{
    param(
        [parameter(ValueFromPipeline=$true)]
        [ValidateLength(1,99)]
        [string[]]
        $Text,
        
        [switch]
        $MonoRuby
    )
    process
    {
        foreach($t in $Text)
        {
            [Windows.Globalization.JapanesePhoneticAnalyzer, Windows.Globalization, ContentType=WindowsRuntime]::GetWords($t, $MonoRuby)
        }
    }
}

GetWordsメソッドはスタティックメソッドなので、::演算子で呼び出します。戻り値はIReadOnlyList<JapanesePhoneme>というコレクションです。

GetWordsメソッドの第2引数にTrueを指定すると、漢字の含まれた単語をルビの振れる最小単位にまで分割する、Mono Rubyモードが有効になります。

なお、GetWordsメソッドはどうも文字数制限があるようです。だいたい100文字を超えると何も出力しない感じです。この制限値はリファレンスに書いてないようなので詳細不明ですが、一応関数では99文字までという制限を入れておきました。

例えば、Get-JpWord "最近急に寒くなってきました。" のようにすると結果は以下のように表示されます。

DisplayText          IsPhraseStart YomiText
-----------          ------------- --------
最近                          True さいきん
急に                          True きゅうに
寒くな                        True さむくな
って                         False って
き                            True き
ました                       False ました
。                            True 。

出力されるJapanesePhonemeオブジェクトは3つのプロパティを持ちます。

DisplayText 分割された単語
IsPhraseStart 単語が文節の開始であるかどうか
YomiText 単語の読み仮名

このように、入力した文章を単語単位に分割し、それぞれの単語の読み仮名を取得することができます。ただこれだけだと、「で、どうしろと」という感じなので、この出力結果を利用する、より実用的な関数を書いていきましょう。

長くなったので次回に続く。

2014/12/24

はじめに

この記事はPowerShell Advent Calendar 2014の24日目の記事です。

今回は、Windows 8から追加されたOSの機能である、「Windows 位置情報プラットフォーム」をPowerShellから呼び出して、位置情報(緯度、経度)を取得してみよう、という話になります。

Windows 位置情報プラットフォームとは

Windows 8から、「Windows 位置情報プラットフォーム」という機能が追加され、アプリケーションから現在位置情報(緯度、経度など)をAPIで取得できるようになっています。

Windows 位置情報プラットフォームでは、位置情報をGPSがあればGPSから、なければWi-Fiの位置情報あるいはIPアドレスなどから推定して取得します。すなわち、GPSがない場合でも位置情報を取得できる、いわば仮想GPSの機能がデフォルトで備わっているのがミソです。

(注:Windows 7にも「Windows センサー&ロケーションプラットフォーム」というのがありましたが、OSデフォルト機能としては仮想GPSはありませんでした。今は亡き、Geosense for Windowsというサードパーティー製アプリを追加すると仮想GPS使えたんですけどもね。あとWindows Phone?知らない子ですね…

PowerShellでWindows 位置情報プラットフォームを利用する

さて、Windows 位置情報プラットフォームをPowerShellで使うには、.NET4.0以上に含まれている、System.Device.Location名前空間配下に含まれるクラスの機能を用います。アセンブリ名としてはSystem.Deviceとなります。

以下のような関数Get-GeoCoordinateを定義します。

Add-Type -AssemblyName System.Device

function Get-GeoCoordinate
{
    param(
        [double]$Latitude,
        [double]$Longitude
    )

    if(0 -eq $Latitude -and 0 -eq $Longitude)
    {
        $watcher = New-Object System.Device.Location.GeoCoordinateWatcher
        $sourceId = "Location"
        $job = Register-ObjectEvent -InputObject $watcher -EventName PositionChanged -SourceIdentifier $sourceId
        $watcher.Start()
        $event = Wait-Event $sourceId
        $event.SourceEventArgs.Position.Location
        Remove-Event $sourceId
        Unregister-Event $sourceId
    }
    else
    {
        New-Object System.Device.Location.GeoCoordinate $Latitude,$Longitude
    }
}

関数実行前に、まずAdd-Type -AssemblyName System.Deviceを実行して必要なアセンブリをロードする必要があります。

関数本体ではまず、System.Device.Location.GeoCoordinateWatcherオブジェクトを生成します。このオブジェクトのStartメソッドを実行すると、Windows 位置情報プラットフォームにアクセスして、位置情報の変化を監視します。位置情報の変化を感知すると、PositionChangedイベントが発生し、取得した位置情報を、イベントハンドラの引数にGeoPositionChangedEventArgs<T>オブジェクトとして返します。

さて、PowerShellでは、.NETクラスのイベントを取得するには、Register-ObjectEventコマンドレットを用い、イベントを「購読」します。

イベントが発生するたびに何かの動作をする、というような場合では、Register-ObjectEvent -Action {処理内容}のようにして、イベントハンドラを記述するのが一般的です。が、今回は位置情報の変化の最初の一回(つまり、初期値の取得)さえPositionChangedイベントを捕まえればOKなので、-Actionは使用しません。

代わりにWait-Eventコマンドレットを用い、初回のイベント発生を待機するようにしています。Wait-Eventコマンドレットは、当該イベントを示すPSEventArgsオブジェクトを出力します。

PSEventArgsオブジェクトのSourceEventArgsプロパティには、当該イベントのイベントハンドラ引数の値(ここではGeoPositionChangedEventArgs<T>オブジェクト)が格納されているので、あとはそこから.Position.Locationと辿ることで、位置情報を格納したGeoCoordinateオブジェクトが取得できます。

(注:あとで知ったんですけど、GeoCoordinateWatcherクラスには、同期的に位置情報を取得するTryStartメソッドというのがあって、これを使えばイベント購読は実は不要でした…まぁいっか)

なお、関数のパラメータとしてLatitude(緯度)、Longitude(経度)を指定すると、現在位置ではなく、指定の位置を格納したGeoCoordinateオブジェクトを生成するようにしています。

Get-GeoCoordinate関数の使い方

事前にコントロール パネルの「位置情報の設定」で「Windows 位置情報プラットフォームを有効にする」にチェックを入れておきます。

あとはGet-GeoCoordinateをそのまま実行するだけです。

Latitude           : 34.799999
Longitude          : 135.350006
Altitude           : 0
HorizontalAccuracy : 32000
VerticalAccuracy   : NaN (非数値)
Speed              : NaN (非数値)
Course             : NaN (非数値)
IsUnknown          : False

このように現在位置が表示されるかと思います。といっても、緯度、経度が表示されたところでちゃんと取得できてるのかよく分からないので、以下のような簡単な関数(フィルタ)を定義しておきます。

filter Show-GoogleMap
{
    Start-Process "http://maps.google.com/maps?q=$($_.Latitude),$($_.Longitude)"
}

このフィルタを使うと、指定の緯度経度周辺の地図を、標準のWebブラウザで開いたGoogleマップ上に表示してくれます。使い方はこんな感じ。

Get-GeoCoordinate | Show-GoogleMap

現在位置が表示されましたでしょうか? 位置測定に用いたソースによってはkmオーダーでズレると思いますが、それでも何となく、自分がいる場所が表示されるのではないかと思います。

なお、先ほども書いたように、パラメータで任意の緯度、経度を指定することも可能です。この関数だけではあんまり意味を成しませんが…

Get-GeoCoordinate 35.681382 139.766084
まとめ

PowerShellでも「Windows 位置情報プラットフォーム」を使って現在位置が取れるよ、という話でした。あんまりPowerShellでSystem.Device.Locationとかを使っているサンプルを見かけないので、何かの参考になれば幸いです。あとPowerShellでのイベントの扱い方についても復習になるかと。

ところでこうやって取得した位置情報を使って、Web APIを呼び出して活用しよう、というようなネタを書くつもりだったんですが、長くなったんでまたの機会としましょう。ではでは。

2014/09/09

8/23わんくま横浜勉強会で、PowerShellコマンドの書き方というセッションをしたのですが、その際、株式会社Codeerさんが公開されているFriendlyというライブラリを使ったコマンドレットを動作させるデモを行いました。

準備の時間がなくて、突貫工事で作ったサンプルで恐縮ですが、公開することにします。(一応動かしてみたら動いた、レベルのものなのであしからず…)

コード
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;
using System.Management.Automation;
using Codeer.Friendly.Windows;
using Codeer.Friendly.Dynamic;
using System.Windows.Forms;

namespace Winscript
{
    [Cmdlet(VerbsCommon.Get, "FormControlText")]
    public class GetFormControlTextCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = false, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string[] ControlName { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Process Process { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            var _app = new WindowsAppFriend(this.Process);
            dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle);
            foreach (var c in form.Controls)
            {
                if (ControlName == null || ControlName.Contains((string)c.Name))
                {
                    WriteObject((string)c.Text);
                }
            }
        }
    }

    [Cmdlet(VerbsCommon.Set, "FormControlText")]
    public class SetFormControlTextCommand : Cmdlet
    {
        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 1)]
        public string ControlName { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = false, Position = 2)]
        public string Text { get; set; }

        [Parameter(Mandatory = true, ValueFromPipeline = true, Position = 0)]
        public Process Process { get; set; }

        protected override void ProcessRecord()
        {
            var _app = new WindowsAppFriend(this.Process);
            dynamic form = _app.Type<Control>().FromHandle(this.Process.MainWindowHandle);
            foreach (var c in form.Controls)
            {
                if (ControlName == (string)c.Name)
                {
                    c.Text = Text;
                }
            }
        }
    }
}
ビルド方法
  1. Windows 8.1 SDK をインストールする。
  2. Visual Studio 2010以降でC#のクラスライブラリを新規作成する。
  3. C:\Program Files (x86)\Reference Assemblies\Microsoft\WindowsPowerShell\3.0 にある.dllを参照設定する。
  4. 対象フレームワークを.NET 4.5、対象プラットフォームをx64にする。
  5. 上記のコードを貼り付ける。
  6. NuGetでFriendlyおよびFriendly.Windowsを追加する。
  7. ビルドする。
使用方法

上記をビルドして生成したDLLにはGet-FormControlTextと、Set-FormControlTextの2つのコマンドレットが含まれます。

# コマンドレットのインポート
Import-Module "dllのフルパス"

# 操作対象のプロセスオブジェクト取得
$p = Get-Process WindowsFormsApplication1 

# プロセスを指定して、すべてのコントロールのテキストを取得
Get-FormControlText -Process $p

# プロセスとコントロール名を指定して、テキストを取得
Get-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1

# 位置パラメータなので以下のようにも書ける
Get-FormControlText $p textBox1

# パイプラインからプロセスオブジェクトを入力することもできる
$p | Get-FormControlText -ControlName textBox1 

# プロセスとコントロール名を指定して、テキストを変更する
Set-FormControlText -Process $p -ControlName textBox1 -Text Wankuma
Set-FormControlText $p textBox1 Yokohama
$p | Set-FormControlText -ControlName textBox1 -Text 6
制限事項

フォーム直下に配置されたコントロールしか取得できない(と思います)。

Windows Formアプリケーションにしか対応していない(と思います)。

x64アプリしか操作できない(と思います。x86用はアセンブリを分ける必要がある??)。(←9/9追記)

コントロール名指定はCase sensitiveでワイルドカード不可です。(この辺ただの手抜きですが)

今後の方針?

上のコードをみてもらえればわかると思いますが、ちょっと触ってみたら一応動くものができるくらい、Friendlyは分かりやすいです。皆さんもぜひ使ってみてください。

本来は、テキストじゃなくてコントロールそのものをGetしたりSetしたりInvoke(クリックとか)したりできるようにしたかったんですが、Controlはシリアル化できないオブジェクトなので、Friendlyで実物を持ってきてコマンドレットに出力する、というのは無理でした。何らかのプロキシオブジェクトみたいなのでラップしたりすれば良いかと思います。

それにしてもPowerShellとFriendlyの組み合わせはものすごい可能性を秘めている予感がします。

システム管理方面では…

セッションでもやりましたが、PowerShellコマンドレットベースのアプリケーションを作ると、GUIとCUIのいいところどりが出来る、とはいうものの、コマンドインターフェースがなくGUIオンリーのアプリケーションはまだまだたくさんあるのが現実かと思います。そういうアプリケーションも、PowerShellデフォルトの機能のみではつらいですが、上記のようにFriendlyを併用すれば、GUI操作の自動化が容易になると思います。

開発方面では…

C#でFriendlyを使ったGUIのテストコードを書く以外に、上記のようなFriendlyの機能をラップしたコマンドレットを用意することで、PowerShellスクリプトでもテストコードを書くことができるようになると思います。その際、Pester等のPowerShell用テストフレームワークを併用すると、より一貫したテストコードが記述できるようになるんじゃないかと思います。

いずれは(いつ?)、Friendlyの機能をラップしたコマンドレット群をきちんと設計、実装して、モジュールとして公開したいですね!

2013/05/18

今年2/23発売となりました拙著「【改訂新版】Windows PowerShell ポケットリファレンス」の電子書籍版(PDF版、DRMフリー)が、5/17からGihyo Digital Publishingサイトで発売開始となりました。

諸般の事情で発売日まで情報公開できなくて申し訳ありませんでした。

私も手持ちのNexus 7に入れてKindleアプリで読んでみましたが、手元に置いていい感じに使えますね。当然、検索ができるので紙書籍にはない利点も。

DRMフリーで、個人としてのご利用であれば複数端末へコピーしていただけますので、どうぞPCやタブレットなどに入れて皆様の快適なPowerShellライフの一助としていただければ本望でございます。

2013/03/24

Windows 8[業務アプリ]開発読本:書籍案内|技術評論社

9784774156057

というわけで、私が企画協力させていただいた「Windows 8 [業務アプリ] 開発読本」という書籍が技術評論社さんから3/27に発売となります。この書籍は書名通り、Windows 8対応の業務アプリを作成するためのノウハウを、私のお友達を中心とした皆さんによって書かれたものとなります。執筆者を募集したときは特に意識はしてなかったのですが、結果的にMicrosoft MVPやMicrosoftエバンジェリストをはじめとしたエキスパートで占められるという何とも豪華な執筆陣となっています。

Windows 8の開発書籍ということで、Windowsストアアプリ開発法をメインに据えた構成となっているのはもちろんのこと、従来のデスクトップ(Windows Forms / WPF)アプリとの違いや移行方法、ストアアプリとデスクトップアプリをどう作り分けていくか(既存のデスクトップアプリのうちどこをストアアプリ化するのか)、といった視点も盛り込んでいます。

というのもストアアプリはタッチデバイスを想定した新しいプラットフォームではあるものの、業務システムすべてをストアアプリに置き換えるというのは得策とは言えないケースが多々あるためです。逆に業務システムのうちストアアプリ化すると効率が上がる部分も多く存在しており、本書では業務システムをグレードアップさせるためのストアアプリ開発を、概念、UI設計から具体的なコードにいたるまで詳しく取り上げています。

私もWindows 8業務アプリを開発する上で、DevOps(開発と運用の協調)を実現するためにPowerShellモジュールをアプリに組み込み、運用サイドでもアプリ操作の自動化を容易に行う方法についての記事を書かせていただいてます。

本書はストアアプリを中心にクラウド等の周辺テクノロジーを包括した、Windows 8時代の業務システム開発とはどのようなものであるか、どのように行っていけばいいのか、という指針を提示できているのではないかと思っています。Windows開発に携わる方はぜひお手にとって見ていただきたい一冊です。どうぞよろしくお願いします。

3/29追記。
本書のサポートページが公開になりました。特集1と私の記事のサンプルファイルがダウンロード可能になっていますので、ご活用ください。

2012/07/06

今月21日に、マイクロソフト品川オフィスで開催される第2回Windows Server 2012 Community DayでPowerShell 3.0のセッションをすることになりました。

Windows Server 2012 Community Day | Technet

セッション 4: Windows Server 2012 管理のための Windows PowerShell 3.0 新機能解説
牟田口 大介 (テクニカル ライター)

■ 内容: Windows Server 2012 には Windows PowerShell 3.0 および Windows Management Framework 3.0 (WMF 3.0) が搭載され、管理機能がより強化されます。本セッションでは PowerShell 3.0/WMF 3.0 で改善された点と新機能をご紹介し、PowerShell ベースの GUI 管理アプリなど Windows Server の新しい管理の手法について解説します。

16:45 - 17:45

このイベントはWindows Server, IT pro系のMicrosoft MVPが集結し、Windows Server 2012の魅力を語るというものです。すでに6/30に第1回が行われ、今回はその続編となります。

私は上記アジェンダのようにPowerShell 3.0を中心としたWMF3.0によるWindows Server 2012管理の手法をご紹介しようと思っています。

お近くの方はぜひお立ち寄りくださいませ。第1回は早い時期に満員御礼となったそうで、第2回も早期に募集締め切りになる可能性もありそうです。ご登録はお早めにお願いします。

ところで私はMVPの受賞月が7月で、今回も無事、再受賞することができました。これで9年の連続受賞となりずいぶん長く続いたものです。今期1年間もどうぞよろしくお願いします。

2007/11/08

.NETアプリをFramework付属のコンパイラを使ってコンパイルし、できあがった実行ファイルexeを実行するというものです。これがまた便利でw *.vbか*.csか*.jsファイルを開いた状態で、コメント行に記述したコンパイラに渡すオプション(VB.NETなら'/r:System.Windows.Forms.Dll /t:winexeという行の/r:System.Windows.Forms.Dll /t:winexeという部分)を選択すると、そのコンパイラオプションをつけてコンパイルします。デフォルトだと/t:exeが渡されます。

'*.cs, *.vb, *.jsをコンパイルして実行
Set regEX = New RegExp
regEx.Global = True
regEX.IgnoreCase = True
Set Fs = CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
Set WshShell = CreateObject("WScript.Shell")

sCompilerDir = "C:\windows\Microsoft.NET\Framework\v2.0.50727\"
sDefaultArguments = "/t:exe" 'winexe
sSourcePath = Document.FullName
sEXEPath = Fs.BuildPath(Fs.GetParentFolderName(sSourcePath),Fs.GetBaseName(sSourcePath) & ".exe") 
sExt = LCase(Fs.GetExtensionName(sSourcePath))

Document.Save sSourcePath 'ソース保存

Select Case sExt
	Case "vb" : sCompilerPath = sCompilerDir & "vbc.exe"
	Case "cs" : sCompilerPath = sCompilerDir & "csc.exe"
	Case "js" : sCompilerPath = sCompilerDir & "jsc.exe"
	Case Else : sCompilerPath = ""
End Select

Set sel = Document.Selection

If sel.IsEmpty Then
	sArguments = sDefaultArguments
Else
	regEx.Pattern = "\s?(\/[^\:]+\:\S+)\s?"
	If regEx.Test(sel.Text) Then
		For Each oMatch In regEx.Execute(sel.Text)
			sArguments = sArguments & oMatch.SubMatches(0) & " "
		Next
	Else
		sArguments = ""
	End If
End If

If sCompilerPath="" Then
	Alert sExt & "ファイルに対応するコンパイラがありません。"
Else
	sCommandLine = "cmd.exe /k " & sCompilerPath & " " & _
	"/out:" & """" & sEXEPath & """" & " " & sArguments & " " & _
	"""" & sSourcePath & """"
	WshShell.Run sCommandLine ,,True 'コンパイル実行
	If Fs.FileExists(sEXEPath) Then
		WshShell.Run sEXEPath,,True 'コンパイルしたファイルを実行
	Else
		Alert "コンパイルに失敗したようです。"
	End If
End If
元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2007/11/08/106978.aspx

2007/06/24

Vistaにおいてコンソールアプリケーションを立ち上げるとconime.exeという日本語入力アプリが立ち上がります。conime.exeが実行中はAlt+全角/半角キーで日本語入力が可能になります。が、DigitalPersona Password Manager(DPAgnt.exe)(Microsoft製指紋認証ハードウェアに付属のソフト)が起動していると、Alt+全角/半角キーを入力してもIMEが立ち上がりません。おそらくDPAgnt.exeのバグでしょう。

対処法としては、一度コンソールアプリを立ち上げconime.exeが実行されると、常駐するので、二度目にコンソールアプリを立ち上げるとAlt+全角/半角キーを入力するとIMEが立ち上がるようになります。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2007/06/24/81884.aspx


Copyright © 2005-2018 Daisuke Mutaguchi All rights reserved
mailto: mutaguchi at roy.hi-ho.ne.jp
プライバシーポリシー

Books

Twitter