2015/12/10

この記事はPowerShell Advent Calendar 2015の10日目の記事です。

はじめに

前編では、Invoke-WebRequestコマンドレットやWebClientクラスを用いて、WebページからHTMLの文字列を取得するところまで説明しました。

後編の今回は、取得したHTML文字列をパースして、オブジェクトとして利用可能しやすい形に変換する話です。

IEエンジンによるHTMLパース(DOM)

前編でも触れましたが、Invoke-WebRequestコマンドレットは、レスポンス文字列を取得すると同時に、HTMLをパース(構文解析)し、結果をオブジェクトとして構造化してくれます。

実はこのHTMLパース、内部的にInternet Explorerのエンジンを呼び出すことで実現されています。(ちなみに後で説明しますが、-UseBasicParsingパラメータを付与すると、IEエンジンを使わずごく基本的なパースのみ行うようになります。)

Invoke-WebRequestコマンドレットの出力であるHtmlWebResponseObjectオブジェクトのParsedHtmlプロパティを経由することで、HTMLパースされたオブジェクトを、DOM(Document Object Model)に従ってアクセスすることができます。(-UseBasicParsing指定時は不可)

HTMLのtable要素を切り出し、table各行を1オブジェクト、各セルをプロパティとして、オブジェクト配列化する例を以下に示します。

$response = Invoke-WebRequest http://winscript.jp/powershell/301

# DOMを利用して1つ目のtable要素を取得
$table = $response.ParsedHtml.getElementsByTagName("table")| select -First 1

# tableの1行目をプロパティ名として取得
$properties = ($table.rows| select -first 1).Cells| foreach {$_.innerText}

# tableの残りの行に対して、各セルのinnerTextをプロパティ値としてオブジェクト化
$objs = foreach($row in ($table.rows| select -skip 1))
{
    $row.Cells| foreach -Begin {
        $index = 0
        $obj = [ordered]@{}
    } -Process {
        $obj += @{$properties[$index] = $_.innerText}
        $index++
    } -End {
        [pscustomobject]$obj
    }
}

$objs| Format-List

ところで前編で軽く触れましたが、IEエンジンによるパースは、Invoke-WebRequestコマンドレットを用いずとも、以下のようにして直接IEのCOMインターフェースを呼ぶことで利用可能です。

$client = New-Object System.Net.WebClient
$content = $client.DownloadString("http://winscript.jp/powershell/301")
$parsedHtml = New-Object -com "HTMLFILE"
$parsedHtml.IHTMLDocument2_write($content)
$parsedHtml.Close()
$table = $parsedHtml.getElementsByTagName("table")| select -First 1
# 以下同様…

というより実際に試すと直接IEエンジンを呼び出す方がずっと速いです。理由はよく分かりませんが…。

HTML要素コレクションの取得

Invoke-WebRequestコマンドレットを用いると、DOMとは別に、すべての要素(AllElementsプロパティ)、input要素(InputFieldsプロパティ)、img要素(Imagesプロパティ)、a要素(Linksプロパティ)、script要素(Scriptsプロパティ)を含むコレクションを、HtmlWebResponseObjectオブジェクトの対応するプロパティからそれぞれ取得することができます。

コレクションに含まれる各要素は、innerText(タグ内の文字列)、innerHTML(タグ内のHTML)、tagName(タグ名)等のプロパティが共通して利用可能です。また要素の属性(たとえばa要素ならリンク先を示すhref属性)に、プロパティとしてアクセス可能となります。

以下はBingでWeb検索した結果から、ページタイトルとURLを抜き出す例です。HtmlWebResponseObjectのLinksプロパティでa要素の配列を取ってきて、次に検索結果では無いっぽいURLを、hrefプロパティの値を見てwhereで除外し、最後にinnerTextプロパティとhrefプロパティをTitle、Urlとリネームしてから値を出力しています。泥臭い処理が混じってますが、この泥臭さがスクレイピングなのかもなぁと思います。

$searchWord = "PowerShell 配列"
$notSearchResults = "/","#","javascript:","http://go.microsoft.com/"
$response = Invoke-WebRequest "https://www.bing.com/search?q=$([Uri]::EscapeDataString($searchWord))"
$response.Links | 
    where {
        $href = $_.href
        !($notSearchResults|? {$href.StartsWith($_)})
    }|
    select @{L = "Title"; E = "innerText"}, @{L = "Url"; E = "href"}|
    Format-List

form要素についてもほぼ同様にFormsプロパティからコレクションを取得できますが、このコレクションにはFormObjectという特別なオブジェクトが含まれます。FormObjectのFieldsプロパティは、Key=パラメータ名、Value=パラメータ値が格納された連想配列となっています。この連想配列は書き替えが可能なので、前編で説明した、ログオンを要するWebサイト等で用いると便利かと思います。

以下に、HtmlWebResponseObjectオブジェクトのプロパティをまとめます。(×印は使用不可を表す)

プロパティ名 説明 -UseBasicParsing
指定時
AllElements 本文に含まれるすべての要素のコレクション ×
Forms フォーム(form要素)のコレクション ×
InputFields 入力フィールド(input要素)のコレクション  
Images 画像(img要素)のコレクション  
Links リンク(a要素)のコレクション  
Scripts スクリプト(script要素)のコレクション ×

このように、一部のプロパティについては-UseBasicParsing指定時でも利用可能です。サーバーOS等でIEエンジンが利用できない場合には-UseBasicParsingパラメータが必須となりますが、その場合でも最低限のパースはしてくれるわけです。

HTML要素のコレクションを利用する方法は、DOMを使う方法に比べると自由度は少ないですが、「ページから画像のリストを取得したい」等の処理は簡便に行うことができます。

その他のHTMLパース手法

最後に、Invoke-WebRequestコマンドレットとIEエンジン以外のHTMLパース手法について軽くご紹介します。

XMLとしてパース(XHTML限定)

XHTMLというのはごくかいつまんで言うと、HTMLをXMLで定義したものです。XHTMLはXMLなので、XMLとしてパースして用いることができます。

PowerShellは[xml](XmlDocument)型アクセラレータと型アダプタにより、XML要素への簡便なアクセス手段を提供しています。以下のように、[xml]型アクセラレータを用い、取得したXHTML文字列を[xml]型に変換すると、以降は型アダプタの機能により、ドット演算子で要素を辿っていくことができます。

$client = New-Object System.Net.WebClient
$content = $client.DownloadString("XHTMLなページ")
$xml = [xml]$content
$xml.html.body.h2.'#text'

ただ世の中のWebページ上のXHTML文書が、すべてXML文書としてvalidなものであるかと言われると、現実はかなり厳しいです。そしてXML文書としてエラーがある場合は、型アクセラレータの処理は容赦なく失敗します。なのでこの手法は「使えたら強いが、大抵使えない」レベルのものと思って頂ければいいと思います。

SgmlReader

標準機能にこだわらなければ、.NET製のHTMLパーサーを使うのが楽かと思います。SgmlReaderは通常のHTML文書(当然、XHTMLに限らず)をXmlDocumentへとパースしてくれるので、PowerShellと相性が良いのではないかと思います。

以下にサンプルを載せておきます。

Add-Type -Path .\SgmlReaderDll.dll

function Get-HTMLDocument
{
    param([uri]$Uri)
    $sgmlReader = New-Object Sgml.SgmlReader -Property @{
        Href = $Uri.AbsoluteUri
        CaseFolding = [Sgml.CaseFolding]::ToLower
    }
    $doc = New-Object System.Xml.XmlDocument
    $doc.Load($sgmlReader)
    $doc
}

$xml = Get-HTMLDocument http://winscript.jp/
$xml.html.body.div|? id -eq outer|% div|? id -eq main|% {$_.p.innerText}

ぎたぱそ氏も以前SgmlReaderを取り上げておられるので、そちらも参考にして下さい。:Html Agility Pack と SgmlReader を使って PowerShell でスクレイピングしてみる - tech.guitarrapc.cóm

正規表現等で自前パース

これまではHTMLパースを既存のコマンドやライブラリを用いて行ってきましたが、対象のHTMLが非常にシンプルである場合とか、HTMLですらなく単なるテキストの場合だとか、対象ページは分量が多いものの必要箇所はごくわずかで、かつピンポイントに取得可能な場合等々は、むしろ自前でパースするコードを書いた方が手っ取り早いこともあります。

例えばYAMAHAのルーターで、管理Webのシステム情報レポートからグローバルIPアドレスを取ってくる、みたいなことは、

$response = Invoke-WebRequest http://サーバー/detail/status.html -UseBasicParsing -Credential $credential
if($response.Content -match "PP IP Address Local\: (.+)\,")
{
    $ipAddress = $Matches[1]
}

のようなコードで十分かと思います。

ConvertFrom-String

これはまだ検証してないんですが、PowerShell5.0の新機能、Auto-Generated Example-Driven Parsingの実装であるConvertFrom-Stringコマンドレットを用いて、HTMLパースができないかな、と考えています。

ConvertFrom-Stringについては過去記事参照:[v5] Auto-Generated Example-Driven Parsing について - PowerShell Scripting Weblog

まとめ

前後編に渡って、PowerShellでのWebスクレイピングの手法について解説しました。スクレイピングはWeb APIが用意されていない場合の苦肉の策ですが、背に腹は代えられない場合というのは稀によくあると思います。そういうときに今回の記事が参考になれば幸いです。

次回あたりには、Web APIがちゃんと用意されてる場合に、PowerShellから利用する話をやろうかと思います。

2013/01/20

PowerShellでFizzBuzz問題をいかに短く書くかというのは、人類にとっての太古からの命題であり、色々な方がチャレンジしています。

以下は国内でのチャレンジを、 日時、チャレンジャー名、コード文字数(半角スペース消去後)、初出アドレス で時系列にまとめたものです。

2007/11/06 牟田口 89文字 リンク
2007/11/07 囚人さん 86文字 リンク
2007/11/07 よこけんさん 75文字 リンク
2007/11/13 よこけんさん 57文字 リンク
2013/01/19 guitarrapcさん 57文字 リンク

私の現在の最短コードはこれです。PowerShell 3.0でしか動きませんが、51文字です。

1..100|%{($t="fizz"*!($_%3)+"buzz"*!($_%5))+$_[$t]}

PowerShell 2.0でも動くバージョンは以下。54文字です。

1..100|%{($t="fizz"*!($_%3)+"buzz"*!($_%5))+@($_)[$t]}

きっと解説は不要だと思いますが蛇足を承知で少しばかり。

$_%3 は、剰余を求める演算子%を使っているので、$_が3の倍数のとき0を返します。

!(0)とすると、0はboolに型変換され$falseとなり、その論理否定なので!(0)は$trueになります。

”fizz”*$true とすると右辺はintに型変換されるので”fizz”*1が評価され、”fizz”を返します。PowerShellでは「文字列*整数値」で文字列を整数値回繰り返した文字列を返すことを利用しています。

同じことを”buzz”に対しても行い、結果を+で連結します。このとき、”fizz”か”buzz”か”fizzbuzz”か””(空の文字列)のいずれかを返します。得られた値を@とします。

($t=@) とすると$tに@の値を入れつつ、@の値を返します。

@($_)[$t] とすると、$tが””(空の文字列)の場合は型変換され@($_)[0]が評価されます。よって、$tが””のときは@($_)の0番目の要素、$_、すなわち元の数値が取り出されます。最後に””と元の数値を+で連結したものが出力されるので、結果として数値のみが出力されます。

$tが”fizz”か”buzz”か”fizzbuzz”の場合は@($_)[$t]は配列の範囲外なので$nullを返します。よって$t+$null、すなわち$tの文字列がそのまま出力されます。

PowerShell 3.0だと非配列変数でも[]演算子を使用することができます。よって$_[0]は$_と等しく、$_[文字列]は$nullです。これによって@($_)のように配列化する必要がなく、3文字短縮できたわけです。

2012/01/16

SqlWorld :: SQLWorld★大阪#8

というわけで、1/28(土)開催のSQLWorld★大阪#8で「PowerShellを使ったSQL Serverの管理」 というタイトルでセッションをさせていただきます。

SQL Serverはあまり得意分野ではないのですが、PowerShellによる管理の話であれば参考になる話をさせていただけるかと思った次第です。当日はSQL Serverを常日頃管理されている方々と意見・情報交換をさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

私のセッションを含めてSQL Serverにまつわる5セッションが予定されています。ご興味がある方はぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。会場は西中島のクロノスさんのところです。詳しくは冒頭のリンク先をご覧ください。

2011/12/02

はじめに

このたび、技術系アドベントカレンダーイベントの1つとして、PowerShell Advent Calendar 2011を企画しました。この記事はその2日目の記事となります。アドベントカレンダーについてはリンク先を参照してください。

今日のテーマはPowerShellのバックグラウンドジョブ機能の使い方についてのまとめです。

バックグラウンドジョブとは

バックグラウンドジョブ機能はその名の通り、ジョブ(具体的にはスクリプト)をバックグラウンドで非同期に実行するものです。PowerShell v2で追加された機能の一つです。インタラクティブシェルでStart-Jobコマンドレットを使用してバックグラウンドジョブ(以下、単に「ジョブ」と表記)を実行すると、新しくpowershell.exeのプロセスが起動しそのままシェルに制御が戻りユーザーは後続の処理を行うことができます。もちろんスクリプトからジョブを実行することも可能です。時間のかかる処理をバックグラウンドで走らせたり、数多くの処理を並列で実行したりするのに重宝します。

起動されたジョブは操作中のpowershell.exeとは別のジョブ用のプロセスで実行され、処理が完了すると呼び出し元でその結果をReceive-Jobコマンドレットを使って受け取ることができます。ジョブは並列して何個も同時に実行できます。なおPowerShellのジョブは1ジョブ=1プロセスです。スレッドではないので注意。

PowerShellのジョブシステムはリモート処理インフラストラクチャの上に構築されているので、たとえローカルPCでもジョブ実行するにはローカルPCをリモート用構成にしておく必要があります。詳しくはabout_Remote_Requirementsを参照のこと。

ジョブはローカルでもリモートでも走らせることができます。以下に具体的な方法を述べていきます。

ローカルコンピュータでのジョブ実行

ローカルコンピュータ上に新しくジョブを作成して開始するにはStart-Jobコマンドレットを用います。

Start-Job {ジョブとして実行したいコマンド、スクリプト}

とするとジョブを実行します。

$job=Start-Job {..}

のようにするとJobオブジェクト(System.Management.Automation.PSRemotingJob)を変数に格納してあとで利用できます。変数で受けない場合はJobオブジェクトの内容が表示されます。

存在するジョブを取得するにはGet-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job

で現在実行中のジョブ一覧を表示します。以下に出力例を示します。

Id              Name            State      HasMoreData     Location             Command
--              ----            -----      -----------     --------             -------
1               Job1            Completed  True            localhost            "test"
3               Job3            Running    True            localhost            start-sleep -sec 120;"...

以下の表は各項目の意味です。

Id ジョブID番号
Name ジョブの名前
State

Running=実行中のジョブ

Stopped=停止したジョブ

Complete=完了したジョブ

Failed=エラーが出たジョブ

HasMoreData 返却されたデータがあるかどうか
Location ジョブが実行されているコンピュータ名
Command ジョブで実行されているコマンド、スクリプト

ジョブの終了を待つにはWait-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Wait-Job

とすると実行中のジョブすべてが完了するまで待ちます。-timeoutパラメータを使うと最大待ち時間(秒)を指定できます。

Get-Job|Wait-Job -any

とすると実行中のいずれかのジョブが完了するまで待ちます。正確には「対象のジョブが一つ以上完了するまで待つ」という効果なので、完了済みのジョブが1つ以上ある場合に新たにジョブを追加した場合などは想定の動作になりません。あらかじめRemove-Jobで完了済みのジョブを削除するか、Where-ObjectコマンドレットでRunningのみ対象にするようフィルタをかけるかしてください。

ジョブを中止するにはStop-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job -id 1|Stop-Job

とするとジョブIDが1のジョブを中止します。

$jobにJobオブジェクトが格納されている場合は

$job|Stop-Job

でもOKです。

ジョブを削除するにはRemove-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|where {$_.state -eq "Completed" -or $_.state -eq "Stopped"}|Remove-Job

とすると完了済みと中止したジョブを削除します。実行中のジョブは削除できませんが-forceパラメータを使って強制削除することは可能です。

ジョブの実行結果データを取得するにはReceive-Jobコマンドレットを用います。

Get-Job|Receive-Job

とすると完了済みのジョブのうち、結果を返却しているもの(HasMoreDataがTrueのジョブ)があればその結果を表示します。-keepパラメータをつければ結果データを保持しますが付けてない場合は参照後破棄します。

*-Job系のコマンドレットの多くはJobオブジェクトを返却するので、パイプラインでどんどん繋げていけます。

Get-Job|Wait-Job -timeout 10|Receive-Job

のように。

ジョブの基本的な使い方に関して詳しくはabout_jobsを参照してください。

イベントサブスクライブ

PowerShell 2.0では.NET Frameworkのオブジェクトのイベントをサブスクライブすることができます。すなわちイベントハンドラを記述することができます。このイベントサブスクライブ機能もジョブ機能を元に構築されています。

たとえばTimerオブジェクトのElapsedイベントをサブスクライブし、タイマーの実行間隔(ここでは1秒)ごとにtest.txtファイルに乱数を追記していくサンプルは次のようになります。

$timer=new-object System.Timers.Timer
$timer.Interval=1000
Register-ObjectEvent -EventName Elapsed -SourceIdentifier test -Action {get-random|add-content c:\users\daisuke\test.txt} -InputObject $timer
$timer.Enabled=$true

Register-ObjectEventの結果、新しくジョブが生成しそのJobオブジェクトが返却されます。このジョブは-EventNameパラメータで指定したイベントが発生するたび、-Actionパラメータで指定したスクリプトブロックを実行します。

なお、イベントサブスクライブを解除するには

Unregister-Event test

のように-SourceIdentifierパラメータで指定した値を指定してUnregister-Eventコマンドレットを実行することで可能です。サブスクライブを解除してもジョブ自体は削除されない(StateがStoppedになるだけ)ので、必要であればRemove-Jobで削除します。

なお.NETオブジェクトの他にPowerShellスクリプトのカスタムイベント(Register-EngineEvent)、WMIオブジェクトのイベント(Register-WmiEvent)をサブスクライブすることもできます。これらのコマンドレットも同様にイベント発生時の処理をジョブとして登録します。詳しくは各コマンドレットのヘルプを参照してください。

リモートコンピュータでのジョブ実行

最初に述べたとおりPowerShellのジョブ機能はリモートインフラストラクチャの上に構築されています。よってローカルのみならずリモートコンピュータに対してジョブを実行することができます。もちろんリモートコンピュータにもリモート構成されていることが条件です。

基本はInvoke-Commandコマンドレットを用い、

$job=Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

となります。これで{}内の処理がリモートコンピュータ上のPowerShellインスタンスで実行されます。-asJobパラメータをつけることでジョブとして(ローカルPCから見て)非同期に処理できますが、-asJobパラメータを省略すると同期的に実行されます。この場合ジョブは作成されず、リモートでの処理が終了するまでローカル側は待機することになります。

リモートコンピュータに接続するための資格情報を別途入力する必要がある場合は-credentialパラメータを使用します。

Invoke-Command -ComputerName リモートコンピュータ名 {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob -credential ユーザー名

とするとパスワードを入力するダイアログが表示されます。なお、スクリプトで動かすときなどあらかじめ入力したパスワードを指定したい場合の方法は以前書きました

同じコマンドを複数のリモートPCで同時実行することも可能で、その場合は-computerNameパラメータにリモートコンピュータ名の配列を指定します(「,」区切り)。この場合ローカルPCで見えるジョブとしては1つですが、そのジョブにリモートコンピュータの数だけ子ジョブ(ChildJobs)が作成されています。

このように子ジョブが複数ある場合にReceive-Jobするときは

$job|Receive-Job -location リモートコンピュータ名

あるいは

$job.ChildJobs

として表示される子ジョブの名前(Name)を調べ、

Receive-Job -name 子ジョブの名前

とすることでリモートコンピュータごとに結果を取得できます。

すべての結果をまとめて取得するなら

Receive-Job $job

とします。

$job|Receive-Jobはなぜか駄目なようです。

固定セッションを用いたリモーティング

同じリモートPCに対して何度もコマンドを実行させたい場合、毎回リモートコンピュータ名を指定してセッションを張るのは非効率的なので、リモートセッションを確立したあとその固定セッションを何度も使用する方法が用意されています。新しく固定セッションを確立するにはNew-PSSessionコマンドレットを用い、

$session=New-PSSession リモートコンピュータ名

とすると固定セッションが確立され、$session変数にそのセッションオブジェクトが格納されます。あとは

Invoke-Command $session {リモートで実行するコマンド、スクリプト} -asjob

とすればそのたびにそのセッションを用いてリモートでコマンドを実行できるようになります。

ここまでの説明はリモートコンピュータでしてきましたが、ローカルコンピュータに対して固定セッションを張ることも可能です。

さらに、Enter-PSSessionコマンドレットを用いると作成したセッションに入ってリモートコンピュータ上のPowerShellを対話実行することも可能です。

Enter-PSSession $session

とすると、プロンプトが

PS カレントディレクトリ>

から

[リモートコンピュータ名]: PS カレントディレクトリ> 

に変化し、以降リモートのPowerShellをローカルPCから対話実行できます。

なおこの状態から抜けるにはexitもしくはExit-PSSessionと入力して実行します。

ジョブ実行できるそのほかのコマンドレット

これまで述べたコマンドレット以外にも、いくつかのコマンドレットはジョブ実行(ローカルorリモート)することができます。ジョブ実行するには-asJobパラメータを使用します。以下にv2の段階で-asJobパラメータが定義されているそのほかのコマンドレットを示します。

これらのコマンドレットはコマンドレット自体にジョブ実行機能がついているので、単独で実行するだけならStart-JobやInvoke-Commandを用いる必要がありません。v2ではWMIを扱うコマンドレットにのみ-asJobパラメータが存在するようです(ここに挙げたコマンドレットはすべてWMIの機能を呼び出すもの)。なお、-asJobパラメータが使用できるコマンドレットの一覧を取得するのに、fsugiyamaさんの1日目の記事の問15のスクリプトを使用させていただきました。

おわりに

PowerShell Advent Calendar 2011二日目は、PowerShellのバックグラウンドジョブ機能概要についてまとめてみました。実はバックグランドジョブ機能のTipsを書こうと思ってその前ふりとして書き始めたのですが、これだけでかなりの量になってしまったので概要だけ一記事としてまとめることにしました。おそらくPSアドベントカレンダーに私はあと何回か登場することになりそうですので、Tips編はその際に書こうと思います。

さて、明日三日目は@jsakamotoさんのご登場ですね。よろしくお願いします!

そして参加者はまだまだ募集中ですよ!→PowerShell Advent Calendar 2011

2011/10/09

WindowsサイドバーガジェットはWindows Vistaの登場で追加されたプログラムで、デスクトップ上にガジェットと呼ばれるミニプログラムを貼り付けることができます。ガジェットはHTML/CSS/J(ava)Script (+VBScript)で記述することができます。Windows7の登場で名称が「Windowsデスクトップガジェット」と変更され、一部仕様に変更が加えられたものの現役でした。

ところが先月末(2011/09)頃に、サードパーティー製のものを含む多数の追加ガジェットのWindows Live Galleryでの公開が中止されました。現在は登録されたガジェットのリストは表示されるものの、ダウンロードができない状態です。まもなくサイト自体が閉鎖されるものと思われます。

現時点でWindows7で「ガジェット」を実行し、そこに表示される「オンラインで追加のガジェットを取得」リンクをクリックするとデスクトップ ガジェット - Microsoft Windowsというページに飛ばされますが、ここでは(おそらく人気上位であった)ガジェットが数点のみダウンロードできるという状態です。

この措置に対するMicrosoftの公式コメントがこちらになります。Looking for gadgets? - Downloads - Microsoft Windows

この記事を要約すると

  • MicrosoftはWindows Live Galleryを閉鎖し、今後、新しいガジェットの開発およびアップロードをサポートしない
  • ただし人気ガジェットはまだダウンロードできるようにしておくよ
  • ガジェット製作者はよりリッチなプラットフォームであるMetro Style Appにシフトしてね
  • でもまだガジェットに興味がある人もいるだろうから一応開発ドキュメントは残しておくよ
  • まだガジェットを公開したいのならCodePlexでどうぞ

という感じになるかと思います。まだPreview版しか出てない次期Windowsでしか動かないMetro Style Appを移行先に指定するのはかなり無理があるように思いますが、どうもMicrosoftはMetroと技術的にかぶるガジェットをさっさと亡きものにしたいようです。Windows 8のDeveloper Previewのクラシックデスクトップでは一応、今のところはデスクトップガジェットの機能は削除されていませんが、これからの開発の過程で削除されてしまう可能性も十分にありそうです。

ちなみにデスクトップガジェットはたとえIE9をインストールしてもHTML5コンテンツは動きませんし、JavaScriptもチャクラではなくJScript5.8で動きます。この時点でガジェットの未来はなさそうだと踏んでいましたが、思ったより早い終焉を迎えるようです。

Metro Style AppはたしかにWinRT上でJavaScript+HTML5+CSS3で開発することができ、ガジェットで培われたノウハウの一部は流用できる可能性はあるものの、ガジェットから単純に移行というのは難しそうです。利用者にとってもガジェットをデスクトップに常時複数表示させておき、作業中にもほかの情報を参照できるメリットが失われるのは厳しいものがあるように思います(Metro Style Appは一つだけクラシックデスクトップと同時に表示できる)。

告知も私の知るかぎりなかったですし、気づけばいきなり消滅していたという感じで、お困りの方も今後増えそうです(たしかにガジェットはいまいち流行ってなかったですがいきなりはヒドイ)。とりあえず現在追加インストールしているガジェットは、今後入手困難になる可能性が高いので、各自でバックアップを取っておくことをお勧めします。

.gadgetファイルそのものを保存していなくても、C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Windows Sidebar\Gadgetsの各サブフォルダがガジェット一つ一つに対応しているので、これをバックアップしておけば問題ありません。再インストールも単にこれらのファイルを同じ場所に書き戻すだけでOKです。

また、.gadgetファイルは単に関連ファイルをzipで固めたものなので、ご自分でこれらの各サブフォルダをzipにして.gadgetにリネームすればインストーラーを復元することもできます。

これらの措置は自己責任にてお願いします。各ガジェット作者のアナウンスがある場合はそちらに従ってください。

それにしても、WindowsデスクトップにHTML+スクリプトで記述されたミニプログラムを配置するといえば古くは「アクティブデスクトップ」まで遡ることになると思いますが、「ガジェット」で安定するかと思ったら二世代しか持ちませんでしたね。競合するGoogleデスクトップも終了しましたし、あまりウケがよろしくないんでしょうか。Metro Style Appはその点どうなんでしょうね?

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/10/09/204219.aspx

2011/05/14

PowerShellでJSONをパースする方法はいくつかあると思います。

1. System.Runtime.Serialization.Json.JsonReaderWriterFactoryクラスを用いる

これは.NET Framework 3.5から追加されたクラスで、JSONデータを読み書きするXMLReader/Writerを提供します。すなわちJSONをパースしてXMLに変換することが可能です。XMLはPowerShellから簡単に扱えるので有用な方法と言えるでしょう。

PowerShellからの使用方法についてはこちらの記事が参考になります。:JSON Serialization/Deserialization in PowerShell | Keith Hill's Blog

2. 頑張って自力でパースする

.NET 3.5が入っていない環境では1の方法が使えないので別の方法を考える必要があります。JSONはテキストデータなので、頑張って自力でパースすることもできなくはないでしょう。

PowerShellでやっている例はこちらになります。:Convert between PowerShell and JSON - Home("Source Code"のリンクをたどっていくとソースがあります)

3. ScriptControl+JScriptを用いる

もう少し簡便な方法はないかなと思っていろいろ考えたんですが、PowerShellではScriptControlを用いるとJScriptやVBScriptを実行することができます。そしてJSONはJavaScriptで扱うことを想定しているだけあって、JScriptではeval()するだけでJSONをオブジェクトに変換することができます。そこで実際にやってみたのですが…

$json=@'
{"items":
    [
        {
            "code":25,
            "name":"ハードディスク2TB",
            "price":7000
        },
        {
            "code":56,
            "name":"メモリ8GB",
            "price":8000
        },
        {
            "code":137,
            "name":"23インチ液晶ディスプレイ",
            "price":35000
        }
    ]
}
'@
$sc=new-object -com ScriptControl
$sc.Language = "JScript"
$jscode="function parseJSON(json){return eval('(' +json + ')').toString();}"
$sc.AddCode($jscode)
$jsobj=$sc.CodeObject.parseJSON($json)
$jsobj

このコードを実行すると、確かにJSONがパースされ、結果が$jsobjという変数に格納されるのですが、残念ながらPowerShellはJScriptのオブジェクト(JScriptTypeInfo)を展開することができないようなのです。

JScriptTypeInfoオブジェクトはVBScriptでは扱うことができるので、まずJScriptでパースし、その結果オブジェクトをVBScriptに渡し、オブジェクトはScripting.Dictionaryオブジェクトに変換し、配列はVBScriptの配列(Safe Array)に変換し、その結果オブジェクトをPowerShellに戻すという方法を考えました。PowerShellはCOMオブジェクトやSafe Arrayは扱えるので理屈の上ではうまくいきます。(参考までに、ASPでこの方法を実際にコードにしてる方がいらっしゃいました。:ASPでJSONパーサーを書いてみた - ゆるゆると

しかしこの方法は当初の目的「簡便にJSONをパースする」からだいぶ離れてしまっています。

4. JScript.NETを用いる

そうだ、JScriptが駄目ならJScript.NETを使えばいいじゃない。JScript.NETなら結果は.NETのオブジェクトで返るしPowerShellでも読めるだろう、ということで、この前このブログで紹介したAdd-Typeコマンドレットを使ってJScript.NETのコードを実行する方法を利用してやってみました。

($jsonの値は先ほどのスクリプトのを使います)

$code=@"
static function parseJSON(json)
{
    return eval('(' +json + ')');
}
"@
$JSONUtil = (Add-Type -Language JScript -MemberDefinition $code -Name "JSONUtil" -PassThru)[1]
$jsobj = $JSONUtil::parseJSON($json) # $jsobjはJSObject

$jsobj["items"][1]["name"] #「メモリ8GB」と表示される

$items=$jsobj["items"] # $itemsはJSArrayObject
$items|%{$items[$_]["name"]} # 名前が列挙される

という感じでうまくいきました。

ここで$jsobjに格納されているのはMicrosoft.JScript.JSObjectクラスのオブジェクトです。このクラスのItemプロパティ(引数付きプロパティ、PowerShellではParameterizedPropertyと呼ばれる)にプロパティ名を引数として渡すと、その値が返却されます。PowerShellでは引数付きの既定プロパティはC#のインデクサと同様の構文で値が参照できるので、$jsobj[“items”]のように[]でアクセス可能です。これは$jsobj.Item(“items”)としても同様の結果が得られます(プロパティなのに()で値を取るところはVB風味?)。

配列の列挙ですが、JSObjectと、オブジェクトが配列の場合はその派生クラスであるJSArrayObjectクラスになりますが、これらはIEnumerableインターフェースを実装しているのでforeachで列挙が可能です。しかしここで列挙されるのはあくまでkey、すなわちプロパティ名の方です。値が列挙されるわけではありません。ご存じのとおり、JavaScriptの配列、連想配列、オブジェクトは同じものであり、配列の場合はkeyが配列インデックスの数字に相当します。そのため配列をforeachしても「0,1,2…」という数字が列挙されるだけです。

なので配列を列挙する場合は、この例のように、一旦JSArrayObjectを変数で受けて、それに対してforeachし、列挙した要素(インデックスの数字)をJSArrayObject.Itemプロパティの引数に与えることで、JS配列要素の値を取得してやる必要があると思います。

1のXMLを経由する方法のように、JSONをドット演算子でプロパティアクセスできないのは残念ですが、.NET 3.5が入っていない(がPowerShell 2.0は入ってる)環境では、それほど手間をかけずJSONを扱えるという点でそれなりに有用ではないでしょうか。

JSObjectもXMLみたいに型アダプタがあればプロパティアクセスできるようになるでしょうし、Add-Memberコマンドレットを駆使してJSObjectに動的にプロパティを追加する関数を書くのもいいかもしれません。が、そこまでいくとやはりお手軽からはかけ離れてしまうので今回はこの辺にとどめておきましょう。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/05/14/199047.aspx

2010/02/13

PowerShellは.NET Framework 2.0を利用するWindowsのシステム管理用シェルである。シェルであるためコンソールで対話的にコマンドを実行することができるのはもちろん、スクリプトファイル(*.ps1)を記述しバッチ的に実行することも可能である。ここではPowerShellスクリプトで(コンソールでも使用は可能だが)用いることのできる基礎文法を紹介する。なお、PowerShellでは文法上、大文字小文字を区別しない。

※(★2.0)の注釈があるものはPowerShell 2.0で新たに追加された要素である。

1.基礎

表示

コンソールに文字列を表示。

"Hello world" 

コマンドレット(後述)を使用した場合。

Write-Host "Hello world" 

コマンドレット

PowerShellはコマンドレットと呼ばれる100種類以上のコマンドライン・ツール群を単独で、あるいはパイプライン(後述)で連結して使用するのが基本となる。コマンドレットは原則verb-nounという命名規則にしたがっている。パラメータをつける場合は「-パラメータ名」あるいは「-パラメータ名 パラメータ値」を指定する。

# コマンドレットの一覧表示
Get-Command 

# サービスの一覧を表示
Get-Service 

# アプリケーション イベントログの最新15個のエントリを表示
Get-EventLog -logName Application -newest 15

パイプライン

コマンドレットが値を返却する場合、.NET Frameworkのオブジェクトが含まれる配列であることが多い。このオブジェクト配列がパイプラインを渡って後続のコマンドレットに入力される。

# プロセスのリスト(System.Diagnostics.Processオブジェクトの配列)を取得し、
# Where-Objectコマンドレットでハンドル数(handlesプロパティ)の値が500より大きいものだけを取り出し
# Select-Objectコマンドレットで最初の5つのオブジェクトだけを切りだして表示
Get-Process | Where-Object {$_.handles -gt 500} | Select-Object -first 5

# C:\Windows 配下のフォルダ、ファイルの一覧(System.IO.DirectoryInfo,System.IO.FileInfoオブジェクトの配列)を取得し、
# ForEach-Objectコマンドレットで配列を列挙しすべてのオブジェクトのFullNameプロパティ(フルパス)の値を表示
Get-ChildItem C:\Windows | ForEach-Object {$_.FullName} 

# 通常の配列に関してもパイプラインを使用可能。
# 重複を取り除き、ソートをかける
@(3,5,10,1,2,1,1,1,2,6,4,4)|Sort-Object|Get-Unique 

コメント

# コメント 

マルチラインコメント(★2.0)

<#
複数行に渡る
コメントです
#> 

変数の宣言

PowerShellは変数の宣言をしなくても変数を使用可能。以下のようにするとどのような型でも代入可能な変数が作られる。

$a = 1
$a = $b = $c = 1 #複数変数に一度に同じ値を代入する場合
$items = Get-ChildItem # コマンドレットの戻り値を格納 

変数の型を指定することは可能。以下のようにするとint型のみ格納可能な変数が作られる。

[int]$a = 1 

あるいは、コマンドレットを用いて$aという変数を宣言することもできる。この場合変数の型は指定できない。

New-Variable -name a 

変数のスコープ

# どのスコープからも読み書き可能
$global:a = 1

# 現在のスコープからのみ読み書き可能
$private:a = 1 

# 現在のスクリプトからのみ読み書き可能
$script:a = 1 

文法チェック

以下を実行することで未定義の変数を参照するとエラーが出るようになる。

Set-PSDebug -strict 

スクリプトの実行

デフォルトの実行ポリシーではスクリプトの実行は不許可であるため、以下のようにポリシーを変更しておく。(RemoteSignedはローカルにあるスクリプトファイルは無条件で実行可、リモートにあるスクリプトファイルは署名付きのもののみ実行可)

Set-ExecutionPolicy RemoteSigned 

スクリプト/コマンドを実行するにはコマンドラインで次のようにする。

コマンドを実行する

powershell -command {Get-ChildItem C:\} 

ファイルを実行する

powershell  .\script.ps1 

ドットソース(スクリプトの内容をグローバルスコープに読み込む)

powershell  . .\script.ps1 

ファイルを実行する(★2.0)

powershell -file script.ps1 

PowerShellスクリプトから別のスクリプトを実行する場合(関数のインクルードにも用いられる)

.\script.ps1
. .\script.ps1 # ドットソース 

デバッガの起動

Set-PSDebug -trace 2 

ステップ実行

Set-PSDebug -step 

2.数値

数値の表現

PowerShellにおける数値は.NET Frameworkの数値を表す構造体のインスタンスである。数値には整数、浮動小数点があり、変数に代入した段階で適切な型が設定される。

# int型(System.Int32型)
$int = 1

# System.Double型
$double = 1.001

四則演算

# 足し算
$i = 1 + 1

# 引き算
$i = 1 - 1 

# 掛け算
$i = 1 * 1 

# 割り算
$i = 1 / 1 

余りと商の求め方

# 割り算の余り
$mod = 7 % 3 

# 上記の場合の商
$div = (7 - 7 % 3) / 3 

べき乗

# 2の8乗
$i = [math]::Pow(2,8) 

インクリメントとデクリメント

# インクリメント
$i++ 

# デクリメント
$i-- 

3.文字列

PowerShellにおける文字列は.NET Frameworkの System.Stringクラスのインスタンスである。

文字列の表現

文字列はシングルクォーテーションかダブルクォーテーションで囲む。ダブルクォーテーションの中では`t(タブ)や`r`n(改行)などの特殊文字が使用でき、変数が展開される。

$str1 = 'abc'
$str2 = "def"
$str3 = "a`tbc`r`n" 

#変数展開(結果は abc def)
$str4 = "$str1 def" 

文字列操作

各種文字列操作

# 結合
$join1 = "aaa" + "bbb"
$join2 = [string]::Join(",",@("aaa","bbb","ccc") )

# 結合(★2.0)
$join2 = @("aaa","bbb","ccc") -join "," 

# 分割
$record1 = "aaa,bbb,ccc".Split(",") 

# 分割(★2.0)
$record2 = "aaa,bbb,ccc" -split "," 

# 長さ
$length = "abcdef".Length 

# 切り出し
$substr = "abcd".SubString(0,2) # ab

正規表現検索

# hitした場合はTrue,しなかった場合はFalse
$result = "abcd" -match "cd"

# 最初に見つかった文字列。添え字の1,2…には()内のサブ式にhitした文字列が格納。
$matches[0] 

正規表現置換

$result = "abc" -replace "c","d" 

4.配列

PowerShellにおける配列は.NET Frameworkの System.Arrayクラスのインスタンスである。

配列の参照と代入

# 5個の要素を持つ配列宣言と代入
$arr1 = @(1,3,5,7,9)
 
# 以下のようにも記述できる
$arr1 = 1,3,5,7,9 

# 型指定する場合
[int[]]$arr1 = @(1,3,5,7,9) 

# 1〜10までの要素を持つ配列宣言と代入
$arr2 = @(1..10) 

# 1要素の配列宣言と代入
$arr3 = @(1) 
$arr3 = ,1 

# 空の配列宣言と代入
$arr4 = @() 

配列の要素の参照と代入

# 4番目の要素を参照 
$ret = $arr2[3] 

# 6〜9番目の要素を含んだ配列を参照
$ret = $arr2[5..8] 

# 1〜4番目と8番目の要素を含んだ配列を参照
$ret = $arr2[0..3+7] 

# 配列の末尾の要素を取り出す
$ret = $arr2[-1] 

# 5番目の要素に値を代入
$arr2[4] = 11 

# 3より小さな要素を含んだ配列を返す
$ret = $arr2 -lt 3 

配列の個数

$arr1_num = $arr1.Length 

配列の操作

$arr1 = @(1,3,5,7,9) 
$arr2 = @(1..10) 

# 配列の末尾に要素を加える(push)
$arr2 += 50 

# 配列を結合し新しい配列を作成
$arr5 = $arr1 + $arr2 

# 配列にある要素が含まれるかどうか(ここではTrue)
$arr2 -contains 2 

5.ハッシュ

PowerShellにおけるハッシュは.NET Frameworkの System.Collections.Hashtableクラスのインスタンスである。

ハッシュ変数の宣言と代入

# 3つの要素を持つハッシュの宣言と代入
$hash1 = @{a=1;b=2;c=3}
 
# 空のハッシュの宣言と代入
$hash2 = @{} 

ハッシュの要素の参照と代入

# 要素の参照
$hash1.a 
$hash1["a"] 

#要素の代入
$hash1.b = 5
$hash1["b"] = 5 

ハッシュの操作

# ハッシュに要素を追加
$hash1.d = 4 
$hash1.Add("e",5)
 
# ハッシュの要素の削除
$hash1.Remove("a") 

# ハッシュのキーの取得
$keys = $hash1.Keys 

# ハッシュの値の取得
$values = $hash1.Values 

# ハッシュの要素を列挙
foreach ($key in $hash1.Keys)
{
    $key + ":" + $hash1[$key]
} 

# キーの存在確認
$hash1.Contains("b") 

6.制御文

if文

if (条件) {

}

if 〜 else文

if (条件) {

}
else{

}

if 〜 elsif 文

if (条件) {

}
elseif (条件) { 

} 

while/do文

while (条件) {

}

do {

} while (条件)

for文

for ($i = 0; $i -lt 5; $i++) {

} 

foreach文

foreach ($item in $items) {

} 

switch文

case を書かないのが特徴的。またスクリプトブロックを条件文に記述できる。

switch ($i) {
    1 {"1";break}
    2 {"2";break}
    {$_ -lt 5} {"5より小さい";break}
    default {"default句";break}
}
# ここで$iに配列を指定すると配列要素すべてに対してswitch文が実行される。 

比較演算子

比較演算子の一覧。PowerShellではPerlの文字列比較演算子のような記述をおこなうが、Perlとは異なり文字列も数値も同じ書式である。

$num1 -eq $num2 # $num1は$num2と等しい
$num1 -ne $num2 # $num1は$num2は等しくない
$num1 -lt $num2 # $num1は$num2より小さい
$num1 -gt $num2 # $num1は$num2より大きい
$num1 -le $num2 # $num1は$num2以下
$num1 -ge $num2 # $num1は$num2以上 

論理演算子

# 論理否定
$ret = -not $true
$ret = !$true

# 論理積
$ret = $true -and $false 

# 論理和
$ret = $true -or $false 

# 排他的論理和
$ret = $true -xor $false 

ビット演算子

# ビット単位の否定
$ret = -bnot 0x14F4

# ビット単位の積
$ret = 0x14F4 -band 0xFF00 

# 上記結果を16進数で表示する場合
$ret = (0x14F4 -band 0xFF00).ToString("X") 

# ビット単位の和
$ret = 0x14F4 -bor 0xFF00 

# ビット単位の排他的論理和
$ret = 0x14F4 -bxor 0xFF00 

7.サブルーチン

PowerShellのサブルーチンには関数とフィルタがある。関数とフィルタは呼び出し行の前で宣言する必要がある。 filter構文もfunction構文と並んで独自関数を記述するものだが、filter構文はパイプラインに渡されたオブジェクトをフィルタするのに用いる。 functionとの違いは、パイプラインに渡した配列を一度に処理するか(function)個別に処理するか(filter)

# 関数宣言の基本
function Get-Test {
    return "test"
}
# 注:returnを付けなくても関数内で出力された値はすべて呼び出し元に返却される。返却したくない場合は出力値をを[void]にキャストするか|Out-Nullに渡す。

# 引数を指定する場合
function Get-Test {
    param($param1,$param2)
    return $param1 + $param2
}
 
# 引数を指定する場合の簡易的な記述法
function Get-Test($param1,$param2) {
    return $param1 + $param2
} 

# 引数の型を指定する場合
function Get-Test {
    param([string]$param1,[string]$param2)
    return $param1 + $param2
} 

# 関数の呼び出し方(,区切りではなくスペース区切りであることに注意)
Get-Test "引数1" "引数2"

# 引数の順序はパラメータ名(引数名)を指定すると自由に指定可能
Get-Test -param2 "引数2" -param1 "引数1" 

# フィルタ宣言の基本
filter Get-Odd {
    if($_ % 2 -eq 1){
        return $_ 
    }else{
        return
    }
} 

# フィルタの使用
@(1..10) | Get-Odd

8.テキストファイル入出力

コマンドレットで可能。エンコーディングは日本語環境のデフォルトではShift-JIS。コマンドレット出力のテキストファイルへの書き出しに関してはリダイレクトも可能。この場合エンコーディングはUnicode。

$str1 = "testテスト"
Set-Content test.txt $str1 # 書き込み
Add-Content test.txt "追記" # 追記
$str2 = Get-Content test.txt # 読み込み

Set-Content test.txt $str1 -encoding UTF8 # UTF-8で書き込み

# リダイレクト
Get-Process > test.txt # 書き込み
Get-Process >> test.txt # 追記
Get-Process | Out-File test.txt -encoding UTF8 # エンコーディングを指定する場合

9.例外

PowerShellで例外が発生すると、デフォルトではエラーメッセージを表示し次の行を実行する(シェル変数$ErrorActionPreferenceの設定により挙動の変更可能)。VBでいうとOn Error Resume Nextに近い。エラーが発生すると$Errorにエラー情報の配列が格納され、$?にFalseが格納される。エラーをトラップするには次の構文を使用する。VBでいうとOn Error Goto lineに近い。

# すべてのエラーをトラップ
trap {

}

# エラーの型名を指定してトラップ
trap [System.Management.Automation.CommandNotFoundException] {

} 

# エラーを発生させる
throw "エラー"
throw New-Object NullReferenceException 

構造化例外処理(★2.0)

# 基本
try{

}
catch{

}
finally{

} 

# エラーの型を指定してcatch
try{

}
catch [System.Net.WebException],[System.IO.IOException]{

}

10.知っておいたほうがよい文法

行継続文字

1行にすると長いコードを複数行に書くには行継続文字`を用いる。VBの_。

$items = Get-ChildItem a*,b*,c*,d*,e* `
-force -recurce 

ただし以下のような場合は`を使用しなくてもよい

$items =
    Get-ChildItem a*,b*,c*,d*,e* -force –recurse
    
Get-Process | 
    Where-Object {$_.handles -gt 500} |
    Select-Object -first 5 

ステートメント分割

ステートメントを分割するには改行コードもしくは;を使用する。VBの:。JavaScriptと同様、文末に;はつけてもつけなくてもよい。

$i = 1; $j = 5; $k = $i + $j 

ヒア文字列

複数行の文字列を記述する方法。

$str = @"
aaaaaa
bbbbb
cccc
ddd
ee
"@ 

.NET Frameworkクラスの利用

.NET Frameworkに含まれているクラスのプロパティやメソッドを使用できる。基本的に完全修飾名を指定しなければいけないが、"System."は省略可能。また、intなど型エイリアスがいくつか定義されている。

# スタティックメンバの使用
[System.Math]::Pow(2,8) 

# インスタンスの生成とメソッドの実行
$arrayList = New-Object System.Collections.ArrayList
$arrayList.Add("a") 

# コンストラクタがある場合。複数ある場合は配列として指定
$message = New-Object System.Net.Mail.Message from@example.com,to@example.com

# COMオブジェクトの生成
$wshShell = New-Object -com WScript.Shell 

# デフォルトで読み込まれていないアセンブリを読み込む
[void] [System.Reflection.Assembly]::LoadWithPartialName("System.Windows.Forms")
[System.Windows.Forms.MessageBox]::Show("hello!") 

# クラスにどんなメンバがあるかの確認
# インスタンスメンバ
Get-ChildItem | Get-Member 

# スタティックメンバ
[math] | Get-Member -static 

キャスト

-asを使った場合はキャスト失敗時もエラーにならずNullが格納される。

$dt = [System.DateTime]"2010/02/13"
$dt = "2010/02/13" -as [System.DateTime] 

ユーザー定義オブジェクト

PowerShellにはクラスを定義する構文はないが、空のオブジェクト(PSObject)を生成し、任意のプロパティ(ノートプロパティ)を付加することができる。

$obj = New-Object PSObject
$property = New-Object System.Management.Automation.PSNoteProperty "Name","名前"
$obj.PSObject.Members.Add($property) 

シェル変数

あらかじめ定義されている変数。シェル変数には自動変数(変更不可能)とユーザー定義変数(変更すると挙動を変更することができる)がある。自動変数の例を挙げる。

$_ :現在パイプラインにわたっているオブジェクト
$args :関数やスクリプトに与えられたパラメータの配列
$pshome :PowerShellがインストールされているフォルダのフルパス
$MyInvocation :スクリプトの実行情報。$myInvocation.ScriptNameでスクリプトのフルパス取得(★2.0)。$myInvocation.MyCommand.Path(1.0の場合)
$true :true。
$false :false。
$null :null。

 

サブ式

$()内には複数行のコードが記述できる。

$arr = $(1;2;1+4)

式モードとコマンドモード

PowerShellの構文解析は式モードとコマンドモードがある。式モードは通常のモード。コマンドモードは引用符がなくても文字列を文字列として扱う。コマンドレットのパラメータなどはコマンドモードで扱われる。ただしコマンドモードになるところでも()もしくは$()もしくは@()をつけるとその中身は式モードとして解釈、実行される。

$i = 1 + 1 # 式モード
Write-Host aaa # コマンドモード(表示:aaa)
Write-Host aaa bbb # コマンドモード(表示:aaa bbb)
Write-Host 1+1 # コマンドモード(表示:1+1)
Write-Host (1+1) # 式モード(表示:2)
$itemCount = @(Get-ChildItem).Length # 式モード

実行演算子とスクリプトブロック

&演算子を用いるとスクリプトブロック{}の内容を実行できる。この場合、スクリプトブロック内のコードは別スコープになる。

$script = {$i = 1+6; Write-Host $i}
&$script
& 'C:\Program Files\Internet Explorer\iexplore.exe' # パスにスペースの含まれるファイルを実行したりするのにも使える

フォーマット演算子

-f演算子を使うと、.NET Frameworkのカスタム書式が使用可能。

"{0:#,##0}Bytes" -f 38731362 # 表示:38,731,362Bytes

バイト数の簡易表記

$i = 1KB # 1024が代入される
$i = 1MB # 1048576が代入される
$i = 1GB # 1073741824が代入される

そのほかの基礎文法最速マスターへのリンク

プログラミング基礎文法最速マスターまとめ - ネットサービス研究室
http://d.hatena.ne.jp/seikenn/20100203/programmingMaster

PowerShellの詳しい機能解説についてはこちらの記事を参照してください。
PowerShell的システム管理入門 ―― PowerShell 2.0で始める、これからのWindowsシステム管理術 ―― ─ @IT
進化したPowerShell 2.0 ─ @IT

文法や機能について詳しく学びたい方には書籍もあります
Windows PowerShellポケットリファレンス
PowerShellによるWindowsサーバ管理術

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2010/02/13/186034.aspx

2009/10/28

PowerShell 2.0のXP/Vista/2003/2008用の正式版が10/26にリリースされました。

Description of the Windows Management Framework on Windows XP, Windows Server 2003, Windows Vista, and Windows Server 2008
http://support.microsoft.com/kb/968929/en-us

結局、日本語版のインストーラーがどこにあるのか分かりにくいので直リンクをどうぞ。

2008 x86
2008 x64
2003 x86
2003 x64
Vista x86
Vista x64
XP

パッケージに関して、くわしくはこちらの記事を。

Windows PowerShell Blog : Windows Management Framework is here!
http://blogs.msdn.com/powershell/archive/2009/10/27/windows-management-framework-is-here.aspx

Shigeya Tanabe's blog : XP, Vista, Windows Server 2003, 2008 向けの Windows Powershell 2.0 が公開されました
http://blogs.technet.com/stanabe/archive/2009/10/28/powershell-for-xp-vista-ws03-ws08-released.aspx

さて、PowerShell 2.0は1.0と同居できないため、1.0がインストールされている環境だとインストーラーではねられます。まずは1.0をアンインストールしてください。2008では機能の削除、2003などではプログラムの追加と削除から、「更新プログラム」チェックをつけて「kb926140」を削除してください。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2009/10/28/182502.aspx

2009/10/15

進化したPowerShell 2.0 − @IT
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/winsv2008r2/03powershell/03powershell_01.html

というわけで、@ITでPowerShell 2.0の記事を書かせていただきました。Windows Server 2008 R2の特集連載記事枠(※)の一つをいただいて、PS2の概説をしています。


Windows Server 2008 R2の真価 − @IT
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/winsv2008r2/index/index.html

Windows 7使用者も対象としてますので、もしよかったらご覧くださいませ。

なお、本日(2009/10/15)の@ITトップページの一番上に本記事のリンクがあります^^

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2009/10/15/182144.aspx

2008/11/25

PowerShell from Japan!! - ここが日本のPowerShell情報発信基地
http://powershell.hiros-dot.net/

というHIROさんという方が運営されているサイトに参加させていただきました。PowerShellに関する記事投稿サイトです。

PowerShellの日本語情報がぞくぞくと集まっているようで期待のサイトです。

わたしのはじめての投稿はこれです

わたしの記事一覧はこちらです。

私は今後もわんくまの方でメインに記事を書いていきますが、PSネタに関してはこちらにも何か寄稿ができればしようと思っていますし、基本、わんくまに投稿したPS記事のリンクは張っていこうと思っています(逆の場合もあり)。また、私がわんくまに投稿した記事の更新情報はサイドバーに表示させていただいてますし、from Japanに投稿した記事もこのブログのサイドバーに表示させる予定なので、うまいことリンクができればいいなと思っています。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2008/11/25/162085.aspx

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