2017/12/01

この記事はPowerShell Advent Calendar 2017の1日目です。

毎年恒例のPowerShell Advent Calendar、今年も始まりました。ここ数年は私がトップバッターを務めさせていただいて、1年間のPowerShell界隈の出来事をさくっとまとめてみています。→2016年2015年

昨年2016年はPowerShell 10周年の年であり、PowerShell 5.1、Windows Server 2016、Nano ServerとPowerShell Core Editionが各々正式版としてリリースされ、さらにはPowerShellがオープンソース化、マルチプラットフォーム展開を始めるという大きな変革があった年でした。

今年2017年は昨年ほど大きな変化はないとはいえ、昨年のOSS化からのマルチプラットフォーム展開を着実に進行させた年だと言えると思います。

以下、いくつかトピックを紹介します。

WMF 5.1インストーラーの登場

PowerShell 5.1を含むWMF (Windows Management Framework) 5.1は、Windows2016に同梱され、昨年8月にリリースされたWindows 10 Anniversary Updateにも同梱されました。今年1月に公開されたWMF5.1のインストーラーは、下位OS(Windows 7/8.1/Server 2008 R2/2012/2012 R2)のためのものです。

なお、Win10/2016に同梱のPester(テストフレームワーク)やPSReadline(コンソール入力支援)についてはWMF5.1には含まれていないので、別途PowerShellGetでインストールするのがお勧めです。

Azure Cloud ShellでのPowerShell サポート

Webブラウザ上で動作するAzureの管理用シェルである、Azure Cloud ShellではまずBashがサポートされていましたが、今年9月にPowerShellもサポート(まだプレビューですが)されました。

自動的に認証された状態で最新のAzure PowerShellのコマンドが使え、AzureのリソースにAzure:ドライブを介してアクセスすることが可能です。

注意点があって、このPowerShell版Azure Cloud Shell、どうも現バージョンでは(Nano Serverではなく)Windows Server Coreのコンテナ上で動作しているらしく、Bashに比べ起動が若干遅いのと、実体はPowerShell CoreではなくWindows PowerShell 5.1であることはちょっと念頭においておいたほうがいいかもしれません。

これ、PowerShell CoreではまだAzure PowerShellの全機能がサポートされてないからだと思うんですが、今後に期待ですね。

PowerShell for Visual Studio Code 正式版リリース

先だってオープンソース化された、マルチプラットフォーム対応のコードエディタであるVisual Studio CodeでPowerShellスクリプトの開発を行うためのExtension、PowerShell for Visual Studio Codeの正式版(1.0)が5月に公開されました。なお、現時点での最新バージョンは1.5.1となっています。

当初は、PowerShellに付属の標準スクリプト開発環境、PowerShell ISEの方が多機能だったようにも思いますが、今はもう完全にISEの機能を追い越したんじゃないかと思います。シンタックスハイライト、インテリセンス、デバッグ、コンソールといった基本機能はもちろん、Gitによるバージョン管理もVSCode自体でサポートされていることに加え、静的解析機能を提供するPowerShell Script Analyzer、テストフレームワークのPester、プロジェクト管理機能を提供するPlasterなどが統合されており、本格的な開発環境となっています。

また当然ではありますが、マルチプラットフォーム対応なので、WindowsではWindows PowerShell 、LinuxやMacではPowerShell Coreの開発が各々可能です。

公式ブログでのアナウンスによれば、今後ISEがなくなることはありませんが、ISEに新機能が追加されることはなくなり、PowerShell for VSCodeの開発に注力されることになります。ISEはとにかく標準添付である(GUI有効ならサーバーOSでも動く!)という強みがあり、シンプルなスクリプト記述であればそこそこ便利に使えるので、これからもシチュエーションに応じて使い分けて行けば良いのかなと思います。

PowerShell Core RCのリリース

昨年OSS化したPowerShell Core 6はα版として開発が続いていましたが、今年5月にはβ版となり、先月(11月)、ついにRC(Release Candidate)となりました。6.0.0のGAリリースは来年1月になるそうです。

OSS化直後からRCに至るまでの変更点は多岐に渡り、とても一言で説明できるものではないですが、ポイントとしては以下の3点に集約されるんじゃないかと思います。

  1. PowerShellが長年抱えていた問題点の洗い出しと修正

    PowerShellがOSS化した当初は、ほとんどがWindows PowerShell 5.1のコードそのままであったと言ってよいかと思います。10年以上増改築が繰り返されたコードが突如、全世界に公開されたわけです。コミュニティの力でバグや変な仕様といった問題点が洗い出され、どんどん修正されていきました。
    また、不足していると思われる機能はどんどん追加されました。既存コマンドレットのパラメータが増えるというパターンが多かったように思います。

    特筆すべきは、破壊的変更であっても妥当性があれば躊躇せずに取り入れていったことかと思います。これは英断ではありますが、一方でWindows PowerShell 5.1とPowerShell Coreでは細かいところで非互換性が色々出ていますので、移行の際には注意を要します。

  2. マルチプラットフォーム対応

    前述の通り、OSS化した当初のPowerShell 6.0は、ほぼWindows PowerShell 5.1なので、Windowsでしか動作しない部分が多々ありました。それをLinuxやMac環境でも動作するように多くの修正が加えられました。

    ところで、PowerShell 6.0は当初、条件付きコンパイルにより、Windows用に.NET Framework(Full CLR)をターゲットにして、Desktop Edition相当のPowerShellをビルドすることが可能でした。

    しかしβ版になったタイミングで、OSS版PowerShell 6.0は、「PowerShell Core 6.0」すなわち、「.NET Core上で動作するPowerShell Core」であることが明確にされました。よってFull CLRターゲットのビルドはできなくなり、β6ではついにFull CLR対応のコードはすべて削除され、Core CLR対応のコードのみとなりました。

  3. Windows PowerShell用コマンドレットの呼び出し

    PowerShell Core 6.0にはいくつかのコマンドレットが同梱されていますが、Windows PowerShell 5.1に含まれているすべてのコマンドレットを網羅しているわけではありません。また、WindowsやWindows Serverの管理のために提供されている、OS付属のモジュール群もCore 6.0には含まれておらず、α版の段階では実行も不可能(だったはず)でした。

    β1からターゲットが.NET Core 2.0に移行したことにより、.NET Standard 2.0がサポートされました。このことによって、Windowsに付属の数千ものコマンドレットを初めとするWindows PowerShell用コマンドレット(要はFull CLRをターゲットとしてビルドされたもの)のうち、.NET Standard 2.0に含まれるAPIしか使われていないものであれば、原理的にはPowerShell Coreでも実行可能になりました。

Windows PowerShellの今後

さて、PowerShell Core 6.0がまもなく正式版リリースということですが、では従来のWindows PowerShellはどうなるのか、という話について。

公式ブログのアナウンスによれば、Windows 10やWindows Server 2016に付属のWindows PowerShell 5.1については、今後もサポートライフサイクルに則り、重大なバグフィックスやセキュリティパッチ提供等のサポートは継続されます。もちろん下位バージョンのOS/Windows PowerShellも同様です。

しかしながら、Windows PowerShellに新機能が追加されることは今後はなく、開発のメインはPowerShell Coreへと移行します。つまりは、PowerShell Coreの開発の中で追加された新機能、変更点、バグフィックスについては、基本的にはWindows PowerShellとは無関係ということです。

また、現状ではPowerShell CoreはWindows PowerShell環境に追加インストールし、サイドバイサイド実行が可能となっていますが、将来的にPowerShell CoreがWindowsに同梱されるかどうかについては言及されておらず、今のところは不明です。

以下は私見になります。

このような状況で、Windows PowerShellユーザー、とりわけWindows Serverの管理はするが、Linuxとかは特に…というユーザーはこれからどうすべきか?という点は割と悩ましいところだと思います。個人的には、WindowsやWindows Serverを管理するスクリプトが現時点であるなら、それを無理に今すぐCore対応にする必要はないと思います。現時点で今すぐCoreに移行すべき理由というのはとくに無いと感じます。Coreで追加、改善された機能はあるものの、Coreには無い機能もたくさんあるからです。
また新規にスクリプトを作る場合でも、対象がWindowsに限定されるのであれば、Windows PowerShell用に作れば良いのではないかと。OS付属のコマンドレットの動作は確実に保証されているわけですから。

ただし、ご存じの通りWindows10とServer 2016は半期に一度の大型アップデートで新機能が次々追加されていきます。その過程でPowerShell Coreが含まれるようになったり、Coreのみ対応のコマンドレットが追加される可能性は無きにしもあらずなのではないかとも思います。なので、Coreの状況をチラ見しつつ、未来に備えておく必要はあると思います。Windows10/Server2016の「次」も見据えて。

それとPowerShellでWindowsもLinuxも面倒みていきたい、という野心がある方は、Coreを採用していくのがいいのではないかと思います。ただし、現状しばらくは茨の道ではあるとは思います。

あとはスクリプトやモジュールを作成し公開する方は、より多くの環境で使われるように、可能であればCore対応を進めるのは悪くないんじゃないかと思います。

おわりに

他にもWin10/Server2016におけるPowerShell 2.0の非推奨化の話とか、DSC Core構想とか、なにげに結構いろいろ話題はありました。

さて、Windows PowerShellとしては一端落ち着いた感もある界隈ですが、PowerShell Coreとしてはこれからも活発に動いていくものと思います。注目していきたいですね。

そんな2017年の締めくくり、今年はどんな記事が集まるでしょうか。PowerShell Advent Calendar 2017の参加、お待ちしております。

2015/12/15

この記事はPowerShell Advent Calendar 2015の15日目の記事です。

はじめに

前々回前回は、PowerShellによるWebスクレイピングの具体的手法についてまとめました。ただ、スクレイピングはあくまで最後の手段であり、Webから何らかの文字列情報を取得するには、Web APIを用いるのが本道かと思います。

今回はPowerShellでWeb APIを用いるお話です。

Web APIとは

Web APIというのは、その名の通り、プログラムからWeb上のデータを取得したり、何らかのサービスの機能を実行したりするための、呼び出し方式を定めた規約です。

Web APIでは、HTTPリクエストに呼び出したい機能の内容を指定し、結果をHTTPレスポンスとして受け取るというのが一連の流れになります。

Web APIの主な実装方式としてはSOAPとRESTがありますが、このうち、XMLでリクエストを組み立てるSOAPは最近は廃れてきた感じです。

(PowerShellではSOAP APIはNew-WebServiceProxyコマンドレットで対応しています。が、今回は略。参考:PowerShell: ◆空港の場所と天気を調べる(New-WebServiceProxy)

最近はWeb APIといえばREST(REpresentational State Transfer) APIを指すことが殆どです。REST APIでは操作の対象となるリソース=URI(エンドポイントという)、呼び出し方式=HTTPメソッド(GET:データの取得, POST:データの作成, PUT:データの更新, DELETE:データの削除)、操作に対するパラメータ=クエリストリング(GETの場合)もしくはリクエストボディ(POSTの場合)、結果の返却=HTTPレスポンス(JSON、XML等)となるのが基本です。

また、RESTの呼び出しは基本的にステートレスなものとなります。要はセッション情報を持たない≒cookieを使わない、ってことです。

PowerShellではREST APIを簡便に利用するためにInvoke-RestMethodコマンドレットが用意されています。(ただしPowerShell 3.0から)

Invoke-RestMethodコマンドレットのパラメータ指定

Invoke-RestMethodコマンドレットのパラメータについては、実は前々回に取り上げたInvoke-WebRequestコマンドレットと同じです(IEのパーサーを使うことはないので、-UseBasicParsingも無いですが)。ただしREST APIの形式は前述の通りなので、利用するパラメータは限られてきます。具体的には

データ取得の場合

$response = Invoke-RestMethod -Uri エンドポイント(パラメータを含む) -Method GET

データ作成、更新の場合

$response = 
 Invoke-RestMethod -Uri エンドポイント -Method POST -Body パラメータ(連想配列あるいはJSONやXML等)

となるかと思います。

その他にOAuth等の認証情報を指定する場合は、-Headers @{Authorization="認証情報"}のような指定も必要になることがあります。

Invoke-RestMethodコマンドレットのレスポンス

Invoke-RestMethodコマンドレットがInvoke-WebRequestコマンドレットと異なる最大のポイントは、レスポンス文字列の種類によって、自動的に出力オブジェクトの型が切り替わるところです。

私の調べた限りでは以下のような対応になっているようです。

レスポンス文字列の種類 出力型
XML XmlDocument
RSS/ATOM XmlElement
JSON PSCustomObject
プレーンテキスト string
利用の具体例
AED検索

Microsoft MVPのはつねさんが公開されている、AED検索はREST APIでAEDの所在地情報を検索し、JSONで結果を得ることができます。

例えば兵庫県芦屋市のAED一覧を取得するには、

$response = Invoke-RestMethod https://aed.azure-mobile.net/api/aedinfo/兵庫県/芦屋市/
$response | Format-Table Latitude, Longitude, LocationName,
    @{L = "Address"; E = {
        "$($_.Perfecture) $($_.City) $($_.AddressArea)"
    }} -AutoSize

のようにします。

ここで$responseには、JSON形式のデータをパースしてPSCustomObject化したデータが格納されるので、あとはFormat-Tableコマンドレットで見やすい形で出力してあげれば良いでしょう。

結果はこんな感じです。

image

AED検索APIと、去年のアドベントカレンダーで紹介した、Windows 位置情報プラットフォームを用いて現在位置を取得するGet-GeoCoordinate関数を併用して、「現在位置の最寄りにあるAEDをGoogle MAP上で表示する」なんてこともできます。

$location = Get-GeoCoordinate
$response = Invoke-RestMethod "https://aed.azure-mobile.net/api/NearAED?lat=$($location.Latitude)&lng=$($location.Longitude)"
Start-Process "http://maps.google.com/maps?q=$($response.Latitude),$($response.Longitude)"

ここではREST APIにQueryStringでパラメータ(経度、緯度)情報を渡しているところと、レスポンスから生成されたオブジェクトのプロパティ値をマップ表示の際のパラメータとして利用しているところに注目してください。

RSS取得

RSSやATOMもREST APIの一種と考えて良いと思います。

ここではこのブログのRSSを取得する例を示します。

$response = Invoke-RestMethod http://winscript.jp/powershell/rss2/
$response | select @{L = "Title"; E = "title"},
    @{L = "Url"; E = "link"},
    @{L = "PublishDate"; E = {[DateTime]::Parse($_.pubDate)}},
    @{L = "Description"; E = {
        ($_.description -replace "<.+?>").
        PadRight(50).Substring(0,50).TrimEnd() + "..."
    }}|
    Format-List

Descriptionの加工がやや適当(HTMLタグっぽいところを削除して50文字に切り詰めてるだけ)ですが、少し見やすくしています。結果は以下のように表示されます。

image

RSSの結果は、1エントリがXMLElement型のオブジェクトとして出力されるので、データの取扱いが比較的楽だと思います。

レスポンスがXMLなREST APIの良い例がなかったので省略してますが、基本的には前回取り上げた、XHTMLをXMLとしてパースする方法と同じやり方です。ただInvoke-RestMethodの場合は[xml]型アクセラレータによる変換は不要で、いきなりXmlDocumentオブジェクトが得られます。

現状の問題点

レスポンスがコールバック関数つきのJSONP形式であるとかで、JSON、XML、RSS/ATOMのいずれの形式にも適合しない場合はプレーンテキストとして出力されてしまいます。

その場合は、出力文字列を適宜加工した後に、[xml]型アクセラレータや、ConvertFrom-Jsonコマンドレット等により手動でオブジェクト化するようにしてください。もっとも、その場合は敢えてInvoke-RestMethodを使わずInvoke-WebRequestで充分ですが。

あとWeb APIというのは大抵(特にPOSTの場合)、認証を要するのですが、最近よくあるのはTwitter等でもおなじみのOAuth認証です。ところがOAuth認証は結構めんどくさい処理で、何らかのライブラリを使わないとしんどいです。残念ながらPowerShellの標準コマンドレットには存在しないので、自前で頑張って書くか、既存のライブラリやコマンドを利用することになるかと思います。

今回そこまで説明できませんでしたが、また機会があれば。

2015/12/10

この記事はPowerShell Advent Calendar 2015の10日目の記事です。

はじめに

前編では、Invoke-WebRequestコマンドレットやWebClientクラスを用いて、WebページからHTMLの文字列を取得するところまで説明しました。

後編の今回は、取得したHTML文字列をパースして、オブジェクトとして利用可能しやすい形に変換する話です。

IEエンジンによるHTMLパース(DOM)

前編でも触れましたが、Invoke-WebRequestコマンドレットは、レスポンス文字列を取得すると同時に、HTMLをパース(構文解析)し、結果をオブジェクトとして構造化してくれます。

実はこのHTMLパース、内部的にInternet Explorerのエンジンを呼び出すことで実現されています。(ちなみに後で説明しますが、-UseBasicParsingパラメータを付与すると、IEエンジンを使わずごく基本的なパースのみ行うようになります。)

Invoke-WebRequestコマンドレットの出力であるHtmlWebResponseObjectオブジェクトのParsedHtmlプロパティを経由することで、HTMLパースされたオブジェクトを、DOM(Document Object Model)に従ってアクセスすることができます。(-UseBasicParsing指定時は不可)

HTMLのtable要素を切り出し、table各行を1オブジェクト、各セルをプロパティとして、オブジェクト配列化する例を以下に示します。

$response = Invoke-WebRequest http://winscript.jp/powershell/301

# DOMを利用して1つ目のtable要素を取得
$table = $response.ParsedHtml.getElementsByTagName("table")| select -First 1

# tableの1行目をプロパティ名として取得
$properties = ($table.rows| select -first 1).Cells| foreach {$_.innerText}

# tableの残りの行に対して、各セルのinnerTextをプロパティ値としてオブジェクト化
$objs = foreach($row in ($table.rows| select -skip 1))
{
    $row.Cells| foreach -Begin {
        $index = 0
        $obj = [ordered]@{}
    } -Process {
        $obj += @{$properties[$index] = $_.innerText}
        $index++
    } -End {
        [pscustomobject]$obj
    }
}

$objs| Format-List

ところで前編で軽く触れましたが、IEエンジンによるパースは、Invoke-WebRequestコマンドレットを用いずとも、以下のようにして直接IEのCOMインターフェースを呼ぶことで利用可能です。

$client = New-Object System.Net.WebClient
$content = $client.DownloadString("http://winscript.jp/powershell/301")
$parsedHtml = New-Object -com "HTMLFILE"
$parsedHtml.IHTMLDocument2_write($content)
$parsedHtml.Close()
$table = $parsedHtml.getElementsByTagName("table")| select -First 1
# 以下同様…

というより実際に試すと直接IEエンジンを呼び出す方がずっと速いです。理由はよく分かりませんが…。

HTML要素コレクションの取得

Invoke-WebRequestコマンドレットを用いると、DOMとは別に、すべての要素(AllElementsプロパティ)、input要素(InputFieldsプロパティ)、img要素(Imagesプロパティ)、a要素(Linksプロパティ)、script要素(Scriptsプロパティ)を含むコレクションを、HtmlWebResponseObjectオブジェクトの対応するプロパティからそれぞれ取得することができます。

コレクションに含まれる各要素は、innerText(タグ内の文字列)、innerHTML(タグ内のHTML)、tagName(タグ名)等のプロパティが共通して利用可能です。また要素の属性(たとえばa要素ならリンク先を示すhref属性)に、プロパティとしてアクセス可能となります。

以下はBingでWeb検索した結果から、ページタイトルとURLを抜き出す例です。HtmlWebResponseObjectのLinksプロパティでa要素の配列を取ってきて、次に検索結果では無いっぽいURLを、hrefプロパティの値を見てwhereで除外し、最後にinnerTextプロパティとhrefプロパティをTitle、Urlとリネームしてから値を出力しています。泥臭い処理が混じってますが、この泥臭さがスクレイピングなのかもなぁと思います。

$searchWord = "PowerShell 配列"
$notSearchResults = "/","#","javascript:","http://go.microsoft.com/"
$response = Invoke-WebRequest "https://www.bing.com/search?q=$([Uri]::EscapeDataString($searchWord))"
$response.Links | 
    where {
        $href = $_.href
        !($notSearchResults|? {$href.StartsWith($_)})
    }|
    select @{L = "Title"; E = "innerText"}, @{L = "Url"; E = "href"}|
    Format-List

form要素についてもほぼ同様にFormsプロパティからコレクションを取得できますが、このコレクションにはFormObjectという特別なオブジェクトが含まれます。FormObjectのFieldsプロパティは、Key=パラメータ名、Value=パラメータ値が格納された連想配列となっています。この連想配列は書き替えが可能なので、前編で説明した、ログオンを要するWebサイト等で用いると便利かと思います。

以下に、HtmlWebResponseObjectオブジェクトのプロパティをまとめます。(×印は使用不可を表す)

プロパティ名 説明 -UseBasicParsing
指定時
AllElements 本文に含まれるすべての要素のコレクション ×
Forms フォーム(form要素)のコレクション ×
InputFields 入力フィールド(input要素)のコレクション  
Images 画像(img要素)のコレクション  
Links リンク(a要素)のコレクション  
Scripts スクリプト(script要素)のコレクション ×

このように、一部のプロパティについては-UseBasicParsing指定時でも利用可能です。サーバーOS等でIEエンジンが利用できない場合には-UseBasicParsingパラメータが必須となりますが、その場合でも最低限のパースはしてくれるわけです。

HTML要素のコレクションを利用する方法は、DOMを使う方法に比べると自由度は少ないですが、「ページから画像のリストを取得したい」等の処理は簡便に行うことができます。

その他のHTMLパース手法

最後に、Invoke-WebRequestコマンドレットとIEエンジン以外のHTMLパース手法について軽くご紹介します。

XMLとしてパース(XHTML限定)

XHTMLというのはごくかいつまんで言うと、HTMLをXMLで定義したものです。XHTMLはXMLなので、XMLとしてパースして用いることができます。

PowerShellは[xml](XmlDocument)型アクセラレータと型アダプタにより、XML要素への簡便なアクセス手段を提供しています。以下のように、[xml]型アクセラレータを用い、取得したXHTML文字列を[xml]型に変換すると、以降は型アダプタの機能により、ドット演算子で要素を辿っていくことができます。

$client = New-Object System.Net.WebClient
$content = $client.DownloadString("XHTMLなページ")
$xml = [xml]$content
$xml.html.body.h2.'#text'

ただ世の中のWebページ上のXHTML文書が、すべてXML文書としてvalidなものであるかと言われると、現実はかなり厳しいです。そしてXML文書としてエラーがある場合は、型アクセラレータの処理は容赦なく失敗します。なのでこの手法は「使えたら強いが、大抵使えない」レベルのものと思って頂ければいいと思います。

SgmlReader

標準機能にこだわらなければ、.NET製のHTMLパーサーを使うのが楽かと思います。SgmlReaderは通常のHTML文書(当然、XHTMLに限らず)をXmlDocumentへとパースしてくれるので、PowerShellと相性が良いのではないかと思います。

以下にサンプルを載せておきます。

Add-Type -Path .\SgmlReaderDll.dll

function Get-HTMLDocument
{
    param([uri]$Uri)
    $sgmlReader = New-Object Sgml.SgmlReader -Property @{
        Href = $Uri.AbsoluteUri
        CaseFolding = [Sgml.CaseFolding]::ToLower
    }
    $doc = New-Object System.Xml.XmlDocument
    $doc.Load($sgmlReader)
    $doc
}

$xml = Get-HTMLDocument http://winscript.jp/
$xml.html.body.div|? id -eq outer|% div|? id -eq main|% {$_.p.innerText}

ぎたぱそ氏も以前SgmlReaderを取り上げておられるので、そちらも参考にして下さい。:Html Agility Pack と SgmlReader を使って PowerShell でスクレイピングしてみる - tech.guitarrapc.cóm

正規表現等で自前パース

これまではHTMLパースを既存のコマンドやライブラリを用いて行ってきましたが、対象のHTMLが非常にシンプルである場合とか、HTMLですらなく単なるテキストの場合だとか、対象ページは分量が多いものの必要箇所はごくわずかで、かつピンポイントに取得可能な場合等々は、むしろ自前でパースするコードを書いた方が手っ取り早いこともあります。

例えばYAMAHAのルーターで、管理Webのシステム情報レポートからグローバルIPアドレスを取ってくる、みたいなことは、

$response = Invoke-WebRequest http://サーバー/detail/status.html -UseBasicParsing -Credential $credential
if($response.Content -match "PP IP Address Local\: (.+)\,")
{
    $ipAddress = $Matches[1]
}

のようなコードで十分かと思います。

ConvertFrom-String

これはまだ検証してないんですが、PowerShell5.0の新機能、Auto-Generated Example-Driven Parsingの実装であるConvertFrom-Stringコマンドレットを用いて、HTMLパースができないかな、と考えています。

ConvertFrom-Stringについては過去記事参照:[v5] Auto-Generated Example-Driven Parsing について - PowerShell Scripting Weblog

まとめ

前後編に渡って、PowerShellでのWebスクレイピングの手法について解説しました。スクレイピングはWeb APIが用意されていない場合の苦肉の策ですが、背に腹は代えられない場合というのは稀によくあると思います。そういうときに今回の記事が参考になれば幸いです。

次回あたりには、Web APIがちゃんと用意されてる場合に、PowerShellから利用する話をやろうかと思います。

2015/11/09

前編(前々回)中編(前回)の続きです。

分かち書きとは

中編で作ったGet-JpYomi関数は、JapanesePhoneticAnalyzerクラスの読み仮名取得機能にフォーカスを当てたラッパー関数でした。

今回は、JapanesePhoneticAnalyzerクラスの最大の使用目的と思われる、「分かち書き」を目的とした関数を作成します。分かち書きとは、文章を文節単位で分割することと考えて頂いて良いかと思います。

前々回作ったGet-JpWordは単語単位の分割を行うものでしたが、読みやすさや発音のしやすさを目的として文章を分割表記する場合は、単語単位では細かすぎると言えます。

よって単語単位ではなく、文を意味のあるまとまりとして区切ることのできる最小の単位である、文節単位で分割する方法を考えてみます。

Split-JpText関数

前編で作ったGet-JpWord関数をラップし、分かち書きに特化した関数Split-JpTextを作成しました。まずは以下にコードを示します。

function Split-JpText
{
    param(
        [parameter(ValueFromPipeline=$true)]
        [PSObject[]]
        $InputObject,

        [ValidateSet("Text", "Yomi", "Detail")]
        [string]
        $Format = "Text",

        [ValidateSet("ByWord", "ByPhrase")]
        [string]
        $SplitMode = "ByPhrase",

        [string]
        $Separator = " ",

        [switch]
        $ToArray
    )

    begin
    {
        if($Format -eq "Detail"){$ToArray = $true}
    }

    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $o.ToString() | Get-JpWord | 
            foreach -Begin {
                $phrases = @()
                $phrase = $null
            } -Process {
                if($_.IsPhraseStart)
                {
                    if($phrase){$phrases += $phrase}
                    $phrase = New-Object psobject |
                        Add-Member -MemberType ScriptProperty -Name Text -Value {
                            -join $this.Words.DisplayText} -PassThru |
                        Add-Member -MemberType ScriptProperty -Name Yomi -Value {
                            -join $this.Words.YomiText} -PassThru |
                        Add-Member -MemberType NoteProperty -Name Words -Value @() -PassThru
                }
                $phrase.Words += $_
            } -End {
                if($phrase){$phrases += $phrase}

                if($SplitMode -eq "ByPhrase")
                {
                    $out = switch($Format)
                    {
                        "Text"   {$phrases.Text}
                        "Yomi"   {$phrases.Yomi}
                        "Detail" {$phrases}
                    }
                }
                else
                {
                    $out = switch($Format)
                    {
                        "Text"   {$phrases.Words.DisplayText}
                        "Yomi"   {$phrases.Words.YomiText}
                        "Detail" {$phrases.Words}
                    }
                }

                if($ToArray)
                {
                    $out
                }
                else
                {
                    $out -join $Separator
                }
            }
        }
    }
}
パラメータの説明
パラメータ名 説明
InputObject 任意の型 入力テキスト。文字列以外の型の場合は文字列に変換して評価される。パイプライン入力可能。
Format string Text(デフォルト):文字列のみ出力する。
Yomi:文字列ではなく読みを出力する。
Detail:文節の文字列、読み、各文節に含まれる単語の配列を含んだオブジェクトの配列を出力する。(SplitMode=ByPhraseの時のみ)
SplitMode string ByPhrase(デフォルト):文を文節単位で分割する。
ByWord:文を単語単位で分割する。
Separator string 分割文字を指定。デフォルトは" "(半角スペース)。(Format=DetailもしくはToArray指定時には無効)
ToArray switch 指定すると、単一の文字列ではなく、文字列の配列を出力する。
使用法
  • 分かち書き(文節)
    例:Split-JpText "今日はいい天気ですね。"
    出力:今日は いい 天気ですね 。
  • 分割文字指定
    例:Split-JpText "今日はいい天気ですね。" -Separator /
    出力:今日は/いい/天気ですね/。
  • 分かち書き(単語)
    例:Split-JpText "今日はいい天気ですね。" -SplitMode ByWord
    出力:今日 は いい 天気 です ね 。
  • 文節単位で読み仮名を表示
    例: Split-JpText "今日はいい天気ですね。" -Separator / -Format Yomi
    出力:きょうは/いい/てんきですね/。
  • 分かち書きした文節を文字列配列として変数に格納
    例:$phrases = Split-JpText "今日はいい天気ですね。" -ToArray
解説

ちょっと長めの関数ですが、ポイントはJapanesePhoneticAnalyzerクラスのGetWordsメソッドが返すJapanesePhonemeオブジェクトのIsPhraseStartプロパティです。

IsPhraseStartプロパティは、当該単語(Phoneme)が文節(Phrase)の開始部分にあたる単語であればTrueを返します。すなわち、JapanesePhonemeコレクションを文頭から文末まで列挙していったとき、IsPhraseStartプロパティがFalseからTrueに変わる部分が文節の境界になるわけです。

Split-JpText関数では、単語を列挙していき、文頭もしくは文節の境界に遭遇すると、文節に含まれる文字列(Textプロパティ)とその読み(Yomiプロパティ)と単語の配列(Wordsプロパティ)を格納するオブジェクトを新たに作成し、$phrase変数に代入します。一方で$phrase変数に元々入っていたオブジェクトは、$phrases配列に追加します。

$phraseオブジェクトのWordsプロパティには、列挙中の単語を都度、追加していきます。

なお、$phraseオブジェクトのTextプロパティとYomiプロパティはスクリプトプロパティとして定義しておき、必要時に値を取得するようにしてあります。

まとめ

3回に渡って、JapanesePhoneticAnalyzerクラスの使用法を具体的なラッパー関数を作成して紹介しました。

個人的には、PowerShellからなら中編で挙げた、読みの取得が一番使いでがあるかな?と思いました。今回取り上げた分かち書きは、意外と応用例が思いつきませんでした。

前編のGet-JpWord関数を使って、何らかの文書群の単語リストをあらかじめインデックスとして出力しておき、単語検索コマンドを実装するのも面白そうですね。

ただ、残念ながら品詞情報が取れないので、JapanesePhoneticAnalyzerをmecabとかの形態素解析エンジンの代替にするのはちょっと厳しいかもしれないです。まあ、標準機能のみでちょっとしたものを作れるのは大きいかと思います。何か日本語の文章を解析する必要があるときには使ってみてはいかがでしょうか。

2015/10/18

前回の続きです。今回は、前回作ったGet-JpWord関数を使って取得した、読み仮名を利用する話になります。

文章の読み仮名を表示する

単に指定文章の読み仮名を表示するという用途には、前回作製したGet-JpWord関数はそのままだと使いにくいので、さらにラップした関数を用意しました。

function Get-JpYomi
{
    param(
        [parameter(ValueFromPipeline=$true)]
        [PSObject[]]
        $InputObject,

        [string]
        $Separator = "",

        [ValidateSet("YomiOnly", "Furigana", "RubyTag")]
        [string]
        $Format = "YomiOnly"
    )
    process
    {
        foreach($o in $InputObject)
        {
            $phenemes = if($o -is [Windows.Globalization.JapanesePhoneme])
            {
                @($o)
            }
            else
            {
                $o.ToString()  | Get-JpWord -MonoRuby:$($Format -eq "RubyTag")
            }

            ($phenemes | foreach {
                if($Format -eq "YomiOnly")
                {
                    $_.YomiText
                }
                else
                {
                    if($_.DisplayText -match "\p{IsCJKUnifiedIdeographs}")
                    {
                        if($Format -eq "RubyTag")
                        {
                            "<ruby><rb>$($_.DisplayText)</rb><rt>$($_.YomiText)</rt></ruby>"
                        }
                        elseif($Format -eq "Furigana")
                        {
                            "$($_.DisplayText)($($_.YomiText))"
                        }
                    }
                    else
                    {
                        $_.DisplayText
                    }
                }
            }) -join $Separator
        }
    }
}

Get-JpYomi "読み仮名を表示したい文章をここに書きます。"

のようにすると、以下のような結果が表示されます。

よみがなをひょうじしたいぶんしょうをここにかきます。

また、Separatorパラメータを指定すると、読み仮名に区切り文字を挿入することもできます。例えば、

Get-JpYomi "読み仮名を表示したい文章をここに書きます。"  -Separator " "

とすると結果は、

よ み がな を ひょうじ し たい ぶんしょう を ここ に か き ます 。

のようになります。

単に読み仮名を知りたい時に便利かと思います。漢字の読み方を知りたい時にさくっと使うのもいいかも。(読み方が複数あっても1つしか表示されませんが)

文章に振り仮名を付けたい時には、以下のようにします。

Get-JpYomi "読み仮名を表示したい文章をここに書きます。" -Format Furigana

結果はこうなります。

読(よ)み仮名(がな)を表示(ひょうじ)したい文章(ぶんしょう)をここに書(か)きます。

ここでポイントとなるのは、漢字部分は振り仮名を付けるが、それ以外には必要ないので付けないという処理です。それには正規表現"\p{IsCJKUnifiedIdeographs}"を用いています。\p{}は正規表現の「名前付き文字クラス」と呼ばれるもので、IsCJKUnifiedIdeographsというのはUnicodeにおける漢字を表すブロック名になります。ちなみにIsHiraganaでひらがな、IsKatakanaでカタカナにマッチさせることもできます。

Formatパラメータは、デフォルトのYomiOnly(読み仮名のみ出力)、Furigana(入力に振り仮名を付けて出力)の他に、RubyTag(HTMLのrubyタグを生成して出力)というのを用意しています。これを使うと、

<ruby><rb>読</rb><rt>よ</rt></ruby>み<ruby><rb>仮</rb><rt>が</rt></ruby><ruby><rb>名</rb><rt>な</rt></ruby>を<ruby><rb>表</rb><rt>ひょう</rt></ruby><ruby><rb>示</rb><rt>じ</rt></ruby>したい<ruby><rb>文</rb><rt>ぶん</rt></ruby><ruby><rb>章</rb><rt>しょう</rt></ruby>をここに<ruby><rb>書</rb><rt>か</rt></ruby>きます。

という出力が得られます。実際にHTMLとして表示させると以下のようになります。

ひょうしたいぶんしょうをここにきます。

50音順ソート&グループ化

Get-JpYomi関数の応用例的なものになります。漢字の読みが分かるということは、50音順にソートしたり、頭文字でグループ化できるようになるということですね。やってみましょう。

ディレクトリ名を50音順でソートするには、

dir -Directory  | sort {$_.Name | Get-JpYomi}

のようにします。例えば私のミュージックフォルダ(アーティスト名ごとにフォルダが作られている)に対して実行すると以下のようになります。

image

うーん、アニソンばっかりだな…。それはともかく、ちゃんと50音順ソートされていることがお分かりいただけるかと思います。中には読み方間違ってるやつもありますが。

頭文字でグループ化して表示するというのもやってみましょう。

dir -Directory |
    select Name,
        @{Name = "NameYomi"; Expression = {$_.Name | Get-JpYomi}},
        @{Name = "FolderCount"; Expression = {@(dir $_.FullName -Directory).Length}} |
    group {$_.NameYomi.Substring(0,1)}|
    sort Name |
    foreach {
        Write-Host "【$($_.Name)】($($_.Count))"
        $_.Group|%{
            Write-Host "$($_.Name)($($_.NameYomi)) $($_.FolderCount)"
        }
        Write-Host
    }

まずファイル名、読み、サブフォルダの数(当方環境ではアルバム数に対応)をそれぞれプロパティとして抽出し、読みの頭文字(SubString(0,1)で取得)でグループ化し、頭文字グループを50音順ソートし、結果を表示しています。

結果はこんな感じです。

image

まあ頑張って読んでいる方だと思います。むらかわなしぎぬ…。

また長くなったので次回に続きます。次回は「分かち書き」の話。

2015/03/20

わんくま同盟大阪勉強会#62で行った、「PowerShell 5.0 新機能」セッションスライドを公開します。

WMF 5.0 Preview Feb. 2015時点でのPowerShell 5.0 / WMF 5.0の新機能は大体こんな感じにまとめられるかと思います。

  • Experimental design 
    • OneGet
    • PowerShellGet
    • クラス定義
    • DSC(Desired State Configuration)機能強化
    • デバッグ機能強化
    • スクリプトアナライザー
    • Auto-Generated Example-Driven Parsing
  • Stable design 
    • 監査機能の強化
    • CMS (CRYPTOGRAPHIC MESSAGE SYNTAX) コマンドレット
    • ODataエンドポイントのコマンドレット化
    • シンボリックリンク操作機能
    • zipファイル操作コマンドレット
    • Networkスイッチ管理用コマンドレット

新機能のうち、目玉となりそうなOneGet、クラス構文、DSC機能強化についてはいずれもまだ一部もしくは全部がExperimental designなので、今後もまだ仕様変更が入るものと思われます。(逆に仕様に物申すことができるチャンスは今だけ)

まだ正式版リリース(今年中?)までに新要素が入る可能性はありますが、全体像はそろそろ見えてきたと思います。現時点でも相当に新要素が追加されており、個人的にはv4→v5はv2→v3の時並のインパクトがあるアップグレードですので、今のうちに予習を始めておくのが良いかと思われます。

なお、近々、PowerShell勉強会@大阪(JPPOSH主催)でもPowerShell 5の話をする予定です。基本は同内容ですが、発表時点での最新情報を追加していこうと考えています。詳細が決まりましたらまた告知したいと思います。

2014/12/01

はじめに

この記事はPowerShell Advent Calendar 2014の1日目の記事です。

次期バージョンのPowerShell 5.0について、そろそろ情報が出回ってきました。現在のところWindows Management Framework 5.0 Preview November 2014、もしくはWindows 10 Technical PreviewWindows Server Technical Previewに同梱のもので試すことができます。

v5での新機能、改善点は多岐に上ります。OneGet / PowerShellGet / クラス定義 / DSC機能増強 / ODataエンドポイントのコマンドレット化 / zipファイル / シンボリックリンク 等々。詳しくは、リリースノートが一番充実しているかと思います。日本語だとぎたぱそ氏の記事がまとまっているかと思ます。

さて、ここまで挙げた新機能や改善点は、とても順当でまっとうな進化点なのですが、v5にはちょっと異彩を放つ新機能がしれっと追加されています。それが、Auto-Generated Example-Driven Parsing です。

Auto-Generated Example-Driven Parsing とは

CSV、JSON、XMLのような既知のフォーマットではないが、何らかの法則性のあるテキストデータがあるとします。そんなテキストデータは(不幸なことに)割と世の中にあふれていますが、そのままでは(人が読む以外には)利用できないので、データとして扱うには、解析し、レコード(プロパティ:プロパティ値)として再構築する必要があります。

しかしながらフォーマットが既知のものではないため、既存のパーサーを使って解析することはできません。

従来のアプローチだと、このようなデータに対しては、まずユーザー(人間)がデータの法則性を読み取り、その法則をコンピュータに分かる表現(コードや正規表現など)に変換してやる必要がありました。

Auto-Generated Example-Driven Parsing とは、事前にユーザーがテキストデータの一部分のみを取り出し、各項目に対してプロパティ名を指示したデータ(テンプレート)を用意しておくと、元のテキストデータとユーザーが用意したテンプレートから法則性を解析し、元のテキストデータ全体を自動的にテキストデータからオブジェクトに変換してくれる機能です。

Auto-Generated Example-Driven Parsing とはもともとMicrosoft Research で研究されているFlashExtract というデータ解析手法の PowerShell コマンドレット(ConvertFrom-String)による実装になります。ConvertFrom-StringData じゃないですよ。全然別物です。これうっかりしてるとスルーしてしまいそうです。

具体例

たとえば、こんなデータがあったとします。

山内 佳乃 (やまうち よしの)
生年月日...1982/1/27 (32歳)、女性
田畑 真帆 (たばた まほ)
生年月日...1966/4/14 (48歳)、女性
三好 一樹 (みよし かずき)
生年月日...1972/7/10 (42歳)、男性
酒井 幸平 (さかい こうへい)
生年月日...1954/3/1 (60歳)、男性
藤島 恵子 (ふじしま けいこ)
生年月日...1969/5/4 (45歳)、女性
加藤 美優 (かとう みゅう)
生年月日...1986/12/8 (27歳)、女性
金谷 康文 (かなや やすふみ)
生年月日...1983/10/7 (31歳)、男性
岸本 紗季 (きしもと さき)
生年月日...1984/5/16 (30歳)、女性
永野 ケンイチ (ながの けんいち)
生年月日...1961/7/8 (53歳)、男性
小関 三郎 (こぜき さぶろう)
生年月日...1975/1/22 (39歳)、男性
山岸 光 (やまぎし ひかる)
生年月日...1939/2/13 (75歳)、女性
黒谷 恵麻 (くろたに えま)
生年月日...1949/2/13 (65歳)、女性

名前や生年月日が書かれたデータで、一応、法則性はあるようです。が、これをまともにパースしようと思うと、2行ごとに切り出して、正規表現を書いて…と、ちょっと面倒ですね。

ちなみにこのダミーデータ作成にはなんちゃって個人情報を使わせていただきました。CSVで出力した後、以下のようなスクリプトでわざわざ醜く変形しました。

Import-Csv -Encoding Default -Path dummy.cgi|%{"$($_.名前) ($($_.ふりがな))`n生年月日...$($_.誕生日) ($($_.年齢)歳)、$($_.性別)性"}|set-content -Encoding UTF8 -Path dummy.txt

さて、このテキストデータに対し、Auto-Generated Example-Driven Parsingで用いるテンプレートを書いてやりましょう。たとえば、以下のように適当に3件(ここでは3〜5個目のレコード)抜き出して、プロパティ名をつけてやります。赤字が、手動で元データに付与した文字列です。

{Name*:三好 一樹} ({Furigana:みよし かずき})
生年月日...{BirthDay:1972/7/10} ({Age:42}歳)、{Sexuality:}{Name*:酒井 幸平} ({Furigana:さかい こうへい})
生年月日...{BirthDay:1954/3/1} ({Age:60}歳)、{Sexuality:}{Name*:藤島 恵子} ({Furigana:ふじしま けいこ})
生年月日...{BirthDay:1969/5/4} ({Age:45}歳)、{Sexuality:}

みて頂ければ分かると思いますが、基本は、各データ項目に対して、{プロパティ名:データ}のように指定してやるだけです。主キーとなるデータ項目にはプロパティ名の後に「*」をつけてやります。こうやって作ったテンプレートをtemplate.txtと名前を付けて保存しましょう。

元データとテンプレートが揃ったので、あとは以下のようにしてConvertFrom-Stringコマンドレットを実行するだけです。

image

テンプレートを元に、元テキストに含まれるすべてのデータが、プロパティ値を持ったオブジェクトデータに変換されていることが分かるかと思います。これちょっとすごくないですか?

まとめ

Auto-Generated Example-Driven Parsingは個人的には、非常に面白い機能だと感じています。コンピュータに対して、「手本見せるよ、これはこう、これはこう。わかった? じゃ、あとは同じようにまとめといてね!」というのができるようになったわけで、ちょっと未来を感じました。

研究所レベルの研究成果を、製品として実装した初の例が、PowerShellだったというのも面白味を感じます。

ただ、CSVでもJSONでもXMLでもない、わけのわからない謎フォーマットで保存されたテキストデータを解析しなきゃならない事態というのは、そもそも不幸な状況であることも、また事実かと思います。

ConvertFrom-Stringは、そんな訳の分からないものを撲滅して、今度こそまともなフォーマットのデータに変換して保存するための、最終兵器のようなものかもしれません。

なお、Auto-Generated Example-Driven Parsingでは他にもプロパティに型を指定したり、部分的に正規表現を用いたり、階層構造を持つデータにも対応してたりと、かなり色々なことができるようになっています。ぜひ、v5環境を整えて、ConvertFrom-Stringを試してみてください。

さてさて、PowerShell Advent Calendar 2014、今年は参加者が少なく、完走はかなり危ぶまれますが、できるところまで行きたいですね! これをお読みのあなたの記事が読みたいです! ぜひ、ご参加いただけると幸いです。

2012/12/01

今日から、PowerShell Advent Calendar 2012が始まりました。初日は私が担当させていただきます。お題は旬の話題、PowerShell 3.0の新機能!…ではなく、初心に返って、PowerShellの「関数」ってどう書くのがいいのかというお話をします。PowerShell 3.0どころか、大部分はPowerShell 1.0から変わっていない基本の話です。

これは今までずっと書きたかったネタですがなかなか書く暇がなくて放置してたものです。3.0の話はきっと他の皆さんが書いて下さるはず!私もまた順番が回ってきたら書こうと思います。

PowerShellの関数は従来言語とだいぶ違う

PowerShellを使いこなすようになってくると、他の言語を使う時と同じで、定型処理は関数として一つにまとめたくなってきます。ところが他の言語と同じような感覚で関数を書くと、どうもうまくいかないのです。

たとえば引数にフォルダパスとフォルダ名を指定すると、指定フォルダが存在すればFalseを返し、存在しなければ作成してTrueを返す関数を書いてみました。

function MakeDir($path,$name)
{
    $newDirPath = Join-Path $path $name
    if((Test-Path $newDirPath))
    {
        return $false
    }
    else
    {
        New-Item -ItemType Directory -Path $newDirPath 
        return $true
    }
}

実行は

MakeDir("C:\test","NewFolder")

と、メソッド風に呼び出すことはできないので、コマンドレット風に

MakeDir C:\test NewFolder

と呼び出せばいいんですが(まあ最初はここもつまづきポイントではありますが)、この実行結果は以下のようになります。

    ディレクトリ: C:\test

Mode                LastWriteTime     Length Name 
----                -------------     ------ ----
d----        2012/12/01      7:51            NewFolder
True

フォルダが作成されてTrueが返却されることを想定していたのに、なんか余計な出力が混じってしまっています。なんでしょうこれは?

実はPowerShell関数内で値が出力されると、returnキーワードがついてなくてもすべて呼び出し元に出力されるという仕様なのです。そしてPowerShellにおけるreturnキーワードの効果は「後続処理を打ち切って呼び出し元に戻る。ただしreturnの後に値が指定してあればそれを最後の値として戻す」となります。そのため、呼び出し元に返したくない出力が関数内にある場合は、すべて[void]にキャストしたり|Out-Nullとしてリダイレクトするなどして出力を破棄する必要があるのです。このMakeDir関数の場合はNew-Itemコマンドレットが作成したフォルダのFolderInfoオブジェクトを出力するので、これをNew-Item -ItemType Directory -Path $newDirPath | Out-Null のように破棄してやる必要があるわけです。

パイプラインの動作

先ほどの例を見ると、「いやいやなんでそんな訳のわからない仕様なんだよ、returnあるときだけ値返せよ」とお思いかと思います。しかしこれはPowerShellの特長の一つである、コマンドのパイプラインによる連携を行うための仕様なんです。

ここでコマンドを繋ぐパイプラインがどういう動作をしてるか、おさらいします。

Get-Process | where {$_.Handles -ge 500} | foreach {$_.Path}

これはハンドル数が500以上のプロセスのメインモジュールファイルのパスを取得するというコマンドで、別に何の変哲もありません。ところが、このコマンドがやっている処理を、次のように誤解してませんでしょうか?

@ 稼働中のすべてのプロセスの一覧を配列として取得する。
A @で取得した配列を走査して、Handlesプロパティの値を調べる。Handlesが500以上のオブジェクトだけ抽出した配列を生成する。
B Aで生成した配列を列挙して、{}内のスクリプトをそれぞれ実行する。

しかし、これは間違いです。

正しくは

@ 稼働中の1つのプロセスオブジェクトを取得して次のコマンドへ送る。
A そのプロセスのハンドル数が500以上なら、次のコマンドへ送る。そうでないなら@に戻る。
B そのプロセスに対して{}内のスクリプトを実行する。まだ未取得のプロセスが残っていれば@に戻る。

という動きをしています。つまり、パイプラインの手前で一旦すべての処理を終えてから、出力オブジェクトがまとめて配列という形で次のコマンドに送られるのではなく、オブジェクトがパイプラインの先頭から末尾に向けて1つずつ通過していき、それが先頭コマンドの出力オブジェクト数だけ繰り返される、という動作をしているのです。

これがPowerShellのパイプライン処理が、従来の処理系での関数と決定的に違うところで、パイプラインによって複数のコマンドが、あたかももとからあった単一のコマンドのように密に連携するわけです。

(この処理、.NETのLINQにちょっと似てると思う方もいらっしゃると思います。しかしLINQとは全然違うものです。なんせPowerShellはLINQより先に世に出てますし! しかし類似点も多いのでいずれ比較なんかを書きたいと思ってます)

パイプラインで連携可能な関数の書き方

さて、先ほどのパイプラインの話ではコマンドレットを連携させていました。しかしPowerShellにおいてはコマンドレットも関数も、それが.NETのクラスかPowerShellのスクリプトなのかの違いがあるだけで、基本は同じ「コマンド」です。なので、関数もコマンドレットと同様、適切な記述をおこなえば、パイプラインでコマンド同士を連携させることが可能です。

以下に、Get-Repeatという関数の例を挙げます。この関数は-Textパラメータに文字列を指定し、-Countパラメータに回数を指定すると、指定文字列を指定回数分連結した文字列を出力する、という何の変哲もない関数です。しかしパイプラインからの入力を受け付け、次のパイプラインへ出力することを想定した作りになっています。

function Get-Repeat
{
    param(
        [Parameter(ValueFromPipeline=$true,Mandatory=$true)]
        [string[]]
        $Text,
        
        [int]
        $Count=2
    )

    begin
    {
    }

    process
    {
        foreach($s in $Text)
        {
            $s * $count
        }
    }

    end
    {
    }
}

以下は実行例です。

PS> Get-Repeat -Text ab -Count 2
abab
PS> "ab" | Get-Repeat -Count 2
abab
PS> Get-Repeat -Text ab,cd -Count 2
abab
cdcd
PS> "ab","cd" | Get-Repeat -Count 2
abab
cdcd

このように、パラメータに値を指定してもパイプラインから入力しても、スカラー値(配列ではない単一のオブジェクト)でも配列でも、正しく処理されています。

この関数をポイントごとに見ていきましょう。

PowerShellの正式な関数はparam節、beginブロック、processブロック、endブロックに分かれます。param節にはパラメータを指定します。beginブロックにはパイプラインで連携した際、最初の1回だけ実行される初期化処理、endブロックには最後の1回だけ実行される後始末処理を記述します。beginとendは今回の例では内容を省略しています。processブロックには、パイプラインから入力された1つのオブジェクトに対してその都度実行される処理を記述します。

ちなみに、

コマンド@|コマンドA|コマンドB

とある場合、各コマンドにおけるbegin,process,endブロックは次のような順番で呼び出されます。

コマンド@begin→コマンドAbegin→コマンドBbegin→{コマンド@process→コマンドAprocess→コマンドBprocess→コマンド@process…}→コマンド@end→コマンドAend→コマンドBend

processブロックでの処理は、通常はパイプラインだけではなくパラメータからも値を入力できるようにしておきます。そのためにはparam節に記述するパラメータに「このパラメータはパイプラインから値を入力することもできる」を意味する[Parameter(ValueFromPipeline=$true)]という属性を指定します(この属性はPowerShell 2.0から利用可)。今回のパラメータには「このパラメータは必須である」を意味するMandatory=$trueもあわせて指定しています。

先述の通り、パイプラインから入力される場合は配列ではなくオブジェクトが単体で渡されるのですが、パラメータから入力される場合はスカラー値と配列値、どちらの可能性もあるため、[string[]] のようにパラメータの型を配列型にしておくことで、どちらを指定しても処理できるようにしています。

processブロックではパラメータ経由で配列値が渡された場合に、各要素に対して処理を行うためforeachループを設けています。ちなみにスカラー値が渡された場合もforeachは問題なく処理します。

processブロック内では、returnは記述しません。returnするとその時点で関数が終了してしまうので正しくすべての出力ができなくなってしまいます。

特にこの例の関数のように入力型と出力型が同一の場合は、processブロックでは1オブジェクトの入力に対して、1オブジェクトを出力するようにしておくと、他のコマンドと連携させやすくなります。ただしWhere-Objectコマンドレットのようにフィルタ処理を行う関数の場合は、条件によっては何も出力しないようにします(空の配列とか$nullを返すのではないことに注意)。もちろん入力オブジェクトから何らかの配列値を出力する場合もありえます。

最低限、これらのポイントを押さえて関数を記述すると、他のコマンドとパイプラインで連携しやすい、PowerShellらしい関数を書くことができると思います。

まとめ

PowerShellでは従来言語と同じ感覚で関数を書くと、うまくいかないことが多いです。もっとも単に処理をひとまとめにしたいというニーズだけならばそれでも問題ないのですが、関数同士を組み合わせたいときに問題が顕在化します。

パイプラインの真の動作を理解し、パイプラインの中に組み込んで動作させることを想定した関数を記述すると、他のコマンドレットあるいは自作関数と連携しやすくなり、PowerShellの真の力を解放することができると思います。

PowerShell Advent Calendar 2012の1日目にしてはえらい固いネタかもですが、基本をおさらいするのも大事ですよね。

さて、明日は@jsakamotoさんの番です。よろしくお願いします。

2012/05/14

来月6/2と6/9にPowerShell3.0のセッションをしますので告知です。

PowerShell 3.0 を使ったリモート管理(2012/06/02 わんくま同盟 大阪勉強会 #49

2月のセッションではPowerShell3.0新機能を網羅しましたが、今回はその中でも特に重要なPSリモーティングの強化ポイントを、実際に Windows8クライアントからWindows Server2012のリモートサーバーを管理するデモを交えてご紹介します。
PowerShellの基本概念をおさらいするパートもやりますので、この機会に「PowerShell再入門」してみませんか?

6/2のわんくま大阪#49では、jz5さんによるWeb APIのセッション、あおおにくんによるMonoのセッション、さおさんによるMetro+DirectXのセッションのほか、私によるPowerShell3.0のセッションがあります。PowerShell3.0を使ったリモート管理を実際のデモをまじえてご紹介します。

PowerShell 3.0 概要(2012/06/09 Community Open Day 2012 大阪会場

PowerShellはWindows Serverの管理、自動化の要となるシェル・スクリプト環境です。今年中にもリリースされるWindows Server 2012とWindows 8の登場とともに、PowerShellはバージョン3.0にアップデートされます。今回のセッションではPowerShellの基本を軽くおさらいし、3.0になって追加された新機能と改善点をご紹介します。

6/9のCommunity Open Day 2012 (COD2012)は全国のIT系コミュニティで共催されるイベントです。マイクロソフト社員の方によるキーノートから始まり、各コミュニティのスピーカーが各会場でセッションを行います。大阪会場では私は森理麟さんとわんくま同盟大阪から登壇させていただき、PowerShell3.0の新機能をすべて網羅してご紹介します。内容はbeta(間に合えばRelease Preview)対応版となります。森理麟さんはWSHなどを使ったWindowsクライアントの自動化の話、私はPowerShellでサーバー管理・自動化の話となり、わんくま大阪としては「Windows自動化」をテーマにCOD2012に参加します。

私のセッションに関しては、6/2と6/9のどちらか一方、あるいは両方聴いても楽しめるようにしたいと思っています。

ご興味のある方はぜひお越しください。会場はどちらもマイクロソフト関西支店です。

2011/10/09

JScriptは言語単体ではSafeArrayを作ることができません。

そこでJScriptでSafeArrayが必要な場合、VBScriptを併用しVBScriptの配列(これはSafeArrayです)をJScriptに取り込む方法や、Scripting.DictionaryのItems()メソッドを使う方法などが使われているようです。

しかしこれらの方法で多次元のSafeArrayを作るサンプルをあまり見かけませんでした。Dictionaryの方法ではそもそも1次元しか無理ですしね。そんな中、この記事を発見しました→JScriptの配列とVBScriptの配列(SafeArray)を相互変換する方法(2次元編) - プログラマとSEのあいだ
この記事の二つ目の例ではExcelを使用しRegionオブジェクトが二次元配列を返す点を利用しています。これはなかなか盲点というかアイデアものではありますが、実行速度にやや難があるかな?と思いました。

注: ただしこの記事の方法は、もともとExcelで二次元配列が必要な場合があったから考案されたもののようで、その用途においてはExcelを起動するコストは考慮しなくてよいのかもしれません。

一つ目の方法ではVBScriptを併用していますが、.wsfファイルを使用してJScriptとVBScriptを混在させる形式をとっています。この方法はWSHでは問題ありませんが、複数のスクリプトエンジンを混在できないホスト環境では問題があります。

注:そんな環境ってあるのか?と聞かれそうですが、たしかにHTML/HTA/Windowsデスクトップ(サイドバー)ガジェット/WSH/classic ASPなどほとんどの環境では大丈夫そうです。ただ私が最近はまっているJScript実行環境であるところのAzureaでは無理ですね。WSHでも.jsファイルにこだわるのであれば。

そこで考えたのが、ScriptControlを使用してJScriptのコードの中でVBScriptのコードを実行させる方法です。以下のような感じになります。

function array2dToSafeArray2d(jsArray2d)
{
	var sc = new ActiveXObject("ScriptControl");
	sc.Language = "VBScript";
	var code =
'Function ConvertArray(jsArray)\n' +
'	ReDim arr(jsArray.length - 1, jsArray.[0].length - 1)\n' +
'	outerCount = 0\n' +
'	For Each outer In jsArray\n' +
'		innerCount = 0\n' +
'		For Each inner In outer\n' +
'			arr(outerCount, innerCount) = inner\n' +
'			innerCount = innerCount + 1\n' +
'		Next\n' +
'		outerCount = outerCount + 1\n' +
'	Next\n' +
'	ConvertArray = arr\n' +
'End Function\n';
	sc.AddCode(code);
	return sc.Run("ConvertArray",jsArray2d);
}

まあやっていることは本当にJScriptの配列をバラしてVBScriptの二次元配列に詰め直しているだけです。

ただいくつかポイントがあって、まずVBScriptからはJScriptのオブジェクトメンバーにドット演算子でアクセスができます。JScriptの配列はオブジェクトと同一であり、配列はオブジェクトに0,1,2...という名前のプロパティが存在することになります。しかしVBScriptで数字のメンバ名はそのままではドット演算子でアクセスできないので、[]でくくる必要があります(これ、予約語なんかもそうですね。あとVB6でもVB.NETでも同じなので覚えておくといいかも)。なので次元数2の配列の長さを調べるのにjsArray.[0]でまず内側の配列オブジェクトを取得しているわけです。

さらにポイントとして、VBScriptでJScriptの配列を含むオブジェクトメンバを列挙するのにコード例のようにFor Each Next構文が使えます。ただしFor Nextを使ってインデックスアクセスはできません。というのもjsArray.[3]とかはあくまでjsArrayオブジェクトの3プロパティの値を参照しているにすぎず、jsArray.[I]という書き方ができないからです(これだと単にIプロパティの値を見てることになる)。Eval関数を併用すれば可能ではありますが、コードの中にコードを含ませさらにその中にまたコードを含ませるのも微妙なのでここでは使ってません。

あとは紹介した記事の関数部分だけ置き換えればJScriptのVBArrayオブジェクトを用いたテストもできるかと思います。注意点はExcelオブジェクトは配列添え字が1から始まるのに対し、VBScriptの配列は0から始まる点です。LBound関数を使えばその差違は吸収できるかな、と思います。

最初は多次元配列というかn次元配列に拡張した関数を書いてやろうと企んでましたが挫折しました。ネストしたループではなく再帰呼び出しである必要がありますし、ReDimは次元数を動的に指定することができないので実行するVBScript自体を動的生成しなければいけません。興味がある方はチャレンジしてみてください。

元記事:http://blogs.wankuma.com/mutaguchi/archive/2011/10/09/204198.aspx

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